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白黒神の勇者召喚陣  作者: 三価種
4章 獣人領域
127/306

118話 3つの隙間

「へい!ちょっと俺っちのところに集合!」


 サンコプさんのノリが軽い。彼も混乱しているのかな? とりあえず指示に従っておこう。集合するついで、他に隙間がないかを確認しておこう。



 ……うん。他に隙間はないっぽい。



「何で夫妻、前から来るんだ?」

「ついでにあの列を完全に探しきっておこうと思いまして」

「私もその考えです。隙間を探すだけでしたら見間違えることもそうそうありませんから…」

「さよか。…俺っちも待ってる間に探してたから人のこと言えねぇか…。で…、隙間だが…」


 ? 何で言葉が切れるの? どことなく汗を掻いているような……? まさか。



「場所を忘れた?」

「ちっちがう!あ。ここだ。ここが俺っちが見つけたところだ。さっきのガワを突っ込んでみたらちょうどだった」


 語るに落ちるとはこのことか。「あ」とか言っている時点で……。ジィーッと彼を見つめると、少し顔を赤く染めてカパカパと本──正確にはカバー──を出し入れするサンコプさん。



 こんな無駄に大きな本でそんなことするなんて、よっぽど誤魔化したいんだろう。



「サンコプさん。そんなことされなくても」

「私達、ちゃんとその本が隙間に入ることぐらいならすんなり信用できるほど、あなたを信用していますよ?」

「うわっ。こいつらひでぇ!狙ってやってやがる!」


 やられてばっかりだと少し腹が立つからね。わかってて的を外したことを言ってみた。ちょっとした仕返しだ。



「チッ…。まぁいい。俺っちも他のやつにたまにされっからな…。仕返しするけど」


 紫の目が意地悪く俺達を捉えて輝いた。……絶対仕返しされる。あれ? でも……、よく考えたらこの人の生きがいって人を揶揄う事だったはず。じゃあ、やっといてよかったのか……?



「おーい。夫妻?思考の迷宮に突撃している暇があるなら、さっさと案内して欲しいんだけどー?」

「あ、では俺から」

「では、私が習君の次に」

「頼んだ。じゃあ、行って」


 俺の後ろを、尻尾をくねらせながらサンコプさんが進む。……あれ? サンコプさんは、さっき俺が考えてたことぐらい読んでるはずなんだけど?



 振り返るとニッコリと首を傾げられた。答えてくれる気はなさそう。







_____


「で、結局3つ全部に入ったな……」


 む。まるで、俺達が嘘をついてたみたいな言い草。



「あー。すまんすまん。夫妻のことは信用してるぜ。そもそも、しょうもない嘘をつくようなたまじゃねぇのは承知してるさ。だがよぅ…、言わせてくれよ。何で3冊分も隙間あるんだよ……」

「それもぴったり同じサイズのモノばかりですね。何か思い当たる節はないのですか?」

「思い当たるもん?……わかんねぇな」

「このサイズの本の共通点とかは?」

「共通点?サイズが同じ……すまん、嘘。いや、嘘じゃねぇけど!夫妻が聞きたいのはそう言う事じゃねぇよな」


 そりゃそうでしょ。何で改めて、サイズが同じことを確認せにゃならんのですか。



「あの汚い色はチヌリトリカの色なので…、そういう宗教関係の本という事は?」

「そんな宗教なんざうちにはねぇなぁ…。だって、ほら…」


 あ。察した。首長教みたいなものがあるんだと思う。それか、宗教ではないけど、宗教といってもいいぐらいになっているか。どっちかだ。少し怖く思えるのは俺が日本人だからなのだろうか?



