第三百四十三章 先遣隊と苦戦する
秘密調査官が敵艦隊を全滅させた後、「こちらテレジア軍秘密調査官です。敵は軽く浮遊しています。戦艦の中で、自分の神経を宇宙戦艦に接続しています。宇宙戦艦を自分の手足のように操れる為に、動作が非常に機敏です。先遣隊に苦戦しているようでは、今後地球を守れないわよ。マリさんの攻撃システムを搭載すれば、攻撃パターンを解読されるまで、暫く時間を稼げるわよ。」と連絡して去って行きました。
サクラが、「そうか秘密調査官は、マリさんの攻撃システムを搭載していたのね。だから、あのような凄い実戦ができたのか。」と納得していました。
愛子が、「違うわ。今の攻撃パターンは、マリさんの攻撃パターンではないわ。」と指摘しました。
サクラが、「えっ?それ本当?マリさんの攻撃システムを搭載していなくても、あれだけの実戦ができるとは、さすが腕利きの秘密調査官ですね。何故テレジア星では、今の秘密調査官の攻撃パターンを再現したシステムを開発しないのでしょうね。複数艦でのチームワークも絶妙でしたのにね。愛子さんはマリさんの攻撃パターンを再現したシステムを開発したから、何か知っているのではないですか?」と期待していました。
愛子は、「確かに私には解りました。今の攻撃パターンは複雑で、簡単に開発できないわよ。マリさんは戦闘艦の経験が浅かった為に、そんなに複雑ではなく開発できたのよ。今の攻撃パターンは、マリさんより数段上だわね。とても解析できないわ。マリさんもテレジア星人のように、寿命が何千年もあれば、あのような複雑な攻撃パターンも可能になったと思いますよ。マリさんのシステムのもう一つの欠点はそこにあるのよ。同じ敵に何度もマリさんのシステムで戦っていると、敵に攻撃パターンを読まれて対応できなくなるわ。この事は、マリさんの攻撃システムを開発する時に、私がマリさんの日記を、参考の為に確認した時に、マリさんも気付いていた事を記述していました。敵に攻撃パターンを読まれないように研究していたようですね。晩年無理して研究していたらしく、それで命を落とした事は残念です。」と返答しました。
愛子は、“そういえば、マリさんの日記には、アヤメさんの攻撃パターンは神業で、今の私とは全く比べ物にならないと記述していたわ。マリさんの目から見ても、アヤメさんの攻撃パターンは神業だったのね。そういえば、今の秘密調査官の攻撃パターンは、アヤメさんの攻撃パターンに似ていたわ。テレジア星でアヤメさんの攻撃パターンを再現したシステムを開発したとは聞いた事がないけれども、まさかアヤメさんは生きていたのかしら?今のは、まさかアヤメさんなのかしら。という事は、もう一隻はモミジさんなのかしら。しかしまさか、あのアヤメさんが優秀な秘密調査官だなんて、とても考えられないわね。死んだ筈だし。”と思いながらも何か薄々と感じていました。
愛子が、「今は緊急事態です。ヴィーナス小母様、テレジア星に帰ったテレジア星人を、再び地球へ呼び戻せませんか?」と依頼しました。
陽子と協力して、説得して数人に戻って来て頂いて、陽子と相談して芹沢外科医院で対応して頂く事にして、他のテレジア星人にも戻って来て頂けるように、ヴィーナスが説得を続ける事にしました。
サクラが、「今、田原長官より連絡があり、“数人が突然の吐血や喀血で倒れて、病院に緊急搬送されました。肺に数か所穴が開いていたそうですが、原因は不明らしいです。微熱が続いていたらしいですが、ノロやインフルエンザの人が近くにいなかったので、気にしなかったらしく、連絡はありませんでした。厚生省もやっと気付いたようです。大学病院はプライドが高く、更にこの病原菌について研究したいらしく、芹沢外科医院への搬送は拒否しています。隊員も次々と倒れていますので、次回より芹沢外科医院に搬送するようにしています。”と報告がありました。」と連絡しました。
愛子が、「テレジア軍が敵を発見した為に、地球侵入を悟られたと判断し、私達が敵の対応策を建てる前に、先遣隊が暴れだしたものと思われます。サクラさん、地球上で田原長官と厳戒体制をとって下さい。渚さん、陽子さんと協力して芹沢外科医院で対応して下さい。」と体制を整えようとしていました。
コスモスが、「確か芹沢外科医院の手術設備は古い為に使えないと聞きましたが、どうするの?」と疑問に感じていました。
渚が、「以前小型UFOを看護師寮跡に着陸させて、隔離病棟にしていた事があったでしょう?今回も同様に小型UFOを着陸させて手術室専用にしています。」と返答しました。
