表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白黒神の勇者召喚陣  作者: 三価種
6章 エルフ領域
212/306

188話 続VSリャール

前と同じくカレン始点です。

ルビの振り方も準じてます。

 さー、やってくよー!



 でもー、その前に―。



「おとーさん。おかーさん。何だったら家で待っててくれてもいーよ?」


 家は家でもルナのシャイツァーだけどー。魔力きついでしょー?



「遠慮する」

「ですね。家で待つ方が死にそうです」


 そーいえばそっかー。家の中でバリアにゴリゴリ―!って、魔力吸われるほーが危ないって判断したのねー。



 想像(そーぞー)以上(いじょー)に二人は追い込まれてるー? なら家はいー…かと思ったけど、必要(ひつよー)だねー。



「家。出してー」

「んにゃ」


 ルナに出してもらってー、テェルプを持ち上げてー。まだテェルプは暖かいしー、柔らかいねー。感傷(かんしょー)に浸る気はないけどー。



 さー、テェルプを家にねじこもー。せめて遺体の保護はしないとねー。「不要」って言われる気しかしないけどー。気にしなーい。



「貴方…。一体あたしに何をしたの!?」

「当ててみてー!」


 例えリャールが正解を言ったとしてもー、教える気なんてないけどねー! 敵に教えるなんて馬鹿なことはしないよー!



「姉ちゃん。俺らはどうしたらいい?」

「臨機応変(おーへん)!」

「んな、滅茶苦茶な…!」


 もー。説明(せつめー)出来ないのは分かってるくせにー。



「兎も角ー、任せるー!」


 会話を打ち切るつもりでボクが矢を放つとー、後ろからガロウとレイコのー、諦めたよーな力のない声が聞こえてきたねー。



 さー、さっさと決めるよー! 何故か馬鹿正直(しょーじき)に悩んでるリャール目がけて矢を撃って撃って撃つー!



「ちょっ…。今この状況で撃ってくるの!?」


 そりゃー。撃つよねー? 一体何を言ってるんだかー。



「あぐっ…。矢が…。もう!死にゃしないけど、こんなに痛いのなんて一体いつぶりかしら!」


 やっぱりー、矢だけでは死なないかー。まー、シャイツァーが、『越弓 ユヴァ―ゲ』が感覚的に教えてくれてるからー、薄々わかってたけどさー。



 おとーさんとおかーさん。もしくはレイコの助けがいるねー! 両方(りょーほー)に力を借りてもいーけど!



 それでもー、もっと撃ってみよー。こーやって、意識を逸らしてればー、世界樹が制御権(せーぎょけん)? とでもゆーべきものを、取り戻せるならそれでいーしね!



 ついでにー、『越弓 ユヴァ―ゲ』から感じるのがー、リャールが言う事がー、間違いかどーかも見れるしねー!



 というわけでー、弓に矢を番えて次々撃つよー!



「あう!あう!あ゛―!」


 刺さるたびに痛そーに悲鳴(ひめー)あげてるねー。



「回避下手糞だな…」

「ボクがそーなるよーにしてるからねー!」


 えっへん!



 ターゲッティングにー、矢の軌道(きどー)操作(そーさ)。これらを駆使すればー、逃げ場を無くすことなんて造作(ぞーさ)もないよー!



 まー、大前提(ぜんてー)としてー、矢が効かないとー、意味ないけどー!



「あー!もー!鬱陶しいなぁ!落ちろ!」

「ふっふーん。そー簡単にはいかないよー!」


 適当(てきとー)にツルを振ったりー、枝で突き刺したりー、で当たるなんて思わないでねー!



「だから痛いって言ってんの!」

「それでやめる人なんていないよー!」

「姉ちゃんの言う通りだな」

「ですね。お姉さまの言う通りです」


 何故敵対者…とゆーか、おとーさんとおかーさんたちに危害を加えてきたやつのー、言う事を聞く必要(ひつよー)があるのさー。



「痛いけど、そんなんじゃあたしは死にはしないわよ!?」

「気絶はするかもしれないー」

「鬼畜か!?」


 どの口が言うのさー。



《世界樹―、調子(ちょーし)はどー?》

《普通。樹が発狂していた時よりかはマシ。だけど、ツルやら枝やら葉やらは…、奪還できそうにないなぁ…》


 そっかー。急いで奪還してくれるといーんだけどー。リャールを討った後にー、彼女の制御(せーぎょ)下にあったところ諸共滅びるー! なーんてないとも限らないしねー。



《ちょっ…!?そんな恐ろしいことあるの!?》


 んー? おとーさん達が言ってたよー?