「一応、この世界の大部分はアークライン教だぜ?シャイツァー持ちは大抵そうだ」

「一応、なんですか?」

「おう。だって、勇者召喚とかあっても、大部分の奴らは関係ねぇしな。そもそも神話もよくわかんねぇし。あ。今読むなよ!?」


 一瞬、「信用ないですね!?」と叫びそうになってけど、残念でもないし当然の扱いだった。普通に複数冊読んでた。



「てか、他の宗教とかあるのか?」

「俺らだって詳しいわけじゃないですが……。ありましたよ。ほかならぬアークライン神聖国に」

「聖地じゃねぇか…」


 うんざりしたようにいうサンコプさんに俺も四季も頷きを帰すと、サンコプさんはますます何とも言えない、微妙な顔になる。



「管理下手糞かよ…」


 「ここも言えないんじゃ」なんて言葉が口から出かけたけどなんとかこらえた。セーフ!



「夫妻。二人とも俺っちに伝わってる」


 アウトだった……。



「まぁ、確かに、人様の事言えねぇな…。禁書無くなるなんて」

「禁書区画に入った人とかいないのですか?」

「調べてみるか。そのために、ちょっと区画から出てほしい」


 「速く出て」と目でせかしてくるサンコプさん。でも、困る。だって、



「どこまでが区画なのか分からないのですけど」


 区画の説明受けてないもの。この本棚一列で禁書区画が終わるのか、まだもう一列あるのか、それとも、本棚の途中で区画が始まってるのか…、わからないと二度手間三度手間だ。



 そう思って、俺が言えば、サンコプさんはちらりと四季の方を見る。四季も「私もわかりません」とばかりに頷いた。



「うっへぇ…。普通は禁書区画の境界を超えるときに何か感じるはずなんだがなぁ…。何故だ?」


 あれ? 言外に俺らが鈍いって言われてる?



「言ってねぇぞ。そもそも仕組みがよくわからねぇもん。これの。これは過去の勇者の遺産。どこの誰が作ったか、いつ作ったか、これの真の目的も、わかんねぇ。勇者関係の謎を基本「勇者だし」で済ませた弊害じゃねぇか?」


 その割にサンコプさんも「勇者だし」で片付けていたような。



「うるせぇ。自分の認識の埒外にあるもんはそれで片付けたくなるんだよ。話戻すぜ。区画は丁度、夫妻の後ろだ。白黒の2重線からこっちの区画が禁書区画。さぁ、出て出て。調べさせろぃ」


 誤魔化すサンコプさんに押し出されるようにして外へ。範囲外から振り向くと、もう廊下の隅でしゃがみこんでゴソゴソと作業をしていた。



「習君。私…、ここが図書館なのはわかってるんですけど…、サンコプさんが毒か何かをいじってるように見えるのですが」

「蛇だしねぇ……。目も紫だし。足元の白黒の二重線がうねって渦を巻いているのが特に」

「ですよね。まさに、とぐろを巻いた蛇って感じですよね」

「夫妻ぃ!?俺っち分析してるって言ってるでしょ!?」


 わかっていても、そう思ってしまった&話してしまったので…。



「この仲良しが!む?これは…」

「どうしました?」

「すまん。夫妻。ちょっと手を貸してくれ。俺っちの手を握ってくれ」


 よくわからないけれど、二人で彼の右手を握る。



「何で二人とも俺っちの右手握るの!?説明不足だったけど、普通、別々で握らねぇか!?」


 そうなの? でも、説明受けてないし…。それに、サンコプさんの左手を握ろうとすると、禁書区画に入ってしまいそうだったから近いほうを選んだんだけど。



「あ。そうなの。仲いいから離したくねぇのかと思った。とりあえず、どっちでもいいからもう片方握って」

「じゃあ、俺が」


 握ってみたけど、これで何がわかるんだろうか?



