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白黒神の勇者召喚陣  作者: 三価種
5章 魔人領域
196/306

176話 寝顔

 目が覚めた。派手な音も、嫌な臭いもしていない。アイリが上手くやってくれたんだろう。



 周囲の状況は? 目を開けて…、嘘!? 真っ赤!? 何で…、って血!?



「うわっ。酷い…」


 あ。四季。



「おはよう四季。手伝って!」

「了解です。生存確認ですね」


 あぁ、焦りだけが先行して目的語が抜けてた。うまく補ってくれてよかった。



「四季は娘たちを頼む」

「了解です。となると、習君はガロウ君とシールさんとセンですか?」

「そうなる」


 男衆はこっちで引き受ける。どこに傷が残ってるかわからないからな…。センだけ性別分からないけど。気にしたことなかったけどどっちなんだろう。



 …まずは脈の確認。…うん。ガロウもシールさんもセンもちゃんとある。



 そっちはどう? 顔だけあげて問うと、ほっとした顔でほほ笑んでくれた。…よかった。全員息はある。怪我は…、ないかな。シールさんだけ多少傷があるけれど、これはたぶん古傷だな…。触らないでおこう。



 娘たちも大丈夫と。…よかった。ちゃんと『回復』で回復してたのね。…服とかの肉体ではない部分についた傷は治らないから、ああも悲惨に見える状況だったんだな。



 確かめたからホッと一息付ける。流石に家の中で、かつ外でも怪しい気配はないとはいえ焦った。回復魔法を渡していたとはいえ、即死されるとどうにもならないし。



「さ、習君。皆、ベッドに寝かしてあげましょう」

「あぁ、そうだね」


 皆、何故か床で寝てるし…ベッドに移動させてあげるべきだろう。そっちの方が、体が痛くないだろうし。



 起こさないように注意しつつ二人でまず、全員の汚れを落とす。魔法を使えばすぐ終わる。…鼻周りだけは布で拭う。鼻塞いで呼吸困難になるとか、そんなギャグみたいなことはしたくない。可愛そうだし。



 そうしてから子供達をベッドに運ぶ。ベッドに対して縦むきに寝かせて布団をかぶせてあげて…と。さて、次。次はセンか。



 …さすがにベッドには乗せられないね。ごめん。藁で簡易的にベッドを作って、そこに寝かせる。



 シールさんは馬車の中に布団を敷いてその中に突っ込む。…さすがに子供達とは寝かせない。



「安全確認しようか。一応」


 アイリ達がやってくれた後だからおそらく、ここら一帯は安全だろうけれど、このままのんびりしていて大丈夫なのか。それくらいは見ておきたい。



「ですね。ですが、まだちょっとだるいので…、少し出歩くぐらいにしません?」


 確かに。まだ少しだるいし…。



「そうしようか」


 寝方が変だったからか、魔力が完全に回復してない気がする。ひょっとしたら、アイリ達が何かしたのかもしれない。…別に構わないけれど、後で聞いておこう。わざわざ聞かなくても、事の顛末を聞いているときに言ってくれそうだけど。



 体には怪我の痕なんてないんだけど…、服はボロボロだけど。あ。



「ねぇ、四季」

「ええ。ですね。習君」


 子供達の服も大概ヤバいけど、俺らの服も損傷がえぐすぎる。…危ない。危うく変な服装で外に出るところだった。



 適当によさげな服を互いに見繕って、馬車を使って死角を作ってそこで着替える。



「似合ってるね」

「習君もですよ」


 さ、外へ行こう。シャルシャ大渓谷の呪いを何とかできる結界を張りつつ扉の外へ。戦闘前と違って空気が凪いでいるような、そんな気がする。



 崖の色も心なしか、漆黒に近づいていて、そしてあのいつもの色を纏った泥も完全に消え失せた。さらに、いつもの気配も気を研ぎ澄ませてみても感じられない。



 ちゃんと倒せたと思っていいだろう。…「無事に」とは言い難いけど。



 倒した代償なのか、辺り一帯はベコベコ凹み、もとの荒々しくも穏やかな地形ではなくなってしまっている。そのせいか、以前よりも、この場所がもつ物悲しい雰囲気はいや増している。ま、浸食輪廻で再生するだろうし、気にしないでおこう。…再生に何年かかるかわからないけど。