「だよねー?」

「え?あ。うん」

「たぶんそう…ですね」

《ほらねー?》

《いや、今のはどう考えてもわかってないでしょ…》


 そーかなー? 確かにー、心なしかぎこちなかったきはするけどー。



「何聞ーたかわかってるー?」

「え…?」

「おそらく世界樹関連のはずですよね…」


 そーだよー!



 …頷いてみたけどこっち見てなかったー! 一人…、もとい二人ごとだねー!



「世界樹ってことはアレ(ファンタジー)関連のはずだから…」

「その中のお約束的な要因ですよね…。となると、」

『『リャールを始末した後の影響か(ですかね)?』』


 おー。日本語ー。配慮してくれたんだねー!



《何て?》


「リャールを処分した後のー、世界樹への影響」って言ってるよー!



《うっそでしょ。マジかい…。微妙に違うけどほぼあってやがる…》


 自慢のおとーさん達だからねー! えへん!



「あたしを置いてけぼりにして遊んでんじゃないわよ!?」

「遊んでないよー。ちゃんと攻撃(こーげき)してるよー!」

「だから効かないって言ってんでしょうがぁ!?うっぐっ。普通に痛い!でも、それだけよ!?あたしには痛いだけ。久しぶりの痛みだとしても、肉体的な物をこのあたしが耐え切れないわけがないでしょう!?」


 叫ばれても知らないよー。



「だから無駄よ!痛いだけ。ただそれだけよ。あたしの存在が摩耗することもなければ、魔力的な物が減るわけでもないわ」


 突き刺さってるのにー、痛いとも言わずー、そー言ってきたねー。そーやることでこっちの心を折ろーとしてるのかなー?



  やっぱりこの人ー、抜けてるよーに見えてー、油断ならない相手ー。



 こーなってくるとー、ちょくちょく口を滑らせているのもー、演技なのかー、素なのかわかんなくなってくるねー。策士だねー。



「風よ!」


 ふふん、前みたいに風で自分を覆うだけじゃー、全く意味がないよー!



 さくさく突き刺さったねー。痛がるだけで何もないけどー。そろそろ矢が(おー)くてハリネズミになりそーなんだけどー、抜くそぶりは見せないねー。いー傾向(けーこー)



「風の刃よ!」


 小さい刃だねー。さっと回避させてー。突き刺す!



「うぐっ。でも、貴方、今、避けさせたわね?」

「そーだけど?」

「風は無視できても、風の刃は無視できないのね!?」


 聞かれて答えるわけないじゃーん。もう一発撃っとこー。



「沈黙は肯定と取るわよ!?」

「言われても姉ちゃんが答えるわけねぇんだよなぁ…」

「一見、抜けているように見えますが…、しっかりしているのがお姉さまですからね…」


 レイコー!? その評価(ひょーか)は酷いよー!?



《酷くないし当然。寧ろ、褒めてる分温情がある》


 うっさーい。伐採するよー?



《ひっど!》


 家族じゃないのでー。



 まー、実際のところー、当たらずとも(とー)からずなんだけどねー。風は無視できるけどー、風の刃は無理ー。



 無視できるかどーかの境界(きょーかい)は曖昧なんだよねー。



 小さいやつなら無理だけどー、馬鹿みたいに大きなやつならー、無視できるー。これはきっとー『越』の字のせーだねー。おかげって言うべきかもしんないけどー。



 『越えて』いけるものはー無視できるけどー、『越えて』行けない物はー、無視できなーい。たぶんそんな感じー。完全にボクの想像に依存してるねー。



 レイコみたいにー、ありとあらゆるものを無視してー、指定物だけ焼くー! なーんてことは出来ないねー! きっと中身焼こうとしてもー、それ自体を『越えちゃう』ねー。



 だけどー。そっちには出来ないことが出来るよー!



ボクのシャイツァーの能力(のーりょく)が一部看破されたからと言ってー、彼女の討滅(とーめつ)には支障(ししょー)はなーい!はずー!



 何回も撃ってみてわかったけどー、本当に撃ったところで効ーてないねー。だからー、こっちが今までこっそり打った手をー、切らせてもらうよー!これで益々戦局は動くよー!



 銀の矢をリャールの心臓(しんぞー)らへんに撃ってー。これで前々の分も含めて仕込みは終わりー。



 飛んで行った矢はー、おー。回避する気もないとー。「刺さっても痛いだけだから無視」とー。すっごい決断だねー。そーできることでは……、あるねー。おとーさん達も、誰かに危機が迫ってれば普通(ふつー)にやりそー。



《やるの!?》

《やるよー》


 てかー、リャールとの主導権(しゅどーけん)争いに集中(しゅーちゅー)しててー!



