7話:異世界語の習得
この話から先は『』で囲まれた文は日本語、「」で囲まれた文は異世界語という認識でお願いします。
それから俺達はミナトに言葉を教わった。
五十音表のようなものが載った本で文字の読み方を勉強した。
その後、改めて絵本をミナトに教わりながら読み直し簡単な文が読めるようになった。
それに加えて絵本を音読し、簡単な文は声に出して読めるようになった。
今なら小学1年生位の語彙力はあると思う。
たった1週間でここまで教えてくれたミナトには感謝したい。
このレベルなら女神の言っていた大雑把に達したのでは無いだろうか?
という事になり女神を呼び出すことにした。
ミナトの首からネックレスを外し、あえて覚えたばかりの言葉で呼びかける。
「めがみさまーそこそこおぼえたよー」
宝石が微かに光り、女神の声が聞こえた。
『確かに子供っぽい言葉使いではありますが……覚えられたっぽいですね』
「はやくちゃんとおぼえてくれよ」
『それだと覚えさせてじゃなくて覚えてって意味になってますよ?』
……しょうがないだろ難しいんだ。むしろ1週間でこのレベルは凄いと思うんだが……
女神は楽しそうに笑いながら言った。
『ふふっ お二人共、今の状態の方が語彙力無くて可愛いですよ?』
『調子に乗るなよ?』
『急に日本語に戻らないでくださいよ……』
コホンッと1度咳をしたあと、女神はいつもの調子に戻り、話し始めた。
『では、私の指示に従ってくださいね? まずお二人共宝石に触れてください』
指示通り触れる。
『目を閉じ、そちらの世界の文字を思い浮かべてください』
『最後に、今から言うことを復唱してください』
『女神様だーい好き♡』
『『女神様だーい好き♡』』
ずっと黙ってたミナトに鼻で笑われた。
でも、自然と言葉が思い浮かぶようになったし、図書館内にある文字も完璧に読めるようになった。
「成功したみたいですね! 良かったです!」
1つ気になったことを聞いてみる。
「ところで最後の一文は復唱する必要あったのか?」
「え?全くないですけど」
やべえキレそう。
「てかこんなに簡単に覚えさせられるなら大雑把に覚えなくても出来ただろ」
「いえいえ、覚えてる状態にするのと覚えているものを修正するのでは結構難易度違いますからね?」
そういうものか。
「まぁこれでその宝石の役目は果たされたので使えなくなります」
「じゃあしばらく話せないんですか……」
それはそれで少し寂しい気がする。
「大丈夫です、またいつか話せますよ」
少しの沈黙の後、また話し始めた。
「三人とも、今回は私のミスでここまで大変な思いをさせて申し訳ありませんでした。これで改めて異世界生活のスタートです。三人に祝福があらんことを……」
光が消え、宝石にヒビが入った。
本当に暫くは話せないみたいだ。
やはり少し寂しいが、やっと俺たちの冒険が始まるのだった。