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白黒神の勇者召喚陣  作者: 三価種
4章 獣人領域
145/306

135話 前夜

アイリ視点です。


…決めないといけないことはだいたい決まった。…お父さんとお母さん、リンヴィが権威でもって黙らせたと言えないこともないけど。ともかく、お開き。



でも、既にお昼。わたし達はそのままお昼を貰う。…どおりでお腹が空いていると思った。



戌群人たちは…、さすがにここでは食べないか。そりゃそうだよね。…そもそも席数足りない。席のある群長、レディックだけが残るみたい。



…ん。妥当な判断。もしも、彼以外が残っていたら、その恐るべき厚顔無恥さを讃えて、わたしが直々に一撃をあげようかなと思ってたけど。その必要はないみたい。



…お父さんとお母さんがガロウとレイコがドギマギしているのを見て首を傾げているね…。「何でだろう?」そんな風に思っているんだと思うけど、どう考えても二人のせいなんだよね。



…さっき思いっきり「ガロウとレイコの子供」なんて言い放ってたもの。…そりゃそうなるよ。…幼馴染的な二人ではあるけど、そこにはやっぱり「神獣」とある意味「普通の獣人」という壁はあったと思うんだよね。



だけど、今回でそれが意識の上では完全に取り払われた。現実の壁はまだだけど、時間の問題。…それを改めて実感したんでしょ。



…わたしには恋なんてわからないけど。それでも、「子供」という言葉の破壊力ぐらいは知ってる。きっとあってるはず。



…お父さんとお母さんが首を傾げているのもそのせいかな。…普段の二人なら気づいただろうけど、今、そういう色の方面の感受性が壊滅しているから…。



…わたし達の将来がかかっているから真剣になっているせいだけど。



…だからガロウ。二人に反撃しても無駄だよ? さっきから頑張って色々二人の羞恥を煽ろうとしているみたいだけど…、今の二人は鉄壁だよ? …そもそも二人、さっき啖呵を切るときに、臆面もなく「夫」だの、「妻」だの言っていたからね?



…にしてもよくネタが尽きないね。いかに普段の二人が自覚なしでいちゃついているかよくわかるね。…わたしはそんな二人を見ていたいわけだけど。



いつもの二人になら効く弾をガロウが無駄撃ちしているのを微笑ましい気持ちで見ていると、コトリとわたしの前にお皿が置かれた。



…わ。ステーキ。…すごく大きい。…焼き加減はレア? ソースは醤油使っているのかな? …あんまり嗅いだことがなかった匂いだったけど、お父さんとお母さんが好きそうだった匂いだったから覚えちゃった。



…あきらめたらいいのに。ガロウ。…わたしもカレンもガロウを止めないからかな? …レイコはレイコで真っ赤になって俯きっぱなしだし。



…二人とも、ガロウとレイコを気にかけてはいるけど、ガロウの羞恥を煽る攻撃に一切気づかないという鉄壁さ。…もはや鈍感というべきじゃないのかな。



…まぁ、ガロウは放っておいてもいいよね。いつか諦めるだろうし、二人のことを理解してもらうなら、身を持って経験してもらった方が良いよね。



…ま、そのお父さんとお母さんは何か考えているみたいだけど…、ちゃんとガロウの相手をしているしね。…むぅ。何か考えているならわたしも手伝いたいけど…、たぶんわたしじゃ力になれない。…悲しい。



…わたしは昔の経験から感情、特に悪意を読み取るのは得意だと自負しているけど…、人の感情を踏まえて、何かをするって言うのはてんでダメだから…。



…ルキィ様なら得意、というか独壇場なんだけど。…あ。飴が融けちゃった。



リンヴィが音頭取ってくれるのね。ちょうどいいや。



いただきます。ナイフとフォークで行儀よくお肉を切って口に運ぶ。…ん。蕩けて美味しい。



…? 視線? これはガロウ? …助けを求めてるのかな?



