221話 悪友との戯れ
「じゅぅー。お゛ま゛え゛え゛…」
目の前でテーブルに臥せって地の底から響くような声を上げるタク。
「ジュウざま゛、ジギざま゛ぁ゛ぁ゛…」
その横でルキィ様も同様にテーブルに臥せって地獄の釜を開いたような声を上げている。仲いいな。
さて、17枚くらいのハムステーキを火から上げて…、子供達が切りこみを入れ、レタスとトマト(擬き)を入れてくれたパンに挟み込む。
「じゅぅ゛う゛うう゛…」
挟み込んだ瞬間、四季がスクランブルエッグを横から入れてくれる。入れてくれている間にマヨネーズベースのタレを取って、四季の作業が終わったのを確認後、たれを搦めて…、はい。完成。
パンが大きいからカレンにレイコ、ルナとミズキは一人一個で足りるでしょ。コウキとガロウは一応、二個渡す。多ければ誰かにあげて。俺と四季は二人で3個。一個ずつ食べて余りは四季と適当に分けよう。
「無視すんなー」
「ですですー」
「いや、してないから」
「ですです。はい、どうぞ」
寝込んでいたと言う事を鑑みて、お腹に優しい素麺(温)。スープと麺をいい感じに盛って、二人に差し出す。足りなければ麺もスープもまだあるから、鍋から勝手に取って。で、後回しにしてごめん、アイリ。残り6個を渡してっと…。
「「いただきます」」
「「「いただきます」」」
俺らの声に子供達が続いた。とりあえず一口。うん、卵と野菜、ハムとパン。それらをソースが上手くまとめていて実に美味しい。もうひとく……恨みがましい目で二人ともこっち見てるな。
…はぁ。
「寝かせたのがそんなに不満か?」
「「うん」」
だよな。知ってる。
「ですが…、」
「うん。わかってる。わかってるんだよ。清水さん」
「ええ。私もタクさんと同様にわかっているのです。わかってはいるのですが…」
言わずにはいられない。そういうことだろう。気持ちは分かる。だからこっちからも「三日寝てて何言ってんの?」なんて既に言ってある事実だとか「俺らも一日休んでたから」という類の気休めを投げたりはしない。言わなくともタクとルキィ様ならわかっているだろうから。
だが、それはそれ。
「食べにゃい…の?」
ルナには二人の鬱屈した感情なんて何も関係ない。真正面からぶつかっていく。
「…食べます。いただきます。ほら、タクさんも」
ルナは俺らみたいに表裏がないからか、素直にルキィ様は食べ始めてくれた。…顔を上げたルキィ様の目が一瞬、「かわいい…!」とでも言うようにパッと輝いたように見えたのは、たぶん気のせい。
「食べないのですか?タク様」
「だぁー!わかりました!食べます!」
ルキィ様のおかげでタクも食べ始めた。やはり俺らが何か言うよりもルキィ様が言ってもらうほうが良かったか。
「とりあえず、俺らが寝てた時の情報寄越せ!」
スルスルと素麺を啜って、胃に叩き込むなりそう言うタク。気が早い。
「了解。だけど、たいしたものはないぞ」
「ですです。魔人領域に残存する人間連合軍をとりあえず一か所にまとめて、説得」
「まとめた軍は放置。西光寺達を探しに出たってくらいだな」
西光寺達がいたのは人間領域とエルフ領域の境界『カスボカラス断崖』付近。即ち、人間領域最南端近郊。襲撃を喰らった可能性が高いとはいえ、西光寺達がいるなら人間領域南部のはず。軍を率いていくには遠すぎる。
…行軍速度も落ちるし、兵も疲れる。連れて行くのはデメリットしかない。
「軍の説得はどうやった?」
「一部は説得(物理)。だけど、概ね声かけだけで済んだぞ」
「あの、それって…」
