188話 続VSリャール
前と同じくカレン始点です。
ルビの振り方も準じてます。
さー、やってくよー!
でもー、その前に―。
「おとーさん。おかーさん。何だったら家で待っててくれてもいーよ?」
家は家でもルナのシャイツァーだけどー。魔力きついでしょー?
「遠慮する」
「ですね。家で待つ方が死にそうです」
そーいえばそっかー。家の中でバリアにゴリゴリ―!って、魔力吸われるほーが危ないって判断したのねー。
想像以上に二人は追い込まれてるー? なら家はいー…かと思ったけど、必要だねー。
「家。出してー」
「んにゃ」
ルナに出してもらってー、テェルプを持ち上げてー。まだテェルプは暖かいしー、柔らかいねー。感傷に浸る気はないけどー。
さー、テェルプを家にねじこもー。せめて遺体の保護はしないとねー。「不要」って言われる気しかしないけどー。気にしなーい。
「貴方…。一体あたしに何をしたの!?」
「当ててみてー!」
例えリャールが正解を言ったとしてもー、教える気なんてないけどねー! 敵に教えるなんて馬鹿なことはしないよー!
「姉ちゃん。俺らはどうしたらいい?」
「臨機応変!」
「んな、滅茶苦茶な…!」
もー。説明出来ないのは分かってるくせにー。
「兎も角ー、任せるー!」
会話を打ち切るつもりでボクが矢を放つとー、後ろからガロウとレイコのー、諦めたよーな力のない声が聞こえてきたねー。
さー、さっさと決めるよー! 何故か馬鹿正直に悩んでるリャール目がけて矢を撃って撃って撃つー!
「ちょっ…。今この状況で撃ってくるの!?」
そりゃー。撃つよねー? 一体何を言ってるんだかー。
「あぐっ…。矢が…。もう!死にゃしないけど、こんなに痛いのなんて一体いつぶりかしら!」
やっぱりー、矢だけでは死なないかー。まー、シャイツァーが、『越弓 ユヴァ―ゲ』が感覚的に教えてくれてるからー、薄々わかってたけどさー。
おとーさんとおかーさん。もしくはレイコの助けがいるねー! 両方に力を借りてもいーけど!
それでもー、もっと撃ってみよー。こーやって、意識を逸らしてればー、世界樹が制御権? とでもゆーべきものを、取り戻せるならそれでいーしね!
ついでにー、『越弓 ユヴァ―ゲ』から感じるのがー、リャールが言う事がー、間違いかどーかも見れるしねー!
というわけでー、弓に矢を番えて次々撃つよー!
「あう!あう!あ゛―!」
刺さるたびに痛そーに悲鳴あげてるねー。
「回避下手糞だな…」
「ボクがそーなるよーにしてるからねー!」
えっへん!
ターゲッティングにー、矢の軌道の操作。これらを駆使すればー、逃げ場を無くすことなんて造作もないよー!
まー、大前提としてー、矢が効かないとー、意味ないけどー!
「あー!もー!鬱陶しいなぁ!落ちろ!」
「ふっふーん。そー簡単にはいかないよー!」
適当にツルを振ったりー、枝で突き刺したりー、で当たるなんて思わないでねー!
「だから痛いって言ってんの!」
「それでやめる人なんていないよー!」
「姉ちゃんの言う通りだな」
「ですね。お姉さまの言う通りです」
何故敵対者…とゆーか、おとーさんとおかーさんたちに危害を加えてきたやつのー、言う事を聞く必要があるのさー。
「痛いけど、そんなんじゃあたしは死にはしないわよ!?」
「気絶はするかもしれないー」
「鬼畜か!?」
どの口が言うのさー。
《世界樹―、調子はどー?》
《普通。樹が発狂していた時よりかはマシ。だけど、ツルやら枝やら葉やらは…、奪還できそうにないなぁ…》
そっかー。急いで奪還してくれるといーんだけどー。リャールを討った後にー、彼女の制御下にあったところ諸共滅びるー! なーんてないとも限らないしねー。
《ちょっ…!?そんな恐ろしいことあるの!?》
んー? おとーさん達が言ってたよー?
