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友人Aはラブコメ見ながら無双する!  作者: K
第2章 そんなに見たきゃ見せてやる編
16/17

第16話 その後・・・

リアルが忙しいですが、頑張る_:(´ཀ`」 ∠):


俺は焦りながら桜散る道を駆け抜けて行く。


何故そんなに急いでいるかだって?


そんなの決まってるだろ!遅刻したんじゃあ!


昨日は何だかんだ言って模擬戦で疲れてしまい。そのまま家に帰って死人の様に眠り込んだ結果。起きてびっくり!既に9時を回っていて今の現状に至っている。


コンビニで朝飯を買う余裕すらない俺はひたすらに走って、なんとか15分に学校に着いたが精神的に疲れてしまった。


いつものように教室まで来たのはいいが、俺はドアを開けるのを躊躇ってしまう。なぜ入れないのかはそれは言わなくともわかるだろ?


ーー 一体でんな顔で教室に入ればいいんだ??


昨日あんなに力を見せつけておいて次の日、余裕で遅刻するとか滅茶苦茶気まずすぎる。それに俺がもし見てる立場だったらこいつマジかってなるもん!

そんな目で見られたら俺の精神HPが恐らく擦り切れてしまう。


「む?なんだ貴様もきたのか神原」


俺がどんな感じで入って行こうか迷っていると、後ろからそう声をかけられる。


思わず後ろを振り返るとそこには予想通りの人物が頭にサングラスを挿しながらお馴染みの軍服姿で、清々しいほど真っ直ぐな姿勢を崩さず立つ姿があった。


そう我がクラスの担任 リタ・ブレッドその人である。


「あ・・・。せ、先生!おはようございます!き、奇遇ですねえこんなところで!」


遅刻をしたため何だか滅茶苦茶噛みまくってしまった・・・!


てかこれって説教コース真っしぐらだよな?


リタ先生はまあ見ての通りこの学校の生徒指導員も務めている。

校則を破る生徒の相手の力量を見て、対処しきれないような罰という名の教育を与える事から一部の先輩、いや全校生徒から鬼教官と言う名称で恐れられていた。


「あ、あの!こ、これは別に遅刻したわけではなくてええ!!」


俺が必死に弁論しようとするが、リタ先生もといい教官殿はやっぱりかと言うような表情を浮かべる。



「お前もやはり見なかったんだな・・・」

「へ?何をですか?」

「昨日の模擬戦で魔力枯渇者が続出して授業ができる状況じゃないから今日は休みになったことをメールで流したんだ」


その先生の言葉を聞き、俺はそっと学校から支給されたタブレット端末を開く。



『模擬戦の影響によりAクラスは今日から休日とする』



と言う文字がデカデカと記載されており、俺は思わず頭を抱えはあああああ?と呻いた。

だって明日から待ちに待ったゴールデンなウィークが始まるのに今日が休みになるとか普通思わないだろう?

絶対に今日学校だと思うのは俺だけではないはずだ!


そんな衝撃を受けていた俺だったが、先ほどの先生の言葉を思い出して首を捻る。


「先生?俺も、って言うことは他にも誰か来たんですね?」


そう先ほど先生はあたかも俺以外の人物が来た様な口調で言ったのだ。


「ああ。その通りだな」


俺の質問に先生は肯定して、そのまま教室のドアを開ける。俺は覗き込む様に教室の中を見てみると、そこには予想外の人物がいた。


紅く長い髪を後ろに束ね、大きな目や薄いピンク色の唇などはまるで少女の様な顔立ちを持つ彼?の名はつい昨日俺が一発で沈めた イルガ・ベンダイン がそこにいたのだ。



「先生ようやく来ましたか!僕はこのまま帰ってもいいんですか・・・、ってな、なんで君がいるんだ神原レイ!」


あっちも俺がここにいるのが相当驚きなのか、目を見開いてアワアワと口をパクパク動かしていた。


お前は餌を求める金魚か・・・!