「戻ろうか」

「ですね」


 ほとんどで歩いてないけど、危険は無さそうだから構わないだろう。さっき四季が言ってたように、まだちょっとだるいし…。何より、頑張ったあの子たちを放っておきたくない。



「二度寝する?」

「今から寝るなら三度寝では?」


 確かに。さっきの気絶が二度寝だな。ある意味。だけど、どう考えても東にある日が低すぎることを考えると…。



「二度寝でよくない?」

「…確かに。どう考えてもこれ、わたし達が気絶している最中に一回暮れてますものね」


 起きたのは早朝だった。あの戦いが一時間も経たずに終わったなんて思えない。だからたぶん一日は経っている。



「私、しんどいですけれど、眠いわけではないんですよね…」

「だねぇ…。ある意味で寝すぎているから目は覚めてるしね…。朝ご飯でも食べる?」

「いい考えではありますけれど、この子達、起きませんかね?」


 この前、ルナは起きなかったけれど…、アイリとかは起きそうだ。



「提案したけど、やめとこっか。そこまでお腹空いてないし」

「朝も早いですからね。なら、二人で皆を眺めてましょうか」

「そうしよっか」


 起きているこの子たちを眺めることは数あれど、寝てるこの子らをジッと見るなんてそうそうない。たまにはいいだろう。



 ベッドの上の方、枕よりもまだ上の、マットの部分に二人座る。…この位置ならば、頭付近の装飾を越えてしまえばすぐに来れる位置で、マットをあまり凹ませないですむ。かつ、皆の顔を近くで見れる良い位置。…ついでにちょっとだけ行儀が悪いけれど、装飾を背もたれにもできて楽。



「ありゃ、アイリちゃんがこっち来てますね」


 声を潜めて四季が言う。



「だね。途中で止まるかな?」


 一回だけコロッと転がって向きを変えるだけじゃなく、こっち目がけコロコロと。縦むきに寝かせたのに、横向きになって割と勢いよく。


 

そのまま止まることなくこっちらまで来て俺の腰にギューッと抱き付いてくる。



「座って間もないのですけど、来ましたね」

「だね。来たね。…甘えたかったのかな?」

「おそらくそうでしょう。…何かあったんですかね?」

「かも?」


 この子、根は「甘えたがり」だ。なのに、普段はなるべく押し隠そうとしてる。そんな子がこれだから…、たぶん何かあったんだろう。



 きっと、さっきの戦闘中に「死にそうな目に会って、もう会えないかも」って思ったとか、「上手く皆への指示出せなくて無力感を抱いた」とかあったのかもしれない。



 もし前者だったら、マカドギョニロにムカつく…、あれ? というか、この子らの服、傷だらけだったな…。よくもあいつ、この子らをボコってくれやがったな…。既に倒されてるから何もできないけれど。



 …とりあえず落ち着こう。怒気で皆を起こしてしまうと笑えない。



 …理由が何であれ、一緒に遊べばある程度は回復するかな? でも、それだと気を逸らすだけだし…。後者みたいな、指示が上手くいかなかったとかなら、練習させてあげたほうが良いのか?



