第12話「一か八か」
本編に戻ります!
暴力団の集会で、国内殲滅作戦の事実を知る新達3人!それを知った3人はどう動くのかっ!
2070年 12月 放課後 教室
慶子を欠いた、いつものメンバーで話し合いをしていた。
清十郎「あれからずっと考えていたんだけど、提案がある!」
清十郎が真剣な眼差しでみんなに話を持ちかけた。
達也「さすが清十郎だな!俺は話がでかすぎて何をしたらいいか、全くわかんねぇよ!……っで何なんだ?」
清十郎「あの中にいた暴力団幹部を1人協力者にするっ!!」
新と達也は驚いた表情を見せた。
新「お前相手はヤクザだぞ!?とても俺たちの相手をするようには思えんが…」
清十郎「あの中にこの学校出身の人が何人かいる。その内の1人「加賀」にコンタクトを取ろうと思う!」
新「なぜ加賀なんだ?」
清十郎「実は集会の日、俺は各幹部の車にGPS付き盗聴器を仕込んだんだ…」
達也「!?…お前すんげぇ度胸あるな」
新「{コイツ、イカれてやがる…}」
清十郎「そこで数日間様子を見ていたんだが、他の幹部達は何かしら政府と繋がっていたんだ!しかし加賀だけは政府と繋がっている様子はなかった。」
新「ちなみに松方志鳳の車は?」
清十郎「彼の車からは何の情報も得られなかった。もしかしたら、盗聴器に気づかれて外されている可能性がある!」
達也「よしっ!じゃあ次の休みは加賀の家に行くか!門前払いされたら多少のパワープレイは必要かもな!」
◆◆◆
新達は加賀の家に着いた。
家は庭付きの立派な和風で、家の前には門番のような男が立っていた。
達也は臆すことなく声をかけた。
達也「すいません、加賀組長はおられますか?」
ヤクザの門番「親父に何のよう?」
達也「組長は僕たちの先輩で、いろいろと話を聞かせてほしいです。」
ヤクザの門番「開能の子らか。親父と面識はあるのか?」
清十郎「はい!時々学校に着て、グラウンド設備とか文房具とかを寄付してくれるんです!その時に話したことあります(嘘)」
ヤクザの門番は少し動揺した。
ヤクザの門番「親父はそんな事もしてんのか…ちょっと親父に直接連絡取るから待っとけ!」
そういうとヤクザの門番が電話で話し始めた。しばらくするとヤクザは丁寧に電話を切った。
ヤクザの門番「通れ!」
新達は門を通る事ができた。そしてヤクザAに案内された。
家の中には強面の人達が物珍しげに新達を見るなり、各々(おのおの)が持ち場で作業を続けた。
ヤクザA「親父っ!失礼しますっ!!」
ヤクザAは横開きの戸を開いた。
通された部屋は10畳ほどの和風の部屋で、日本刀や祭壇等が置いてあった。
新達は正座で座らされた。
加賀「何の用?」
この紺色のスーツを着た色黒の男、加賀蓮二は「西村組若中」兼「加賀組組長」である。
新達は対面すると威圧感から硬直した 。
清十郎「{直視できない程の威圧感!だがこんな事に屈してる場合じゃない!}」
清十郎「僕たち加賀さんの後輩なんですけど、将来の事についてアドバイスが欲しくて来ました。」
室内が静まり返った。
加賀「ここがどこだかわかってるの?」
加賀が険しい顔をし、恫喝するように言い放った。
しばらく場が凍りついた。そして新は重い口を開いた。
新「僕たちは10年後に起こる殲滅を止めたいんですっ!」
加賀、清十郎、達也の3人は新の急な発言に驚いた顔を見せた。
達也「お…おい」
加賀は新を鋭く見つめてこう言った。
加賀「その話誰から聞いた?」
新は間髪入れず答えた。
新「聞いたのではありません!俺は実際に未来を見ました!」
「それが俺の特殊能力「エボリティ」ですっ!」
新は加賀の目を見て答えた。
加賀「そうか…」
加賀はしばらく天井を見上げて考えた様子を見せる。
加賀「恐らくお前は嘘をついていない。ただ、はいそうですかと信じる気もない…」
加賀は立ち上がった。
加賀「いいだろ、表へ出ろっ!」
そういうと3人は庭に連れ出された。
庭にでるとそこには鯉が泳ぐ池や松の木等、日本庭園のような広い空間だった。
加賀「お前らもインスベーティストの端くれだろ?