「夫妻。二人とも今日ここに来たの初めてだよな?」

「ええ。そうですが。それが何か?」

「血の繋がりのある子供はいなかったんだよな…。あれぇ?何でだ?」


 なんか一人でブツブツ言いはじめた…。答えはもらえそうにない。



「ハールラインは関係ないのですか?」

「ん?シキ?ハールラインって誰?」

「「屑」」


 四季だけ聞かれていたけど思わず俺も答えた。けどまぁ、好きになる要素がないからねぇ。



「あー。思い出した。確か、内戦起こしたんだっけ?」

「「それは割とどうでもいいです」」


 いいのか.…? と言う顔をしているサンコプさん。だけど、俺らからすると割とどうでもいい。知らない人より知ってる人だ。こっちに被害なく止めれるなら止めるけど。



 だけど、レイコの故郷を傷つけてレイコとガロウを苦しめたこと、レイコの力しか見てなかったばかりか、無理やり力を奪おうとしたこと。こっちの方が大問題。そりゃ、あのとき、レイコも自分の力わかってなかったけどさぁ…。



 それを無視しても、俺らに喧嘩売ってるとしか思えない。そんな喧嘩は言い値で買うよ? ただし、お題はこっちが指定するけど。お題は、(心臓含む)心でいいよ。



「回想だけで怒ってやがる…」

「最終的にリンヴィ様に踏み潰されましたけど」


 捕まえて裁判にかけるわけでもなく、リンヴィ様が略式裁判で死刑にしたけど。って、サンコプさん、どうしました? 何で一人で納得してるんです?



「ありがとう夫妻!思い出した!あいつだ!」


 感謝されても、説明してもらわないとわからないです!



「あいつって、誰です?」

「わざわざ俺らの前まで来て戦争訴えたやつがいたんだよ。会議中に潰したけど。多分そいつだ!」


 …聞いてもわかんないことに変わりなかった。わからないってことがわかった。



 彼にどう声をかけたらいいの? 俺らとサンコプさんとの情報量に差がありすぎて、反応の正解がわからない。「ナッ、ナンダッテー!?」と言っておけばいいのかな?



「よかったよかった。解決した!」


 どーでもいいこと考えている間に、なんか終わったことにしようとしてる!? 「あいつ」のことは諦めるとしても、全然解決してませんよ!?



「本!サンコプさん本!消えた2冊見つかってませんよ!?」

「そうです!持ち出した犯人が分かっただけでは解決にはならないと思います!」

「だいじょーぶだいじょーぶ」


 俺らとのテンションの差がひどすぎる。口を開こうとした俺達をサンコプさんが窘める。



「だってさ。禁書はここから持ち出されたものであれば、追跡できるんだぜ?で…、確認したらもうこの世にないってさ。リンヴィ様に焼かれたんだろ」


 情報伝達不足がすぎますよ。



「確かに。俺っち疲れてるのかね?抜けてることが多いな…。俺っちらしくもない」

「「それはないです」」

「あ、そう?」


 全力で俺らを揶揄ってたのに何言ってるんだこの人…。



「あ゛。でも、今みたいな浮く本あったら別だな…。調べなおさにゃならん」

「あ。じゃあ、俺らが呪いをまとめて粉砕しましょうか?」


 サンコプさんが疲れたような顔でしみじみと言うので、思わずそんな言葉が出た。



「出来るの?出来るなら夫妻に任せたいけど……」


 嬉しそうな目でこちらを見てくるサンコプさん。…こりゃ、口が滑ったとか言えないね。「ごめんね」と四季を見ると、彼女は「仕方ないですね」と肩を竦める。



「…ごめん」

「冗談ですよ。怒ってませんから」

「四季」

「おーい?」


 「ありがとう」と言う前にサンコプさんに遮られた。アメジストの目が揶揄うみたいに輝いている。「いちゃつくのやめろ」と直接言われるよりも少し恥ずかしい。早速、仕返し…?



