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2つの月-RoiとYun-  作者: 夏目 碧央
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結果発表

 今日、2Luna storiesのオーディションの結果が発表されることになっていた。事務所に電話が来るらしい。一方的なメールやFAXだと、お互いの意思疎通ができないので、未だに昔ながらの電話連絡だった。

 Yunは朝から用もないのに事務所にいて、じっと電話を待っていた。Saiは仕事があるのだが、そろそろ来るだろうと思うと何も手に着かず、ちょっと机の上を片付けてはうろうろと歩き回ったりしていた。

 先に、事務所の先輩のSaku、Gen、Soya、Reoの四人がそれぞれの役で合格したという連絡が来ていた。先輩たちも事務所に来ていて、お互いに喜び合った。

「後はYunだけだな。受かったらすごいぞー。主役だからな。」

Sakuがそう言ってYunの肩をポンポンと叩いた。Yunはちょっと笑ってみたものの、何も言葉が見つからなった。また事務所の電話が鳴って、Saiが走って行った。Yunは5度目のドキドキを味わった。さっきから、電話が鳴るたびにドキドキしていたのだが、他のキャストの発表だったので。

 Saiが走って戻ってきた。

「Yun!やったわよ。Kai役に選ばれたわ!」

Yunは立ち上がったが、何かを言う前に、Saku、Gen、Soya、Reoにがっしりとハグされた。

「やったな、Yun!おめでとう。」

先輩たちは次々にそう言って、Yunの頭をくしゃくしゃにした。

「あ、Syu役は誰になったのか、聞いた?」

Yunは急に思い出してSaiに尋ねた。

「聞いたわよー、気になるものねえ。Syu役は、Roiですって!良かったわね、仲よくなったんでしょう?」

しかしYunは、Saiの予想とは違い、

「・・・そう。」

と言って複雑な表情をした。Saiはてってきり、「やったー!」と言って飛び上がって喜ぶものと思っていた。オーディションから帰ってきた時もYunは、

「Roiと親しくなったんだー。Roiってね、すっごくかっこ良くて優しいんだよ!彼と共演出来たらいいなー。」

とはしゃいでいたのだ。

「あれ?嬉しくなかった?」

Saiが聞くと、Yunは再び椅子に腰かけ、

「向こうはどう思ってるのかなーって思って。」

と言った。Yunはオーディションが終わってさよならした時、Roiが他のKai役候補たちの頭を撫でていた光景を思い出していた。

「お互いにそう思ってるんじゃないの?」

Saiはそう言ってにっこり笑った。ああ、微笑ましい、と思いながら。


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