1000年のヒメゴト
ー嗚呼、終わってしまった。
漆黒の瘴気に覆われ、彼方此方から火の手が上がる都を眺めながら、少女は立ち尽くしていた。
ー何故こうなってしまったのだろう。
少女には丘上から眼下の惨劇を眺めることしか出来ない。もうアレは止められない。都の崩壊は止まらない。
ふと、一族の面々が頭を過ぎった。事の真相を知ったら彼らはどう思うだろうか。皆きっと私に絶望するに違い無い。
妹の怒った顔を思い浮かべ、少女は涙を零す。すると誰かが彼女の涙を優しく拭った。
『姫、大丈夫。僕が君を守るから』
気がつくと、横には少年がいた。少年は少女を抱きしめると、もう一度優しく呟いた。
『どこにもいかない、君のそばにいるよ。君を守る為に。』
都を飲み込んだ瘴気が、いよいよ都の周囲にまで広がり始めた。いつの間にか頭に狐のような耳を生やした少年が、少女に優しく微笑んだ。
『もう終わりにしよう。この物語を僕達の手で。次の物語の為に。』
ー私は結局、自分の運命を望んだ結末にすることが出来なかった。だから希望を、たとえ1000年経っても変わらない希望を次の運命に託そう。願わくば、次の物語が決められた運命に抗うことを信じて
少女はゆっくりと進み出す。
始まりの終わりの為に。
どもー、未確認Pです。これからこの物語をよろしくお願いします!意見や感想、ご指摘がございましたら是非コメント欄にお願いします。