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白黒神の勇者召喚陣  作者: 三価種
7章 魔人領域再び
228/306

201話 フープモーツァの皇帝夫妻

 こちらへ向かって駆けてくるシールさんとナヒュグ陛下、ジャンリャ皇后の三人。



 フープモーツァの皇帝夫妻がどう動くかわからない。そこが不安だが、馬車を止めるか。馬車で跳ね飛ばしてしまうよりはマシだ。



「止めて。セン」

「ブルルッ!」


 センは俺の声に「わかった!」というように高らかに鳴いて応え、慣性を考慮してくれたのか比較的ゆっくりと減速して、停止した。



 馬車が止まっても3人の様子に変化はなし。一目散に駆けてきている。



 …シールさんは駆けてくるようなキャラではなかったはずなんだけど。どうしたんだろう? イチャイチャを見るのが好きとはいえ、交渉していたならイチャイチャしていそうな二人…、皇帝陛下夫妻が身近にいたはずなのに。



「久しぶり!シュウにシキ!それに二人の息子たち!早速だけど子供達!二人のイチャイチャした話を聞かせt…ぶえっ!」


 ? …シールさんが何かにぶつかった?



「妹ー!げぶがっ!」

「会いたかtt、ゲブッ!」


 更に皇帝夫妻まで何かに阻まれて崩れ落ちた。



 何故…あ。あぁ、ルナのシャイツァーの効果か。家の障壁は家だけでなく、馬車も包み込んでいる。だからそれに弾かれたんだろう。



 シールさんが弾かれたのはルナからすればほぼ知らない人であることと、さっきのシールさんの言葉で、俺らが「嫌」って気持ちを持ってしまったからかな。



 皇帝陛下夫妻は…、俺らは対応に苦慮している最中。そして、なにより、ルナからすれば不審者だから残念でもない。



「ちょっ…、何で弾くの!?この二人は兎も角、僕のことは知っているでしょ!?」

「「知りません」」


 サンコプさんのように蛇でもないのに、ニュルっと起き上がってくるような動作をする人は知らないなぁ…。



「えぇ…」

「まぁ、冗談ですよ」

「えぇ。冗談です。ルナちゃん。この人は私達の知り合いです。会ったことあるでしょう?」


 ルナはこてっと首を横に倒す。そして、ジッとシールさんの顔を見つめる。………無反応だ。でも、警戒心は無くなってるだろうから、シールさんは引きずり込める。



「え。ちょっ。待って」


 問答無用。腕を掴んで引きずり…、



「痛い痛い!」


 嘘!? まだシールさん弾かれてる!?



「ルナ!入れたげて!」

「入れたくないって気持ちは分からなくもないですが、この人はいい人ですよ!?」


 ちっ…。皇帝夫妻にシールさんの腕を掴まれた。



「…引っ張るよ」


 アイリの声。それに従って子供達が俺らに力を貸してくれる。元から拮抗していた天秤が一瞬でこちらに傾く。数の暴力万歳。…よし、引き込めた!



「大丈夫ですか?シールさん」

「ねぇ。待ってって言ったよね?普通に痛かったんだけど?」

「…ルナに弾かれるほうが悪い」


 アイリ!? 確かに思わないでもなかったけど、言っちゃダメでしょ!?



「うっぐ。…確かに。会ってからそんなに遊んだわけじゃなかったもんね」

「遊んでたのはもっぱら父ちゃん、母ちゃんだったもんな」

「ついでに、シュウ達に一瞬でも拒絶されたっぽいしねぇ…」


 そこまでわかってるんですね…。



「だがっ!僕は!この質を改める気はないよ!イチャイチャして!」


 わかってるなら改めればいいのに…。



「よしよし。二人が揃って引いてる。…うん。美味しい!それに、引いてる二人の前にルナちゃんが立ってるのもいいね!守ろうとしてるみたい!健気!」


 ロリコン…?