「あ。うん。でも、カレンが虐めてくれたおかげで割とやりやすいよ!」


 さっきぶっこわれてた疲労(ひろー)があるだろーによくやるよー。



 さー、見事に悪手を打ってくれたからー。銀の矢が心臓(しんぞー)付近に刺さったねー! 頭と手足の先の5本とー、中央の銀の一本。それらを起点にー、魔法(まほー)使うよー!



「矢よ、我がシャイツァーたるユヴァ―ゲよ、我の想いを汲み、それを為せ。此方は彼方。彼方は此方」

「ちょっ…、嫌な予感がする!?」

「全員、守れ!」

「邪魔させてはいけません!」


 ボクの詠唱をおとーさん達が助けてくれるー。安心して呪文を唱えられるねー。



 矢がボウッと光り出したねー。そしてー、その光はボクが言葉を紡ぐ度にー、強くなるー。



 特に真ん中の銀の矢が光ってるー。そろそろ呪文の結びー。光量もかなり高まってるー! これなら絶対出来るー!



「二つの相異なる次元を繋ぎ、結べ。『界橋矢(ヴェーリッケファーロ)』!」


 おわっ…っとー! 魔力が抜かれて倒れそーになったー。無事に耐えたけどー。



 一瞬危なかったけどー、魔力が抜けたってことはー!



 パリーン!


 やったー! 無事に発動(はつどー)してるー!



「姉ちゃん。今の音は!?」

世界が繋がった(・・・・・・・)音だよー!」


 5箇所に刺した矢が起点になってー、世界と世界を繋ぐー。そして銀の矢がー、



「ちょっ…。嘘ッ!?何でこっちに戻ってきたの!?」


 リャールをこっちに押し戻すための矢ー。



 ふっふーん。まさかそんなこと出来ると思ってなかったのかー、抵抗(てーこー)もなくてー、楽だったねー。



 後、これはおまけー。銀の矢を召喚(しょーかん)!リャールが錯乱していてー、(おー)きな隙を晒してるうちにー!



 さっき起点にした矢が刺さっていた場所ー、そこと全く同じ位置にぐさっと突き刺すー。さー! 詠唱(えいしょー)するよー!



「ユヴァ―ゲよ、我の魔力を糧に、その名を体現せよ」

「えっ…。ちょっ…。矢を抜かないと…!」


 世界樹の制御権(せーぎょけん)をだいぶ失ったのかー、ツルじゃなくて手で抜こーとしてるー。でもー、そんなんじゃー、絶対に抜けないよー! 矢自体が頑丈(がんじょー)なのもあるけどー、それは異次元と繋ぐ矢だよー? 突き刺さった後で他からの干渉を弱める…なんてことくらいはー、出来るよー!



「次元を越え、咎人を境界の隙間に縫い付けよ。『界縫矢(ヴェーディンファーロ)』!」


 銀の矢が黒く変色したねー。これでよしー!



「おとーさん!おかーさん!それに、(いもーと)達!今が好機だよ!全力を叩き込んでー!リャールは動けないー!」

「嘘ッ!?」


 嘘じゃないよーだ。次元の壁を超えてー、別次元のものを引きずりおろせるんだからー、当然(とーぜん)、その別次元との境界(きょーかい)利用(りよー)するぐらいは出来るよー!



 その矢はー、次元の境界(きょーかい)に深く突き刺さる矢―。それをへし折るなりー、突き刺さったところをもぎ取るなりでー、次元の狭間に強固(きょーこ)に突き刺さってる矢をどーにかしない限りー、その場から動くことは出来ないよー!



「まずは俺から!」


 ガロウが叫びながら吶喊ー、爪でリャールの首辺りをねじ切ってー、続いてルナがー、家で若芽を傷つけないよーにしながら薙ぎ払うー。



 二人の近接攻撃(こーげき)が終わると―、ボクの矢が突き刺さってー、レイコが『|蒼凍紅焼拓《ガルミ―ア=アディシュ》』で全身を包み込んでじっくり焼くー。最後にー、魔力がなさすぎるからかー、かなり控えめのー、おとーさんとおかーさんのシャイツァー投擲(とーてき)が当たったねー。



「うぐぅぅぅ。痛い…。痛いよぅ。でも…」


 ありゃ、単純な攻撃では駄目ー?



「むー」


 ルナが不満そー。ルナが家を腰だめに構えてー?