…いい加減諦めたらいいと思うよ。…というか諦めよう。…今の二人は鉄壁。動揺を表に出さないよ。



大きめに肉を切って口へ。…あぁ、お肉が美味しい。…甘じょっぱいこの感じが特にいい!







______


「じゃ、また適当に訓練しといて」


ガロウの「何で見捨てた」的な視線を無視しながら帰ってきたら、お父さんがそう言った。



…おかしいな。ガロウには解決策を視線と雰囲気で伝えたはずなんだけど。あ。…美味しくて言ってなかったね。



「あ、父ちゃん」


ガロウがお父さんを呼び止めて、おずおずと切り出した。



「なあ父ちゃん。母ちゃん。今更こんなこと聞くのもあれだけど…。勝てる?」


…本当に今更だね。不安そうなガロウを見てわたしは少し呆れたんだけど…、お父さんもお母さんもそうは思わなかったみたい。



「やっぱりか」みたいな目をしたら、さっきよりも目に強い光を宿して一言。



「「勝(ちます)よ」」


言って(ガロウ)(レイコ)の頭をわしゃわしゃと撫でた。



…あぁ、そっか。二人はまだお父さんとお母さんが完全に自分のために武力を用いてくれたところを見てないんだね。



・・・わたしはアークライン神聖国で見ていた。けど、二人はそうじゃない。二人が『イークッティヌ』の火を止めたり、リンヴィに魔法を撃ったところは見ていても、力を見ていないんだ。



…なるほど。そこがわたし・カレンと二人の間にある差なんだね。



「それに、勝てる勝負しか提案しない」

「そうですよ。誰が負ける勝負なんて提案するものですか」


安心させるようにフフッと楽しそうに笑うと二人の頭をポンポンと優しく叩いた。二人の顔は非常に優しくて、慈愛と自信に溢れていて、自然と勇気づけられるもの。



…いいな。と思ったとたん、そんな思いが通じたのか、二人がわたしとカレンを撫でてくれた。…明日は色々よろしくね。そんな気持ちが伝わってくる。



…うん。わかった。期待には応える。わたしはお父さんとお母さんの長女で、ガロウとレイコの姉なんだから。



「よし、四季付き合って」

「了解です」

「付き合う…だと!?」


……ガロウがちょっとおかしい。…余韻に浸る間もないや。…さっきの昼食をまだ引きずっているんだね。



「ガロウ―。付き合うってそう言う意味じゃないよー」


カレンがそう言って二人の方を見ると、「ザッ!」という音とともに砂煙が舞い上がり、肌とはだがぶつかり合う音が響いた。



ガロウがあんぐりと口を開けている。…わたしの弟ってここまでアホの子だったっけ?



「あ…、ああ、そりゃそうだよな。うん。付き合うってそう言う意味だよな。あははー」


…気づいたみたいだね。よかったよかった。…気づかなかったら鎌の逆側で一撃をあげる必要があるかとおもったんだけど。



「今一瞬寒気が!?」

「ガロウ。風邪ですか?昨日のこともありますし…」

「いや、違う。なんかこう物理的に」

「…大変だね。ガロウ。あったかくしとく?」


「お前が言うな」的な目で見られた。…解せぬ。…ま、いいか。二人の動きを見ていよう。



お父さんがお母さんの胸へ殴りかかり、お母さんはそれを軽くいなす。お父さんの腕を掴んで、肘を曲げちゃいけない方に曲げようと肘を振り下ろす。



それをお父さんは殴る勢いを生かして前転して回避。そのついでに足でお母さんの顔を狙う。だけど、お母さんは深追いすることなく、お父さんの回転を利用して避けて、距離を取った。



…綺麗だ。全部が全部流れるよう。…わたしレベルじゃないとわからない隙、誰でもわかる隙もあるけど…、わざと作ってるみたい。



…ひょこひょこ釣られたら痛烈な反撃があるね。…どこかで型を習ったのかな? …それにしても、どこか変な気がする。…何でさっきから二人ともわざと一番反撃の大きい隙を狙っていっているんだろう?