「だよねー?」
「え?あ。うん」
「たぶんそう…ですね」
《ほらねー?》
《いや、今のはどう考えてもわかってないでしょ…》
そーかなー? 確かにー、心なしかぎこちなかったきはするけどー。
「何聞ーたかわかってるー?」
「え…?」
「おそらく世界樹関連のはずですよね…」
そーだよー!
…頷いてみたけどこっち見てなかったー! 一人…、もとい二人ごとだねー!
「世界樹ってことはアレ関連のはずだから…」
「その中のお約束的な要因ですよね…。となると、」
『『リャールを始末した後の影響か(ですかね)?』』
おー。日本語ー。配慮してくれたんだねー!
《何て?》
「リャールを処分した後のー、世界樹への影響」って言ってるよー!
《うっそでしょ。マジかい…。微妙に違うけどほぼあってやがる…》
自慢のおとーさん達だからねー! えへん!
「あたしを置いてけぼりにして遊んでんじゃないわよ!?」
「遊んでないよー。ちゃんと攻撃してるよー!」
「だから効かないって言ってんでしょうがぁ!?うっぐっ。普通に痛い!でも、それだけよ!?あたしには痛いだけ。久しぶりの痛みだとしても、肉体的な物をこのあたしが耐え切れないわけがないでしょう!?」
叫ばれても知らないよー。
「だから無駄よ!痛いだけ。ただそれだけよ。あたしの存在が摩耗することもなければ、魔力的な物が減るわけでもないわ」
突き刺さってるのにー、痛いとも言わずー、そー言ってきたねー。そーやることでこっちの心を折ろーとしてるのかなー?
やっぱりこの人ー、抜けてるよーに見えてー、油断ならない相手ー。
こーなってくるとー、ちょくちょく口を滑らせているのもー、演技なのかー、素なのかわかんなくなってくるねー。策士だねー。
「風よ!」
ふふん、前みたいに風で自分を覆うだけじゃー、全く意味がないよー!
さくさく突き刺さったねー。痛がるだけで何もないけどー。そろそろ矢が多くてハリネズミになりそーなんだけどー、抜くそぶりは見せないねー。いー傾向!
「風の刃よ!」
小さい刃だねー。さっと回避させてー。突き刺す!
「うぐっ。でも、貴方、今、避けさせたわね?」
「そーだけど?」
「風は無視できても、風の刃は無視できないのね!?」
聞かれて答えるわけないじゃーん。もう一発撃っとこー。
「沈黙は肯定と取るわよ!?」
「言われても姉ちゃんが答えるわけねぇんだよなぁ…」
「一見、抜けているように見えますが…、しっかりしているのがお姉さまですからね…」
レイコー!? その評価は酷いよー!?
《酷くないし当然。寧ろ、褒めてる分温情がある》
うっさーい。伐採するよー?
《ひっど!》
家族じゃないのでー。
まー、実際のところー、当たらずとも遠からずなんだけどねー。風は無視できるけどー、風の刃は無理ー。
無視できるかどーかの境界は曖昧なんだよねー。
小さいやつなら無理だけどー、馬鹿みたいに大きなやつならー、無視できるー。これはきっとー『越』の字のせーだねー。おかげって言うべきかもしんないけどー。
『越えて』いけるものはー無視できるけどー、『越えて』行けない物はー、無視できなーい。たぶんそんな感じー。完全にボクの想像に依存してるねー。
レイコみたいにー、ありとあらゆるものを無視してー、指定物だけ焼くー! なーんてことは出来ないねー! きっと中身焼こうとしてもー、それ自体を『越えちゃう』ねー。
だけどー。そっちには出来ないことが出来るよー!
ボクのシャイツァーの能力が一部看破されたからと言ってー、彼女の討滅には支障はなーい!はずー!
何回も撃ってみてわかったけどー、本当に撃ったところで効ーてないねー。だからー、こっちが今までこっそり打った手をー、切らせてもらうよー!これで益々戦局は動くよー!
銀の矢をリャールの心臓らへんに撃ってー。これで前々の分も含めて仕込みは終わりー。
飛んで行った矢はー、おー。回避する気もないとー。「刺さっても痛いだけだから無視」とー。すっごい決断だねー。そーできることでは……、あるねー。おとーさん達も、誰かに危機が迫ってれば普通にやりそー。
《やるの!?》
《やるよー》
てかー、リャールとの主導権争いに集中しててー!