「えい!」


 掛け声とともに思いっきりフルスイングしたー!? 避けよーのないリャールにー、見事に当たったねー。



「なぁ。父ちゃん。母ちゃん。今、家、光ってなかったか?」

「光ってたな」

「きっとあれですね…。貯蓄分(カウンター)を解放しましたね…」


 うわー。たぶん肉体にしか効かないとはいえー、容赦なーい。



《やったぁ!樹の仕事はほぼ終わったよ!》


 お疲れー。今の一撃がリャールにとってはー、制御権(せーぎょけん)的な意味ではー、致命傷(ちめーしょー)になったんだねー。



《ありゃ?素直に褒められた…。罵倒しないの?》


 してほしーならするけどー? 「よくもみすみすツルやら枝やら葉やら…何から何まで―、乗っ取られやがったなー!?」ってー。



《あっ。結構です》


 だろうねー。こっちだってー、一応頑張ってた人にー、悪口を言う趣味はないからねー。後で一発殴るけどー。



《ふぁっ!?》

「ッ゛アア゛ァ゛!?」


 リャールの絶叫(ぜっきょー)。見てらんないねー。



 体に傷痕みたいなのはー、一切無いんだけどー。逆にー、痛々しさが強調(きょーちょー)されるねー。何故かわかんないけどー。



「まだっ…。まだ終われない!あたしの想いが…。この程度で、あるはずがッ、あるものかぁアアア!」


 …なるほどー。痛々しーのは、このせーか。外見は綺麗なのにー、中身がズタボロー。その外と中の乖離がー、見てられないんだー。



 終わらせてあげないとねー。弓を番えてー。



 んにゅ? 肩叩かれたー? しかも、手も包まれてるー。これはおとーさんとおかーさんの感触だけどー。



「どーしたの?」


 ボクの問いにおとーさんもおかーさんも、悲しそーな顔をして、首を横に振るー。



「それでは、足りない」

「攻撃するだけ。ただそれだけでは、あの人は終われませんよ」


 二人は何かを確信してるー? それが何かは分かんないけどー。すぐに説明(せつめー)してくれるはずー。



「リャールがあそこまで耐えられるのは、心がまだ耐えられているからだ。もはや「根性で耐えてる」そう言っても過言ではないけど…」

「外の傷など彼女にとって些末でしょう。故に、心を…、精神の方を何とかしてあげない限り、彼女は終われませんよ」


 心…ねー。それならー、攻撃(こーげき)してれば、いつかはー。



「わかってるでしょ?その「いつか」は来ない」

「しかも「永遠に」です。なので、せめて私達が終わらせてあげませんと」


 やっぱりそーだよねー。でもー、そーなるとさー。



「ボクらに心を何とかする魔法(まほー)はないよー?」

「「知って(ます)」」


 ありゃ? 「どーするのー?」って聞く前に答えられたー。



「おとーさん達も、もー限界だよねー?」


 明らかにいつもみたいな威力の触媒魔法(まほー)を使えるほど魔力なんて残ってないしー。かといって今残ってる魔力で何とかなるレベルじゃないはずだしー。



 ほらー。やっぱり頷いたー。



「「でも(ね)」」


 ありゃ?



「「皆がい(ます)」」

「一人じゃ無理でも、」

「皆でやればできるでしょう」


 あっ。そっかー! おとーさん達の魔法(まほー)は紙に書くー。だからー。言葉がわかってればー、誰でも使えるー。それにー、おとーさん達がいつも二人でやってるみたいにー、一人で紙を使う必要(ひつよー)もないんだったねー!



「魔力、回してもらっても?」


 おかーさんの優しい声。ボクもガロウもレイコもルナもー、すぐさま頭を縦に振った。



「ありがとう。じゃあ、やる」

「ギリギリまで絞るので、決着はお願いしますよ」


 言うだけ言うとー、二人は返答すら聞かずに準備を始めたー。



 おかーさんが紙を出すー。それだけの動作(どーさ)でおかーさんの顔が一気に青に染まったねー。



 そしてー、その紙におとーさんが字を書くー。一字、一画ごとに、おとーさんの顔から吹き出す汗の量が増してー、地面に落ちる。でもー、絶対に紙だけは濡らさない。いつもの戦闘中(せんとーちゅー)に比べて書きやすそーだけどー、いつもよりー、真剣に書いてる気がするー。



 すらすらーと、ペンの動く音とー、リャールの声だけが響くー。



「書けた」


 静寂(せーじゃく)をおとーさんの声が破ってー、ボクに紙を渡す。おとーさんはにこっと微笑むとー、疲れたのか座り込んじゃったー。



 えっとー、字はー。……? これはこっちの言葉…だよねー? 音に起こすとー、『アフェスティグ』だったはずだけどー。



「おとーさん。これでいーの?」

「ああ。合ってる」

「本当にー?」


 だってこれー、日本語だったらー「恩赦」とかー、「特赦」とかのー「特別に罪を許す」って感じの意味だよー?



