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白黒神の勇者召喚陣  作者: 三価種
4章 獣人領域
161/306

アイリの登場人物紹介 家族編

 タイトル通りアイリが人物紹介をします。



 ネタバレと設定とメタ発言の塊の文なので、色々とご注意ください。メタ発言の耐性確認には以下の導入部を読んでみてください。これが読めれば紹介本編も読める…と思います。



 下の6つ並んだバーの下直後から導入開始です。







______


 ふわぁ……。よく寝た。



「おはよう。アイリ」

「おはようです。アイリちゃん」

「…おはよ」


 …今日も二人の方が起きるのが早い。今日の朝ご飯は何だろ…うん?



「ここどこ?」

「謎時空です」


 …? 謎時空? 耳がおかしくなったのかな。この真っ白い空間が謎なのはわかるけど…。



「ありゃ。わかってないっぽいですか」

「だね。ここは4章 獣人領域編終了後のどこかの時間軸にある謎の空間だよ」

「待って。色々と許されない発言があるんだけど」

「気のせいです。ここならメタ発言しようと無問題です」


 全く取り合ってくれない。というか取り合ってくれる気がない。顔も至極真面目。…うん。これは何を言っても無駄だね。諦めたほうがわたしの身のため。



「…で、何でこんなところにいるの?」


 あ。二人に聞いたってわかんないよね。わたしは馬鹿なことを…。



「ああ。それは簡単」


 わかるんだ。えぇ…。



「「人物紹介お願い(します)」」


 …もうツッコまないよ。絶対に。



「終わればお菓子あげますから」

「やる」


 黙っていたからかな? 「終わればお菓子」くれるなんて言ってくれたのは。…そんなこと言わなくても、わたしが断るわけないのに。



「あ。でも、紹介中はお菓子禁止ね。「…」が多くなって読みにくいだろうから」

「…ん」


 気にしたら負け。ツッコんだら負けだ…。



「無言はなしですよ。アイリちゃん」


 誰のせいだと…!

 …いったん落ち着こう。…吸って、吐いて…。…ふぅ。よし。



「紹介始める前に一つだけ聞いていい?」

「「いい(です)よ」」

「何でわたしなの?」


 別に二人がやったって、何も問題ないよね?



「俺と四季は…ねぇ」

「ほら、あれですよ。あれ」


 …あれって何さ。だけど、きっとろくでもない理由なんだろうね…。



「二人がやらない理由は聞かなかったことにするよ。…で、わたしを選んだまともな理由はないの?」

「ありますよ。まず、アイリちゃんなら私達の世界の話や、勇者仲間のことを私達から聞いていても不自然ではないですよね」

「そして俺らが知らない人間領域の話を近衛時代の知識として知っていても不自然ではないだろう?」

「さらに、獣人領域の話は群長達から聞いている可能性があってもおかしくはないです」

「極めつけには最初(3話)から俺らと一緒にいる」

「ですので、メタ発言的に「知りうるはずのない情報を知っているけど気にしないでください」的な注釈をする機会を減らせます!」


 ……あ、うん。そうだね…。



「どうしたのアイリ?」

「何でもないよ」


 心配された。確実にさっきわたしが死んだ魚の目をしていたからだね。メタ発言を気にする二人がメタの塊なのはもう負けてもいいからツッコミたい…。絶対無視されるけど。



「じゃあ、お願いしますね」

「よろしく。俺らは作って来るから」


 …ん。いってらっしゃい。うわ。空間がびりって手をかけただけで破れた。滅茶苦茶するね…。

 ということで、始めるよ。あ。ネタバレあるから嫌な人は先に本編を読んでね。



 で、お母さんも言ってたけど、本編で明らかにわたしが知るはずのない情報は、「本編では知らない」ってちゃんと言うから。謎時空だから知っているという事でよろしく。



 …言い忘れたらごめん。そして、説明すべきことや、人物の名前も忘れて抜けるかもしれないけど、これも…うん。忘れたらごめんね。



 じゃ、紹介始めるよ。



森野習(もりのしゅう)

 わたし達のお父さん。ついでにこの物語の主人公。無駄にお母さんと共通点が多いから、そこは後で纏めてやっちゃうね。



 身長は180 cmくらい。だいたい18歳の日本人男性の平均が170 cmらしいから…、大きいね。こっち(アークライン)でも少し大きめ。こっちの平均はだいたい175 cmくらいだよ。

 顔は普通…よりはいいと思うよ。身内補正もかかっている気がしないでもないけれど…。少なくともお父さんの外見に対する自己評価が低いのは、間違いなく悪友のタクさんのせい。だいたいいつも一緒に遊んでたからだね。



 だって、あの人、10人中11人が振り返る容姿をしているからね。増えている一人はその辺にいる霊。



 …わたし? わたしは興味ないかな…。かっこいいことはかっこいいけどそれだけ。



 顔の話に戻るよ。お父さんは黒髪黒目。目は完全には黒ではないけれど…、綺麗な目をしているよ。



 シャイツァーはペン。…あ。シャイツァーは神授の道具だよ。



 勇者なら必ず持ってるし、一般人でも時々持ってる。わたし達が会った人ではほとんどが貴族だけど…、これはまぁ、シャイツァーがあれば普通の人より魔法行使において有利だから。



 お父さんのシャイツァーは4章終了間際に、ペン単独でも火力が出るようになったよ。もともと「ものすごく硬い尖った物体」として武器扱いしていたけれども…、ペン先からものすごく高温の火とか、強力な水流とかが出せるようになった。燃費はものすごく悪いらしいけれど、出せるものはお父さんが「字を書く道具」と認識してさえいればいいみたいだし、突飛な発想も出来るから、割と強いはず。初見殺しにはなるね。間違いなく。



