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友人Aはラブコメ見ながら無双する!  作者: K
第1章 友人Aの入学式編
6/17

第6話 公園と幼馴染とラーメンと

遅くなりました


俺は大きく息を吐いて空を見上げる。


あの後講堂を後にした俺は、学園から少し離れた公園のベンチに腰掛けていた。


「すっかり大丈夫だと思ってたんだがなあー。やっぱり8歳の時のショックがでかすぎるんだなー」


と俺はボソリと呟いた。

俺がこの前世の記憶を思い出したのは、およそ5年前。


ちょうど人間不信を起こして2年が経った時のことだった。

その日は誕生日だと言うのに40度近くも熱が出てしまって正直死ぬんじゃないかと本気で思った時、まるでフラッシュバックのように前世の記憶が蘇ったのだ。



まあそのおかげか徐々に人間不信は緩和されて行き、今は会話する程度には回復したのだが過去のトラウマだけはまだどうにもできない状況である。


俺は大きく溜息を吐き出すとそれと同時に大きくお腹の音がなった。


「マジで腹減った・・・。はあしょうがない町にでも行くか・・・」


と俺は立ち上がろうとした時急に目を塞がれてしまう。


「だーれだぁー」

一瞬体がピクリっと反応するとどこか妖艶な声が耳元で囁かれた。


思わず背筋がゾクゾクっとなるのを感じながら、慌てたように声を出す。


「クロナいきなりはやめてくれ!心臓に悪すぎる!」


そこにはイタズラが成功したような笑みを浮かべる新入生代表でもあり俺の幼馴染 クロナ・アル・ミラードの姿があった。


「へへへ!久しぶりだねレイ!会いたかったよ!」

「いや久しぶりって言っても半年前に会ったばかりだろう」

「半年も会えなかったんだから久しぶりなの!」


俺の言葉にクロナは頬を膨らませながら怒る。


なにそれ可愛い・・・。最近流行ってるの?



「それよりよくここにいるって分かったな?」

「うん!この前別れる時にレイのスマホにGPS機能のあるアプリをインストールしておいたんだ!」


満面の笑みのクロナだが、俺は反対に青くなってスマホ画面を見てみる。

マジだナニコレめっちゃ怖いんですけど・・・。


「お前いつのまに入れたんだよ・・・!」

「え?トイレ行ってる時だけど?」


な、何とも恐ろしい女であろう。この半年間俺が何処に行っていたのかを監視していたのか?


「ああ!それで思い出したんだけど去年の10月、何でメイドカフェになんて行ったの・・・?」


クロナの目がなんだかもうむっちゃ怖い・・・、先程までの光は皆無で今はメッチャダークネスだ。


「いやお前だって知ってるだろ?家の裏仕事で俺が動いてることに・・・。こん時はたまたま尾行対象が偶然にもメイド喫茶に入っちまったんだよ!だからさ俺も入りたくはなかったけど仕方なかったんだ!!」


冷や汗が止まらない俺はゴクリと息を飲み込む。


ここ10年・・・。反政府グループやテロ組織の活動が活発化しており、それに関連した事件、事故が例年の10倍の件数にまで膨れ上がっている。そんな状況を見かねた現当主である父親が引きこもりが解消した俺にリハビリを兼ねた調査や組織の殲滅をさせるようにしたのだ。クロナも同じ様にテロ組織の動向を探る様に頼まれた様で、ちょくちょく一緒に仕事をしたのを覚えている。


「本当かなあ?」


しかしクロナはまだ冷たい視線をぶつけてくる。

・・・気まずい沈黙。クロナははあーと何処か呆れた様な顔を浮かべてこちらを見た。


「分かった信じてあげる・・・。でもその代わりお昼奢って!」


なんだかどこかで聞いた様な台詞と圧力だ。

お腹の方も限界に近づき、そもそも俺に拒否権など与えられるはずもなく、ただただイエスとしか返事を返すことができなかった。


ーーー


「ぷはああああ!うまああああ!」


と俺は感動で泣いていた。

味もさることながら空腹がさらなるスパイスとなり目の前のラーメンがめちゃくちゃ美味く感じられたからだ。


「フフフ。でしょ!昨日町に買い物に行ったら偶然見つけたんだ!」


少し汗をかきながらクロナは嬉しそうに笑う。美少女が長い髪を後ろで一纏めにした姿というのはとても美しく、店にいた野郎どもはジーッとクロナを見ていたがまあそれも無理はないだろう。



暑いのか少し頬を染めてボーッとしたような目をした彼女の表情を見ると、なんだかイケない事をしてるみたいに感じる。



あれ俺ってもしかしてラブコメの主人公だっけ・・・?


となんだか見当違いもいいところな思いを抱いた俺は取りあえず、2人分の会計を済ませ外へと出る。



「いやー美味しかったね!レイまた来ようね!」

「んだなあ。そのうちなあ」


髪をなびかせながらルンルンと何処かテンションの高いクロナを見て俺は思わず、微笑みを浮かべる。

クロナはそれに気がついたのか不思議そうな顔を浮かべてこちらを見た。



「どうしたんだいレイ?急に笑ったりして?」

「うんや!何でもないよ。ただ楽しそうだなあーって思っただけだ」

「うんすっごく楽しいよ!」


クロナははみかみながら、俺ではもったいないほどの笑みを向けてくる。


こんな笑顔初めて見た・・・。

いや実際は間近で何度か目にした時はあったが、前世つまりはインヒロのプレイ中では結局最後まで彼女クロナのシーンは一回も見ることができなかったのだ。


詳しく説明するとインヒロは登場した女性キャラ全てを落とせることができる、それこそそこらへんのちょっと可愛いモブ少女ですらエンディングが存在するほどに。そのインヒロの中でも特に落とすことが難しい最凶超超難易度のヒロインが2名存在している。


その一人がこのクロナ・アル・ミラードであり、俺の幼馴染だ。

どちらのヒロインもファンの間では人気度がかなり高く、前に行われたファン投票ランキングでは2位と3位を独占しているのだが、どちらも攻略法が見つからないと泣き叫ぶファンも少なくなかった。



そんな彼女がいま俺の前で眩しい笑みを浮かべている。

こんな彼女の笑顔はなんだか新鮮で写真に撮りたいと思ってしまう。



「末恐ろしいな・・・」

「うん・・・?なんか言った?」

「嫌なんでもない・・・」

「ふふふ!おかしなレイ」


そうして俺はこの後幼馴染との有意義な午後を過ごしたのであった。

読んで頂きありがとうございます!

次話でついにメインヒロイン登場します。


ここまで読んでくださり本当にありがとうございます!


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