…稽古のはずなのに殺気まみれの攻撃があるのは何で? …ああ。一撃必殺の流れを作る起点の技なのね。



…綺麗だな。…間違いない。型はやっぱりどこかで習っているはず。…違和感は拭えないけど。



…というか型を習っていてくれないと、何で近衛のわたしよりも綺麗で上手なのかわからない。…「習っていた」って言って。



…いくらお父さんとお母さんでも、「独学」って言われたら、わたし、泣くよ? …主にわたしのルキィ様の近衛としてのプライドの問題で。



「特訓しねえの?」

「…するよ」


…もっと見ていたいけど。ガロウの言う通り、二人に言われたことはやっておかないと。

明日困るのは私たちだ。



…怖いけど、後で型をどこで習ったか聞こう。







______


「晩御飯ですよー!」


リンパスの声が響いた。その声でやっとお父さんとお母さんは動きを止めた。



鐘二つ分……4時間だっけ? その時間を延々とやってた。…よく体力もつよね。



…いくら魔法でごり押しが効くからって滅茶苦茶だよ…。それに水分補給方法もおかしかった。何で、動いたまま出来るの? 何で互いに飲ませ合ってるの?



…さすがのわたしも二人だからという理由では納得できないよ…。普通、口に直接水を突っ込まれたら気管に入って咽るはずだし、そもそも口に入らなかったりするはずだもん。



…というか。…あんな曲芸(変態)的な技で水分補給するぐらいなら、一時停止して飲んだほうが早いと思うの。



…まぁいいか、ガロウにも「諦めが大切だよ」って言ったしね。…わたしがちゃんと実践しないと。…そもそも、二人の今の原動力が、最初にわたしが二人を好きになった「過剰とも言える家族愛」なんだから変態的なこともするよね。



…とりあえず夕食をたべよう。…いつの間にか目の前にあったけど冷めたら美味しくないもの。



…うん、美味しい。…でも、そろそろ二人が作ってくれた料理が食べたいな。…お菓子じゃないものを。明日明後日は自重しないといけないからその後。



…あ。そうだ。聞かなきゃ。



「…そういえば、お父さん。お母さん。二人はどこかで型を習った?」

「ん?俺は一応あるよ?」

「私もありますよ」

「…どこで習ったの?」

「近所の男友達の家」

「私はおじいちゃんの家ですね。…家の横ですが」


…うわぁ。



「どうしたアイリ?」

「何で変な顔になっているのですか?」


…うぐ。そんな純粋な目で見ないでよ。…誤魔化せないじゃない。



「…やっぱり二人の世界って修羅なの?」

「「そんなわけないよ(ないですよ)」」


…思い切って言ったら揃って否定されてしまった。



「何でそんなこと聞くの?」

「前も聞かれたような気がするのですが…」


…そんなこと言われても、すごく言いにくいんだけど。…わたしの負けだね。言おう。



「何でそんな殺人的な型を教える道場が近所にあるの?」

「「殺人的…?」」


・・・あれ? 何で伝わらないの? 見てる限り、かなりいやらしくて、エグイ。そして殺人的な型だったんだけど…。



「俺の習った久我の型は徹底的に守る方だよ?」

「私のおじいちゃんの清川もそんな感じですよ?」


…守る? あれで? 「肉体か心を砕こう。どうやっても無理そうなら黙らせよう!効率的に」を地でいくあれで?



