210話 コウキとミズキとシャイツァー
…朝か。いつものように全く動けないし、周りもまだ暗い。二度寝をしたいが…、出来る気がしない。そもそも、昨日の精神状態で寝れたのが奇跡だ。まぁ、奇跡と言っても理由は分かりきっている。ただ、四季が横にいて、俺と同じように懊悩していた…それを見て落ち着いただけ。
水…って、動けないんだった。ほんと、何でこんなに皆、密着してくるんだろ? 親である俺と四季がグイグイ中央に押しやられて、密着。まるで空間がない。親隅とかいう激寒ギャグはいったいどこへ行ってしまったのやら。
この子らがこんな寝方で良いって言うのなら構わないが。ただ…、何でミズキはこんなところにいるんだい? 俺と四季の間の下の方って……。そこはまだ上に比べれば俺らが足を曲げればスペースは作れる。だけどそこ、地獄の様に狭いよ? というか、昨日、ミズキと俺らで延々と議論していたせいか、ミズキは少しばかり離れたところで寝ていたはずなのだが。なぜこうなった。
ミズキの黒髪が橙の灯りに照らされ、艶を放っている。触ればきっと気持ちいいくらいにすべすべなのだろう。ミズキの髪はかなり美しい。だのに、何故この子はその髪を赤く染めてしまうのか。
自傷というか、自分の身を顧みない。そういう点ではコウキも同じか。…薄々そんな気はしていたけれど、コウキもミズキもシャイツァーが滅茶苦茶すぎる。
コウキの『不倒皮 ニッテルクムラウト』はまだいい。十分心臓に悪いけれど、まだマシ。シャイツァーが極悪強度を誇っているは俺も四季も身をもって知っている。主に『ノサインカッシェラ』とか、『シャリミネ』のせいで。
そんな極悪強度を誇るモノが、名前通り顔以外の皮膚になってる…っていうなら安心できる。もはや皮膚というより『鎧』。…レイコなら一瞬でぶち抜けるだろうが、神獣だったレイコと同じ力を持つ人はそうそういないだろうし。
唯一、露出している顔だけは不安だが、魔力さえあれば顔の皮膚は勿論、口に目さらには鼻の穴に至るまで全部同じように出来るみたい。その上、油断していて顔を守っていない時に攻撃を受けても、自動で守ってくれる自動防御機構があるらしいからさらに安心。
ただ、どちらの能力もえぐい量の魔力を消費するみたいだけど。特に後者は一回か二回で魔力が枯渇するらしいし。
弱点はあるけれど、敵に回したら絶対に相対したくないってレベルに防御特化。ガロウやルナも防御に比重を置いているけれど、二人とは違うタイプ。
コウキのシャイツァーは言うなれば、自分ひとりの防御に全パラメータを振ったようなモノ。保険になる能力があるとはいえ、見ていてひやひやするが…「超防御特化のシャイツァーを活かしたい」と言われてしまえば否とは言えない。神授の道具だから何がいけて何がいけないのかはこっちにはわからないけれど、うまく調節してくれるだろう。ヤバそうなら救援に入ってあげればいい。
だけど、ミズキの『増鏡 イネフュミューゲン』は…ねぇ。色々言いたいことはあるけれど、俺も四季もこのもやっとした気持ちは「自殺は駄目」という一言に集約できる。勿論、あの子だって、最初は俺らに隠そうとしてた時点でそれはわかってるのは明らか。
だけど、それはあくまで「俺と四季にダメって言われる」…ってのが理由であって「自殺は駄目」って認識からではない。
「自殺は駄目」って言ったら「大丈夫!死体は残らないから酷いこととかエロイこととかされたりしないわ!」って返してきたことからも、それは明らか。
確かにそれを心配していなかったと言えば嘘になる。でも、そうじゃない。俺らが言いたかったのは「自殺自体が駄目」ってこと。認識の時点で既に齟齬が出来てしまってる。
たぶんあの子にとってあの鏡…というか『魔鏡』を手にした時点で、自殺は忌むべきものでは無くなってしまったんだろう。