「コホン。先ほどの質問の答えですが、俺らなら出来ます」

「確認ですが、禁書はここにある分で全てですよね?」


 恥ずかしがってばかりもいられないので、二人そろって気持ちを押し殺して言った。



 ……その目やめてください。何か言ってくれないと頭破裂してしまいそうです。



「ああ。禁書はここにあるものが全て。呪い解除を施した術者を呪う呪いもあるが、大丈夫か?」


 目線に根負けしたのか、気分を切り替えないといけないと考えてくれたのか情報をくれた。まぁ、厄介な性質をお持ちなことで…。だけど、問題ない。



「その呪いもろとも全ての呪いを粉砕します」

「え゛。出来んの?勇者だから出来っか…。でも、本当に出来る?失敗して酷くなったりしない?」

「ええ。大丈夫でしょう。というわけで、習君。紙です。割と本気で作ったので…」


 「習君も割と本気でお願いしますね?」とばかりにウインク。その様子は思わず見惚れてしまいそうなほどに綺麗だ。見惚れるとまた揶揄われる。だから誤魔化すように書きやすいように机に移動する。



 サンコプさんが笑いをこらえるような声をあげている。たぶん、俺が「何で四季はこんな風に、天然で俺をドキッとさせることをするのかなぁ!?」って叫びたいのがバレたんだろう。



「書いている間の護衛はお任せください」

「あ。ありがと」


 いつの間にかそばにいた四季の顔を見て動揺しそうになったけど、怪しまれはしないはず。根拠はないけど。



 …そういえば、また禁書に襲われる可能性もなくはなかった。だから来てくれたのか。不安要素もなくなったし、サッと書き上げてしまおう!



 字は『浄化』でいい。区画全体を覆えるようにして…、さらにその中の全ての呪いを粉砕できるようにする。……よし。イメージはこれで。



 さて、字を書いていこう。込められた魔力が多いから、ペンで紙を撫でるように書く。というわけにはいかない。すごく書きにくい。何というか、書くというよりも、紙をペンで抉っている感じ? ……実際に抉ろうものなら本当に抉れちゃうんだけど。



 とまぁ、苦戦はしたけど書けた。疲れた…。



「はい。どうぞ」

「ありがと。ところで、四季は大丈夫なの?」


 四季からもらったタオルで汗を拭きながら尋ねる。



「私ですか?まぁ、疲れはしていますが…、習君に比べると、紙を取り出すだけですので」

「俺より楽だって言いたいの?」


 四季は頷いた。そんなことないだろうに、何を言っても聞いてくれなさそうな顔してる。



「ま、片付けてしまいましょうよ」


 くるりと向きを変えて走る四季。使った魔力量は同じくらいだろう。俺が大丈夫だから大丈夫……かな?



 俺も人のこと言えないけど、四季は出来るだけ辛いことを悟らせないようにしようとするきらいがある。少し心配。原動力は俺と同じでみんなに心配かけたくない。



 …ま、早く片付けようか。



「あ。サンコプさん。区画の中に人は?」

「誰もいねぇ。頼んだ。」

「あ。そういえば、許可とかいらないのですか?」

「浄化の?いらねぇよ。今までできるやつがいなかったから放置されてただけで、処分できるに越したことはない」


 じゃあ、大丈夫かな。



「じゃ、やるよ」

「はい。やりましょう」


 手を繋いで…っと、



「「『『浄化』』」」


 唱えた瞬間、紙が消え、光が爆ぜる。爆ぜた光は禁書区画だけでなく、図書館全体を包み込む。だけど、その光は眩しいものではなく、見ているだけで心を落ち着かせてくれる優しいもの。とはいえ、本を読んでいる最中にこんな光で照らされたら鬱陶しいことこの上ないが。



 光はまるでオーロラが揺れるように、ゆらゆらと数回瞬くと、何事もなく消え去った。



 浄化完了……かな? って、ちょっと待って。何で本が飛んでくるの!? いや、これは……単に吹っ飛んできただけ!?



「四季!」

「はい!いつでも!」


 サンコプさんは……、ちゃんと俺らの後ろにいる!