「なんか不名誉な称号を貰った気がするから言っとくけど、僕は上っ面じゃなくて、関係性の中身が好きなの。特にイチャイチャが好きだけど、こういう懐いているのを見るのも好きなんだよ?実に順調にルナちゃんは君らに懐いているもん」


 ルナが懐いてくれているのは感じていますよ。…貴方の性癖にとやかく言うのは諦めます。きっと疲れるだけだから。



 それより、障壁のすぐそばで項垂れている頭に王冠とティアラを乗っけている人の対処をしないと。



「お二方」

「私達の知り合いの腕を掴んで引っ張ったのはどういう了見ですか?」


 この二人が誰かなんてわかってる。でも、敢えて完全に無視して少し高圧的に出る。



「「ん?」」


 一瞬で揃って頭を上げ、こちらに目を合わせてくる。



「「そんなの決まって(ますわ)!」」

「そこの知人が!」

「妹と近くに行ける状況が羨ましかっただけですわ!」


 全身全霊で叫ぶと、再び二人が突撃。



「「ぐえっ」」


 そして、さっきの焼き増し(壁に激突)



 何故今の返答でこっちに来れると思ったのか。恨みがましい目で見られても困るんですけど。



「ねぇ。何で二人は土を掘りだしてるのよ?」

「掘ればー、しょーへきが無いと思ってるんじゃなーい?」

「ちゃあんと、まもりゅ!」


 エッヘン! と胸を張るルナ。その横で二人は相変わらずジッとこちらを見つめながら穴を掘っている。しかも、威厳のある羽や尾といったものまで動員して。…うん。酷い絵面だ。だからといって、ルナを止めたりはしないけれど。



「悪いけどさ、シュウ、シキ。そこの二人入れて上げてくれない?」

「「嫌です」」


 ほんとに「悪いけど」ですね。そのお願い。



「僕の知り合いなんだけど」

「「でしょうね」」


 皇帝夫妻なんだろうから、外交交渉したはずのシールさんがこの二人を知らないはずがない。



「くっ…。やはりだめか!」

「みたいです!こうなれば…!」


 2 mぐらい土を直下に掘って悟ったのかな? …何をする気だ?



「お願いします!」

「妹と触れ合わせてください!」

「危害は絶対に加えません!」

「何だったら私もナヒュグも何でもしますから!」


 穴からシュッと飛び上がると、間髪入れずに恥も外聞もなく土下座しながらそう言い放った。



「「「うわぁ…」」」


 子供達とシールさんの声が重なる。



 …何でシールさんまで引いてるんですかね。もとから二人にルナを会わせるつもりだったんだけど…、何だろう。会話しているうちに色んなものがみるみるうちに殺がれていってる気がする。



 …はぁ。



「武装解除の上で、」

「すぐにこちらが手を下せる…、その状況を許容していただけるのであれば構いませんよ」


 パッと目を輝かせて二人ともこちらの目を見てくる。



「シールさん。この二人武器か何か携帯していますか?」

「「してません!」」

「「貴方がたには聞いてません」」

「「しょぼーん」」


 口で「しょぼーん」とまで言わずとも落ち込んでいるのはわかりますよ…。



「で、シールさん。どうなんです?」


 四季が詰問するように問うと、頭をポリポリかきながら、



「ないよ。二人が妹に会うのに武器を持つもんか」


 安心できる答えをくれた。なら、いいか。俺も四季もそうみてるし。



「ルナ。家の中に」

「貴方が入ったら、入れてあげてください」


 コクっとルナは頷くと、馬車の中の家に戻る。さて、俺らもルナのところ…って、既に二人ともいない!?



 やられた。行動が早すぎる! 何ですぐに家に入れるはずの俺らより早く移動できるんだ!もうちょっと言葉選びを考えるべきだった。せめて俺らが入ってから障壁制限を緩めるなりするように言うべきだった!