いつもの俺らならミズキが出来るって心の底から言ってるならやらせることに躊躇しない。でも、今回ばかりは…ね。
ここまで俺も四季も嫌がった理由はもう分かってる。「増えるミズキも全部本物」。この一点が駄目だ。ミズキが増やせるものが、式神やゴーレム、クローンみたいな意思はあるが、ミズキ自身ではないのなら、たとえどんな扱いをしようと止めはしなかった。ミズキが痛い思いをするわけじゃないし。…それをすることで意味もなく誰かを虐げるようになったりすれば別だが。
だけど…ねぇ。全部本物…って、どうすればいいのさ。全部本物ってことは「魔鏡で増やされたミズキは今、ここで寝ているミズキと一切の違和感を生じさせることなく入れ替わることが出来る」ということ。しかも、SFとかファンタジーとかみたいに世界自体、あるいは俺らに何か干渉する…とったことはしなくていい。ただミズキは入れ替わればいい。
だからこそ、俺にとっても四季にとっても、増えたミズキもここで寝ているミズキも、全部等しくミズキだ。俺も、四季も、外見や内面、ちょっとした癖にいたるまで…ありとあらゆる要素がどのミズキも俺と四季の子のミズキだと訴えてる。その時点で、俺らにとって全てのミズキは一切の区別なく俺らの子としてのミズキだ。この子だけが唯一絶対のミズキで、それ以外はまがい物に過ぎない…なんて発想は出来ない。
だから自殺はやめてほしい。減らすならせめて合体にして欲しいわけだけど…。
結局、押し切られたんだよなぁ…。子供たちは全員──ルナだけは寝ていたけど──見てるだけ。俺らの肩も、ミズキの肩も持つ気なかった。俺らの親としての気持ちも、ミズキの俺らの役に立ちたいという気持ちも、両方わかるから。
…ん? 今になって考えてみると「子供達に頼って押し切ろう」って考えてる時点で既に負けてたか。極言すればどっちも感情論なわけだし。
そもそも「自殺は駄目」って言葉は「命は一個しかない」という絶対的事実に基づいた価値観に立脚してる。だが、その絶対的なモノが崩れてしまえば、虚しいものとなるほかない。
「死ぬほど痛いよ?てか、実際に死ぬよ?」と言ったところで、コウキもミズキも転生者。既に一回死んでる。そのうえで「胸が引き裂かれるような思いをずっと抱いて生きていくくらいなら、一瞬で終わる「死の痛み」なんて何回味わったところで問題ないわ!」…なんて言われちゃうとお手上げ。
たかだか18年しか生きていない俺と四季。確実にそれ以上生き、胸を引き裂かれるような思いを抱いて18年以上生きたって推察されるミズキ。言葉の重みからして違う。
だから諦めるほかないのだが…、こんな面倒な事してくれやがったのはシャイツァーだ。シャイツァーの持ち主は感覚的に出来るか出来ないかわかる。だが、それは裏を返せば『持ち主でなければ本当のことはわからない』と言う事。シャイツァーのことは本人から聞くしかない。流石にミズキも嘘をついて死んだりしたら俺らが発狂することぐらいわかってるだろうから、嘘はつかないだろう。けれど、その信頼以外に確かめる術がない。
一つの脳で30人の感情や、五感情報を処理しながら、俺らの渡した魔法を使い、自前の風魔法を使い、兵士を召還して動かす。自殺を抜きにしても明らかに滅茶苦茶なことをしている。ミズキは「出来る」って言ってるが、考えれば考えるほど、出来る気がしない。よしんば出来たとしても…、しばらくすれば気が狂うのは間違いない。
…だからか? だからミズキのシャイツァーがこんなにも無茶苦茶で強力なのか? 「発狂するかもしれない」リスクと「全てのミズキを倒さないと真の意味でミズキを滅ぼせない」とか「ミズキは全部繋がってるから、ミズキを介して情報のやり取りが出来る」とかの利点とはリスクの方が軽い気がするが…。ミズキの願いが強烈だからか?