 お父さんとお母さんで共通していないのはこれくらいかな? じゃあ次。



清水四季(しみずしき)

 わたし達のお母さん。ついでにこの物語のヒロイン。



 身長は175 cm。日本人の18歳女性の平均身長はだいたい160 cmらしいよ。お母さんの方がお父さんよりも平均との乖離が大きいね…。



 ちなみにこっちの女性の平均身長はだいたい170 cm。平均より5 cm高い。



 顔は身内補正もあるけど美人だよ。黒髪の長い髪が、黒目によく似合う。そんな人。お父さんがお母さんを表するときは大抵「大和撫子」という言葉を使っているよ。



 ちなみに。胸のサイズはだいたいDの真ん中ぐらいからぎりぎりEらしいよ。わたしは決め方なんて知らないから本人談だけれど。…数値は教えないよ。



 後、本を読んでいるとものすごく影が薄くなるよ。…お父さんは普段通りに本を読んでいようといまいと、見つけられるみたいだけれどね。…悔しい。わたしはちょっと見失っちゃうときもあるのに!



 …まさかこれが愛の力だとでも…!? …わたしも好きなんだけどな。愛と好きは違うのかな。



 よくはないけれど、話逸れちゃうしシャイツァーの説明をするよ。



 シャイツァーはファイル。お母さんもお父さんと同じく4章終わりにファイルから直接攻撃できるものを出せるようになったよ。…その前から角を鈍器に使って殴ったり、剣に比べれば広い面積を使って盾代わりにと活用はしていたけどね。



 お母さんのは「書かれるもの」とさえ認識していれば出せるみたいだよ。やっぱり燃費は悪いらしいけれど。



 はた目から見ればものすごくシュールだよ。



 何でファイルから油が出てくるんだろうね。「油には水が浮くから水滴で書けます!」って言ってたけどさ。すぐ消えちゃうよね。



 何でファイルから高温の鉄の板が出てくるんだろうね。鉄には書けるけど…、誰が書くのさ。お父さんが「俺が書くよ」って言ってたけどさ…。



 …ん。理不尽は今更だね。共通してないのはこれくらいかな? ここからは、二人の共通点を洗い出していくね。



『お父さんとお母さんの共通点』


 意味があるかわからないけれど、とりあえず括っておくよ。



 お父さんもお母さんも、二人とも常華(じょうか)高校の3年生だよ。そして、家が川を挟んで隣と言う立地にもかかわらず、今まで一回も会ってなかったらしいよ。



 武道の嗜みもあるよ。お父さんは友達(久我)の家で。お母さんは実家で習ったらしいね。そしてこの家はライバル関係にあってたまに試合をしていたらしいよ。…お父さんとお母さんはそれでも会えてないけど。



 こっちの図書館で初めて会って、お互いに一目惚れしたよらしいよ。…嘘にしか思えないけどね。前々から会ってたって言われても、仲いいから信じられるよ。というか、会ってないって言われるほうが何回も言うけど嘘にしか思えないからね…。



 仲がいいのはわたしとしては嬉しいことだけどね。



 二人は「人を見る目」があるよ。これは人を見た時に「この人はだいたいこんな人」と正しく推測できるという意味だね。魔法ではないよ。



 この目がどこまでのレベルかはわからないけど、「何か悪いこと企んでるなー」とか、「こいつの心折るにはこれをこれぐらいすればいいかなー」とかがわかる程度(・・)らしいよ。



 …程度(・・)って何なんだろうね。どう考えても程度で済むレベルじゃない。悪い考えを持って敵対すれば速攻でバレるね。



 ついでに召喚魔法で召喚された勇者でもあるよ。勇者召喚は『頼み事』をされて解決すれば帰れる…かも? ってなっている代物だよ。一応、帰還したように取れる記述は存在しているよ。



 今回の召喚の時の頼み事は『魔王討伐』だよ。だけど、勇者…要はお父さんたちのクラスメイトは誰一人として積極的に倒しに行く気はないね。…そもそも魔王討伐隊と帰還方法捜索隊にわかれてるし、魔王討伐隊も会話してみて特に問題なさそうなら倒さずに帰還方法を探す方向に方針転換する気満々だしね。



 お父さんとお母さんはシャイツァー的に帰還方法捜索隊配属予定だったよ。武力がない勇者が基本捜索隊配属だよ。…結果的に二人には武力があるから、「武力がない(笑)」という有様になっちゃってるけど。



 出発当日に仲良く寝坊。暗殺者が来そうだったから合流を諦めて独自で旅をすることにしたよ。



 寝坊したことに対するフォローしておくと…、言語の加護 (こっちの言葉が全て理解できるし伝えられる)を貰っていたからか、他のクラスメイトより目覚めるのが遅かったというのは一因になってるよ。



 …他の長く寝ていた人はちゃんと合流しているという事実には目を伏せようね。



 二人で出発したところにわたしが護衛として即合流。「体大きいから違和感ないですよね」といった感じのルキィ様の提案を、わたしは特に抵抗もなく採用。3人家族になったよ(3話)。その後、二人はセンを買って(8話)、カレンの入った蕾を拾って(22話)、孵して(48話)。レイコとガロウを拾って(74話)、今は6人と一頭の大家族。



