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白黒神の勇者召喚陣  作者: 三価種
4章 獣人領域
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97話 VSハールライン

ガロウ視点

 レイコが俺を父ちゃんと母ちゃんからもらった紙で後ろから援護し、俺が彼女を守る。

…いつだったかレイコと一緒に読んだ物語の騎士と魔法使いみたいだ。



 とはいえ、俺のやることは変わらねぇ。ハールラインの攻撃を捌き、隙を見て一撃を叩き込む。それだけ。それ以上でもそれ以下でもない。単純に俺が魔法を使う余地がないだけなのだが。紙を取り出している間に弾き飛ばされちまうぜ…。



 レイコはレイコでやることを見つけてくれるだろう。回復とか。攻撃は……、考えなかったことにしようか。背中が痛む。攻撃のアシストはカレン姉ちゃんに頼ろう。矢を的確に飛ばしてくれているしな。



「『ウォーターレーザー』」


 レイコの声が響く。少しビクッとした途端、俺とハールラインの間を頬に冷や汗を流させるには十分な迫力を持った一条の水流が、音を立てて突っ切っていった。



 怖っ!? 俺、今初めて物語は物語の中だけにして欲しいと思ったかもしれねぇ。なんであの騎士はこんな状況でも戦えているんだ…。



 ああ、でも父ちゃんと母ちゃんも似たようなことやってんのか。すげぇ。



「フフフ…、いいですねぇ。その魔法。いただきたいぐらいですよ!」

「声引きつってんぞ」

「なっ!?気のせいです!決してビビったわけではありません!」


 興味はないが煽ってみよう。隙が出来るかもしれねぇ。



「なら。何故やらなかった?」

「え?えーと、それは貴方とこの矢が鬱陶しかったからですよ!」


 明らかに嘘。今考えました感満載。



「納得しましたか?」

「全然。とりあえず刺さっとけ」


 俺の方だけを見ていたので矢が後ろから迫っていることに気づかなかったらしく、見事に刺さった。ざまぁ。…むしろなぜ納得すると思ったのかを聞いてみたい。



「『ロックランス』」


 レイコの口から紡がれた言葉。それによって岩の槍が飛んできた。俺の方にな! 一直線に並んでたけど、もうちょい周り見ようぜ!



 しゃがんで回避。ハールラインもそれに続く。あいつからはいきなり岩の槍が出てきたように見えたはずなんだが…。ハールラインの運動神経がいいのか、レイコのコントロール力がなさすぎるのか、それまた別の要因があるのか、兎も角、岩の槍は何にも掠らず空高くへ飛んで行った。



「すごいですねぇ!流石はレーコ様といったところでしょうか!火や水に加えて岩まで魔法でだせるようになっていらっしゃるとは!」


 よほど嬉しいのか、さっき岩の槍が直撃しかけたことは忘れてこれ。顔が掃討気持ち悪いことになっている自覚はないだろうな…。



「火?氷…?何をおっしゃっているのですか?わたくしは…」

「レイコ。余計なことは言わなくていい」

「む?まだ何か隠しておられるので?いいですねぇ~」


 実に腹立つ言い方であるが、うまく勘違いしたようだ。レイコはあのことを思い出さなくてもいい。いや、思い出す必要はない。あれを知っているのは俺だけでいい。だが、それよりも…確認しねぇといけねぇな。



「おい。ハールライン。お前…」

「はい。何でしょう?」


 俺程度の威圧では無意味と嘲笑うように飄々と答えた。だが、攻撃を止めたから話を聞く気はあるようだ。このまま時間稼ぎ…は無理だろうな。この機会を生かして話は聞いておかねばいけねぇ。



「貴様。そのことをどこで知った?」

「そのこと…?」


 こいつ、わかってるくせに! ふざけやがって…!



「レイコの魔法の事だよ!」

「あぁ…。そのことですか…。答えは簡単ですよ」


 口の前に指を一本立て、演技じみた言い方で、



「実際に神の御業を見たのですよ。それが何か?」


 いけしゃあしゃあと言ってのけやがる。こいつ……! いや、落ち着け落ち着け。十中八九こいつでも、まだ確定じゃない。確認しないと…。カレン姉ちゃんも空気を読んでくれているのに俺から潰すところだったぜ…。



あれ(・・)は貴様の仕業か?」

「大正解!なんてったって神ですからね!?実際に見てみたいと思うのが、普通の事ではありませんか?」


 頭の中で「ブチッ」と何かが切れる音がした。



「死ね」


 体中から魔力をかき集め、一点に…爪に集中させる。これで殺してやる!