ミズキが時たま見せる不退転の意思。それはミズキ自身が「動かないことで後悔する可能性がある」って信じてる時だった。それに、ミズキは俺ら…ひいては両親を失うことを異常に恐れてる。
ミズキは前世で「動こうか動くまいか迷って、結局動かなかったら親が死んだ」とか「言いつけを馬鹿正直に守って動かなかったら、親は勝手に死んでた」とかを体験している? そのトラウマがあるからミズキは極端に見えるほどに「常に俺らのそばにいること」を望んでる?
…こう考えると辻褄は合うか。となると、魔鏡で増えるミズキは常に本物であり続けるというのは、「増えたうちの誰か一人でも俺らのそばにいれば、今度は勝手に死なれることはない」…そんな考えの具現か。
「不要になったアタシの処分を厭って、本願が果たされなければ何も意味はない」。全部想像だが、ミズキの考えそうなことだ
…はぁ。考えれば考えるほどミズキに押し切られる要素が出て来るな。年や経験が負けてるってだけじゃない。ミズキの芯の部分に自殺を正当化してしまう強力な駆動力として「前世の後悔」や「今世での願い」があるんだから。
それに加えて、俺らの言葉だって上辺だけではないつもりだけど…。「本人が望んでいて、ミズキが完全に死滅するわけでもないのだから止めるのは良くないのでは?」そんな葛藤があった。
…勝てるわけがない。ミズキが俺らを慕ってくれるのは嬉しいけれど…、ちょっと慕われすぎてない? 一昔前のアイリ以上なような…。
「…そうでもないけどね」
!? いきなり俺と四季の頭の間に何かが…って声からしてアイリ以外ありえないわな。
「…ふふっ」
何が面白いんだろう?
「…二人が揃って目を丸くしてたところ」
2回目だけど何が面白いんだろう。…この子のことだから俺らが似通った動きをしているのが面白いとか、好きとかそういうことなんだろうけれど。
「…ん。そだよ」
「で、そうでもないってどういう事?」
「あれですか?「わたしの思いが負けるはずがない!」ってことですか?」
「…ううん。違うよ。「わたしの思いの大きさは、方向は変わったけれど、今も昔も変わってない」…そういうことを伝えたかっただけだよ。それはさておき、ミズキが起きたよ」
え…。あ。
めっちゃ目を見開いてる。何でこんなところにいるのか不思議なんだろう。「父さま、母さま、アタシに何かした!?」って言いたそうな顔してるし。…何もしてないよ。ミズキ。ミズキが自然に来たんだよ。
でも…、今はそれを伝えるよりもやることがある。
体を起こしてミズキを手招き。本当は向こうに行ってあげたいところだけれど…、ごめん。あんまり言いたくないけど、子供達が邪魔で動けない。
………ダメか。来てくれない。だよね…。なら、
「「アイリ、頼める?」」
俺と四季がアイリに目で訴えかけると、即座にアイリはミズキにバレないように、でも意図がちゃんと伝わったということをアピールするように頷いた。
ベッドから降りてくるっと回り込むアイリ。ミズキの耳元で会話…というか説得してくれる。
……………それでも来てくれないか。自業自得だな。昨日、ミズキのフォローをしてないんだから。いくらモヤモヤしていたとはいえ…、馬鹿すぎるだろ、俺。
こういう時、皆が起きてさえくれれば移動できるのだが…。
「うえっ!?」
って思った瞬間、ミズキが思いっきりアイリに突き飛ばされて吹っ飛んできた。じれったくなったのかな? よっ……と。こっちにも衝撃が割と来た。かなり強く吹っ飛ばされたからかミズキは目をしばしばさせてる。状況がわかっていないみたい。なら、
「大丈夫。ミズキ。俺らはお前を嫌ったりしないから」
「例えあなたが考えるモノが私達の気持ちと反していたって、自分がやりたいのなら主張してくださって構いません。…というより、主張しなさい」
「俺らだって、お前の気持ちをいつでも悟れる…というわけではないんだから」
逃げられる前に畳みかけてしまえ。あっ、状況判断しやがった。さすがミズキ。でも、今はその判断力は要らない!