「「『『壁』』」」


 唱えて紙と引き換えに壁を出現させる。壁の向こうで、「バサバサバサッ!」という音が鳴り、「ガタンゴトッ!ドシーン!」という音が響く。



 向こうは地獄絵図。間違いない。30秒ほど音は鳴り続け、止んだ。さらに30秒待ってみても、反応なし。今度こそ終わった?



 うん。終わったね。何もなさそう。にしても、何故……? 今の『浄化』には、物理攻撃する要素なんてなかったはずなんだけど。



「あの音の原因は簡単だ。ここには、あの本みたいな飛ぼうとしていた本がまだあったみたいだ。で、魔法で飛ぶのを無理やり抑えていたわけだが」


 呪いが無くなって、外に出ようとする力が無くなる。そのために、抑え込もうとする力で内側に吹き飛び、本棚を突き破った。それが連鎖してドミノ倒し…と。



 理論はわかるけど、頭が理解を拒否してる…。何で内側に吹っ飛んで、本で棚に穴が開くんだ。



「見たくないけど壁消してくれ」

「はい。了解です」


 壁は元からなかったみたいに消えて、壁に遮られていた本が「ドサドサッ!」と少しこちら側へと溢れてくる。



「…せめて何か一言掛けようぜ。まぁ、俺っちが頼んだんだけど…。かけた時点で心構えしとくべきだったんだが…。まぁ、予想通りひでぇことになってんな」


 目の前には散乱する本と棚。ぐっちゃぐちゃだ。整理するの面倒くさそうだ。



「今からここは休館だな…。ひょっとしたら呪いがあるかもしれんし。ああ。夫妻を信用してないわけじゃねぇぜ!?」


 そんなに慌てて訂正を入れなくても…。承知してますよ。



「あふれた本は…、呪い的な意味では大丈夫だろ。内容は知らないが」


 例えば? と聞こうと思ったけどやめた。正確には察した。目の前に散らかる本のタイトルで。読んでるだけで頭がピンクや赤、青に染まりそうなものばかり。



「もしかしたら残ってるかもしれない呪いは、群長で対応せねばならねぇか…。だが、協力ありがとう。呪いはおそらく除去できた」

「感謝は、今じゃなくてもいいんですよ?」

「そうですよ。この惨状ですよ?」


 片付けに参加してからだったら納得できるけど…。今の口ぶり的にそこまでは望んでないだろう。



「いーの。今がいいのさ。じゃないと気持ち悪いじゃん?」


 おどけた口調。だけどそこにこもった感情は本物だ。であれば、仕方ない。



「とりあえず、子供らの部屋に案内する。来てくれ」


 サンコプさんはそう言って図書館を出る。俺らも追従して出ると、サンコプさんはドアを閉め、「休館中」と札をかけた。



 休館中? 元からそうなんじゃ…。



「司書もいねぇから年がら年中休館みたいなもんだが」


 また心読まれた。それはいいけど、わかっているなら対処すべきでは?



「無理。図書館勤務希望者は、リンヴィ様の本が好きなやつばっかりだ。で、配属されたらこっち……んなの暴れるぞ?」


 うわぁ…。



「皆小さいリンパスみてぇなもんだぜ?まぁ、最大の問題は、図書館を管理する部署の奴も、その上も、その上の群長もみんなリンヴィ様が好きだから文句は言えねぇ。ああ。そんな目で見るな。訂正するから。言えねぇんじゃねぇ。言う気がねぇ」


 「嘘だぁ」という目をしていたからか訂正された。だけど、訂正された方がもっと救いようがなかった。司書がいない理由が、想像よりもひどいとか…。



「まぁ、こまけぇことはいいんだよ。行くぞ。夫妻の子供があそこで待ってる」


 サンコプさんは歩き出す。歩いて行く建物は塔には及ばずともかなり大きな和風の建物。塀で囲まれているため全容は見えないけど…、たぶん寝殿造り(母屋だけだけど)だと思う。

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