…あっ。違和感の原因わかった。



「…二人とも、型。改造したでしょ?」

「そりゃするでしょ。基本は守るけど、発展させないと」

「型は基本誰でも出来る、超重要な土台部分を固め、」

「そして、その上を積み上げ、たびたび型を用いてそれらを補強するものだろ?」


…至極真っ当なことを言われた。



確かに、「型」は大小あれど、万人がそれなりに出来る「土台作り」兼「基礎確認」なのは間違いない。それを発展させるというのもそう。



…だけど、二人の発展のさせ方はどうかと思うな…。…二人の故郷って、平和なんだよね。修羅じゃなくて。



…というか、よく考えてみると元の型もなかなかえげつない。たぶん、「殺さず、的確に相手の嫌がることを。それで身を守ろう。…こっちの安全を優先するから、相手は生きている方が良いとは言えないけど」というもの。



…やっぱりどう考えても修羅だよ。なんで、そんなものを教える場所が二人の家のそばにあるのさ。



「なあ父ちゃん、母ちゃん。他に父ちゃんの型教えるような道場ってあるの?」

「さぁ?俺の知ってるのは久我と…、あともう一個、どこだっけ?」

「私も清川と…、あともう一つですね」

「クガとキヨカワは同門なのですか?」

「「違(います)よ?」」


…え? ちょっと待って。何考えてるの二人。微妙に違うエグイ型で型試合なんて死ぬ…、って、理由は簡単だね。



…わたし達のため。…かなり自分勝手で偏愛的だとはわたし自身思う。だけど、それでも、嬉しい。



「あれ?清川とは同門じゃなくて…、」

「何故かうまく噛みあっていましたね…」

「父ちゃんと母ちゃんだからじゃねぇの?」

「「あ」」


突如膝をついた二人。ガロウがおろおろしている。…大丈夫。ガロウ。羞恥ではないから。



「『宿敵清川』か…」

「『好敵手久我』ですか…」


その後もポツリポツリと互いに会話しているんだか、していなんだかわからない声が漏れた。



…いまいち要領を得ないね。頭で整理しておこうっと。



ええと、「もともと同じ流派だった」から、お父さんの同級生の親がやってる「クガ」と、お母さんのおじいちゃんがやってる「キヨカワ」は道場同士で交流はあって、一か月に一回は交流試合をしていたと。



で、二人も腕はいいから何回も誘われた。それで二人とも何回か参加していた。で、試合関係のない交流会もあった。にもかかわらず会えなかったと。



どっちかが参加しているときに休んだ理由が、宿題をさっさと片付けたい。だとか、今は本を読んでおきたいとかのしょうもない理由だったのが辛いと。



…うん。二人とも呪われてるんじゃないかな? …わたしの食欲も大概だったけどさ。…恣意的なものを感じるよね。…聖魔法を撃っても効果ない時点でそんなものないのは間違いないけど。



「なぁ姉ちゃん」


腕を引かれた。ガロウの目は不安に揺れている。



「あれで二人は本当に勝てるの?」


耳元でそうささやいた。



「「勝つ」」


返事をしたのは二人だった。…さすがだ。







______


二人は一切気負うような様子も見せずに、寝て、朝食を取り、朝の色々をこなすとようやく神前決議場(ジャミーダ)に入るために必要な衣装に着替えた。



…いつもと変わらない。…気負わないというよりも、ふてぶてしいというべきかな? …ま、そのほうが頼もしいかな。



…二人は何着もある衣装から、真っ白な衣装を選んだみたい。


「何でそれー?」

「ん?白いほうがいいだろ?死に装束っぽいし」

「ま、私たちは死んだわけでも、死ぬわけでもありませんが」


…死に装束っぽいって…、確かに白いけどさ…。…死に装束は、死者かこれから死ぬ(切腹する)者が着る衣装だよ……。



…あ。なるほど。…神前決議場(ジャミーダ)では死ぬことはない。だけど、死ぬ覚悟はとうに出来てる。だから、死ぬ気でやるから死ぬ気で来い。と。



…「全力でやってくれない」こと、二人はそれが本格的に嫌なんだね。…つまらない言い訳をされたくないから。



案内に来たリンパスに引き連れられ、神前決議場(ジャミーダ)へ。小さいくせして存在感だけは圧倒的な朱色の門に、何かがいるという気配がひしひしと伝わってくる建物。ここが神前決議場(ジャミーダ)。…神を脅すわたしでさえ、そう思わずにはいられなかった。