「あ。うん。でも、カレンが虐めてくれたおかげで割とやりやすいよ!」
さっきぶっこわれてた疲労があるだろーによくやるよー。
さー、見事に悪手を打ってくれたからー。銀の矢が心臓付近に刺さったねー! 頭と手足の先の5本とー、中央の銀の一本。それらを起点にー、魔法使うよー!
「矢よ、我がシャイツァーたるユヴァ―ゲよ、我の想いを汲み、それを為せ。此方は彼方。彼方は此方」
「ちょっ…、嫌な予感がする!?」
「全員、守れ!」
「邪魔させてはいけません!」
ボクの詠唱をおとーさん達が助けてくれるー。安心して呪文を唱えられるねー。
矢がボウッと光り出したねー。そしてー、その光はボクが言葉を紡ぐ度にー、強くなるー。
特に真ん中の銀の矢が光ってるー。そろそろ呪文の結びー。光量もかなり高まってるー! これなら絶対出来るー!
「二つの相異なる次元を繋ぎ、結べ。『界橋矢』!」
おわっ…っとー! 魔力が抜かれて倒れそーになったー。無事に耐えたけどー。
一瞬危なかったけどー、魔力が抜けたってことはー!
パリーン!
やったー! 無事に発動してるー!
「姉ちゃん。今の音は!?」
「世界が繋がった音だよー!」
5箇所に刺した矢が起点になってー、世界と世界を繋ぐー。そして銀の矢がー、
「ちょっ…。嘘ッ!?何でこっちに戻ってきたの!?」
リャールをこっちに押し戻すための矢ー。
ふっふーん。まさかそんなこと出来ると思ってなかったのかー、抵抗もなくてー、楽だったねー。
後、これはおまけー。銀の矢を召喚!リャールが錯乱していてー、大きな隙を晒してるうちにー!
さっき起点にした矢が刺さっていた場所ー、そこと全く同じ位置にぐさっと突き刺すー。さー! 詠唱するよー!
「ユヴァ―ゲよ、我の魔力を糧に、その名を体現せよ」
「えっ…。ちょっ…。矢を抜かないと…!」
世界樹の制御権をだいぶ失ったのかー、ツルじゃなくて手で抜こーとしてるー。でもー、そんなんじゃー、絶対に抜けないよー! 矢自体が頑丈なのもあるけどー、それは異次元と繋ぐ矢だよー? 突き刺さった後で他からの干渉を弱める…なんてことくらいはー、出来るよー!
「次元を越え、咎人を境界の隙間に縫い付けよ。『界縫矢』!」
銀の矢が黒く変色したねー。これでよしー!
「おとーさん!おかーさん!それに、妹達!今が好機だよ!全力を叩き込んでー!リャールは動けないー!」
「嘘ッ!?」
嘘じゃないよーだ。次元の壁を超えてー、別次元のものを引きずりおろせるんだからー、当然、その別次元との境界を利用するぐらいは出来るよー!
その矢はー、次元の境界に深く突き刺さる矢―。それをへし折るなりー、突き刺さったところをもぎ取るなりでー、次元の狭間に強固に突き刺さってる矢をどーにかしない限りー、その場から動くことは出来ないよー!
「まずは俺から!」
ガロウが叫びながら吶喊ー、爪でリャールの首辺りをねじ切ってー、続いてルナがー、家で若芽を傷つけないよーにしながら薙ぎ払うー。
二人の近接攻撃が終わると―、ボクの矢が突き刺さってー、レイコが『|蒼凍紅焼拓《ガルミ―ア=アディシュ》』で全身を包み込んでじっくり焼くー。最後にー、魔力がなさすぎるからかー、かなり控えめのー、おとーさんとおかーさんのシャイツァー投擲が当たったねー。
「うぐぅぅぅ。痛い…。痛いよぅ。でも…」
ありゃ、単純な攻撃では駄目ー?
「むー」
ルナが不満そー。ルナが家を腰だめに構えてー?
