第25話「知識の力」
翌日 合宿最終日 ロッジ
瑠偉「今日は合宿最終日!最後は「知」の修行をしてもらうよ!修行って言っても、ただ僕の講義を聞いてもらうだけだけどね!」
そういうと瑠偉はロッジに用意してたホワイトボードで文字を書き始めた。
達也「夏休みなのに授業かよ〜」
達也は不満そうにしている。
瑠偉「知識の力を侮ってはいけないよ!強い人程、知識を持っているんだ!あの最強のインクベーティスト松方志鳳も職業はヤクザだけど、空いた時間はずっと本を読んでいるらしいよ!」
新「{強い人程、知識を持っているか…、なんとか知識で清十郎や達也に追いつきたい!}」
瑠偉は一通りホワイトボードに文字を書くと、説明を始めた。
瑠偉「まずインクベーティストの3つの類型を教えよう!まずは人間型(タイプ1)、これは人間が本来持っている能力、つまり身体的能力なんかを向上させる特殊能力はこのタイプなんだ!例えば達也の「瞬発」の特殊能力なんかは人間型(タイプ1)だ!」
瑠偉「次に非人間型(タイプ2)だ、これは超能力的な特殊能力を使えるタイプだ!例えば清十郎の「火炎」の特殊能力は非人間型(タイプ2)に該当する!ちなみに僕もこのタイプだ!」
瑠偉「最後に他人型(タイプ3)だ!これは他人の能力を向上させたり、低下させたり、操ったりする能力なんだ!レアなタイプだからまだ出会った事ないかもしれないな!」
清十郎「恐らく、草薙五十音はこのタイプです!彼は他人の影を操る事ができます!」
瑠偉「へ〜!他人の影を操るなんて初めて聞いたよ!面白そうな特殊能力だね!ちなみにその子と戦った事はあるかい?」
清十郎「はい…」
瑠偉「はは、その様子だと負けたようだね!他人型(タイプ3)は能力を見破るのがとっても難しいんだ!本人ですら自分の特殊能力を理解し切れていないくらいなんだ!」
瑠偉「正体不明の特殊能力に出会った時に1番重要なのはなんだと思う?」
慶子「やっぱり知識ですか?こういうパターンはこういう特殊能力だって事をわかっていれば有利に展開できると思います!」
瑠偉「まあそれも正解だな!ただ僕が思う1番大切な事は諦めない事!どんなすごい特殊能力でも、無制限に使える訳じゃない!むしろすごい能力ほど、神経伝達物質の消費量は大きいんだ!だから諦めず冷静に分析して戦う事が大切なんだ!」
達也「へぇ〜、エボリティ格闘術ってのは奥が深いんだな〜」
慶子「理解できたの?」
達也「まあ半分くらいわな!」
慶子「達也にしては上出来じゃない(笑)」
しばらく談笑は続いた。
瑠偉「よし!あと1つ大事な事を教えるよ!特殊能力の進化についてだ!僕達には卵型のマイクロチップが埋め込まれていて、それのお陰で特殊能力が使える訳だが、このマイクロチップは特殊な状況下で進化するんだ!」
再び瑠偉はホワイトボードに文字と絵を書き始めた。
瑠偉「まず特殊能力が使えるようになる孵化(準覚醒)、それが進化すると蛹化(覚醒)、それがさらに進化すると羽化(超覚醒)と言われている!」
達也「蛹化(覚醒)?羽化(超覚醒)?あ〜、なんだかややこしい話になってきた〜」
瑠偉「ほとんどのインクベーティストは孵化(準覚醒)の状態に終わる。しかし稀に蛹化(覚醒)を起こす人もいる。正直、羽化(超覚醒)に関しては都市伝説みたいなもので、実際には見た事はない!」
清十郎「添田のトランスって言ってたっけ?目が充血して血管が浮き出るやつ!あれは何なんですか?」
瑠偉「トランスかぁ〜、あれも蛹化(覚醒)の一部なんだろうけどね〜!今の研究じゃまだまだわからない事が多いんだ!」
達也「もうそろそろ講義は終わりでいいんじゃないか?頭が痛くなってきた…」
瑠偉「みんなお疲れ様!これで「心」「技」「体」「知」の全ての修行は終了だ……ところがあと1個だけ最後の修行が残ってる!!」
清十郎「実践ですか?」
瑠偉「お!さすがは清十郎君!その通り!今から僕と君達5人でエボリティ格闘術を行います!」
琴音「あら〜♫エボリティ格闘術はちょっと苦手なので、ポコ丸君を使っていいかしら?♩」
瑠偉「OK!ちなみに高校生からは好きな武器を使っていいルールになっているんだ!今日はそのルールにしよう!」
清十郎「少し作戦を考えてもいいですか?」
瑠偉「わかったよ!じゃあ準備ができたら外に出てきてくれ!僕はウォーミングアップしとくよ!」
そういうと瑠偉はロッジから出て行った。