「四季、鳥居あるよ」

「真ん中通っちゃダメですよ」

「知ってるよ。でも、ありがとう」

「どういたしまして。奥は本殿ですかね?」

「かもね。御神体が置いてあればほぼ神社だね。これ」


…二人は自然体だ。



関係者、すなわち、わたし達と群長達。そして、戌群人たちだけが建物の中へぞろぞろと入る。



ここが、神前決議場(ジャミーダ)。神が見届けるから、観客は要らないだろう? と言わんばかりに、眼前には触れがたい清浄な気を纏った舞台があり、奥に神が、そして首長がいる場がある。



目を凝らせば、神が見ていても、人も見ていたいのです。と主張しているような小さな小さな目立たない観客席が壁と一体化して、ぽつんとあった。



「では。皆さま、所定の位置へ」


リンパスの掛け声。それで、お父さんとお母さんは戦いの場へ。わたし達は群長達と観客席へ。リンヴィは既に所定の位置だ。



「観客は私達だけですが、問題ないでしょう?」


席に座るなり、わたしを見てそう言った。…わたしがこの中で一番面倒くさいのはバレてるよね。



「…ん。ないよ。「実際に神が見ている。例え気のせいかもしれなくても」というこの場なら」

「誰もがー、結果に疑問を持つことを許されないー」

「それに、嘘をつくことも許されねぇ……か」

「シュファラト神に不誠実ですものね…」


わたし達の答えにリンパスは誇らしそうに頷いた。…場違いだけど、「リンヴィ様が首長から離れられないって最高ですよね!」とかほざいた姿がよぎってしまった。…ギャップが凄い。



…そんなことより二人は…。ああ、いたいた。



下から見れば、中の様子は窺えなかったのに、ここからは全体の様子がよく見える。二人も、100人も、そしてリンヴィとその後ろに鎮座するご神体(シュファラト)も。



「…まずは着替えようか」

「何で!?」

「リンヴィ様からの指令です。ここに来る前に着替えてしまうと、100人に邪推されかねませんから」

「おとーさん達からもー、言われてるよー」


困惑していたけど、二人もその一言で、お父さん、お母さんと、わたし達と同じ白い着替えを手に取った。



…うん。それでいい。後で全部説明するから。今はそれで。…今は疑問を呑みこんで見ていて欲しい。…確実に動揺するから。



…また不安になってる? …着替えたことで気持ちが高ぶった? …何も言われてないから動揺してる?



…ここは、わたしが姉としてしっかりしないと。



「…二人とも、大丈夫。二人を信じて」

「そーだよー」


言葉はこれ以外にいらない。というより付け足せない。…わたしの想いを受け止めきれずに空虚になっちゃう。



その代わりに手を握る。ガロウとレイコから、わたしとは違う、二人を心配に思う気持ちが伝わってくる。



…やっぱり、わたし達の弟、妹だね。あ。そうだ。これを言っておかないと。



「…二人とも。お父さんとお母さんを怖がっちゃダメだよ」


…何でそんなきょとんとした顔するのさ。…何で笑うのさ。…むぅ。…わたしの方が背が二人より低いから、言い聞かせるように言ったのがツボにはまったの?



「ごめんよ。姉ちゃん。でも、それくらいわかってるよ」

「ええ。(わたくし)達がお父様とお母様に感じる気持ちは、いつだって信頼です」

「たまに不安がってるけどねー」

「カレン姉ちゃん…」


…台無し。でも、そっか。それならいいや。



…少なくとも、二人の今着ている服の色は白ではなくなる。そんな確信とともに、リンヴィの声が響き渡る。

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