「えい!」
掛け声とともに思いっきりフルスイングしたー!? 避けよーのないリャールにー、見事に当たったねー。
「なぁ。父ちゃん。母ちゃん。今、家、光ってなかったか?」
「光ってたな」
「きっとあれですね…。貯蓄分を解放しましたね…」
うわー。たぶん肉体にしか効かないとはいえー、容赦なーい。
《やったぁ!樹の仕事はほぼ終わったよ!》
お疲れー。今の一撃がリャールにとってはー、制御権的な意味ではー、致命傷になったんだねー。
《ありゃ?素直に褒められた…。罵倒しないの?》
してほしーならするけどー? 「よくもみすみすツルやら枝やら葉やら…何から何まで―、乗っ取られやがったなー!?」ってー。
《あっ。結構です》
だろうねー。こっちだってー、一応頑張ってた人にー、悪口を言う趣味はないからねー。後で一発殴るけどー。
《ふぁっ!?》
「ッ゛アア゛ァ゛!?」
リャールの絶叫。見てらんないねー。
体に傷痕みたいなのはー、一切無いんだけどー。逆にー、痛々しさが強調されるねー。何故かわかんないけどー。
「まだっ…。まだ終われない!あたしの想いが…。この程度で、あるはずがッ、あるものかぁアアア!」
…なるほどー。痛々しーのは、このせーか。外見は綺麗なのにー、中身がズタボロー。その外と中の乖離がー、見てられないんだー。
終わらせてあげないとねー。弓を番えてー。
んにゅ? 肩叩かれたー? しかも、手も包まれてるー。これはおとーさんとおかーさんの感触だけどー。
「どーしたの?」
ボクの問いにおとーさんもおかーさんも、悲しそーな顔をして、首を横に振るー。
「それでは、足りない」
「攻撃するだけ。ただそれだけでは、あの人は終われませんよ」
二人は何かを確信してるー? それが何かは分かんないけどー。すぐに説明してくれるはずー。
「リャールがあそこまで耐えられるのは、心がまだ耐えられているからだ。もはや「根性で耐えてる」そう言っても過言ではないけど…」
「外の傷など彼女にとって些末でしょう。故に、心を…、精神の方を何とかしてあげない限り、彼女は終われませんよ」
心…ねー。それならー、攻撃してれば、いつかはー。
「わかってるでしょ?その「いつか」は来ない」
「しかも「永遠に」です。なので、せめて私達が終わらせてあげませんと」
やっぱりそーだよねー。でもー、そーなるとさー。
「ボクらに心を何とかする魔法はないよー?」
「「知ってる」」
ありゃ? 「どーするのー?」って聞く前に答えられたー。
「おとーさん達も、もー限界だよねー?」
明らかにいつもみたいな威力の触媒魔法を使えるほど魔力なんて残ってないしー。かといって今残ってる魔力で何とかなるレベルじゃないはずだしー。
ほらー。やっぱり頷いたー。
「「でも(ね)」」
ありゃ?
「「皆がいる」」
「一人じゃ無理でも、」
「皆でやればできるでしょう」
あっ。そっかー! おとーさん達の魔法は紙に書くー。だからー。言葉がわかってればー、誰でも使えるー。それにー、おとーさん達がいつも二人でやってるみたいにー、一人で紙を使う必要もないんだったねー!
「魔力、回してもらっても?」
おかーさんの優しい声。ボクもガロウもレイコもルナもー、すぐさま頭を縦に振った。
「ありがとう。じゃあ、やる」
「ギリギリまで絞るので、決着はお願いしますよ」
言うだけ言うとー、二人は返答すら聞かずに準備を始めたー。
おかーさんが紙を出すー。それだけの動作でおかーさんの顔が一気に青に染まったねー。
そしてー、その紙におとーさんが字を書くー。一字、一画ごとに、おとーさんの顔から吹き出す汗の量が増してー、地面に落ちる。でもー、絶対に紙だけは濡らさない。いつもの戦闘中に比べて書きやすそーだけどー、いつもよりー、真剣に書いてる気がするー。
すらすらーと、ペンの動く音とー、リャールの声だけが響くー。
「書けた」
静寂をおとーさんの声が破ってー、ボクに紙を渡す。おとーさんはにこっと微笑むとー、疲れたのか座り込んじゃったー。
えっとー、字はー。……? これはこっちの言葉…だよねー? 音に起こすとー、『アフェスティグ』だったはずだけどー。
「おとーさん。これでいーの?」
「ああ。合ってる」
「本当にー?」
だってこれー、日本語だったらー「恩赦」とかー、「特赦」とかのー「特別に罪を許す」って感じの意味だよー?
