第13話 模擬戦 ②
大変遅くなりました!
ゲームにハマると怖いですね((((;゜Д゜)))))))
執筆できなくなってしまう!
side ハルト
「ねえねえハルト〜!こわーい!」
「ハルト様は私が守ります!」
「ハルトくん見張りを怠らないでください」
「ハルトお前のこと殴っていい?」
僕は先程から苦笑せざるおえない状況に陥っている。
それもそのはずかもしれない僕の周りから様々な意見が飛び出してくるのだから。
「ハルト〜。こんな子達置いてさっき見かけたホテルでも行こー」
と僕の腕に胸を押し付けてくるのは、この前ガラの悪い不良達から助け出した少女。
少し色黒で頭に狐のような耳を持つギャルっぽい彼女の名前は獣人族の九条 イクナさんだ。
こうやって度々僕を誘惑している彼女だが、最初は男性不信で僕と目すら合わせられなかったほどだったけれど、今は大分緩和された見たいで少しホッとしている僕ではある。しかし事あるごとに僕を襲おうとするので最近自分の貞操の危機だと冷や汗を描く場面が増えてきている気がした。
「この女狐めが!貴様がハルト様の寵愛を受けるなど言語道断!私が叩き斬ってやる!」
フシューッと目を赤くしながらどこから出したのか日本刀を構えるお団子頭の巫女装束を着た彼女は、僕の専属メイドである 糸織 小豆だ。
僕の家は代々六武族とは別に魔物と呼ばれるモンスター討伐を生業にしてきた家系で、災害と呼ばれた魔物達を数多く葬った事からモンスタースレイヤーと、とある業界では有名でそこそこの地位も確立していた。
メイドを雇うぐらいには財力もあったりするうちの家では、護衛という意味合いも込めて家事全般は勿論の事ハッキングや高い戦闘能力を持った専属メイドをつける決まりとなっていて、それが小豆と言うわけだ。
彼女とは5歳の頃から一緒にいたので、メイドというよりはどこか妹に近い感覚があり、辛い時でも必ず彼女は僕のそばにいてくれるとても大切な存在である。
「はっ!そんな薄っぺらい胸じゃあ誘惑なんて到底無理そうね!おチビさんは幼稚園にでも行ったらどう?」
イクナさんはハッ!と嗤うと小豆の体を一瞥してそう言い放った。
普段から小さな自分の体を気にしている小豆、ちょっとその事をからかうだけでもそれが起爆剤となってしまう。
この前確か他クラスの男子生徒が小豆の事をなんで中学生がいるんだ?と言った時は大変だった。なんせ小豆は怒りで1週間昼夜問わず本気で彼の命を奪おうとしたのだから・・・。
僕がハラハラとした様子で小豆を見ると案の定。彼女から何か黒い靄のようなドス黒いオーラが吹き出て顔がまるで鬼のような形相を浮かべていた!
「ははははは。おいクソビッチお前の胸を切り落としあげる。ついでにそのお腹の贅肉も斬り落としてあげようか?」
「はあ??」
「ああん??」
ピキリと場が固まり2人が一触即発ムードが漂う。
僕から知らぬ間に冷や汗が流れ出ていると2人を止める勇者が現れた。
「お二人共今は模擬戦の真っ最中ですよ?緊張感なさすぎじゃないですか?」
凛とした佇まいに眼鏡が似合う彼女。
頭には2本のツノが生えおまけに蜥蜴のような尻尾を持つ彼女は、人間と龍人族のハーフでありAクラスの委員長 武藤 夏希 さんだ。
本当ならば恐らく学年トップで六武族のクロナさん、もしくは僕より1つ上で同じく六武族であり学年2位のヘレナ(本人の強い希望で呼び捨てになった)が学級委員長などに立候補してくるだろうが、1学年の順位上位6名は必然的に生徒会への加入が義務付けられているためそれを断念することになった。
その代わりになったのが学年8位の武藤さん(学年7位の四堂院さんがやりたくなかったため)と言う訳なのだ。
武藤さんは非常に面倒見がよく、分からない教科などがあれば積極的に教えてくれたり、どんな相手でも物怖じしないその性格は僕も見習いたいと思っていたりする。
「イインチョーだってさ〜!この子がいちゃもんつけてきたんだよ!」
「私はただ貴方がハルト様から離れろと申しているだけです!」
「2人の言い分も分かりますけど今はそんなこと関係あるんですか?もしこの模擬戦で最下位にでもなったら分かってますよね?」
鋭い目つきを2人に向ける武藤さん。
それだけで2人はブルブルと背筋を震わせ大人しくハイっ!と敬礼を行なった。
「さすが委員長だなあ」
と僕がいつものように感心しているとその視線に気がついた委員長は少し顔を赤く染めそっぽを向く。
「べ、別にハルト君が困っているから助けたわけじゃないですからね!」
そんな武藤さんの態度に何故だか、少女二人が反応し武藤さんに詰め寄ってきた。
「まさかなっつんもなの・・・」
「委員長さん貴女もまさか・・・!」
「え、えっとそのははは・・・」
