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友人Aはラブコメ見ながら無双する!  作者: K
第2章 そんなに見たきゃ見せてやる編
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第9話 間接キスとパン屋さん

遅れました!

ブックマークして下さる方、こんな小説を見てくれている方々にはただただ感謝しかないです。




「何で俺がAクラスなんですか?説明してください」


俺は今学園長室へ乗り込むなりそう言い放ち、学園長リリナ・エル・フェルナンドは朝食なのかホットドッグをモグモグしていた。


「くうほはほおっうたふ」

「いやなんて言ってるかさっぱり分からないんですが?」

「ゴクリ!うっはー!やっぱりクラリスのホットドッグは最高だね!今町で人気のパン屋さんなんだけどレイくんも言ってみたらあ?」

「いやそういうこと聞いてるんじゃないんですけど?」

「んもー!そこはノリに乗らないとダメだよ!そんな君にはこのホットドッグをプレゼントしよう!」

「いや食い掛け貰ってもいらないんですけど?」

「君!こんな美少女な僕と間接できるんだぞ!もっと喜びたまえ!」


うわうっせー。たしかに美少女だけどロリババアだしボクっ娘だからなあ・・・。


これが四堂院だったら俺は天に召されるかもしれないが。


「別に間接キスなんてどうって事ないでしょう?」


前世では後輩女子達との間接キスなんて当たり前だし、別になんの抵抗もない俺はそのままもぐもぐと食いかけのホットドッグを頬張った。



な、なんだこれは・・・!芳醇な麦の香りにパリッ!ジュワッー!と挟まれたソーセージとマッチして口の中でパレードのように駆け回る!


それにこのマスタードも辛すぎず甘さがあり、ケチャップとの絶妙なハーモニーが最高すぎる!



俺はあまりの美味しさに感動で目をウルウルとさせた。


こんなにうまいホットドッグがこの世界にあったなんて・・・。


俺はこの味に出会わせてもらった学園長に感謝しようと視線を向けたが、何故だか顔を真っ赤にしプシューッと白い湯気みたいなのが出ているではないか!


あんたは蒸気機関車かなんかなのか?


「か、かんせちゅきしゅなんてぼくはじめてだよ!それもせいととだなんて!」


となりやらモゴモゴしておらっしゃる学園長をどうにかせねばと俺は声をかけた。


「学園長!リリナ学園長早く目覚めてください本題に入れないです!」

「ふぇえ!レイ君に名前で呼ばれたあああ!これはもしや先生と生徒との禁断の恋!!ああこんなもの深夜ドラマとか昼ドラだけだとおもってたのにいいいいい!」


なんだかメチャクチャ勘違いしてあたふたする学園長とその口調にビキッとムカついた俺は、殺気交じりに魔力を放出する。


「学園長真面目に聞いてください」


今までのフニャフニャした雰囲気は何処へやらピリピリと室内が俺の魔力で満ちて行き、床や壁、天井からはミシミシ!っと複数の亀裂が入って行く。


その魔力量に冷や汗を浮かべる学園長はゴクリと息を飲み込むとはははと乾いた笑い声をあげる。


「凄まじいよ・・・。まさかちょっと魔力を出すだけで室内がこんなになるなんてね・・・」


俺はようやく冷静になった学園長を確認して、魔力の放出を止めた。


「すみませんでした・・・。部屋に亀裂を入れた弁償代は自分が出します」


と俺が頭を下げるが学園長はイヤとそれを制した。


「いやいいんだよ。僕もすまなかったねちょっと心の制御ができなくなって・・・。それよりなんで君がAクラスになったっていう話だったかな?」

「そうです。なんで俺はCクラスではなくAクラスなんですか?俺の筆記実技試験の点数を合計すると100位のはずです。説明してください」

「その前にまず君に聞きたいんだけどなんで君は自分がCクラスだって分かってるのかな?確かクラス番号を発表したのは今朝からだったはずだよ?ましてなんで君は自分の順位も知っているの?」


なんだか学園長の方からピリピリとした雰囲気が流れた。


・・・これはまずったかもしれない。

俺の前世知識があるせいで、まさかこんな失態をしてしまうとは思いもしなかった。おそらく彼女は俺が盗み見したと思っているのだろう。


長い沈黙・・・。悪い意味で心臓がドクドクと早くなり俺がどうにか言い訳を考えていると学園長はピリッとした雰囲気を止めて、少し笑みを浮かべる。


「まあこの際だからそれはお咎めなしにしてあげよう」


どうやら深く言及されなかったようだ。

俺が何処かホッとしていると学園長はさらに続ける。


「君がAクラスの理由だね?そんなの決まってるじゃないか君が単身で第2階級であのクラーケンを消し去った事、それにあの六武族最強と謳われるアークフリート家の消えた神童となればこの答えは必然だと思うよ?」