 そんな家族の長である二人だけど、私的にはまだ(・・)二人は恋人関係だよ。対外的には最初から家族、そして公的には146話で完全に家族になったのにね…。



 あ、公的にっていうのは、わたし達家族が「ラーヴェ」って共通の姓を使って、公文書中の『見届け一族欄』ってところに続柄を記入したからだよ。



 お父さんがお母さんに告白したのが46話。相思相愛なのがわかっているのにこの遅さ。だけど、わたしとしては二人が一緒にいてくれれば幸せだから…、気にしない。関係性がどう変化しようと、二人の関係は変わらない。そんな確信があるよ。



 でも、ちゃんと関係を前に進める気は二人ともあるよ。お母さんはお父さんが「待って」って言ったからか、「自分で言い出すのは…」と思っているのか、待ってるよ。



 お父さんはお父さんで、本編のわたし達は知らないけど、指輪の宝石(トリラットヤ)を既に持っているみたいだしね。後は指輪本体と加工。それと場面…かな? ここまで仲がいいのに恥ずかしがりやだからね。



 …二人が私的な関係でも婚約者になるまでに妹達(二人の子供)は何人増えるかな? わたしは増える確信があるよ。…ま、わたしは賭けなんてしないけど、やってみるのもいいかも。



 …普通に公的な場所で、素面で「嫁」だの、「夫」だの言っているのは気にしないでおこうね。その時は戦闘モード? だし…。あ。戦闘モードで思い出したけれど…、二人とも真面目な時は急に真面目になるよ。これはお父さんの方が顕著かな? 優しめの話し方をするお父さんの話し方が硬くなるから。



 気が殺がれると元の話し方に戻るけど…。怒るとものすごく怖いよ。その怒りの矛先がわたしじゃなくても鳥肌が立つくらいに。逆鱗は基本わたし達家族絡みの案件。病的なまでに家族の優先度が高いよ。



 進んで相手を傷つけることは好まないけど、わたし達が絡むと別。心を折れるときは容赦なくへし折って二度と絡む気が起きないようにするし、こっちに来てからは「抹殺」も考慮に入れてるよ。というか、魔物は抹殺ばかりだね。話が通じないから仕方ないけど。



 ちょっとぶっとんでるけど、わたしはこの病的なまでの家族愛がたまらなく好きなんだけどね。だって…、あっ。話が逸れちゃう。…これはわたしのところで触れることにするよ。



 後、二人とも天然。冒頭の会話でもわかるけれど、たまーに抜けてるよ。ついでに、絵が二人そろって下手。絵での説明は致命的に向いてない……というか不可能。…ごめん。二人とも。でも、名状しがたい何かにしかならないから…。



 最後に武器について纏めておくよ。武器は剣とシャイツァー。シャイツァーの共通していない使い方はさっきも触れたから共通部分だけだよ。



 剣は34話で存在そのものがネタでしかないお店で買ったよ。2本で一対。条件を満たす使用者二人が一本ずつ持って使わないと、そもそも剣が鞘から抜けない。そんな剣。


 二人は気づいていないみたいだけれど剣を抜くことができる条件は、

「剣の腕前がほぼ同じで、その腕前はほどほどによくて、それでいて誰がいつ見ても「あの二人ってお似合いだね」ってなって、さらに相思相愛であること」らしいよ。


 …そりゃあ、店員さんの心を抉るよね…。この剣が抜ける時点で、「相思相愛かつ誰が見てもお似合いで、さらに剣を使うと強い」ってことと同義なんだから。



 まぁ、「剣を使うと強い」って言っても、「強い(・・)のレベルはよくわかってないよ。そもそも剣を抜けたのは二人が初めてらしいから。



 この剣の特徴は硬いこと。シャイツァーには少し劣るけれど、雑に扱っても斬れる。叩き斬れるというべきかもしれないけれど。そんな武器。



 この子が来たから包丁とかの武器になりそうな器具は本来の扱いに専念できるようになったよ



 …ん。次はシャイツァー。二人のペンとファイルは一緒に使うことが前提としか思えない作りになってるよ。



 お母さんがファイルから紙を取り出して、お父さんが紙に字を書く。字の書かれた紙を使って魔法を発動させる。紙を取り出すときと、書くとき、この両方に使われた魔力の量で発動できる魔法の威力や回数といった書かれた魔法の大枠が決まるよ。



 攻撃とか回復とか、何度も使う魔法は何回も使えることが多いね。だけど、梯子とか、柱とか、一回ぐらいしか使わないような魔法は一度きりっていうのが多いよ。



 紙に込められた魔力が多くなると、ペンにも魔力を込めないといけなくなって、ねばねばザラザラ、時々つるつる。そんな感じで書きにくくなるらしいけれど…、出来るだけ多くの回数を使えるように基本寝る前とかに頑張って書いてくれてるよ。規定回数分使っちゃった紙は消えちゃうから…。



 あ。「くれてる」って言ったのは、わたし達も護身用にその紙を渡してもらっているから。発動方法は二人に準じるから後回し。



 紙に書かれた言語は日本語。心なしか威力が高い気がするから、そうしてもらってるよ。わたしも含めて、妹たちは漢字を習っているから何も問題ないよ。…これでいつ日本に帰っても大丈夫。



 ……ごめん。話が逸れ過ぎたね。



 発動できる魔法は、書いた内容とイメージに左右されるよ。例えば、はっきりと『火球』って書けば、『火球』の範囲を逸脱するような魔法は使えない。逆に、『火』と書いておけば『火球』以外にも、『火柱』だとか、『火の輪』だとか形を変えて使えるよ。