 開きっぱなしのドアから家に…。



「あぁ、会えた!やっと会えた!会えたよ!嬉しい!」

「私達の妹!柔らかい!良い臭い!あぁー!癒されますぅー!」

「「くんかくんか、クンクン。あぁ~~」」


 ルナが二人に抱き付かれてる。確かに危害を加える気は無さそうだが…、ルナがもの凄く困惑してる。泣きそうだ。



 吹っ飛ばして引き離すか。



「とうたま!かあたま!」


 行動する前にルナが二人を強引に引き離して泣きながら来た。耐え切れなくなったのね…。ごめんね。



 よしよし。怖い思いをしただろうけれど、もう怖くない…ん?両手を突き出してどうし…あ。あぁ。抱っこを要求してるのか。



 気付くと同時、四季がサッと抱き上げてくれた。ありがと、四季。ルナは四季に任せて…。



「あぁ~~。この臭いだけで10年は余裕で生きていけるぅ~~」

「甘いですね。貴方。私は死ぬまで生きていけますよ~。というか、今すぐ死んでも構いませんにょ~」


 俺はこの二人の相手をするか。



「うわぁ…。父ちゃん。母ちゃん。あの二人ヤバくねぇ?」

「ヤバいねぇ…」


 でも、相手しなくちゃならない。今まで会った王様たちの中では無かったタイプだ。



「なかなか手強そうだ」

「ですね。話が通じそうにありませんもの…」


 ん? 話は通じるはずだけど…? 何でそんな発想に?



「…お父さんとお母さんが「なんか噛み合ってない」って顔してるよ?」


 ? アイリも不思議そうな顔だ…。なるほど。あの二人がそれほどまでに上手ってことか。うちの子らも悟るのが下手なわけではないんだから。



「『ナヒュグ=ホグウィ=フープモーツァ』皇帝陛下。『ジャンリャ=フィー=フープモーツァ』皇后陛下。その演技いい加減、おやめになられてはいかがです?」

「え?父さん。あれって…。演技なの?」

「えぇ。コウキ。あのお二人の行動は全て演技ですよ」

「嘘でしょ!?あれが演技なの!?」


 ミズキの声が子供達の驚きの声をかき消し、それを皇帝夫妻の二人の拍手がかき消す。そして、皇帝夫妻は拍手を止め、雰囲気をガラリ変えた。



「見事。まさか余らの芝居を見抜くとは」

()らの演技を看破する以上、素晴らしい観察眼をお持ちであることは間違いないようじゃの」


 褒められてる…のか? それよりも。



「先ずは謝罪を。妹よ。不快な思いをさせた。すまなかった」

()も謝罪を。すまなかったの。妹」

「そして、貴殿ら勇者様方にも謝罪を」

「試すような真似をしてすまなかったの」


 …やはりこの人たちは出来る。こちらが何か言う前に完璧な謝罪をしてのけるとは。「謝罪はまずはルナへ。俺らはその後でいい」そんな思いを完全に踏まえられてる。シールさんが俺らの性格を事前に話してる?



「私どもは構いません」

「後はルナちゃんの気持ち次第ですが…」


 俺らの視線がルナに行くと、二人の視線もまたルナへ。



「むぅ。ルナ」


 ? 一体ルナは何が言いたいの?



「ルナは、ルナ。だよ?」


 あぁ。なるほど。



「承知した。妹よ。貴殿はそう名付けて貰ったのだな」

「ルナ…か。由来は分からぬが…響きは良いな」


 皇帝夫妻も悟ったらしい。ルナが「『ルナ』と名前で呼んで欲しがってる」ってことを。



「ん」


 その推察が正しいと証明するように、ルナは満足げに頷くと、四季の胸に顔をうずめてスリスリ。ある程度配慮してくれているんだろうけれど、ほぼ完全に四季と遊びたいモードに入ってる。