そんな俺の失礼な考えでも感じ取ったのか、目を細めて俺を睨み始めるイルガ。


「来てしまったのはしょうがない。学園長からは帰ってもいい許可は得ているからあとは勝手に帰れ」


先生は淡々とそう言ってサングラスをかけると何か思い出したかの様に俺の顔を見た。



「ああ忘れるところだった。神原貴様はゴールデンウィーク中に学園長から直々にお呼び出しがかかっているから覚悟しておけ」

「ま、マジか・・・」

「当たり前なんじゃないか?実習棟をあんなボロボロにしたんだからな!」


イルガは何を納得しているのかふむふむと首を縦に動かしさも当然の様な調子でそう言った。


マジか・・・。ゴールデンウィークは色々と忙しいんだけどな?


俺が肩を落としているが、リタ先生は次授業があると早々とその場を立ち去り、取り残された俺とイルガ。


そしてイルガは先程からチラチラとこっちを見過ぎではないと突っ込みたくなるほど、視線を外しては向け外しては向けを繰り返していた。


まあ兎にも角にもだ。


このまま宿舎に帰ってもゲームぐらいしかやることが無い・・・、それならちょっとした気分転換に俺は読書することにしようと考え、学園に備え付いている図書館の方へと向け歩き出す。



「な!ま、待て!一体どこに行くんだ!」



ダダダッ!と慌てた様に俺を追ってイルガが走ってきた。



「いや・・・。俺はただ図書館で暇潰しするだけだ。お前ついて来なくていいんだぞ?」

「いや!信用できないね!悪い事をやらない様にこの僕がお前を見張ってやる!」


俺の前に出てイルガはビシッと音がなるんじゃないかという感じで俺を指差す。


「あっそ。勝手にしろ〜」


と俺はどうでもいい口調でイルガを避けて図書館へ向かう。


「ま、待て!僕を置いてくなああ!」


あいつに逐一構っていたら原稿用紙がいくらあっても足りない。

俺は未だああだこうだ言うイルガを尻目に暖かな光に目を細め図書館へと今度こそ向かったのだった。


ーーー


ここで少しほんの少し話をしよう。


この世で1番の書物といえば何だろうか?


聖書?

古今和歌集?

はたまた平家物語?



確かにそれらも歴史に名を残すほどの書物だが、俺にとっての1番それはやはりライトノベルしかない気がする。


あの独特に引き込まれる文章。

読めばまるでその風景が頭に浮かぶかの様に自然と想像力が高まってしまう。それがライトノベル最大のポイントだろう。



つまり何が言いたいかというと・・・。


この世界にもラノベが存在するとことを言いたいのだ!


ゲームのしかもギャルゲーの世界なのに何故にラノベが存在しているのかは分からないが、前世でも様々なジャンルのラノベを読み漁っていた俺にとって、それはまさに朗報といえただろう。

そしてこの学園の図書館にはラノベ専用のフロアがある程、多彩なジャンルのラノベが置かれているらしく前々から足を運びたいと思っていたのだ。



俺はウキウキしながら木で出来た大きな扉を開き、図書館へと入ると思わず大口を開けて上を見渡した。


その大きさにそして書物の多さ・・・、どれを取ってもただただ圧巻の言葉しか出ない。


「ふぉえーー」


と横から間抜けた声が聞こえたかと思えばそこには未だ後をついて来るイルガが、この図書館の凄さに圧倒されている姿があった。


離れるには今しかないのでは?俺はそう判断するとスッと息を殺して、イルガの元を離れてラノベを探しに行く。



「ど、どこいったあああ!」



まるで断末魔の様な叫び声を聞いたが、それは無視しよう。


ラノベラノベラノベ・・・。



吊るされている掲示板を見ながらラノベコーナーを探していく俺。


「キャッ!」

「うお!」


あまりに夢中になり過ぎたせいか、前から来る人影に気付かずにぶつかってしまった。


「いたあ・・・」

「すいません・・・。俺の不注意でした」


圧倒的に俺のせいなので、倒れた相手を起こそうと片手を差し出すと俺は一瞬ピクリと眉を動かし目の前で少し涙目になってお尻をさする少女を見る。


金髪ショートと赤縁メガネがとてもよく似合う美少女・・・、何だかどこかで見たことがある様な・・・?