となんだか女子たちが何かの議論をしている中、血の涙を流した1人の男子が僕の肩を掴んできた。
「ハルトオオオ!お前わあああ!どれほどの女子を落とせば気がすむんじゃああああ!!」
少し長い耳が特徴的で学園長と同じエルフと人間のハーフであり、最近友人になった彼の名前は学年20位の 久崎・アキト・エルオリオ だ。
本来エルフとは気難しい性格の人が多い。例えば同じクラスでエルフのカナタくんはまさに気品高いエルフの性格をしている。ヘレナもどちらかと言うとプライドが高いタイプであろう。
しかしアキトはどちらかと言えば活発で明るく、脇隔てなく誰にも喋りかけるエルフでも珍しいタイプだった。
彼が言うに幼い頃からこの地球で過ごしていたらしくそれも関係しているらしい。
アキトの言葉に僕はキョトンとした顔を浮かべると首を傾けた。
「アキト一体なんのこと?」
「ふざけんな!お前どんだけモテてんだよ!ヘレナさんや春香ちゃんそれに委員長、あの2人や他の女子まで!ハーレムキングかよ!?」
その言葉に僕は思わず苦笑してしまう。
「ハーレムキング」これは周りの男子たちが最近僕をそういう風に呼び始めているのだ。
僕の周りは女子ばかり集まることから付けられたのだが、当の本人である僕にとっては全く持って嬉しくない。
僕が好きなのはあくまで1人だし、周りの少女たちはただの友達で、僕にそういった感情は持ってないはずだ。
「いやみんなただの友達だよ?」
「このクソ鈍感野郎が!んなわけあるか!やっぱりあれか顔と性格どっちも良くないと女子にはモテないのか!?」
「い、いや僕も知らないよそんなの!それに僕を嫌ってる子とかいるよ?四堂院さんとかクロナさん、秋宮さんは喋っても軽い返事ぐらいしか返してくれないし・・・」
その言葉に鼻の先がくっつく程近づいていたアキトはグイッと離れると考え込むように腕を組んでいた。
「クロナさんは確かに周りに冷たい感じだなあ・・・。でも四堂院さんと秋宮ってあの神原と仲いいよな?」
「そうだね。レイとは2人ともよく喋っているけど・・・」
「そういえば私さあ!あのクロナさんと神原が放課後一緒にいるとこ見ちゃったんだよねえー!」
そう言って僕に飛びついてくるイクナさんをかわし、アキトが驚いた表情を浮かべた。おそらく以外な組み合わせだと思っているのだろう。
「まじかよ・・・!てか神原の噂って本当なのか?いい噂は聞かねえけどよ」
「うん私もそれ聞いたあ!」
「確かにいい噂は聞かないわね・・・」
「そこんとこどうなんだよハルト?お前同中だったんだよな?」
「確かに同じ中学だし、嫌な噂が飛び交ってるけど誓ってもあんな噂のような男じゃないよ!僕とレイは小学校から親友だから間違いない」
僕は力強くそう言う。
レイは絶対に噂のようなことはしない。
困った人を1番に助けるのは決まって彼だったし、僕も数えられないほどレイに助けられた。
『困った時はお互いさまだろ。感謝される覚えはないぞ』
決まってレイはそう言って恩を着せるような真似はせず飄々としていた。
そんな彼が少女の弱みを握るような真似をするとは絶対に思えない。
それに実力の方も彼があのアークフリート家の消えた神童となれば納得が行くだろう。
僕の真剣な表情に周りのみんなは信じてくれたのか「ハルトがそう言うならそうなのかもな」なんて言う言葉を聞くことができた。
そういえば最近レイと喋っていないな・・・。
周りのクラスメイト達がいつも話しかけてきたり、誘ったりするので最近めっきり会話と言う会話もしていない。
ハルカはよくレイと喋ってるみたいだけど・・・。
なんだかモヤモヤした気持ちになりながらも僕は未だ轟音鳴り止まぬ方向へと視線を向けた。
「話はこれぐらいにしてそろそろ僕たちも行こうか・・・」
その言葉にみんな静かに頷くと同じく方向に視線を向けて僕たちは静かに動き出すのだった。
ーーーー
side クロナ
いつからだろうか・・・。
私が彼のことを好きになったのは。
思えば物心ついた時から私は彼に夢中だったと思う。
私たち龍人族は弱肉強食世界だ。強い者が尊敬され、弱い者は蔑まれる。
そんな環境で育ったせいか私は子供の頃から強い人に憧れを抱くようになった。
そんな時に出会ったのが彼 零・アークフリートなのだ。
5歳にして第3階位・・・、しかも異様とも言える全属性の魔法を習得し、数々の逸話を残した彼と出会ったのは5歳の時。
強い者に惹かれる龍人族にとって私が彼に一目惚れするのは必然とも言えただろう。