「もう俺には決定権はない感じですね・・・」

「君はあまり目立たないようにしているようだけど、あのクラーケンは目立ちすぎだよ?もう言い訳できるような立場じゃない言わば自業自得だね」


ぐうの音も出ないとはまさにこの事だな、俺は反論する余地も無しに大人しくAクラスになるしかないようだった。


「まあそんなに悲観することはないんじゃないかな?君の過去のトラウマがどんなものかはボクは知らないけれど十中八九、六武族の次期当主候補と呼ばれた子達が関係しているのじゃないのかい?」

「そ、それは・・・」

「無理には聞かないけど君もこのままじゃ行けない事は分かっているだろう?幸いウチの学校には当主候補の生徒が2人・・・。いや正確には3人もいるんだしいい機会じゃないか!」


確かにそうかもしれない俺はあの日、このトラウマを絶対に克服してやると誓ったのだ。いつまでも後ろを向いてウジウジとしてはいられない。


そうやるしかない、否やらなければいけないのだ。


俺が決意めいた顔をしている事に気が付いたのか、学園長は微笑みを浮かべると慈愛に満ちた声で優しく語りかける。



「前にも行ったけど・・・。何か辛い事や相談事があったら遠慮なくこの部屋に来ていいんだよ?今の君はどこか昔の私に似てるしね・・・」

「・・・ありがとうございます」


昔を思い出したのか遠い目をする学園長。

その優しさに感謝しながら、俺は教室に帰る間際にとあることを思い出した。


「・・・学園長。早速聞きたい事があるんですが、いいでしょうか?」

「うん!いいよボクが答えられる事なら答えてあげるよ!」

「ありがとうございます!ではあのホットドッグを売っている店は街のどこにあるんですか!!」


この後呆られたのは言わなくてもわかるだろう?


ーーーーー



Aクラスに戻った俺は早速四堂院の横に座る事にした。


いやもっと簡単に言えば四堂院の隣の席に鞄を置きっぱなしにしていて、そこに座るしかないと行った方が適切な答えだ。


「おい・・・。あいつだろう?特別枠で入った奴って・・・」

「何あれ根暗な子っぽいね〜」

「強そうには見えねえなw」



教室の入った瞬間、何やらジロジロと観察めいた視線や陰口を感じるのは俺の気のせいではないだろう。


どこか居づらい雰囲気の中、隣の四堂院は席に座る俺を見て嬉しそうに微笑んでくれた。



「これで毎日一緒に学校生活送れるわね」


その言葉に俺は思わず言葉に詰まってしまう。

いけないいけないつい可愛すぎて見惚れてしまった!俺は照れ隠しをするため屈託のない笑みを浮かべた。


「あ、ああ!四堂院これからよろしくな!」

「ええこちらこそよろしくね神原君」


まるで普通の友達のように自分の憧れのヒロインと会話できる幸せを俺は静かに噛み締める。


本当は数ヶ月単位で彼女と友達になって行くつもりだったが、まさか出会ってすぐ友達になれるなんて想像もつかなかった。


もしかしたら俺はラブコメ主人公になる素質があるのかもしれない・・・!



と馬鹿なことを考えた俺は今のクラスの状況で、ああそんな訳ないかと首を振った。


俺の目の前、一番下の1段目の机に座る見覚えのある3人の生徒達。教室内にいるクラスメイトの大半が彼らの側で群がっているところを見ると、俺と彼らの差は見るより明らかだろう。


「春香さんって言うんだ!めっちゃ可愛いね!」

「そ、その月島くんてさ。か、彼女とかいるのかな!?」

「ヘレナさんってあの六武族の次期当主なんでしょ?どんな生活してるの!」

「何処の中学いってたの?」

「どうやって来たの?」

「町にはもう言った?」

「今度遊びに行かない?」


まるでカースト制度の始まりを見ているみたいだ・・・。実際にはもうすでにあの3人はカースト最上位に位置するのは揺るがない事実であり変えられない真実だ。


ハルトに関して言えば既に何人かのヒロインを落としているように見えるが俺の勘違いだろうか?