あれなんかデジャブった感が凄いんだが・・・。


「ちゃんと前みてください!迷惑ですお・・・?」



俺の顔を見た瞬間、言葉に詰まった眼鏡美少女は急に顔を真っ赤にさせるとあたふたと手を振って何故だか俺から距離を置く様にズザザッと後ろに下がる。



「あ、あなたは神原レイさんじゃないですか・・・!」


はて?やっぱりこの少女とはどこかで会っている様だ。しかしどこで会ったのかはどうしても思い出せない。



「えっと・・・。どこかで会いましたっけ?」



俺がそう聞くと眼鏡少女はガーン!と効果音が鳴りそうなほど、ショックを受けた様に固まり。先ほどまで後ずさっていたのに今度は逆に俺の方へと近づいてきた。


「ほ、ほら!私です!あの時おにぎりとお茶を私にくれたじゃないですか!!」


言葉と共に俺の脳内にその時の場面が、まるでフラッシュバックかの如く唐突に飛び込んだ。


「あああああ!あの時の行き倒れ系眼鏡っ娘か!」

「誰が行き倒れ系眼鏡っ娘ですか!!そんなの聞いたことないですよ!?」



やはりこのツッコミ・・・、間違いないこの少女いやこの眼鏡っ娘はあの時の少女だな。


「いやあまさかこんな所で会うなんて思いもしなかった・・・」

「それはこっちのセリフですよ神原くん。あの時のお礼を言おうと思って探し回ったのに見つからなかったし」


なんと律儀な・・・。


「改めてあの時はありがとうございました!あとごめんなさい・・・!色々変なこと言っちゃって」

「いや今更別に気にしてないからいいよ・・・。それじゃ俺はここで・・・」



別にあんな1ヶ月前のことでグチグチ言うような腐った性格はしていない。

それに今は取り敢えずラノベを読みたいと言う欲求の方が強いので、早くどっか行ってくれとさえ思っている。


「あ、あの!私の名前言ってなかったよね?私はカナエ・ベルベレッタ って言います。一応クラスは2年A組なんだ!これからよろしくお願いします!」



そう言ってカナエと名乗った少女はニコニコと笑顔を見せてきた。



ってかこの人先輩だったんかい・・・!てっきり為かと思っちまった!それにベルベレッタってメチャクチャ聞いたことあるしいい!



そう俺がどこかで見たことがあるのも無理はなかった。

彼女はインヒロの中で主人公 月島ハルト があの魔王を倒す為に必要な魔導具 《聖剣 カリバース》を制作し、後に名を世界に轟かす天才鍛冶師なのだから。



その衝撃的な事実に固まっているとその様子を不思議に思ったのか、?を浮かべカナエはこちらを見る。


「すみませんでしたまさか先輩だとは思いませんでした・・・」

「え!神原くんて1年生だったの?」

「あははは・・・」



俺が苦笑いを浮かべると何か考える様なそぶりを見せるカナエ。そして直ぐに人の悪い笑みを浮かべると俺に一歩近づいて上目遣いにこちらを見上げた。


「放課後一緒に街に行きたいなあ?」

「いや俺このまま帰るんで・・・」

「私♪先輩だよねえ♪」



コイツまさかの上下関係の立場を使う気か?というかなんで俺やねん!


「なんで俺が行かないといけねえんですか?」

「いやだって私が知ってる男の後輩って君だけだし・・・。それにここであったのも何だか運命を感じちゃうよね!」



・・・何を言っとるのかさっぱりわからない。

と言うかハルトよ貴様は何をやってるだ!早い段階でこの人と合わないといけないのに何故にイベントを起こさない!



何だか俺の知っているインヒロのシナリオから大きく逸脱している様な気がするが・・・。俺の気のせいだよな?



俺のそんな悩みを尻目にカナエは、ウンウンと頷く。ちょっと待て何を納得してるんだ!