「「大丈夫です。ルキィ様の心配するようなことはしていません」」
説得(物理)をした後、声掛け…、なんて力を背景にした交渉なんてしてませんとも。
「ちゃんと交渉しましたよ。…光太たちがですけど」
「私達がしました!と言えないのが少しアレですけれど、聞く限り、最初に話を通した時点で、大多数が納得してくれたようですよ?」
特にバシェルの軍は。末端でも王は少しおかしいと思っていたのだろう。他国軍もバシェルの軍が従うのであれば…という感じ。やはり、人間領域の大国で、かつ長きに渡って魔族と戦争をし続けてきたという事実は重かったらしい。
「逆に反発したとこはどこだ?」
「一言で言えば馬鹿のところ」
「望月君や臥門君が全力侵攻したおかげで、損害が全くなかった人間軍ですね」
とはいえ、反発した理由も勇者の力が認められないとかじゃなくて、損害がないからこそ少し美味しい目を見ようとした…ってことらしいけれど。
「チヌリトリカの話はされたのですか?」
「したみたいですね」
「信じてもらえるかどうかは微妙でしたが…、さすがに魔人領域の王、獣人領域の王の名代、そして私達勇者に、ハイエルフ。それらがいて信じないわけにはいかないでしょう?」
「ですね。その陣容であれば反発したものは余程の馬鹿ですね」
偶々損害がなかった。それだけじゃあ内戦協力してもらった見返りなんか出せるわけがない。というか、光太たちが開示した情報は神話決戦の再来を予期させるもの。情報から神話決戦の再来を予想できずに、反発して利益を求めるやつなんて正直要らない。
「習、よかったのか?カレンちゃんがハイエルフだって言って?」
「よくはない。…が、暴露したのは各軍の最高指揮官だけ。緘口令も敷いてあるし、脅してもある。大丈夫でしょ」
「勿論、人の口に戸は立てられません。が、これを理解した上での私達…、カレンちゃんも含めた私達の決断です」
帰還魔法は見つかってる。であれば、無理して隠さなくとも良いだろう。百引さん達のことが終われば地球に帰ればそれで済む話だし。それまでは露骨に勇者アピールしていればかなりの防壁になる。そこまでしてもなお手出ししてくる阿保がいるなら、叩き潰すまで。それで事足りる。
「そうか…。ま、カレンちゃんのこと、つまり二人の娘のことだ。明らかに変じゃなきゃ、お前らがそれでいいって言うならそれでいい」
「明らかに変なら止めてくれるのな」
「そりゃな。親友だからな」
ん。ありがと。
「軍の件は了解いたしました。先ほどのおっしゃり方ですと、他の勇者様は同道されておられるはずですが…?どこにいらっしゃいますか?」
あれ? 説明はした…と思ったけどしてないな。二人とも起きてきて、文句言いたいけど言えない! そんな超複雑そうな顔してたから、椅子に座らせてそのままだわ。
「光太と芯、二つの勇者集団は外にいます」
「今、休憩中なので…、ご飯作っていると思いますよ?」
どっちも自分達で料理出来るし、ご飯まで俺らの世話になる気はなかったんだろう。謙三は混じって来るかと思ったけど…、そんなそぶりもなかった。
「いや、謙三が混じってこなかったのはお前らの邪魔をしたくなかったからだと思うぞ…」
「ですね。私達も普通なら遠慮させていただいたところでしたが…、起きた際の状況的に断るほうが失礼でしたので」
寝込んでいた人にご飯を作らせるほど鬼畜ではない。だから断れないように敢えてその状況になるようにしましたからね。
「ところでここはどこだ?どこかの村の家か?」