 一見、後者の方が汎用性もあるから優れているように見えるけど…、前者はイメージが明確に固定されている分、同じ消費魔力でより強力な威力を発揮できるよ。だから場合によるね。攻撃だけなら『ウインドカッター』でいいけど、『風』だと上昇気流起こして衝撃を減らしたり、髪を乾かしたりできるし…。



 同じ紙を何枚も作ると、魔力消費がきつくなるらしいけれど…。普段から紙はストックしてくれているのに、魔力が多いからゴリ押しでねじ伏せているね。



 …明確に比べる基準がないから仕方がないとはいえ…、二人ともはっきりとその魔力の多さを自覚していない気がする。



 …愚痴っても仕方ないね。発動方法は紙を握って念じる。それだけ。ここでもイメージをする必要はあるよ。『火球』とかかっちりした魔法はほとんど意味ないけれど、『風』とかなら大切だよ。髪を乾かす温風にするか、木を薙ぎ払う暴風にするか、指定しないと暴発する可能性もあるからね…。



 お父さんとお母さんの二人組限定で、二人で手を繋いで紙を使う(魔法を発動させる)と、威力が上がるよ。他に、二人が紙から10 m圏内にいるとき限定で、念じれば発動するよ。



 最後に、二人の切り札『触媒魔法』について話すよ。



 この魔法は一言でいえば「紙に込められた魔力を全て一撃に凝縮して放つ魔法」だよ。紙と引き換えに、その紙に込められた魔力量の何倍もの威力を発揮する魔法を放てるよ。今の二人なら本気を出せば一撃でどこの国の首都でもこの一撃で滅ぼせるよ。…やる意味もないからしないけど。



 ただ、一応制限があって同系統の魔法は…、えーと、確か…、今は二日間、『触媒魔法』として使えなくなるはず。同系統認定は二人の中の基準に影響されている節があるから…、わたしにはよくわからないよ。



 ついでに同系統の魔法の威力がしばらく下がるよ。撃った直後では半分。時間経過で回復。一日もすれば戻るよ。基本決め技だからそんなに連発するものではないよ。この前の群長戦が異常なだけ。



 このくらい…かな? 次にいくよ。



森野(もりの)=清水(しみず)=愛理(あいり)=ラーヴェ』

 わたしだよ。…うん。わかりにくいね。やめておくね。



 …わたしは割と気に入っているんだけど。だって、二人の子供って実感できるから。…今、それはいいかな。



『アイリーン』

 こっちの方が良いかな? ………ん。少しふざけた。ごめん。これはわたしの古い名前だよ。3話でちょびっと出てきたね。他にも再会したルキィ様も言ってたね。



愛理(アイリ)

 これが今のわたしの一番短くて呼びやすい名前だよ。二人が愛称で愛理(アイリ)って呼んでくれたから改名したよ。こっちの世界にいるからか二人のわたしの呼び方はアイリになっているけれど。漢字とカタカナでは微妙にイントネーションが違うよ。



 …母国(バシェル)での手続き? 知らないよ。獣人領域では済んでるし、ギルドでも終わってるからね。というより手続きをしに戻るわけにもいかないし…。って、それはいいよね、自己紹介しないと。



 わたしの身長はだいたい140 cmで、日本の10歳くらいの女の子と同じだよ。そしてお母さんそっくりの艶のある黒髪を持ってて、赤目だよ。黒目だったらお父さんとお母さんと一緒だったのに…。そしてシャイツァーが鎌だよ。



 ここにわたしが普通にお父さんとお母さんを、「お父さん」、「お母さん」って呼べた理由があるよ。…うわ。自分で言っててなんだけれどわかりにくいね。



 すこし言葉を置き換えるね。二人を両親と呼ぶことに抵抗がなかった理由。…これの方が良さそうだね。…とりあえず進めるよ。



 黒髪赤目、そして鎌。これら3つは人間領域で人間を殺戮、暴虐の限りを尽くした『エルモンツィ』の特徴と一致しているよ。だから、ものすごく嫌われたよ。黒髪は勇者の末裔で貴族の可能性がある。なんてことを鼻で笑って無視できるくらいにね。



 …まぁ、そもそも黒髪赤目の子に普通、鎌を持たせないから仕方ないという一面はあるよね。



 わたしは勇者じゃないから、サイズを変えることは出来るけれどシャイツァーは常に携帯する必要があるんだよね。…必然的にわたしが鎌のシャイツァーを持っているってことがわかるんだよね…。



 だから孤児院に捨てられたよ。そこでもご飯はくれるけど嫌われて…、さらに悪いことに今はもう治ったけれど、わたしはいっぱい(五人前)食べるのに猛烈にお腹がすくことがあって…、こっそりネズミを殺して食べてたら見つかっちゃった。



 そのせいで孤児院もわたしが不気味すぎるからと追放…、されるときにルキィ様に会って拾われたよ。ルキィ様は普通に接してくれたけれど、他の人たちはそうでもなかった。忌避するか、恐れるか。どっちかだったよ。それが王様であっても。(今は、わたしを嫌っているというポーズを見せてただけの人もいたかも? と思うことにしてるよ)



 そして、唯一の良心のルキィ様は多忙で、わたしにばかりかまけているわけにもいかず、基本一人ぼっち。



 だから、わたしは他人に何も期待していなかった。愛されることは勿論、怒られることも、悲しまれることもないだろうって、何一つ期待してなかった。だからこそ、二人を両親だと認識するのに抵抗はなかった。



 だって、今まで関係が変わったところで何も変わらなかった。辛うじて親のあった赤ちゃんの時でも、孤児の時でも、そして近衛の時でも。記憶にある限りいつもわたしを見ている目はわたしへの恐れを湛えていたよ。