「ガロウ!冷静になってください!そんなに魔力を纏っていては…!」


 レイコの戸惑うような声。ハッと我に返って踏み込みをやめようとしたが…。『グリック』がピカッと光った。手遅れか! いや、まだだ! 魔力の集中を解く!



「残念ですねぇ。もう少し踏み込んできてくれればよかったものを…!」


 よし、間に合った…! が、



「ッッ!」


 その代償に『グリック』が俺の爪を粉砕した。



「なっ…!『回復』!ガロウ大丈夫ですか!?」

「ああ。大丈夫だ。問題ない!」


 嘘だ。傷は癒えて爪も治ったが、痛みは治まらない。そして抜かれた魔力もどうしようもない。



「チッ。レーコ様も余計なことを…。まぁ、いいでしょう。俺は今のでまだ強くなれますよぉ!」


 少し動きが早くなった。…俺が痛みで動きが鈍っただけかもしれねぇが。それでも、レイコのおかげで助かった。あの声がなければおそらく魔力は全て抜かれて、もっと強化されていたに違いない。



「『ファイヤーボール』」


 レイコの声。だが、ハールラインの目が爛々と輝いたのを俺は見逃さなかった。こいつ、これも吸収する気か! チッ…、さっきの俺の馬鹿野郎がっ!



 だが、この距離なら十分時間はある! しまい込んだ紙を取り出す。



「『ウォーターボール』」


 紙から出した水球で火球を破壊する。



「あぁ!直撃したら痛かったかもしれませんよぉ!?」

「下手糞な嘘言ってんじゃねぇぜ!嘘を言うならまずは、声色を偽ることを考えな!」

「俺の演技が完璧すぎて無駄な行動。言葉を言わせてしまって辛い。すまない…。すまない」


 こいつ馬鹿なんじゃないだろうか。こいつ自分の欲望が絡むところ以外は、雑魚なんじゃないだろうか? その分戦闘できるのが腹立つ。



「…バレてます?」

「さっきそう言っただろうが!」

「悔しいですね…」


 この阿保の相手はどうでもいい。落ち込んでいるうちに攻撃を激化させることぐらいはするが。



 それでもこいつ、普通にある程度捌いてくるんだよな…。問題はレイコだ。レイコがこのことで以前のことを思い出したりすると怖い。



「レイコ!気にせず頼むぜ!」

「はい!」


 何かをうじうじと考えていたようだが吹っ切ってくれたっぽい。よし。



 同時にハールラインも復帰したようだ。キレが戻った。父ちゃんと母ちゃん並みに凹んでてくれてもよかったのにな!



 クソ! 被弾を抑えられない…か! 『身体強化』は魔力を抜かれそうだから出来ない! だから当たったらいつもより痛い! 今はかすり傷や軽い裂傷ですんでいるが…、これが続くとどうなるか…。



「『回復』」


 レイコの声が飛んで来ると傷が塞がった。回復できても致命傷はどうしようもないから避けないと。



「おお!回復までこなせるとは…!」

「お前は黙れ。矢を目に受けて死ね!」

「貴方が手を下すのではないのですか!?ハッハッハ!天才たる俺には敵わないと思っての言葉でしょうか?俺も鼻が高い!実に分をわきまえた発言です!」


 うっぜぇなこいつ! 輪をかけてうざい!



「口を矢で縫い付けんぞ!」

「ハハ!同じことを2度は申し上げませんとも!ええ!」


 …前思いっきり馬鹿と言いまくっていたはずだが…。頭の中が幸せなのだろうか?