あぁ、もう身をよじって逃げようとしないで! 離せば最後、露と消えてしまいそうなほど存在感が揺らいでいるお前を、一人になんてしてやるものか! 四季と二人でギュッと抱きしめる。
「かふっ」
あ。ごめん。強かった。力を弱めると、ミズキは俺と四季の胸の中で恐々こちらの顔色を窺ってくる。そこに非難する色は皆無で、ただひたすらに「俺らに嫌われないか」その一点だけを心配している。
なのに、俺らが何かを言う前に意を決して「ほんとに?」と目で訴えかけてくる。
俺らはコクっと一度だけ頷き、さっきの謝罪も込め、ちょっとだけ抱きしめる力を強めて頭を優しく撫でる。
たったそれだけ。たったそれだけなのに、自分の意思を俺らが受け入れてくれた喜びと、俺らに突き放されないことへの安堵。それらが組み合わさって本当に嬉しそうな顔になる。
…あぁ、そっか。俺らも怖かったんだ。この娘が壊れてしまうのが。
カレンやレイコのように、元から俺らと違うことは受け入れてやれる。し、子供達が望むなら立場を変えてやることだってする。
だけど、子供達が俺らの望まない形に変わる…というのは今までなかった。「死」はいつだってそばにある。だけど、もはや手の届かない領域へ逝ってしまうのなら諦めだってつく。でも、いつでも触れられるのにもうどうしようもない。そんな状況が嫌だったんだ。
…やっとか。やっと俺も四季も覚悟出来た。押し切られたのにうだうだするのはもうこれでお終い。「この娘が何度自殺しようが壊れない」というのなら、それを信じるまで。本当にヤバそうになれば簀巻きにしてでも止めてやる。もし、本当に壊れてしまったのなら…、俺らが生きてる間は幸せでいられるようにしてやる。俺らが死んだら死んだでその後も、何とかできるような状況にはしてあげよう。
何より大事なことはミズキが壊れたことに俺らが責任を感じてはいけないと言う事。ミズキはそれを望まない。最悪の状況になると俺らにとってかなり厳しいが…、やってやる。やってみせる。それがミズキの危うい献身への俺らがあげられる対価だ。
…さて、今更だけど。アイリ。ありがとね。ミズキを動かしてくれて。目で訴えかけると、アイリも心得顔で頷いてくれる。そして、
「…ミズキが逃げられないように、強く押したけど平気?」
目で返してくる。あ。やっぱりそう言う意図があったのね。うん。平気だよ。
「あしょべ!」
うっぐ…。後ろからルナが…。まだ皆寝てるのに…って起きてる。あれ? 今何時?