「ここはルナのシャイツァーである家の中。ルナのシャイツァーは中にいる人の魔力を使って魔法障壁を展開出来るから、絶対とは言えないけれど、安全だ」
「現在地はファラボ大橋よりかなり南方に行き、さらにファヴェラ大河川から少し西に進んだところです。国で言うと南部最大の人族国家『エルツェル』領になります」
ファラボ大橋は通らなかった。さすがにあそこはバシェルに近すぎる。
「シャイツァー…なのか?ここ?」
「そうだぞ」
「ですよ。魔力さえあれば、私達やルナちゃんならば、家の中の配置はある程度弄れるので、そう言う意味でも便利です」
移動要塞にもなるしね。
「部屋割りはお前らが決めたのか?」
「そうだぞ。光太と芯らは希望を聞いたから希望通り」
光太と天上院さんのペアはベッド二つの一室。芯と蔵和さんのペアはキングサイズベッド一つの一室。順と謙三には一室ずつ。部屋の出口は全員、家の外に繋がる廊下に直接繋げた。
にしても、光太と天上院さん、付き合ってない癖にナチュラルに同じ部屋って言ったんだよな。謎だ。芯は頑張れ。最終的に蔵和さんのゴリ押しに折れたお前が悪い。変なことしようものなら容赦なく蹴りだすつもりだから、なおさら頑張れ。
「お二人は?」
「私達はいつも通りですよ。ルキィ様」
無駄に広い一室にバカでかいベッド一つ。子供達が俺らのそばに来たがるからね。
「俺らの部屋は?」
「俺と四季が適当に」
「決めましたよ?」
一室ずつをタクとルキィ様、二人にあてがった。出口は直接リビングに繋げたけど。直接繋げておかないと様子を見に行くのがちょっと面倒くさいし。
「心配せずともタクの面倒は俺をはじめとした息子たちで、」
「ルキィ様の面倒は私をはじめとする女性陣で見ていましたよ。貞操などはご心配なく」
「「それは心配してない」」
ですよねー。嫁入り前の王族の裸体を男子が見るとか、そんなことしたら処刑か結婚一択になる。タクもタクで恥ずかしいのは確定だろうし。…同性であっても恥ずかしいかもしれないが、そこは我慢して。
「それ建前だよな?本音は?」
「娘にお前の裸見せるわけねぇだろ。馬鹿」
「流石にまだ私達の息子の情操教育は早いです」
「親バカ乙」
うるせぇ。
「敢えておっしゃっておられないようですが、シュウ様もシキ様も、互いに別の異性に気を取られて欲しくない。そのような独占欲がある…と」
何故にそれを言ってしまうのですかね、ルキィ様。そこは黙っていて欲しかった…。あぁ、案の定、子供達が…温かい目でこっち見てるし! ルナだけはサンドイッチ食べてご満悦そうだけど!
俺もサンドイッチ食べて誤魔化そう。パクッ…って一口でなくなった。次の…は、四季はまだ一本目だし、食べ始めちゃっても大丈夫そうだな。
「ところで、タクさんは何で誰が作ったか聞いたんだ?」
「まさか、二人にきりして欲しかった…というわけではないですよね?」
「なっ!?んなわけねぇだろ!?」
ナイス! ガロウ! コウキ! タクに赤面させるなんて、やるね!
「あら?私ではご不満ですか?」
「うぇっ!?そういうわけではないのですが…」
少しだけ上ずった声を出したタクは恥ずかしかったのか、コホンと咳払い。そして、気を取り直したかのように真剣な目になって、ルキィ様の顎にそっと手をやる。
所謂、顎クイ。そのうえで、
「そんなこと言ってしまっていいのですか?俺も男ですよ?」
なんて宣って、ペロッと舌なめずり。
らしくない。全く持ってタクらしくないが…、顔がいいから無駄に様になっているのがムカつく!