「黙ってるって言うことはオッケーってことだよね♪私まだ授業があるから放課後門前で集合ね!これ私のサークル(今世界での緑のメッセージアプリだ)のIDと電話番号だからなんかあったら連絡よろしく!じゃあまた後でね!」



まるで嵐の様に、怒涛の言葉ラッシュを食らった俺は握らされた紙をみてくたびれた様に溜息を吐く。


何だか物語がおかしな方向に向かっている・・・、気がする。

しかしだ俺は嫌っと顔を振ってそれを否定した。ここの主人公はあくまでハルトだ。


この1ヶ月を見てもそれは確実だと言えるだろう。表紙に映っていた少女達を殆どハーレム要員にしているし、いじめられている俺とは天と地ほどの差があるのだ問題はないはず。俺はハーレムなんて面倒くさい関係は絶対やだからな・・・。俺は作る側より見る側の方が圧倒的に好きなのだだからハルトに頑張ってもらわなければ困る。



少しの不安を胸に抱え俺はそのあと気になるラノベを数冊借りて、しょうがないから教室で読もうと図書館を後にした。



そのあとイルガに見つかりグチグチと言われた事をここに記載しておこう。



ーーーー



場面変わって、薄暗くなった廊下を歩く。俺は静かにそしていつもの飄々とした表情を消して、怖いほど真剣な表情を浮かべた。


俺がこんな顔をしているのは理由がある。



「おい・・・。1ヶ月間俺のこと見張りやがって・・・。出てこいそこにいるんだろう?」



何もない空間にそう言うと途端に空間が歪み1人の男性が姿を現した。


白髪をオールバックに整え、キリッとした眉や目を持つ彼の顔からは今年60近い初老の男にはとても見えなかった。シミひとつない執事服に身を包みんだそいつは幼い頃から知っている相手。



「元気でお変わりなく・・・。安心しましたよ坊っちゃま。このセバス嬉しさで涙が出るほどです・・・!」


セバスチャン・リー 、通称セバス。彼は俺の実家であるアークフリート家の執事統括長を務め、さらにはうちの親父の専属従者も務めるほど優秀な男だ。


「おいセバス。お前か?俺の変な噂を流したのは?」


このセバスは相当の実力者だ。いやセバスに限らずうちの家の執事、メイドはそこら辺の軍人よりよっぽど高い戦闘力と知識を持っており、彼らが本気を出せば街1つを壊滅させることなど容易い。


そんな中でもセバスは別格で、色んな技術に加え、交渉術や話術なども巧みに使いこなしてしまうほどで確か昔はそれは強い暗殺者だったと聞いた事がある。



「・・・坊っちゃま申し訳ございません。これはアイゼン様のご命令なのです・・・。不快な思いをさせてしまったのは事実ですのでどうかこのセバスチャンに罰をお与えください」


アイゼンとは俺の親父の名前である。

まさか親父が俺のイジメを促したは張本人が実の父とは・・・、まあなんか予想はしていたが改めて聞くとビックリだ。



「そんなのはいい。お前のその心だけで十分だよ。それより父上から何か伝言を預かってるんだろ?」



セバスチャンはコクリと1つ頷くと懐から1つの便箋を取り出して、読み上げる。


「『零よゴールデンウィーク中に一度実家へ帰宅すべし。』とアイゼン様はおっしゃておりました」



まあそんなところか・・・。


あの親父・・・、変なところで、家族団欒の時間とか大切にしていたかんなー。


「わかった。近いうちに行くと伝えておけ。もう下がっていいぞ」

「御意に」


セバスはそう言うと音もなくその場からまるでマジックを見せる様に姿を消してしまった。


「さて一体何の話だろうな・・・」



不安が積もるばかりだが、それはもう未来の自分に任せるしかない。


そう思い俺はまた廊下を進み始めるのだ。


お読みいただきありがとうございます!


次回はキャラ紹介話です。


ここまでお読み頂きありがとうございます!


第3章 メイドと妹とラスボスと も乞うご期待下さい!

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