「それで合っていますよ。それで」

「ああ。というか、これじゃないと、ダメだ」


 二人が力強く言い切るー。それだけでー、言いつのろーとした気持ちがへにゃり折れちゃうねー。



「リャールの体?に貼って使ってあげてね?」

「見せてあげるとなおよしです」


 よくわかんないけどー。わかったー。



「行くよー」


 急いで行こーね。



 世界樹が仕事をしたからー、もーガロウの『護爪』もー、『輸爪』も必要(ひつよー)ない。だからー、カプラの体毛(たいもー)みたいにふっかふかの地面を直接歩いて行けるー。



「警戒はしろよ。姉ちゃん」

「わかってるよー。そこまで馬鹿じゃないよー」


 いくらボロボロでもねー。「窮鼠(きゅーそ)猫を噛む」そんな言葉もあるってー、おとーさん達が言ってたしねー。尤もー、



「うぐぅぅ…」


 手を伸ばせば触れられる距離まで近づいてもー、悶えるので精一杯(せーいっぱい)って様子(よーす)じゃー、ほぼ無意味だったんだけどねー。



  そもそもこの距離のボクらに気づいてるかも怪しーね。



この距離でもー、傷が見えないー。なのにー、病気(びょーき)でもないのにー、痛がってるのはー、憐れみを覚えるねー。



「その目は…、その目を止めろ!あたしを憐れむのは止めろ!」


 おぉぅー。「憐れまれるのは嫌」。そんな精神(せーしん)のが強いのねー。痛がるのを即行(そっこー)でやめたねー。



 かといってー、それ以上(いじょー)、例えば反撃とかをー、する気力はないみたいだけどー。



「止めて…。頼むから止めてよぅ…」


 声に嗚咽が混じり始めたねー。余計(よけー)に哀れなんだけどー。



 この紙で大丈夫(だいじょーぶ)かなー? これも「憐れみ」だと思うんだけどー。



 おとーさん達のほーを向いて再度確にn…うわー! 言う前に頷かれたー!? 首向けただけなのにー。じゃー、いーや。



「リャール」


 …首を上げる元気すらないかー。俯いているところにスルッと挿入(そーにゅー)



 同時(どーじ)(いもーと)達にハンドサインだしてー、怖いしちょっと離れよー。ルナは引きずるよー。



 リャールは急に差し出された紙をうざそうに眺めてー、字を読んでー。



「…そっか。わかってはいたけど…、ダメだったかぁ」


 ポツリ呟くと泣き出す。



「姉ちゃん。どう思う?」

「心折れたねー」


 おとーさん達の紙の字を見ただけだけどー。完全にー。抵抗(てーこー)する元気もないだろーね。



 泣いてるリャール、その足の元に落ちている紙を拾ってー。…今の状況(じょーきょー)で、貼っていーのかな?



 おとーさん達の方を見ると、コクリと力強く頷いてくれたー。



 なら貼ろー。うずくまるリャールに貼ってー、



「手出してー」

「あい!」


 元気でよろしー。ルナ以外はー、いつもおとーさんとおかーさん見てるからー、言わなくても察してくれるんだけどー。



 …いつかはルナともある程度そーなりたいなー。



「魔力出してー」

「あい!」


 ガロウとレイコの二人は頷いて賛意を示してくれてるねー。魔力がじわじわーっと、紙に集まって来たねー。



 あ゛。タイミングがわかんないやー。仕方ないー。



「掛け声で行くよー。上から降ろしてくよー!さーん、にー。いーち!」

「「「「『『『『アフェスティグ』』』』」」」」


 4人の言葉で魔法(まほー)発動(はつどー)。紙がキラッと輝いてー、リャールをあっという間に包みこんじゃったー。



 リャールが光の中で顔を上げた。しかもー、ボクらのほーを見てー、余計に泣きだしたねー。でもー、涙の質が変わってるねー。さっきまでは悔しさとかー、負の面しかなかったけどー、今はどこかスッキリしてるー。



 口が動いて…、あっ。光が強まってー!?



 一瞬、目がくらむような眩い光を放つとー、光諸共ー、リャールが消えちゃったねー。後に残ったのはー、ボクの矢とー、若芽だけー。



「「お疲れ(様です)」」


 おとーさんとおかーさんの声が真後ろから聞こえて来たー。



「じゃ、次行くよ」

「大丈夫でしょうが…。アイリちゃんとセンの様子を見に行きますよ!」


 だねー。アイリおねーちゃんはまだ終わってないかもしれないもんねー。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