 …わたしが期待していなさ過ぎて不気味だったから、余計に嫌われていたのかもしれないけれど。



 …だからこそ、わたしはわたしのお父さんとお母さんが、わたしを愛し、慈しんでくれて、それを言葉と行動で示してくれた二人が好き。わたしに二人の娘という立場をくれた二人が大好きだよ。



 だからわたしはこの関係性を守るために、躊躇も容赦もなくこの鎌を振るう。それに、お父さんとお母さんもわたしに長女の役割を期待して名前に漢字を付けたって言ってたから。



 愛されて、論()的に、(ことわり)立てる娘。それがわたしの名前の意味だったはず。



 …そんなことを言われてなくてもわたしの立ち位置(長女)は変わらないから、今と何も変わってない気がするけれどね。



 …あ。そういえばこれ、名前があったね。『呪■■■鎌 カ■■■・■■イズ』というらしいよ。…穴抜けすぎて全くわからないね。



 ついでだし、この鎌の説明をするよ。この鎌はサイズが自在に変えられるよ。…キーホルダーぐらいのサイズまでしか下げられないけれど。バリアも張れるよ。大抵の場合、斬ったほうが早い。……魔力効率も悪いし。



 よく使う魔法は『死神の鎌』。わたしが投げたり、落としたりした鎌を魔力で自在に操れるよ。込める魔力にもよるけど結構早く動くよ。…昔はこの魔法は嫌いだったけど、今は使うよ。ちゃんとわたしを見てくれる人が守れて、そしてわたしを見続けてくれる。これ以上の幸せなんてない……ん?



 あ。ごめん。嘘。お父さんとお母さんにお菓子を貰ってそれを食べながら二人といるときが一番幸せだよ。あの呪い染みた猛烈な飢餓感はなくなったけれど…、食べる量は変わらないし。というか、何かを口の中に入れておくのはもう癖になってるから…。わたしがいっぱいお菓子を食べても仕方ないよ。うん。体重も増えてないし。



 次に行くよ。



『セン』

 わたし達の足で、家族だよ。…え? 次はカレンじゃないのかって? 加入順だよ? カレンは次。



 8話でお父さんとお母さんが買った子。魔物だけれども、ちゃんと自我があるよ。人間を殺す気は人間に助けられたからか、ないよ。



 白い体躯を持ち、目は魔物らしく赤。だけど、この子はその気になればいくらでも誤魔化せるよ。ちょっとズルい。



 この子はバリアを張ったり、白い球…、たぶんバリアを変形したものだと思うけど、それを飛ばしたりして攻撃出来るよ。…とはいっても残念ながらこの子は戦闘に参加したことはそんなにないけれどね。バリア習得前は馬車を守らないといけなかったし…、戦うとか以前の問題で、そもそもセンを連れて行ってなかったりするし。



 だからか、ちょっと子供っぽいこの子はたまに拗ねるようなそぶりを見せるよ。無邪気に走り回れば治るけれど。お父さんとお母さんがつけた名前──「千里馬」からとった──のように、本当に千里…、というか放っておいたら文字通り体力の続く限り走り続けるよ。



 目とか鳴き声の微妙な変化で言葉っぽいものを伝えてくるよ。その解読はお父さんとお母さんが上手で早いよ。人を見る目があるからかな。



 この子の主食はお父さんとお母さんの魔力。お父さんとお母さんが手をセンに食まれていたら魔力をあげているよ。一般的なご飯も食べられるけれど魔力の方が良いみたい。魔力を食べた後は強くなったような気がするし、毛並みもよくなるからね。



 魔物って瘴気がいるはずなんだけど、何でこの子無事なんだろう。…魔物に瘴気が必要って言うのが気のせいなのかな。ちゃんと本を読んだことがあるわけじゃないし。



 さて次。



華蓮(カレン)

 わたしの妹で、お父さんとお母さんの娘。公的にはわたしの名前の愛理(あいり)を、上の名前に置き換えてくれればこの子の名前になるよ。



 基本はカレンもわたしと同じく、カタカナ呼びの「カレン」と呼ばれているけれどね。



 22話で拾った蕾を二人があちこち連れまわしていたら、告白したお風呂(46話)で孵った…、孵ったでいいのかな? まぁいいや、蕾から生まれたハイエルフ。



 ハイエルフだから、さっき「わたしの妹」とか、「二人の娘」と言ったけど正確ではないよ。ハイエルフは性別がないからね。「ハイ」ではないエルフは性別があるけれどね。



 無性なのに二人がカレンを娘扱いしているのは、性別の絡む問題──トイレとかお風呂とかドレスコードとか──の回避策だよ。「カレンは無性です!」って言っちゃうと自動的に耳からハイエルフって決定するから。



「仲のいい人は兎も角、ハイエルフだからって群がってくるような鬱陶しい馬鹿どもの矢面に立たせる必要性などない」って、二人は判断したみたい。



 女の子扱いなのは、男って言い張っていると見る、触るといったことで、一瞬でバレるから。ついでに、あっちに帰った時に水着を着せてもバレちゃうから。女の子ならその危険性は下げられるから。



 ということらしいよ。…いきなりカレンが産まれて動揺していたはずなのに一瞬でそこまで思考を回せる二人。…かっこいいよね。



 二人の性格の影響か、性格は華のように明るいよ。髪の色はエメラルド色。光を反射すると宝石のように輝くよ。背丈はわたしと同じくらい。



 …ギリギリわたしがお姉ちゃんに見えるね。(もう一人の妹と、弟には完全に負けてるけど)