「…1の鐘がそろそろ鳴るよ」
てことは…、8時ちょっと前? 寝すぎだな。
「ルナ。ごめん。まずはご飯を食べよう」
「遊ぶのはそれからです」
どう考えても遊ぶ時間なんて残ってないだろうが。
______
「姉さま、行くわよー」
「んー!」
ミズキの声でルナが滑り台から滑り始める。
「きゃー!」
「わー!」
…即席の割に、二人とも楽しそうだ。家の中に滑り台。ある家もたまにあるけれど、5階ぐらいまでぶち抜いて作ったのはないだろう。こんな滅茶苦茶でも何とかするのがシャイツァー。ルナと一緒に遊んでくれてるミズキもシャイツァーで増えたやつだ。
「昨日と一の鐘までの報告をしておく」
「妃達が占領してからの脱出者は確認されてない。凶行に出たのもミズキ殿に処分された奴のみだ」
「2つの街壁にある門以外の出入り口は軍に探らせ、尋問したが…、ミズキ殿が抑えたあの一つしかなかった」
「また、大結界はシャイツァーで張られたモノだったのだが…、そのシャイツァーを持っていた将軍も捕虜に道案内させたおかげで、魔力切れで倒れているところを捕縛できた」
…割と素直に占領を受け入れてるな。初っ端から隠し道を全部こっちに教える。街の最高司令官を進んで捕縛させる…と、色んな所から全面降伏の姿勢が感じられる。
「これも皆さまがいたからだ。感謝する」
勇者の権力と、アイリの大結界粉砕。これがこの結果を招いた主要因なのは間違いない。言葉はありがたく受け取っておこう。
「さて、本日よりシャンドゥ目がけて出発する」
「昨日のうちに確認はとったが…、それでよろしいか?」
皆頷く。
「シャンドゥはジャウチから二日かかる。が、朕らは街道沿いの宿場町を占拠しながら一日で駆け抜ける」
「シャンドゥにいると目されるジョルシェンを撃破し、シャンドゥを占拠。ジンデ兄の本拠を陥落させる」
「その後、有能な敵は引き抜きつつ、ジンデ兄を討つ…という予定になった。構わないか?」
勿論。それで構いませんよ。
「では、お願いする。朕らは外で味方の軍の整理を待つ。では」
皇帝陛下夫妻らしく威厳を振りまきながら二人は出ていく。
「わざわざあの二人が来ねぇでもよかったのにな」
「政治的なアレコレがあるからね」
「仕方ないのですよ。ガロウ君」
俺らは勇者で、お客さん。なのに今のところ立てた武功は一番。やっとかないと色々こじれる。
「予定、微妙に変わっていましたね」
「それはジョルシェン将軍がシャンドゥにいることがほぼ確定しているからでしょう。皆さんの見込みではここで彼を討つ予定だったみたいですし」
だからこそ、シャンドゥには誰もいない…と思ってたわけだ。
「…その予定も大結界のせいで崩れたけどね」
…ほんとそうだね。
「ん?何でだ?大結界は姉ちゃんが砕いたじゃん」
「とーまわしにーってことだよー、ガロウー」
「兄さん。「大結界があった」そのこと自体が既に誤算なのさ。大結界を使える将軍がいる時点でジョルシェン将軍はここにいる必要が無くなったからね」
ガロウがレイコともども首を傾げてる。…でも、もうちょっとで気づきそう?
「大結界の特性を考えれば簡単よ」
「あ。あぁ。なるほど。わかったぜ。ミズキ。大結界は籠城しか出来ねぇ。逆に言えば、籠城以外する必要がない。だから、治安維持さえ出来ればいいから、超有能な人は要らねぇ。そう言う事か!」
そういうことだね。
「…余程将軍の数に余裕があるか、ジョルシェンが極度の馬鹿なら別だけどね」
だね。でも、余裕があるか? と言われると人間と戦争してるんだからあるわけがない。馬鹿ってのは…、皇帝陛下夫妻の評価からしてあり得ない。だから、彼は今、確実に最後の拠点、シャンドゥにいる…はず。
「今頃、迎撃の準備を整えてますかね…?」
「かもしれませんね。確実なことは私達にはわかりかねます。ですが、出陣準備を整えているのは確かでしょうね」
大結界が何日展開される予定だったのかはわからないが、街を囲む軍を囲む…そんな予定だったのだろう。大結界を展開してこっちの兵糧切れまで指をくわえて見てるだけ…なんてありえないのだから。
「でも、何であれ、問題ないわ。父さま達をだけじゃなく、姉さまたちもいるもの」
「油断する気はないけれど、僕らの家族、初見殺しするのにぴったりな人ばっかだからね」
だね。初見殺しがどこまで通用するかは、昨日の殲滅戦の情報がどこまであっちに渡るかってところによるが…。生き残りも少ないだろうし、こっちの方が移動も早いだろう。あんまり問題にはならないか。