3話:能力決め
今更ですが、この作品は能力の関係上「そうはならんやろ……」と思うタイミングが時々出てくると思います。
その時は「女神が与えた能力だから特殊なことが起こせるんだ」と無理やり思ってください。
細かいとこはあまり考えないよう…どうか、どうかお願い致します。
「すみません…取り乱しました」
寝ぼけた女神の目を何とか醒めさせてやっと能力の話をすることが出来る。
「では決めた能力について教えてください」
「じゃあ僕から。僕は’増やす’能力が欲しいです」
女神は首をかしげて困る。
「増やす……能力ですか?」
「はい!」
セイヤはものを際限なく増やす能力を選んだ。
「うーん……強い……のでしょうか? よくわからない能力ですね……デメリットはどうしましょう」
女神は少し目を閉じ考える。
「……決めました、デメリットは’生き物は増やせない’ということと、’増やしたものを売ってお金を稼げない’、’お金は増やせない’ということにします」
思っていたよりデメリットが軽くて驚いた。
この能力も使い方次第で惑星すら壊せるくらい強いというのに……
セイヤは少し驚いたがそのデメリットを了承した。
「次は俺の番だな」
イオリは待ちくたびれたかのように体をほぐしながら話した。
「俺は’地球に存在するものを呼び出す’能力にしてくれ」
女神は目を見開き驚いたように言う。
「え!? それだけでいいんですか? 他にもう1つ能力追加しましょうか?」
「そんなに言うほど悪くないだろこの能力! まぁでも追加していいなら……そうだな……’あらゆるものを強化する’能力にしてくれ」
話し合いで悩んでいた能力の内、二つも入手できるとは思わなかった。
まさに棚から牡丹餅だ。
「じゃあデメリットは’ポイントを使って呼び出す’と’強化は1日5回まで’にしましょうか」
イオリは少し考えた後に女神を止めた。
「いや、強化は1日3回でいい、そのかわりそのポイントってデメリットを緩めにしてくれないか?」
「あ、そのくらいならいいですよ?」
じゃあそれで、とイオリが言って能力決めは終わった。
女神は急に気合いを入れるかのように大きめな声で2人に話しかける。
「さて、お二人に行ってもらう世界は『エルファリー』という所です! 無事、魔王を倒せたら何か願いを叶えてあげますね」
イオリはため息をついて疲れたように言った。
「やっと異世界かぁ……行くまでが長すぎるぞ……」
「いや、長くなったのはあなた達が長々と話し合ってたからなんですけど……」
セイヤもイオリに続き、
「なんかこの空間自体も疲れるしね」
「あなたまでいいますか!」
もういいです! と頬をふくらました後、顔を整えて微笑みながら2人を異世界に送る。
「では、ご武運を……」
最後の微笑みにはどこか後悔と申し訳ないという気持ちが浮かんでいるような気がした。