 こんな奴にでもついていく獣人は居るんだよなぁ…。見目がいいからか? 俺と話していると阿保にしか見えないが。きっとまともなんだ。たぶん。



 こいつ、強いしな。強い奴にひかれるのはわからなくもない。



 …まぁその取り巻きからも巻き上げているらしいが。



 しゃがんでハールラインの足を回避。腹に入れても効果がないだろうから顔めがけて頭突き。痛ぇ! こいつ顎も硬い…。



「グッ!」


 だが、無事に後ろから迫ってきていた矢がハールラインの頭に突き刺さった。



「『ウインドカッター』」


 間髪入れずに飛んできた風の刃が、魔力を奪う時間すら与えずにハールラインに着弾。咄嗟に腕で庇ったようだが…、大きく切り裂き血が噴き出す。



 ハールラインは顔を歪める。だが、それは痛みによるものではなく、喜びによるものというのは顔を見ればわかる。



 気持ち悪い顔だ…。声を出す前に殴りたかったが、俺の腕をはねのけて距離を取った。



 そして、その血を拭きとるわけでもなく、払うわけでもなくヌメッと舐める。



「痺れます!憧れます!妬みます!その力…!是が非でも我が物にしたい!」

「その目をレイコに向けんじゃねぇ!この野郎!」


 こいつ、またレイコの方を見て…。台詞がほぼ同じのくせに、仕草が全部違って全部キモイ。ん? 血の味が…? 口の端を無意識のうちに噛み切ったのか。治療。



「それは無理な相談ですねぇ。やめて欲しいなら…」

「殺せってか!」

「やってごらんなさい。まぁ、もっとも貴方の攻撃では致命傷には程遠いですがねぇ!」


 わかってる。



「馬鹿か。俺はお前を消せればいいだけだ。別に手を下すのは俺でなくても構わん!」

「言いますね!実に殊勝なことです。でも、本当は悔しいんでしょう?」


 煽るような顔。だが、その手には乗らない。二度も乗ってたまるものか。



「てめぇはてめぇで、俺を煽って矢を有効活用させない算段だろう?わかってんだぜ」


 お返しとばかりに煽ってみる。おお。もろに顔に出てやがるぜ…。煽られ耐性ねぇな!



「『回復』」


 レイコか。出力を上げやがって被弾が増えていたから助かる。致命傷ではないが…。傷を受けたところが痛むな…。背中ほどではないが。



 む。今ならあの矢を当てれられるか…。ハールラインの目に向けて指を突き出す! ハールラインは俺の腕を掴む。よし。引っかかった!



「ぬわっ!」


 腕に矢が突き刺さる。


「本当に鬱陶しいですね!」

「鬱陶しいは今の状況じゃ誉め言葉にしかなんねぇぜ!」

「知ってますよぉ!言ってみただけですー!」


 駄々っ子かこいつ。



「仕方ありませんね。『グリック』抜きますか。」


 事も投げに言い放たれた一言。言った瞬間、奴のまとう雰囲気が変わる。



「ちょっと待て!お前、まだ全力では…!」

「イグザクトリィ!最初から全力など実に愚かしい!愚か者のやることでしょう!」


 うわ。別の言語使いやがった…。何語だよ。



「意味がわからねぇから俺らの言語(獣人語)でいいぜ!」

「正解という意味ですよ!」


 律儀かこいつ…。ああ、こっちの無知を嘲笑いたいのか。



 最初から全力を出さなかったばかりに負けるなんてことを微塵も考えてやがらねぇ…。よほど自信があるんだな、こいつ…! 父ちゃんや母ちゃんなら最初から潰しにかかる気がするな…。



「では、行きますよぉ!」


 ハールラインが『グリック』を抜き放ち振り回す。矢が叩き落された!?



「ム?この矢…。魔力製ですねぇ…」


 口角を嬉しそうに上げる。あ、絶対まずい、懐に潜り込んで…!



「『ファイヤーボール』」


 ちょ、何で今!? タイミングが神がかり的に悪い! 悪いよレイコ! どう考えても今のこいつは…、嬉々として吸収しやがるぞ! 『ウォーターボール』は…。ダメだ! 近すぎる。『ファイヤーボール』を消す前に、ハールラインに吸収されちまう!



 …体で止めるしかない……か。大丈夫かどうか不安だがやるしかねぇ!



 ハールラインを蹴り飛ばす! …びくともしやがらねぇ。顔を庇いつつ『ファイヤーボール』に突っ込む! 熱っ! だが…、無事に消せた!



「『回復』」


 レイコの回復が飛んできて火傷が癒えた。反転して妨害を…! あ、ダメだ。終わってる。



「ハッハッハー!遅い。遅すぎますよぉ!矢は全て俺が美味しく頂きましたぁ!」


 うっぜぇええええ! 今日何回目かわかんねぇが、兎も角うぜぇ!



「ガロウ!ごめんなさい!わたくし…、また余計なことを…!」

「気にするな!それよりも援護を…。」


 …ん? また(・・)? まさか…、そんなことないよな。冷たい汗がツーっと流れる。



「レイコ?」

「え、あ。はい!大丈夫です!」


 ヤバそうだな…。こっちを見てない。やはり俺に攻撃(・・・・)したという事実を作ってしまうのは不味かったか…?