 まぁ、いいけどね。俺らは俺らのやることをやるだけ。



「ところで、皇帝陛下。皇后陛下。先ほど試した…とおっしゃられておりましたが」

「私どもはこの子の家族として、この子の親として、合格ですか?」

「「かかっ」」


 なんか変わった笑い声をあげると、そのまましばらくお二人は笑い続ける。そして、それを終えると、



「あぁ。問題ない。及第点は軽く超えた。満点に近い」

「じゃな。もし妹にふさわしくない人間であった場合、記憶も記録も消失させるつもりじゃったが…、()らの臣下に欲しいの」


 そう言って下さった。…満点でないのは気になるが。今は褒められたことを喜んでおくか。



「いや。待って。4人だけでわかってな…あ。ごめん…なさい。何でもないです」

「構わぬ。そなたは勇者様方の子であろう?であるならば、身分など気にすることはない」

「そうじゃぞ。寧ろ「()らと父君、母君との会話に割り込んではならぬ」ことを知っておるだけ、上々じゃろう。つい最近までこう言う事に縁はなかったであろうからの」


 ガロウが微妙な顔してる…。気持ちは分かるけど。



「ガロウ。正直は美徳だけど、」

「言わなくていいですからね」

「えっ…。あ。あぁ。ちょい複雑だけど、黙っとく」


 いい子だ。ガロウはレイコのかつての立場(神獣)上、普通に「割り込み禁止」は知っているだろうけれど…、わざわざ言わなくてもいいだろう。



「というわけでじゃな。君は一体、()らに何を問うのじゃ?」

「え?あ、あの。先ほどまでの御振舞…、あれらは全て演技だったのですか?」

「左様。余らのふるまいはほぼ完全に演技である」

「…ねぇ。さっきの気にしなくていい。ってことを信じてわたしも聞いていい?」


 アイリの割と不遜な態度にガロウ、レイコの獣人組とコウキ、ミズキの転生組が目を向く。だけど、皇帝夫妻は気にした風もなく首を縦に振った。



「…「ほぼ」って何?どこが演技じゃないの?…ルナのことが好きってところが本気なんだよね?」

「あぁ。そうだ。よくわかったな」

「…「わかった」なんて、おこがましくて言えないんだけどね…」


 悔しそうに言うアイリ。この子にしてみれば、あの擬態を俺らより早くか、遅くとも同等ぐらいの時期に見破れなかった時点で悔しいんだろう。



 …俺らの場合、二人と目が合っていたからそれで確信を得られたんだけどね。…この子らにはそれがなかっただろうから難易度は高そう。



 …アイリの目指すところはそこみたい。でも、そこまで行かれると、俺らの立つ瀬がない。「人を(ある程度)見る目がある」なんて言えなくなっちゃう。



「それで勇者様方」


 何で「勇者様」呼び…?あ。



「すみません。いまだに名乗っていませんでした」


 謝罪して、そそくさと年長順に自己紹介。



「シュウ。シキ。貴殿らの子は緊張しておるのか?」

「…のようですね」


 声を聴く限り。アイリとカレン、ルナは緊張してないようだけど。理由はアイリとカレンの組と、ルナで違っていて少し面白い。



 アイリとカレンは二人の偉さをわかっててガン無視してる。ルナは逆にわかってなさすぎる。



 ま、ルナは今のところこれで(わかっていなくて)いいだろう。というか、ルナにとって二人は俺らに泣きついてきたとはいえ「妹」と連呼された上、頬ずりされた…と親愛を示されまくっていた相手。そのうえ、俺らのこれまでの雑な接し方。これで「相手は皇帝だから、自分は身内とはいえ臣下。遜らなきゃ!」とわかってる方が怖い。