 たぶんこの子のことだし、落ち込んでるなら、俺らと比較して落ち込んでるような気がする。よく考えなくても、指示とかに関して何か言えるようなことなんて何もないんだけど。



 ぶっちゃけ俺らもその場の流れでどうにかしてるだけだし。シュガーのときとかあれ、下手したら死んでるし。しかも今回普通にやらかしてる。



 とはいえ「気にしなくていい」なんて言葉はアイリが沈んでる時の慰めなんかにならないんだろう。



 この子…、アイリがアイリであって、俺らの最初の子供…『長女』であると自負がある以上は絶対に。



 そこまで自分を追い込む必要はないんだけど。そう思うと、自然と手が伸びてアイリのサラサラした艶のある綺麗な黒髪を持つ頭を撫でてしまう。こつんと四季の指と俺の指がぶつかりそうになったけれど、阿吽の呼吸で回避してなでなで。



 今、この子が起きたらこの状況に恥ずかしがりそうだけど、起きそうにもないし、良いだろう。



「それにしても…、皆、色んな寝相で寝てますね」

「だね」


 アイリは俺らの横で、俺に抱き付いている。その理由はきっと先の推測で合っている。



 アイリ以外の子らで一番目を惹かれるのはカレン。何というか…、寝相が自由。ちゃんと寝かせたはずなのに上下反対だし、ベッドの端っこに行ってるし…、しかも落ち着きがなくてせわしなく動いてる。



 ベッドから落ちないでね…。また動き出した…、落ちそうになくなったからいいか。



 ゴロゴロ楽しそうに転がりながら俺らの方に、俺らの周りをぐるり一周すると今度は足元の方へ、普段はもうちょっと落ち着いてるはずだけど。本当に自由だね…。



 ただ、道のりに俺も四季も、アイリもガロウもレイコもルナも、皆いるのに、一切蹴り飛ばさず、触れることなくカレンは転がっていった。…これはカレンの俺らへの「好き」って気持ちの表れなのかな?



 あ。戻ってきた。コロコロ転がってきて…、道のりにいたルナに邪魔された。迂回ルートもない。そのままジッとし…ないのね。こっちくるのね。



 カレンがちょっとルナをぐいぐいとこちらへ来るように、寝ているのか疑わしくなるほど気を遣いながら促すと、ルナとカレンが一緒にゴロゴロ。丁度そのままの位置であれば邪魔になる位置にいるアイリも、気配を察したのかもぞもぞと俺の方から四季の方へ。



 カレンとルナが空いたスペースに仲良く滑り込んできた。本当に寝て…るね。カレンが自由すぎる…。ひょっとしたら寝ながら安全確認をしていてくれたのかもしれない。



 …心配という面でいうならルナもかな? さっきまでレイコたちのところにいたし。



 カレンに抱き付いてたけどアイリに抱き付きだした。…俺や四季の方にこれば、きっと心配だったって考えが合ってるってことのはず。



 …む、カレンが手の下に来て頭を押し付けてきてる。これは撫でろということか?



 言われなくとも丁度いいところに頭を置いてくれてるから撫でた。けど、せがまれるなら、遠慮はいらないね。起こさないように加減しながらわしゃわしゃ。この子の緑の髪も、アイリに負けず劣らず指通りが良い。ずっとやってるはずの四季にはさすがに負けるけど…、四季が色々やってくれてた結果だろう。ありがとうね。四季。



 ん? 足が重くなった。…やっぱりこっちに来たね。ルナ。



 角が当たってちょっと痛い。だけど、その辺りの配慮がないのは仕方ない。ずっと一人だったんだし…。



 ゴツゴツした角がちょくちょく脇腹に突き刺さって、微かな痛みを生じさせてくる。気にせずルナを撫でていると、満足したのか今度は四季へ。四季も俺のように抱き付いてくるルナを温かく微笑みながら、角がちょっと突き刺さりながらも、顔に出さずに撫でてる。