圧倒的才能を持ちながら慢心せずさらなる可能性、高みへと向かう彼のあの姿・・・。無邪気に笑う彼の顔を思い出すだけで私の体は炎のように燃え上がってしまう。幼い頃から何度も会うたび私は彼の想いを募らせたことだろうか・・・、彼と結婚したらどんにも幸福な時間が過ごせるの?彼との間には何人の子を授かり、そして何度彼と戦えるのと・・・!しかし私のそんな甘い考えも虚しく、どん底に落とす出来事が8歳の時に起こった。
何と彼に同じ六武族の中で許嫁ができてしまったのだ。
それを聞いた私は何度も何度も龍神になぜ私じゃないのか?何であんな六武族最弱の家系の少女が選ばれるのか!と何度も問いただした。しかし答えなど返ってくるはずもなく事件は続く事になってしまう・・・。
彼、零が表舞台から消え去ったあの忌々しい出来事・・・。
私たちを守る為に行った出来事が、馬鹿な規則のせいで罰せられることになろうとは彼は思いもしなかっただろう。
本来なら相手が弱い所を見せたら私は迷わずその相手を自分より下に見てしまう。しかしあの出来事のせいでドン底に落ちた弱い彼を見たとき私は不覚にも支えたいと思った。
私は引き篭もってしまった彼を訪ねて毎日側で見守り、また励まし続ける。
人間不信になり碌に食事もとらず只々ボーッとした日々を過ごしていた彼だったが、10歳になった時何かのきっかけで徐々に人前にも出られるようになっていた。
あの事件がなければ彼とはここまでの関係になれてはいなかっただろうと考える。その点に関して言えば私は感謝しなければならないだろう。
さまざまな考えを巡らせながらも私は目の前で片腕を抑えて、荒い呼吸をするエルフの少女を冷ややかな目を向ける。
「う、嘘よ!何で私とあんたにこれほどの差があるの!?」
そんなこと言い出す六武族のヘレナに呆れた表情を作った私ははあーっと首を横に振った。
この女は今の状況を全然理解していないようだ。
「そんなの決まってるじゃない。六武族と言う地位で満足して、自分を鍛えようともしない貴女とは格が違うんだよ」
その言葉に歯軋りしながら悔しそうに私を睨むヘレナだが、図星を突かれたようで何も言い返せない。
零をあんな目に遭わせた元凶とも言える少女。にも関わらずあたかも自分は関係ないような態度をとり他の男にうつつを抜かした彼女のことを誰が許そうか?
彼女が零の元許嫁など考えるだけでも腹ただしい。
「この程度の実力で六武族だとか聞いて呆れます・・・。実家にでも戻ったらどうですか?」
そう彼女に吐き出すともうやる価値もないと踵を返してその場を後にしようとした。
「ふざけんじゃないわよおお!!」
馬鹿にされギリギリ!と私でも分かるように噛みしめるヘレナ。ピリッとした感覚が頬に生じて私は後ろを振り返ると、ヘレナが放ったと思われる巨大な魔力の塊が私の方に迫っているではないか・・・。
その魔力の塊が凄まじい威力を持っていると判断した私だったが、感情任せに放った魔力などちょっとした衝撃で消えてしまう事をつい最近習ったばかりなのに彼女にはそれさえも忘れてしまったのだろう。つくづくそんな彼女に落胆した私はその塊を片手で握りつぶした。
霧散する魔力がまるで夜空に輝く星のように辺り一面に散らばり、ヘレナは信じられないと驚愕の表情を浮かべて肩を小刻みに震わせた。全力で放ったはずの自分の魔法がことごとく私に潰されたのだ彼女のプライドはもうズタズタだろう。そんな彼女の様子に私は思わず鼻を鳴らす。
「やはり貴女にはそんな弱い姿がお似合いですよ?もう見るのも痛々しいのでサッサと倒させてもらいますね?」
私が彼女に片手を突き出し魔力弾を放とうとすると不意にヒュッと音がして、私はその場から離れるように横に飛ぶ。
すると今まで私の立っていたところにズズン8つの斬撃が地面を抉る。
「な・・・んであなた・・・が!」
とヘレナは驚いたように彼女の目の前に立つ少年と少女を見た。
「月島くん・・・。貴方と私は一応敵同士なのだけれどいいのかしら?」
「うん四堂院さん・・・。僕一人じゃクロナさんには勝てないから。ここは一時的な共同作戦にしよう。それに・・・」
チラッと月島 ハルト君はヘレナの方に目を向けると安心させるためか笑顔を見せた。
「女の子が傷ついた姿なんて見たくないもん・・・!」
「は・・・ると!」
なんだか2人の間に甘い雰囲気が漂ってくるのに思わず眉をひそめるが、ふるふると首を振っ気を取り直し、2人のクラスメイトを見据えた。
どちらも成績上位であり、あのレイが気にかけている人間達。それなりに楽しめる戦いになるだろうか・・・。
どの程度か見てましょうかね・・・。
全く期待はしていないが自然と上がる口角をそのままに、全身に身体強化を巡らせた私は一気に地面を踏み込み、2人へと襲いかかった。
PVがやっと5000・・・!これもみなさんのおかへです!出来るだけ早め投稿したいとは思いますので待ってくれるとありがたいです!
それではまた次回に!