コスモスが、「オペ室ナースがUFOの設備をみて不審に思わない?」と不思議そうでした。
渚は、「テレジア星に帰って行ったテレジア星人を説得して、数人に地球へ応援に来て頂きました。オペ室ナースとして採用したので大丈夫です。UFOの設備も使えるのでね。元コスモス調査会社の社員もいるわよ。気付かなかったの?」と返答しました。
フジコが、「今、大学病院に侵入し、透視力で確認して来ました。倒れた地球人とそうでない地球人を比較すると、確かに何か異なりました。陽子さんでしたら解るかもしれません。渚さん、陽子さんが暫くいなくても大丈夫ですよね?陽子さん、大学病院に侵入して、調べて頂けませんか?」と依頼しました。
陽子は、「解りました。直ぐに調べて来ます。それと敵は地球に現れた為に、テレジア軍に応援部隊の出撃を依頼しています。アヤメ警備会社のテレジア星人社員は、テレジア星に帰ってしまったので、地球周辺や太陽系はテレジア軍に対応して頂きます。」と伝えました。
愛子が、「アヤメさんのスケバングループのリーダーは、陽子さんが引き継いでいると聞きました。もしそうであれば、地球上で敵と交戦状態になった時の事を考慮して、地球に滞在した事があり、地球の事を知っているスケバングループのメンバーを地球に呼び戻せませんか?」と提案しました。
陽子は、「それは私も考えましたが、敵は気体のように浮遊している為に、どのように戦えと指示すれば良いのか不明で、宇宙空間で敵戦艦との交戦も、テレジア軍が苦戦する敵なので、アヤメさんがいなければ、スケバングループには無理です。」と返答して大学病院に向かいました。
大学病院から戻った陽子は、「敵は透視力で確認可能です。ただ、病院ではレントゲンや超音波やMR等の検査前に、人体から出て来る為に、検査結果には現れません。血液検査した結果、敵の排泄物を確認して、それを病原菌だと勘違いして対応しています。従って地球人が考案した治療方法は全く役立ちません。私も大学病院で初めて敵を確認して驚きました。今回の敵は気体に近い為に、今迄の敵と全く異なり、私もどのようにして戦えば良いのか解りません。フジコさんと愛子さんが頼りです。」と全員に報告しました。
フジコが、「敵は軽く浮遊している為に、霧吹きが有効である可能性があります。地球人の体外で敵を確認すれば、一度試して下さい。」と提案しました。
テレジア星に戻って行ったテレジア星人が戻って来た為に、フジコ達が驚いて確認すると、アヤメ警備会社の社長に説得されたとの事でした。
コスモスが、「えっ?母ちゃんは死んでいなかったの?」と混乱していました。
「アヤメ警備会社の今の社長はヴィーナス小母様ですよ。」と指摘されました。
コスモスが確認するとヴィーナスは、「私も昔はスケバングループのリーダーだったのよ。私が社長でも可笑しくないでしょう。何よ、不満がありそうなその言い方は!だいたい気付かない方が鈍感なのよ。陽子さんと愛子さんは気付いていたわよ。」と注意力散漫だと感じました。
フジコは、「解りました。地球に来て早々扱き使って申し訳御座いませんが、地球に滞在しているテレジア星人は、全員透視力を駆使して敵の発見に努めて下さい。大学病院の検査室で、人体から出て来る為に、そこでも注意して下さい。サクラさん、この事を至急田原長官に伝えて、田原長官に同行して敵の発見に全力を挙げて下さい。地球人が敵を発見するのは無理なので、コスモス調査会社の社員を、私達より地球に詳しい田原長官の部下の特殊隊員とペアを組ませて対応して下さい。現段階では、隊員には私達が宇宙人である事は伏せておいて下さい。地球人は宇宙人と遭遇した事がない為に、隊員が私達に疑問を抱けばチームワークが保てません。隊員と信頼関係を築いてからにしましょう。その時期は田原長官とサクラさんに一任します。」と連絡しました。
サクラは田原長官と連絡をとり、松田長官の時と同様に、サクラを田原長官の秘書として採用して特殊隊員に、「今回の病原菌は地球外生物の仕業である事が判明しました。この敵に対応する為に、特別に訓練された腕利きの秘密部隊を、特殊隊員として一時的に大量採用しました。皆さんとペアを組ませますので、協力して対応して下さい。」と説明しました。
原因不明の微熱がある人は、大学病院に行く人と、芹沢外科医院に行く人とに分かれました。その結果、大学病院で治療した人は、今迄と同様に、突然の吐血や喀血や腹痛などに襲われ、内臓がボロボロになっていて、多臓器不全で次々と亡くなりましたが、芹沢外科医院で手術した人は、全員元気に退院していました。
次回投稿予定日は、4月1日です。