 …あぁ、綺麗だ。そんな言葉しか出てこない。



 普段から四季は綺麗で可愛いのに、優しく微笑んで慈しむさまは聖母のよう。絵に描いて額に入れて残しておきたくなるほどに素晴らしい。



 …まぁ、どんな名画家であろうとも、今、四季が持ってる魅力とかを再現しきるのは不可能だろうけれど。



「…習君、どうしました?」

「え?ああ、見とれてた」


 俺の返答に四季は一瞬で顔を朱に染めた。それにもかかわらず、彼女の手はルナの頭の上を優しく移動している。やっぱり四季は素敵な人だ。



「え…、あぅ…。うぅ…。あ。しゅ、習君。ガロウ君とレイコちゃんはどこですか?」


 話題逸らしたいって、切実なまでの気持ちが伝わって来るね…。のってあげよう。



「二人ならベッドの真ん中。布団に仲良くくるまってるよ」

「いつも通りですか」

「うん。いつも通りね」


 ガロウとレイコはベッドの真ん中で二人仲良く布団にくるまって寝ている。ガロウが一定の距離取ろうとしているからか少し隙間があるけれど。



「そういえば習君。レイコちゃんはガロウ君の方を向いて寝てるのに、ガロウ君はいつもレイコちゃんの方を見ていませんね?」

「ん?え?あぁ。そうだね」


 まさかこっちに来るとは。…我ながら返し方が雑。



「ガロウ君はレイコちゃんの事が大好きのはずですけど、何故でしょうか?」


 ちょっとまくしたてるように、まだ完全に紅が引いていない頬を動かし言った。一瞬、俺への非難かと思ったけど…、ただ単に、話題を完全に変えて戻らないようにしたいのね。



「…習君?」


 ちょっと不満げな顔を見せる四季。そぞろになってしまってたか。



「ちょっと待って。えーと、たぶん、恥ずかしいんじゃない?」


 取り繕うために考えた感を出しておく。…考える必要なんてないどころか、「たぶん」ってつける必要性すらなく、恥ずかしいだけのはず。



 ガロウと俺はこういうところは似ているからなぁ…。相手が好いてくれてるのに、いまいちちゃんと応えられていない。そんなところが。



 自覚はあるけど、キツイ。無責任にコウノトリを呼ぶよりかはマシだと思って正当化しておこう。…いい加減、指輪を作ろうか。指輪本体に良さげなものもあったし。



「深層意識で嫌いって思ってるなんてことはありますかね?」

「ありえないね」

「ですよね」


 四季もわかってるよね。…というか、あれで深層意識の中で嫌いって思ってたら、見てるこっちが人間不信になるよ? あー、でも、



「一応、ガロウがレイコのことを完全に保護対象としか見ていなくて、常に付きまとってくるレイコのフォローをしてる…って、ガロウが考えてたら可能性はあるかもよ?」

「聞いた私が言うのもなんですけど、万が一にすらあり得ませんね。ガロウ君もレイコちゃんもどう考えても互いにベタ惚れですし…。それこそ私と習君みたいに」


 ちょっ…!? 何で、何で話題逸らしたのに…! 自分から特級の爆弾放り込んじゃうかな、四季!?



「あれ?習君、どうしました?顔真っ赤ですよ?」

「発言思い出して?」


 顔を手で覆ったまま返事をすると、



「え?…あ。あー」


 暫しの逡巡の後、見事に四季が赤面した。「何で言ったし」と言いたくなるけど…、こんな風に自爆して悶えてる四季を見るのも好きだから言えない。…大抵、自爆は俺も巻き込むけれども。



「あ、ガロウとレイコも来たよ」

「ほんとですね」


 下手で露骨な話題逸らし。幸い、四季ものってくれた。…これでしばらくしたら落ち着ける。



 二人仲良くコロ、コロ、コロ。ゆっくりじっくり、されど確実に。こちらへ転がってくる。



 そして、アイリとカレンとルナが寝ているはずなのに、のそのそ移動していい感じに空間を作ると、ガロウとレイコがそこにすっぽり収まった。



 本当に寝てる? ちょっと疑わしい。…でも、幸せそうな寝息が聞こえてきてるんだよね。目も閉じてるし、寝てるのは間違いないね。



 やっぱり、今の一連の動作は寝ててやってるね。



「何だろう、この気持ち…」

「さぁ…?私にもわかりかねます」


 「寝てるのにこんな連帯行動とれるなんてすごい」とか、「寝てるのにわざわざこっちに来てくれて嬉しい」とかいう気持ちと、それと同じくらいの「何で寝てるはずなのにそんな動きが出来るの?」って気持ち。それに理不尽をちょこっと加えた。そんな気持ち。