「最初に私がルキィ様を見た時から、ルキィ様はタクさんが好きなように見えましたが…。駄目押し掛けましたね」
だよねぇ…。王城で別れてから再開する前から既に、タクは「ルキィ様が好きです」アピールそこそこやってたっぽい。おそらく、ルキィ様には「彼女自身が好き」という姿勢は彼女が王女であるからか、かなりの高評価のようだったよう。俗な言い方になるけれど好感度は稼げてたはず。
そのうえで王都に帰ろうとした時、タクに命を救われてる。ここでも稼いでるはず。これらで既に好感度は臨界ギリギリ。ここでトドメの顎クイ…と。
あいつだってルキィ様が好きだって確証がなければやらないだろうけれど…、スマートすぎていっそ笑うわ
「うぇっ!?え、えっと…、かきってくさだい!あてになってやりすま!」
いっぱいいっぱいなのですね、ルキィ様…。言葉滅茶苦茶ですよ。翻訳出来ますけど…。
「「かかってきてください、相手になってやります!」ですか…。いいのです?」
「タク。止めて上げて。どう見てもオーバーヒートしかかってる」
追い打ちかけるな。ルキィ様が処理落ちする。…止まってくれたか。顎クイを止めて普通に座った。元から冗談だったろうけれど…。ルキィ様の顔が真っ赤。
「やるにしてもここは駄目ですよ。もしやるというなら蹴りだしますよ?情操教育に悪いですし、3日寝ていたばかりですから…」
「ちょ!?やらないぞ!?」
タクの顔が朱に染まり、これ以上ないくらい赤だったルキィ様の顔はますます赤を深める。四季、追い打ちかけてどうすんの…。
「習!?お前はどうなんだよ!?」
「誤魔化し方下手糞かよ!?」
いきなり飛び火させて来るなよ!? 人のこと言えないけどな!
「うっせぇ!お前はどうなんだよ!?やったことはあるのか!?」
「あぁ!?んなもんお前の察してる通りだよ!」
「おまっ…!それで許されると思ってるのか!?」
「あぁ!?ならさっきの質問ぶり返してやろうか!?」
ルキィ様がかわいそうなことになるけどね!
「うっせ!お前!どうせあれだろ!?俺の見て「清水さんにもっとやったほうが良いのかなー」とか考えてただろ!?」
「ちょっ…、今、それ関係ねぇだろ!?」
こいつ、とことん無視して来やがる! 何とか戻さないと…!
「お前の考えてることなんて、だいたい察せんだよ!」
「わかってるが、それ質問の答えに…、あ。待って。四季、どうしたの?」
クイクイ袖を引かれてるんだけど…。
「あの、習君。私の分のサンドイッチをください」
…あ。ごめん。食べきってたのね。それで俺らの口論が飛び火して恥ずかしいけど、誤魔化せるものがない…と。ごめん。気が利かなくて。
「俺はもうお腹はちょうどいい塩梅なんだけど、四季はこれで足りそう?」
「その量であれば…、私も丁度だと思います」
よかった。思った通りだ。じゃあ、
「どうぞ。俺はもういいから、遠慮なく食べて。余りそうなら貰うよ」
「その時はお願いします。では、第二次いただきます」
四季はハムっとサンドイッチにかじりつく。
「すまん、タク。待たせた。それでさっきの続きだが…」
「いや、いいわ…」
? 何故に?
「はぁ、お前マジで言ってんの?普通、包丁とかナイフで切り分けないで、口で噛みついて大きさを調整した食べ物なんて食べないだろ?超仲が良くない限り。だが、今、お前と清水さんは自然にやったんだよ、わかる?」
あぁ…。そういうことか。所謂間接キス…だけじゃなくて、相方が残したご飯を食べられる。その領域に到達してんじゃねぇかって? …確かに。潔癖症の人は勿論、そうでなくてもそのハードルは高いよな…。たまに異様に低い人もいるけど。
…改めて指摘されてしまうと恥ずかしくはある。ていうか、恥ずかしい。
「…?…ねぇ、望月さんと天上院さんや、臥門さんと蔵和さんも、それくらい普通にやりそうだけど…?」
「「「それは別で考えたほうが良い」」」
あの二組はそんな生き物だと思った方が良い。
「あの、話変わりますけれど、麺冷めちゃうので…、話すのも良いですけれど、食べてくださいな」
「だな。食べきるよ。ルキィ様はまだ要りますか?」
「あと少しだけいただきます」
ルキィ様はそうめんをちょっとつまんでお椀の中へ。残ったものをタクがドバっとお椀にぶちまけた。
ルキィ様がお淑やかに麺を啜り、タクが豪快に食べ進める。…起きたばかりなのだからもう少し落ち着いて食べろよ…。
なんて思ってる間に全員食べきったね。
「「「ご馳走様でした」」」
片づけを…っと、光太たちも芯達も戻ってきたか。片づけし終わったくらいに喋れるかな?