一方で俺の周りには女子はおろか男子の一人も近づきやしない。

四堂院には先程から男女関わらず声をかけられているというのに俺には皆無である。



これがカースト下位の扱い方か何故だろうか・・・。なんか涙が出て来たよw


格差社会の厳しさを身に刻んだ俺はあまりのダメージに机に突っ伏していると不意にツンツンと頭を突かれる。

いったい誰だ?と顔をあげて見てみると

そこにはいつのまにか移動して来た春香の姿、否顔があった。


息がかかりそうな程に距離が近く、彼女から漂ってくる女性特有の甘い香りに頭がクラクラとなり始める。



まるで中毒性の高い麻薬のようで、これはイケないと俺は堪らず背後に机があることも忘れ大きく身を引いた。



すると案の定。ゴチンッ!とまるで漫画に出てくる擬音のような音が俺の後頭部から聞こえ、その痛みで思わずグオオおおおお!と痛みで蹲ってしまった。


地味に痛いとかそんなレベルではなく、マジで骨イっちゃった・・・?ぐらいの痛みに悶絶する俺。



「れ、レイくん!!頭大丈夫!?」



何でだろうか?心配しているのは分かっているのだが、この子いちいち距離感が近い!


春香は覗き込むようにしゃがみ込んで下を向いた俺の顔を見つめているのだ。


この学校のスカートは結構短い。故にしゃがんだりしたら見えてしまうのでは?という際どい所を維持していた。


や、やめてくれええ!何でこいつはこんな無防備なんだあ?こんなのはハルトにしろって行ってんだろうがああ!



と俺の心の声も虚しく、ただただ羞恥で顔を真っ赤にする中、俺は思わずグエッ!とカエルみたいな声を出して背後に引っ張られる。



今度は誰だ!っと思い振り返るとそこには不機嫌な顔を隠そうともしない四堂院の姿があったのだ。



「あなたチョット近すぎるわよ?それにもう少しでスカートの中見えそうになってるわ。はしたないから止めて頂けないかしら?」


まるで凍てつくツンドラのような声。

春香は今の状況を理解してかバッと立ち上がるとご、ごめんなさいと恥ずかしさからか小さな声で謝ると逃げるように元の席へと戻ってしまった。


一部始終を見ていた男子どもが嫉妬か何かわからないが、俺を睨みつけてくるが無視をするのが得策だろう。



距離感の近すぎる春香から離れ俺はホッと一息つくと四堂院の方を向いた。しかし彼女の顔はまだ不機嫌そうにしている。



「ど、どうしたんだ・・・?」

「いえ。神原くんはあんな少しエッチな子が好みなのかなと思っただけよ・・・」


先ほどよりも暗く俺の方を見る四堂院さん。


この雰囲気はまるで浮気がバレたお父さんのような空気で何処か重々しい。



「神原くんは私に楽しい学生生活を経験させてやるといったわよね?私今の所、全然楽しくないのだけれどあれは嘘だったのかしら?」

「う、嘘な訳あるかよ!俺はそんな見え透いた嘘はつく主義じゃない!」

「へー。そう願いたいわねえ・・・?」


ヤバいこりゃあかんやつや・・・。完全に彼女は怒っている!


何が地雷原かさっぱりわからない俺。

おそらく推測だが、友達と行動して彼女とほとんど接していないのが原因なのだろう。



どうしたものか・・・。と俺は深く考えるとハッと学園長先生の顔が浮かんだ。そして例のパン屋の事を思い出した。


「そ、そうだった。町に美味しいパン屋があるらしいんだが・・・。どうだろう四堂院、今度一緒に行かないか?」


別にこんなので友達の仲を深めようなどとは考えてはいない。しかしちょっとした話すキッカケにはなるだろう。咄嗟に思いつく事がこれしか無かったのがとても不甲斐ないが・・・。


恐る恐る四堂院の方を見るが一変、彼女の顔は先程の凍てつくツンドラの表情とは打って変わり少し頬を染めチョット恥じらうような表情になっていた。



「そ、それはデ、デートと考えていいのかしら・・・!」

「・・・・・・・・へえ?」



脳内にデートと言う彼女の言葉がリピートする。


確かに女子と出かけるというのはある意味デートな訳であって、つまりは2人きりで楽しく話す事ができるという事だ!!


「そ、そうだな・・・!デート?みたいなもんかな?」

「そうそれじゃ約束よ・・・」


と彼女の顔に笑みが戻ったのは嬉しいが、俺は今別な意味でドキドキしている。


あの四堂院とデート・・・!そう考えるだけで心がときめいてしまう。


学校生活に一抹の不安があったものの、今は何処へやら消えてしまった。


俺はもう四堂院とのデートのことで頭がいっぱいになってしまったのだから。








高校の時は初日がやっぱり一番ドキドキしたと思います・・・!


レイとユキのデート編はまだ先の話です。

次回はチョットバトルアンドシリアス展開に入って行きます!


ここまで呼んでくださった読者の皆様ありがとうございました。


ブックマークや評価等あれば小説を書く励みもなりますので是非くれるとありがたいです。


最後に次回もまた楽しみに待っていてください

それでは次回にまた会いましょう!

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