「寝てる時って無意識が反映されるんだったっけ?」

「とはよく言われていますね。…昔、「寝る、無意識」で調べても医学的なモノは出てきた記憶がないですけど」


 確かに。検索が下手なのか出なかったような…。医学的なやつは夢遊病とか、睡眠障害は出てきたけど…。



「まぁ、その辺りの真偽は置いておきましょう」

「だね」


 それが真であれ、偽であれ、この子らが慕ってくれているのは間違いない。…接した時間はまだ一年に満たないけど。それでも、ちゃんと密な関係は築けているはず。流石にルナはあったばかり過ぎるから断言は出来ないけれど。ちゃんと築ける。



 手を伸ばして皆の頭を撫でる。どの子からも温かくて柔らかい感触が返って来る。



 そういえば、今までちょくちょく──ハールラインの時とか、6 VS 12とか──この子らに対応をお願いすることはあったけれど、今回ほど任せきったことはなかったんだよな。



 どの時であっても、距離があろうとも、少なくとも俺も四季も起きて動いていたし。…となると、今回の処理を任せたこと、これこそが本当の意味で「任せた」になる…のかな?



 俺らが完全に気絶して、後の処置を託した…、言いかえると、どうしたって俺らがフォローに入れない状態で、上手くこの子たちは処理してくれた。になるかな?



 シールさんもいるけれど、たぶんこの人は前に出ていないだろうし。ある程度の指揮ならシールさんも出来るだろうけれど、普段はもっと指揮の上手いリンヴィ様(首長)か、ハーティさん(子群長)に任せていたはず。だから、近衛だったために曲がりなりにも指揮を取ったことがあって、子供達のことを把握してるアイリに任せただろうから。



 …頭の中が上手くまとまらない。無理やりこじつけた感もないではないけれど…、これが、子供が成長するのを見守る親の気持ちなんだろうか?



 ロクに戦いを知らなかったレイコとガロウが、蕾から見てただけのカレンが、ほぼ人間を信用したことのなかったはずのアイリの指示で戦って勝ってくれた。俺らのフォローがないどころか、俺らが足を引っ張ってる状況で。



 そのことがたまらなく嬉しい。だけど、出来る事なら「戦い」は知らないでいて欲しかったって思いがないこともない。それに、手を出すことが減ると思うと少し寂しい



 …だけど、きっとそのほうが良いよね。親離れ出来るようにしておかなければ。うん、絶対そのほうが良いな。ただでさえ依存気味なんだから…。



 とりあえず、意識の中の皆の扱いを上げておこう。そうじゃないと絶対、手を出す機会が無駄に増える。ルナはまだ被保護者でいいだろうけど、皆は、被保護者じゃなくて、一緒に戦う小さい仲間。そのくらいにしておこう。対応不能の攻撃は対処する。だけど、そうじゃないのは任せる…とかが落としどころかな。



 ………あんまり変わってないような、気がする。だけど、それでもいいか。きっとこっちは変わってなくても、子供達の方で意識が変わるはず。この子らならば、きっと俺らに認められたって、察してくれるはず。それできっとさらに向上心も出てくるだろうし…。



 …あ、でも、全員大なり小なり差はあれど、俺らの事大好きだから。明らかに能力越えのことを無理にやろうとする未来が見えるな。…その場合は止めよう。止めるのは仲間として当然のことだ。



 一番心配なアイリを撫でる。この子見た目は小さいけど頑張り屋さん…というか、頑張り屋さん過ぎるきらいがあるから。



 その次に、カレンも撫で、そのまま四季と二人、クルクル誰を撫でるかを変えながら、のんびりと子供達を撫で続ける。その間、俺と四季の間に会話はなかった。けれど、互いがすぐそばにいて、子供達もすぐそこにいる。それがたまらなく嬉しくて愛おしい。

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