 シャイツァーは弓。魔力で矢を形成して発射する。そんなもの。



 普通の矢で弱点になる矢の補給は、カレンの魔力が続く限り考えなくてもいいから、割と強いよ。だけど、これのすごい点はそこじゃないよ。



 これのすごいところは、まず出す矢を結構自在に変えられること。大きくしたり、小さくしたり、鋭くしたり…、やろうと思えば長さ5 mの先端が鋭敏に尖った矢を放つことも出来るよ。



 加えて、カレンの弓の腕前はよくわからない域に達していて、一般的な矢なら、たぶん見えている限りどんな状況でも当てる…と思うよ。



 さらにこの子は3本、5本と同時に矢を番えて発射する…、とかいう曲芸染みたこともやってのけるよ。矢が大きすぎると厳しいだろうけど、ほどほどの大きさなら5本同時命中も可能。



 そして、カレンは放った矢をある程度自分の意志で軌道を変えられるよ。…さすがに鋭角や直角には曲がらないけど、不自然ではない程度に微妙に。ちょっとのミスならカバーが容易に出来るよ。…カレンはこの力に名前を付けてないみたいだけど。どうやって発動させているんだろうね。…生まれたころからの本能なのかな?



 …気にはなるけど置いておくね。次に説明するのは「ターゲティング能力」だよ。これも名前つけてないみたいだね。…どうやって発動してるのさ…。



 …コホン。話を戻すよ。わたしはこのターゲティング能力が一番強力だと思うよ。



 ターゲティングしたい相手を凝視する必要があるけれど、ターゲティングのロックをした後は、もうカレンからは逃げられない。



 まず、ロックした相手を中心にカレンは全方位を確認できるようになるよ。相手を中心にカメラを全方位に向けて置いたようなものだよ。だから相手がどこにいるのか、どこを向いているのか。そんなことが筒抜けになるよ。



 さらに、ターゲティングという名の通り、カレンが放った矢は特に設定しない限り目標に向かって自動追尾するようになるよ。



 追尾性能ははっきり言ってエグイよ。まず、発動できるタイミングが任意。だから、撃った瞬間に追尾させることも出来るし、相手が回避して一息ついているときに、えいやっ! って発動させれば脇腹に突き刺せる。



 挙句、曲がる角度はどんな軌道でも大丈夫。例え直角であろうと、180°であろうと超自然的な力…、まぁ魔法だからね。それが働いてその場で向きを変えて突き進むよ。


 極め付きに、ターゲティングして追尾能力が発動しているときに限るけれど、矢を空中で滞空させることが出来るよ。だから、気が付いたときには全方位矢に囲まれていた…なーんてことが出来るよ。というかやったね。54話で。



 でも、この力は基本、連絡を取ることに使われるよ。お父さんかお母さんをターゲティングしておいて、矢に手紙を括り付けて発射。これで二人に絶対に届く。



 矢を番えてその矢に自分を括り付けるとかいう正気を疑うようなことをすれば、上空で滞空できるから、それを生かして偵察したり、上から離れたところにいるわたし達家族に矢を飛ばして連絡を取ったり、気合で弓に番えて、引いて攻撃したり…。割と万能だね。



 激しく力の使い方を間違えている? …大丈夫。カレンは弓の弦の部分で相手斬ったりするから。言うまでもなく普通の弓をそんな風に扱ったら壊れるよ。絶対にしないでね。というか、どんな物でも正しい用途外で使っちゃダメだよ。ペン然り、ファイル然り、包丁然り…。壊れるだけですめばいいけど最悪怪我するしね。



 …まぁ、何事にも例外はあるけど。



 あ。そうそう。カレンは弓で上空に飛ぶのが好きだよ。…好奇心旺盛だね。わたしは怖いから嫌いなんだけどね…。



 …ん。それはいいかな。そろそろ次にいこう。次の二人(ガロウとレイコ)は…、どっちからにしようかな? 加わった時期が同じなんだよね…。72話で『ベンジスクート』を倒して保護。そののちに加わるっていう形だし…。どっちからのほうがやりやすいかな…。レイコの方が良い…、かな? うん。よさそう。ガロウはその後。…ん。



礼子(レイコ)

 ということでレイコから。公的な名前はわたしやカレンと同じパターンだから省略するよ。



 金髪で赤目の狐っ子だよ。わたしより背が高いけど、可愛いよ。ちょっと大人しめの子。あ、あとレイコは尻尾生えているけど幻だから触れないよ。残念…。



 元々の名前は霊狐だよ。こう書いて「レーコ」って読む。…とはいえこれは名前じゃないけどね。これはレイコの種族を表す種族名。犬に「いぬ」って名前をつけないでしょ? …それと同じ感じ。



 レイコの境遇はわたしと似ていて、わたしと同じく親の顔を知らないよ。



 …わたしとは違って嫌われていたわけではないけど、霊孤という種族が神獣で、レイコは崇拝対象だったからね。



 神獣とは、神の力を持つとか、連なる者とか言われている獣人の中でたまに生まれる種族の事。真偽なんてわかんないけれど、親に依存しないのは確かで、レイコはその力故に神獣であるというのは確かだよ。



 だから、生まれた瞬間に隔離されて蝶よ花よと、それはそれは大切に育てられてきたよ。その形は軟禁に近いものだったけれど。



 だけど、レイコは好奇心が強かった。理由は定かではないけれど。(レイコ)従来の性質か、それとも外の話を聞いて興味を持ったからか、…実際に外の光景を目にしたからか。…きっと本人に聞いてもわからないだろうけれど。わたしの年齢がわかんないのと同じ。