だったらエボリティ格闘術で俺に参ったと言わせろっ!!」
そういうと加賀は上着を脱ぎ捨てた。背中には「金剛力士」の刺青が入っている。
加賀「3人同時でも構わないっ!根性見せろやっ!」
そういうと加賀は構えた。
清十郎「やるしか…ないな…」
達也「3人だったらいけるぜ!」
新「決まりだな!」
そういうと3人も構えた。
加賀「まずは小手調べかな…」
加賀は清十郎の懐に入った。
清十郎「疾いっ!オーバーヒート!」
※オーバーヒートは全身を炎で覆う技
加賀は3歩引いた。
加賀「炎か…やっかいだな」
加賀が呟くと間髪入れずに達也が攻める。
達也「距無足っ!」
※ 距無足は古武術に伝わる、一瞬で間合いを詰める技。
達也は加賀の懐に入り、加賀の足を思いっきり蹴った。しかし軽く受けられた。
加賀「疾いな、攻撃力もガキにしてはやる…」
その後も新と清十郎が間合いを詰め、コンビネーションを入れるが加賀に全て受けられた。
しばらく猛攻は続いたが、新、清十郎、達也の息が荒れ、3人は距離を取り始めた。
加賀「どうした?お前ら覚悟はそんなもんか?もうそろそろこっちも本気で行くぞっ!」
そういうと加賀の圧は大きく増した。
新「{…くっ、なんだこの凄まじい圧はっ!耳無しと戦った時の圧と似ている!}」
加賀「俺の特殊能力は「粉砕」、手に触れるものを粉々(こなごな)にする…もちろんこの辺の岩も、人の骨も…」
加賀は岩に触れた。すると岩がまるで砂のように粉々(こなごな)になった。
達也「はぁ、はぁ、やべぇな…力の差が歴然過ぎる…」
清十郎「諦めんなっ!なんらかしら策はあるはず…燃えろっ!テラフレアッ」
※テラフレアは手から炎を繰り出す技、以前清十郎が使用したギガフレアより火力が向上している。
清十郎の手の火炎が加賀に向かっていく。しかし加賀はそれ難なくを交わした。
交わすと同時に加賀はそのまま達也の方に一瞬で間合いを詰め、腹部に足刀蹴りを入れた。
達也はコンクリでできた庭の敷居まで吹き飛ばされ、悶絶する以外、何もできなかった。
加賀「あと2人」
清十郎「{なんていう破壊力だ}」
新「清十郎!いい案がある!」
そういうと新は耳打ちをした。
清十郎「なるほど!一か八かやってみる価値はありそうだな!」
加賀「{奴らの目の色が変わった…何か妙案が思いついたようだな…}」
そういうと新と清十郎は二手に別れた。
加賀「もう1人は見えなくなったな!戦闘向きの特殊能力じゃねぇお前に何ができる?」
そういうと加賀は新の間合いに入り、ボディブローを打った…が!新は辛うじてそれをいなした。
新「{直撃してないのにこの威力!やっぱり大人は強い…俺も一矢報いるっ!}」
新は力一杯殴り、加賀の顔面にヒットした。
加賀「{いてっ、並みのパンチじゃないっ!コイツ!何か隠してやがるっ!}」
清十郎「オラーーっ」
加賀が新に気を取られている隙に、清十郎は大きな岩を屋根の上から加賀目掛けて投げた。
加賀「こんなもん喰らうか!!」
加賀は飛んできた岩をエボリティで粉々(こなごな)にした。すると清十郎の特殊能力で熱された岩屑をまともに体に受けた。
「ぐっ!熱ちぃ!こんな短時間で俺の行動の癖を読んだというのかっ!」
加賀はかなりの火傷を負った。
加賀「あちぃ…くそっ、これ以上は仕事に支障がでる!俺の負けだ…」
加賀がそう言うと、新と清十郎は安堵の表情を見せ、拳をぶつけ合った。
◆◆◆
庭の端っこ
達也「くそー、俺はやられ損じゃねぇか…」