 でも、その3人以外は緊張からか、声が硬い…というかガッチガチ。



「前世でこういう機会はあったはずなのに…」

「あたしに至っては前世のあたしに嘲笑われている気がするのだけど…」

「二人とも、前世は前世。今世は今世だよ」

「言わなくても理解しているでしょうが、今できなければ、将来、出来るようになればいいのです」


 四季の言う通りだ。今出来なければ死ぬ。そんなわけでもないのだから。



「「ふふ」」


 あ。



「「申し訳ありません」」

「構わぬ。何よりも子を優先する質なのであろう」

「とやかく言わぬ」


 温かくも冷たいそんな視線を二人から感じたような。



「それよりも、勇者である貴殿らに敬われる方が問題だ。余らが皇帝夫妻だからと言って、勇者様に過分に敬われてしまうのはよろしくない」

「じゃの。臣下が増長せぬとも限らぬしの…。よって、敬語は不要じゃ」


 敬語は不要…ね。



「では、ナヒュグ陛下。ジャンリャ皇后陛下。これから、俺達はこうお呼びしようと思いますが、よろしいですか?」

「未だに貴殿らの方が下であるように感じられるが…。貴殿らがそれでよいのであれば、構わぬ」

()もじゃ。あぁ、勿論、子らも構わぬよ。ただし、すまぬが、公的な場では最低限の礼節はお願いしたいのう」


 …出た。相手に境界設定をゆだねる系のお願い。…非常に困るから決めてくれる方が助かるんだけど。まぁ、今回はさほど問題にならないか。



「了解です。魔人領域以外の3領域での接し方に合わさせます」


 これで文句は言えないはず。少なくともシールさんの前で言っちゃえば「魔人領域は獣人領域よりも格上」って言ってるのとほぼ同義だ。こんなことしておかなくとも、約束を違えるような人たちではないだろうけれど。



「で、だるぇ?」


 ? 「誰?」って…。さっきからずっと俺らが言って…。あ。



「む。余らは名乗っておらんかったな…」

「シュウ殿がご存じじゃったからのぅ…。言い訳にしかならぬが」

「改めて名乗ろう。ルナ。余は『ナヒュグ=ホグウィ=フープモーツァ』。そなたの実兄になる」

()は『ジャンリャ=フィー=フープモーツァ』じゃ。そなたの異母姉になるの」


 ルナが首をかしげて…、



「兄?姉?」


 ナヒュグ様とジャンリャ様を指さす。



「ああ」

()が、異母姉。陛下が兄じゃ」

「違う。ルナの姉たまはアイリ姉たま。カレン姉たま。レイコ姉たま。兄たまはガロウ兄たまだけだにょ?」


 言い直してくれた二人の言葉を即座に否定するルナ。二人はほんの一瞬だけ、目を丸くすると、またカカと笑う。



「そうか。そうか」

「そなたはシュウ殿。シキ殿とともにありたいのじゃな」

「ん!」


 ルナは弾けるような笑顔を見せて力強く首肯した。



「やはりそうか。なら。シュウ殿。シキ殿。ついて来ていただきたい」

「俺は構いません」

「私もです。子供たちも…。皆良さそうです」

「では、行くぞ」


 そう言うとくるっと振り返り歩いて戻っていく。



「あの。待ってください。一体どこへ向かわれるおつもりですか?」


 四季の言葉に鈴が鳴るようにコロコロとジャンリャ様が笑い、言葉を紡ぐ。



「そうじゃったの。説明不足じゃった。()らの宮へ行くのじゃよ」

「そこで、余らの臣下に妹が見つかったことを知らせる。そして…」


 そして…?



「最後の試練を行う」


 …なるほど。ついさっきほぼ(・・)満点とは言ってくれたが、「満点」と言ってくれなかったのはそのせいか。これに合格すれば「満点」。そういうことか。



「その試練とは?」

「簡単な事よ。シュウ殿。シキ殿。()らを二人で超えてみよ」

「余らに、臣下に武を示せ。それも魔法抜きの(・・・・・)純粋な武をな」


 先行していた二人は揃って振り返り、ニヤッと口角を上げながらそう言った。

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