 ともあれ、レイコは外に興味を持って、そして弟と屋敷を抜け出したよ。警備の緩いところをついてね。その時に誘拐されて人間領域に連れてこられた。そして、運よくお父さんたちに助けられた。


 その後、お父さんとお母さんを傍から見れば一切の脈絡もなく、レイコは二人を「お父様、お母様」と呼んで…、そして二人はそれを受け入れた。



 …あらゆる要素を引っぺがしたら、レイコが加わった経緯はこんな感じ。相変わらず混沌としているね。おそらく混沌としている一因はわたしとカレンにあるんだけどさ。



 二人がかりで、お父さんたちの「突然父母呼ばわりされることの慣れ」とでも言うべきものを作っちゃったわけだし…。



 でも、レイコが二人をお父様、お母様って呼んだ理由はわたしにはわかるよ。レイコは家族がいなかった。でも、わたしみたいに他人へ失望していたわけじゃないから…、お祭りの時とかに、屋敷から見えるレイコを見に来た家族連れ。それがきっと眩しかったんだと思うよ。



 そう思うと、抜け出したのは好奇心だけではなくて…、レイコは崇拝ではなくて、同じ視点から見てくれる優しさだとか、安らぎだとかそういう物が欲しかった。



 だから、助けてもらえた時にそんなこと(お父様、お母様)を言ったんじゃないかな。二人ならそれをくれると思って。



 そして二人もそれをレイコから見て取って、俺ら(私達)でないと助けられない。そう感じたんだと思うな。…全部完全にわたしの推測だけど。でも、多分間違ってないよ。



 …ん。しんみりしちゃったけれど、次はレイコの魔法。レイコの魔法はたった一つ。『|蒼凍紅焼拓《ガルミ―ア=アディシュ》』だよ。



 あ。最初はカタカナだけだったよ。だから、『ガルミーア=アディシュ』だったよ。このカタカナはこっちの発音を無理やり日本語に直したものだけどね。初出は98話。



 トラウマが原因で使えなかったけれど何とか使えるようになったよ。トラウマはガロウの時に触れるよ。そっちの方がやりやすいからね。



 で、呪文名に漢字を付けたのは最近(143話)だよ。漢字を付属させて唱えることで頭の中で形が確固たるものになって威力があがる…。らしいよ。わたしは元からついていたけどさ。『死神の鎌』って。…これは本題から逸れるから、えいって投げ捨てようね。



 この魔法は炎と氷を同時に扱う魔法だよ。「たぶん熱を扱っているんじゃない?」ってお父さんとお母さんが言ってたよ。だから、炎のような見た目なのに触ったら凍るとか、いかにも冷たそうなのに炸裂したら爆炎が上がった! とかそんなことができるよ。



 だけど、それらはおまけ。この魔法の絶対的利点はレイコが指定したモノだけを攻撃できるところにあるよ。レイコが「この魔法で敵の心臓を凍らせる」そう決めて発射した魔法は、例えガロウが当たろうと、わたしが当たろうと、何もないかのように透過していくよ。それどころか、わたしがレイコの魔法を切り裂こうと、お父さんたちが炎を飛ばしてぶつけようと虚しく宙を切るだけ。



 さらに、ターゲットに命中しても、皮膚を、筋肉を、骨を、それら全てをすり抜けて心臓に着弾した時に、初めて炸裂。心臓を凍らせて停止させるよ。



 あたかも神が断罪するかの如く、レイコが選んだものだけが焼かれて凍る。そんな魔法だよ。ありとあらゆる干渉を魔力の持つ限り無効化できるから、外殻が無駄に硬いけれど、中身が脆い敵とかなら「当たれば」一撃で葬れるよ。



 …うん。「当たれば」なんだよね…。残念ながら命中率は本人依存。カレンを見てそれを目標に頑張っているみたいだけれど…、距離があると外したりするよ。訓練中に一発外せばお通夜状態になってるけれど…、それでもカレンとかいう異次元の命中率を誇る射手を目標にして、心が折れてない時点でなかなか強い精神力を持ってるよね。



 …足引っ張るだけじゃダメだっていう心が元なんだろうとは簡単に推測できるね。誰もそんなこと気にしないんだけど。



 …そろそろ戻すね。この魔法は必ず「狙ったものだけを破壊する」という設定をしないと発射できないわけじゃないよ。敵の攻撃や魔法にあたると爆ぜる普通の魔法のような状態でも撃てるよ。…それが出来ないと弾幕作る時とかに困っちゃうからね。



 後、時々覚醒? するよ。覚醒すれば白銀の毛並みになって、さっきの魔法に加えて幻の弾を出せるようになるよ。この光の弾は全部幻だから…、光弾には命中判定がないよ。何をしようともすり抜けるだけ。



 お父さんとお母さんは「こういう幻覚を含めた弾幕はとりあえず相打ちさせてみて潰せるかどうかで幻か否かを見破るのがセオリー」って言っていたけど…、レイコの場合本物も透過するから「幻覚だと安心して突っ込んだら焼けました」……なんてこともあるから割と、というかかなり怖いよ。



 レイコはこのくらい…かな? …ん。次行くよ。



牙狼(ガロウ)