「あ。拓也君、起きたんだ」
「ルキィ様もお目覚めになられたようで、何よりです」
「永き眠りに落ちなくてよかった」
「習、二人に説明はしたかい?」
ある程度は。でも、順ちょい待って。片づけを…。
「…片付けはわたし達がする」
「おとーさん達はー、喋っててー!」
子供達が全員こっちを見てくる。…ルナがちょっと心配だけど、ミズキがミズキを増やして何とかしてくれる…か。
「なら、お願い」
「手を切らないようにだけ、お願いしますよ?」
四季の言葉に皆、コクっと頷く。よし、任せて良さそう。なら話だな。
「すみません。話を始めます。今は先ほども四季が申し上げました通り、人間領域南部最大の国家『エルツェル』にいます」
「現在の私達はエルツェルに存在する魔物の領域『アルルアリ森林』を目指しています」
「え?『アルルアリ森林』ですか…?アルルアリはエルツェル国土の1/5を占めるかなり巨大な森ですよ?」
そのようですね。でも、この森が一番怪しいのです。
「ルキィ様のおっしゃる通りです。が、アルルアリ森林は『カスボカラス断崖』に沿って『ファヴェラ大河川』まで続いています」
「ですので、西光寺君達にとって都合が良いのです。既に帰還魔法捜索隊の拠点がカスボカラス断崖付近であると言う事は聞いていますからね」
西光寺達が危機にさらされるとしたら身内からの裏切りか、人間が手のひら返ししたかのどちらか。であれば、人間もいないし、勇者もいないかもしれない別領域を目指すのが自然だろう。であれば、カスボカラス断崖を越えるか、ファヴェラ大河川を渡るしかない。
だけど、カスボカラス断崖はワイバーンとかがいて危険。その上、ただの断崖だから遮蔽物がなくて。見晴らしがいい。
カスボカラス断崖が駄目そうであるなら、遮蔽物の多いアルルアリ森林を抜けて、ファヴェラ大河川を渡る可能性が最も高いだろう。一応、アルルアリ森林の中に道がないこともないし。…ものすごく急ぎたい人がガッチガチに固めて通るような道で、全く整備されてないらしいけど。
「ですので『アルルアリ森林』を目指してます。西光寺達が逃げ出していたとしても、広大な森です。合流出来ない可能性が非常に高いでしょう。ですが、万一、西光寺達が逃げ出しているのならば、出来るだけ早く合流するべきでしょう」
「なのでこの道を行きます。会えなければ私達はそのまま帰還魔法捜索隊の駐屯地まで行きます。何事も無ければそこで合流できるでしょう」
…まぁ、何事もないはずがない気しかしないから、西光寺達と会えるのはアルルアリ森林かカスボカラス断崖だろうけれど。
「なるほど、理屈は理解しました。それでここの詳しい位置はどこなのです?」
「諸々の状況を鑑みまして、西光寺達が来ている可能性のある中で、一番ファヴェラ大河川に近い位置、そこに到達するのに一番、行きやすいところまで来ていますよ」
「え?」
ルキィ様がポカンとした顔で停止。だけどそれも一瞬で、
「え!?まさか…。アルルアリ森林の目前ですか!?」
すぐに正解を導き出す。さすがです。センは高機動力を持っていますから。
さて、情報では西光寺達が拠点を作ったのはエルツェルを縦に10等分したとき、ファヴェラ大河川から7つ目ぐらい。俺らが今いるのは、河川から3つ目くらい。アルルアリ森林が魔物の領域とはいえ、明らかに過剰戦力。だけど、西光寺達の戦力は聞く限り西光寺姉弟だけ。非常に危うい。予想が正しく、本当に入っているのなら…早く合流せねば。