「それで合っていますよ。それで」
「ああ。というか、これじゃないと、ダメだ」
二人が力強く言い切るー。それだけでー、言いつのろーとした気持ちがへにゃり折れちゃうねー。
「リャールの体?に貼って使ってあげてね?」
「見せてあげるとなおよしです」
よくわかんないけどー。わかったー。
「行くよー」
急いで行こーね。
世界樹が仕事をしたからー、もーガロウの『護爪』もー、『輸爪』も必要ない。だからー、カプラの体毛みたいにふっかふかの地面を直接歩いて行けるー。
「警戒はしろよ。姉ちゃん」
「わかってるよー。そこまで馬鹿じゃないよー」
いくらボロボロでもねー。「窮鼠猫を噛む」そんな言葉もあるってー、おとーさん達が言ってたしねー。尤もー、
「うぐぅぅ…」
手を伸ばせば触れられる距離まで近づいてもー、悶えるので精一杯って様子じゃー、ほぼ無意味だったんだけどねー。
そもそもこの距離のボクらに気づいてるかも怪しーね。
この距離でもー、傷が見えないー。なのにー、病気でもないのにー、痛がってるのはー、憐れみを覚えるねー。
「その目は…、その目を止めろ!あたしを憐れむのは止めろ!」
おぉぅー。「憐れまれるのは嫌」。そんな精神のが強いのねー。痛がるのを即行でやめたねー。
かといってー、それ以上、例えば反撃とかをー、する気力はないみたいだけどー。
「止めて…。頼むから止めてよぅ…」
声に嗚咽が混じり始めたねー。余計に哀れなんだけどー。
この紙で大丈夫かなー? これも「憐れみ」だと思うんだけどー。
おとーさん達のほーを向いて再度確にn…うわー! 言う前に頷かれたー!? 首向けただけなのにー。じゃー、いーや。
「リャール」
…首を上げる元気すらないかー。俯いているところにスルッと挿入。
同時に妹達にハンドサインだしてー、怖いしちょっと離れよー。ルナは引きずるよー。
リャールは急に差し出された紙をうざそうに眺めてー、字を読んでー。
「…そっか。わかってはいたけど…、ダメだったかぁ」
ポツリ呟くと泣き出す。
「姉ちゃん。どう思う?」
「心折れたねー」
おとーさん達の紙の字を見ただけだけどー。完全にー。抵抗する元気もないだろーね。
泣いてるリャール、その足の元に落ちている紙を拾ってー。…今の状況で、貼っていーのかな?
おとーさん達の方を見ると、コクリと力強く頷いてくれたー。
なら貼ろー。うずくまるリャールに貼ってー、
「手出してー」
「あい!」
元気でよろしー。ルナ以外はー、いつもおとーさんとおかーさん見てるからー、言わなくても察してくれるんだけどー。
…いつかはルナともある程度そーなりたいなー。
「魔力出してー」
「あい!」
ガロウとレイコの二人は頷いて賛意を示してくれてるねー。魔力がじわじわーっと、紙に集まって来たねー。
あ゛。タイミングがわかんないやー。仕方ないー。
「掛け声で行くよー。上から降ろしてくよー!さーん、にー。いーち!」
「「「「『『『『アフェスティグ』』』』」」」」
4人の言葉で魔法が発動。紙がキラッと輝いてー、リャールをあっという間に包みこんじゃったー。
リャールが光の中で顔を上げた。しかもー、ボクらのほーを見てー、余計に泣きだしたねー。でもー、涙の質が変わってるねー。さっきまでは悔しさとかー、負の面しかなかったけどー、今はどこかスッキリしてるー。
口が動いて…、あっ。光が強まってー!?
一瞬、目がくらむような眩い光を放つとー、光諸共ー、リャールが消えちゃったねー。後に残ったのはー、ボクの矢とー、若芽だけー。
「「お疲れ(様です)」」
おとーさんとおかーさんの声が真後ろから聞こえて来たー。
「じゃ、次行くよ」
「大丈夫でしょうが…。アイリちゃんとセンの様子を見に行きますよ!」
だねー。アイリおねーちゃんはまだ終わってないかもしれないもんねー。