第5話「ファーストミッション」
2070年9月 国会議事堂前
4人は情報を得る為、国会議事堂に来た。
達也「ここが国会議事堂か〜、なんか警備員がいっぱいいて何もしてなくても緊張するな〜」
慶子「全員議事堂内の地図は頭に入ってる?私達の目的は閣議室に潜入して情報収集する事。もしたどり着けなかったら即退散する事。オーケー?」
一同「オーケーっ!!」
そういうと全員、物陰に隠れて光学迷彩を着た。
慶子「今回は私が指揮を取るわ!じゃあレディ…ゴーッ!」
新達4人はステルス状態で議事堂内に入った。
警備員や監視カメラはあるものの、難なく潜り抜けた。
達也「んー、確か閣議の部屋は3階だったと思うけど、見当たらねぇ(笑)撤退するか」
達也以外の3人は4階にある特別会議室にたどり着いた。
そしてたまたま秘書らしき女性が出て行く隙を見て部屋に潜入成功した。
中には十数人のテーブルを囲って腰掛けている。
早川「本日の議題は各界のパワーバランスをどう保つかでございます」
このいかにもエリートサラリーマン風の男、早川 秀はインクベーティストあり、経済産業大臣である。
早川「現在ジャホンは4大勢力によって均衡しております。
1つ目は我々「政府」、警察と自衛隊が「政府」の主な戦力となります。
2つ目は「暴力団」です。その中でも「西村組」は構成員10万人からなるジャホン1の反社会組織です。武器の所有はもちろん、インクベーティストも多数在籍しております。
3つ目は「海外マフィア」です。皆さんご存知の通りジャホンは2022年から大勢の海外労働者を受け入れ、それが国内でマフィア化した組織です。特に「センチョーマフィア」のバックには本国である「統一センチョー国」が付いております。
そして最後(4つ目)に「ルーストゥ教」です。ジャホン人の5人に1人はルーストゥ教であり、他の4大勢力の中にもルートゥス教の者は大勢在籍しております。
もちろん宗教なので戦闘員はごく一部ですが、教祖である岡 龍斗がGOサイン出せばどんな任務でも遂行するクレイジーな集団と化します。」
早川はそういうとモニターでグラフを映し出した。
早川「政府の力が100とすると西村組は20、センチョーマフィアは15、そしてルートゥス教は30以上の未知数となります。」
橘「未知数とはどういうことだ?」
橘 圭吾は第142代内閣総理大臣である。マジョリティでありながら国民の絶対的支持を得ている。
※マジョリティとはインクベーティストじゃない一般人
早川「未知数の理由は岡のエボリティにあります。彼はどんな怪我でも治す事が出来るという「治癒」のエボリティともう1つエボリティを持っています。」
藤田「2個のエボリティ?俗に言う「ダブル」というやつだな!でっ、そのもう1つの特殊能力はなんなんだ?」
この中年太りした男は藤田 誠。国土交通大臣であり、インクベーティストである。
早川「それは…世界を滅ぼす特殊能力と言われております…」
橘「言われているって事はまだはっきりとはわからないのか?」
早川「ええ、教会内で囁かれていることです。本当に見た人は教会内でもごく一部の幹部のみでございます」
藤田 「ただの宗教の教えじゃないのか?」
早川「それが…一概に否定できないのです…先日北陸で起こった、地震のデータをご覧ください」
そういうと早川はモニターで次のグラフを表示した。
早川「上が自然地震のグラフで、下が今回の地震でございます。自然地震ではp波が来たあとにs波がやってきます。しかし今回の地震はs波が無く、いきなりp波が来ています。」
藤田「つまりどういうことなんだ?」
早川「つまり今回の地震は自然地震では無く、人口地震の可能性が高い、そしてこのレベルの人口地震を引き起こすのは…」
藤田「まさかっ!?」
早川「大型爆弾、もしくは特殊能力によるものでございます。そして震源地には爆弾を使った痕跡が無いことからおそらく後者かと」
橘「例え特殊能力による地震であっても岡の能力であるとは限らないんではないか?」
早川「不思議なことに地震が起きた直後に入信する人が加速度的に増えました。関係性は否定できないかと」
しばらく会議室内に沈黙が続く。
橘「調査は引き続き行うとして、本日は閉会としよう」
◆◆◆
帰り道
新「今日は色んな情報を得られたけど、Xデーを決定づけるような情報は得られなかったな」
清十郎「4大勢力の1つ1つを白か黒か潰して行くしかないな。」
慶子「1番最初は西村組がいいと思う」
達也「なんで?」
慶子「他の勢力と繋がっている可能性が1番高いからよ!ジャホン1の暴力団組織ならマフィア、政界、反政府その他組織の全てにコネクションがある。「金のなるところにヤクザあり」とはよく言ったものね!だから西村組をクリアにすると、他の組織も見えてくる可能性がある!」
達也「さすが慶子!名探偵オナン並みの推理力だぜ」
※名探偵オナンとは推理小説好きの42歳♂(独身)が美人局に会い、毒薬を飲まされて体が小学生になる国民的アニメである。ブリーフと蝶ネクタイ姿の主人公オナンは様々な事件に巻き込まれ、持ち前の推理とパワープレイで事件を解決していく。真実とイチモツは1つという決め台詞が社会問題となった。
清十郎「よし、そうと決まれば西村組について各自情報を集めよう!」
全員「了解!」
◆◆◆
新の部屋
新は名探偵オナンを見ながら1人でふけていた。
新「暴力団組織なんてどう調べればいいんだ…ただあいつらばかりに頼ってたらダメだ、俺も何かアクションを起こさないと!」
オナン「小林さんのラブドールを盗んだ犯人は、大林さん!あなたです!」
テレビの中のオナンが大勢の人に囲まれる中、大林を指差す。
大林「なぜ俺なんだ?証拠でもあるのか?」
大林が憤る。
オナン「あなたはラブドールを使う時、やたらとラブドールのクルブシをしゃぶる癖がある…つまり!あなたが犯人だったら小林さんのラブドールのクルブシにあなたの唾液が大量についてるって事さ!」
大林「!!」
大林の表情が青ざめる
目黒警部「すぐにラブドールを鑑識にっ!!」
目黒警部が他の警察官に指示を出す。
大林「その必要はありません…」
大林は肩をすくめてそう言った。
大林「自分のラブドールでは満足出来ず、つい小林のグラマラスなラブドールに手を出してしまいました。」
しばらく周りが騒然とした後、大林は無抵抗のまま警察官に手錠をかけられた。
中林「大林さん、あなたは私達を裏切っただけではなく、あなたのラブドールも裏切った…その事を忘れないで下さい」
大林「中林…、くそっ!俺はなんて事を…朱美ーーーっ!!(大林のラブドールの名前)
オナン「(人形は人間によって操られる。もしかしたら彼は人形によって操られた可愛そうな人間なのかもしれない)」
新「・・・」