 わたし達の家族でお父さんを除けば唯一の男の子。公的な名前は…って、もういいよね。省略。



 銀の毛並みをもつ狼の獣人で、白狼族だよ。レイコのことが好きだよ。というか大好きだよ。…大事な事なので二回言ったよ。



 わたしのお父さんとお母さんが好きな気持ちの方が強いけどね。えへん。


 ………ん。ガロウがわたし達についてきた理由は簡単だよ。レイコが好きだから。これに尽きるよ。最初はレイコがついていくって言ったからついてきたよ。大事だからまたいうけど、最初だけだよ。今はちゃんと二人のことも好きだし、お父さん、お母さんとしてみてるよ。…この理由もまたガロウの生まれに関係があるよ。それに、ガロウがレイコのことが好きな理由にもなってると思うよ。



 獣人族では神獣が産まれるととりあえず親から、世間から隔離して育てる。これはさっきレイコのところで言ったね。それに加えて「さすがに同年齢の友達がいないと可愛そう」そんな理由で適当な生まれたばかりの赤ん坊を同じ家で親から隔離して育てるよ。



 …隔離度合いはレイコよりは緩いけど。…とはいえっても本人達からすればだから何だ。って感じだろうけどさ。



 そんなこんなで二人は仲良く育つよ。レイコが外に行きたいと言えばガロウは機会をうかがってこっそり抜け出す、そんなことを繰り返していたよ。



 「この抜け出しが始まったころから淡い恋心?というものはあったんじゃないかな?」ってのはお父さんたちの談だよ。



 抜け出しも何回もして、いつものように抜け出して遊んでいるときに、警備がしっかりしていたはずなのに、魔物が出てきて襲われるよ。ガロウはその時に魔物に背中を焼かれたよ。



 ついでに、レイコの『ガルミーア=アディシュ』の誤射を背中に受けるよ。幸いその誤射のおかげで火は消えたけれど…、誤射しちゃったレイコは「またやってしまうのではないでしょうか?」と無意識化でトラウマになっちゃったから魔法が使えなかったよ。それにガロウの背中に消えない傷が残ったよ。



 この辺りの話は76話と98話でやったね。…わたしその場にいなかったから後で聞いたよ。



 さて、魔物から何とか助かった二人。それでもやっぱり抜け出すことは止めなかった。命に関わることがあっても好奇心を止めることは出来なかったんだろうね。



 それに、「レイコとガロウは無意識的に、抜け出しやすいような補助(警備体制とか屋敷の一部の構造の欠陥とか)が無くなってないことに気づいていたんじゃないか?」ってお父さんたちは言ってたよ。ついでに抜け出しやすいようにこっそり補助している人がいた。ともね。



 …ん。後の顛末はレイコに準じるよ。



 最初は二人に噛みついていたけれど、それはレイコが傷つくのを恐れていたから。二人にこっぴどく捨てられたら新たなトラウマになるんじゃないか。それがとても心配だったみたい。だけど、二人を見ているうちにそんな心配は皆無なことに気づいて、自分も親がいないから心を許した。



 そんな感じだと思うよ。わたしも弟も妹達もかなり二人に依存しているけれど…、こんなことは良くないってわかってるけど…、いいよね。二人が良いって言ってくれているもの。



 シャイツァーは『輸護爪 ガディル』だよ。ガロウの「護りたい」という気持ちに今更ながらに(126話)応えてくれたモノ。



 見た目は黒色の爪。指の部分に金色の輪みたいな装飾があって…、片手で5つ。両手で10個。金色の線が入っていることになるね。



 この金色がこのシャイツァーの生命線だよ。これがガロウの射出できる3種類の爪すなわち、『護爪』、『輸爪』、『輸護爪』をどれだけ射出できるか。を示しているよ。爪に残っている金色の数が残弾数だね。



『護爪』

 爪の形をした岩を発射する即応性に優れた魔法だよ。「護」の字の通りかなり硬いよ。…さすがにシャイツァー本体と比べちゃダメだけど。相手が悪すぎる…。



 これを撃つことで攻撃を遮って、『護爪』背後の人を守る。それが主な使い方だよ。一応攻撃も出来るよ。わたし達に攻撃を任せてくれた方が威力は出るけどね。



 ついでに、『護爪』は護りたい人の周りに浮かせることも出来るよ。その場合はその人を中心にぐるぐると回るよ。邪魔ならどけられるし、こっちの意図は汲んでくれるよ。移動速度はそこまで早くはないけれど。



 …次行くよ。



『輸爪』

 足元が毒沼とか、煮えたぎるマグマ。そんな時に、この爪に人を乗せて、乗られた爪が浮くことにでそんな危険地帯から距離を取らせて搭乗者を守る。そんな爪だよ。



 移動速度は走るぐらい。そこまで早いわけではないけれど、これはかなり自由に動かせるから、これを足場に縦横無尽に飛び回る……なんてこともできるよ。相応に難易度が高いけどね。



 ただ、これは移動用だからそんなに頑丈じゃないよ。それでも、一般的な家の壁よりは硬いけれど。



 …じゃあ、最後。



『輸護爪』

 上二つのいいとこどりだよ。『輸爪』と『護爪』のセットだね。護って移動もできる。ただ、金帯を二つ消費する。移動速度は『輸爪』に劣るけれど…、単品で別々で使うよりも両方の強度は上がるし魔力効率もいいみたいだよ。


 だから、移動も必要だし、壁も必要! そんな時はこれが一番いいね。



…ふぅ。これで家族の説明はおしまい。

 …誤字修正が済んだら原則、後書きは消してるんだけど、紹介はないとなんか違和感があるから、文章変えて残しておくね。



 …読んでくれてありがとう。後、お疲れ様。さっきも言ったように、この文全体の誤字修正は済んでるよ。だからもう誤字はない……はず。だけど、もしあったら教えてね。

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