「実に滑稽ですねぇ!貴方!貴方、レーコ様のために必死になっているのに、レーコ様まるで見ていませんよぉ?」

「うるせぇ!そんなこともあるさ!そもそも、いつも見ている方が怖いだろうがっ!」


 不味い気しかしない。



「ハッ!狼らしくよく吠えますねぇ!」

「それはお前がいえた口じゃねぇぜ。」


 ハールラインも狼だ。



「俺は神の力を得て神狼になるから問題ないですよ!」

「…俺はお前が嫌いだ」

「奇遇ですねぇ。俺もだ。見ていて哀れ。憐憫の情すら浮かびますよぉ!潰してしまいたくなるくらいに!」


 俺如きの威圧ではやっぱり怯みもしない…か。わかっていたことではあるけどな。ハールラインは俺から遠ざかると意地悪く笑い…、



「一度ならずも、2度までもレーコ様から攻撃されるとはね」

「貴様…。何故、何故、そのことを口にした!折角、折角…!」


 折角、レイコが忘れていたのに!



「おらぁ!死ね!死んでしまえ!」

「実に愉快!滑稽!フハハハ!人の嫌がることをするのが戦いの基本なのでしょう?フッ。お返しですよ。俺は結構根に持つんですよぉ。…雑になりすぎです。お馬鹿さん」

「!?カッ…ハッ…」


 腹を見ると『グリック』が俺の腹を貫通しているのが見えた。『回復』をしないと…、レイコは…、ダメか。頭を抱えてうずくまっちまった。



「レ…、レイッ…」

「お黙りなさい」


 グリッと捻りながら『グリック』を抜き取った。声すら満足に…、出ない…か。もっとも、今のレイコには俺が万全の状態であっても声が届いた気がしねぇがな…。



 全くうれしくない状況ではあるが、ハールラインの注意が俺からもレイコからも外れた。今なら回復ができる…。奴の『グリック』の能力は制限がある。その制限も察した。奪えるのは『グリック』が対象に向いているときだけだ。



 高らかに笑っていたあいつが、矢に『グリック』を向けて首を傾げていたから間違いない。あの矢がカレン姉ちゃんのシャイツァーによるものだからかもしれねぇが……。



 兎も角、俺の魔法は自前の『身体強化』か、父ちゃん達の紙によるものだ。紙はシャイツァーだから、向けただけでは意味がないはずだ。だから安心して使える。



「『回復』」


 光が俺を包み込む。…傷が治ったからといってすぐにたてるわけではねぇが…。あいつは一点を向いたまま。まさか…。



「矢。美味しかったですねぇ…。二重の意味で」


 ハールラインは『グリック』を虚空に向けた。あいつ、俺もレイコも動けねぇからカレン姉ちゃんを殺るつもりか!? 邪魔をしようともがいてみるが、満足に体が動かねぇ…!



 そうこうしているうちにハールラインの口がもそもそと言葉を紡ぐ。



 何もできないのがとても辛い。何故、あいつにはシャイツァーがあって、俺にはねえんだよ。神様の糞ッタレ!



「…簒奪せし力を今ここに。この力を持って所有者を虚無の彼方へ放逐せん!『グリ=リルラ』!」


 俺が神に呪詛を吐いているうちに詠唱は終わったらしく、カレン姉ちゃんの矢よりも数倍は大きい、むしろ柱と言っても過言ではないものが空の一点を目指して飛んでいく。



 俺には何も出来ないのか…? 俺にはレイコを守ることすらできないのか? まさか…、父ちゃん達が戻ってくるまでもたないなんて…。



「んー。そうでもないよー?」


 ん? カレン姉ちゃん?



 俺が思わず横を見ると満面の笑みのカレン姉ちゃんが。矢で援護されていたのはわかっていたけど…、何で…?



「勝手にボクが動けないと考えてた顔してるねー。でもねー。残念。頑張って『ターゲッティング』をおとーさん達に変えたんだよー!エヘン!全くー。紙をもっと使えばよかったのにー」


 えへへーと楽しそうに笑うカレン姉ちゃん。



 ……えっと、カレン姉ちゃんはたぶん、「道案内にはカレン姉ちゃんが上にいたほうが良かったけども、俺達がヤバそうだったから、それをやめて『ターゲッティング』の自動追尾を生かして父ちゃん達の道案内をすることにした!」って、言いたいのか?



「それもあるけどー、そろそろ矢も対策されちゃったからねー。姿を隠しておく利点がないんっ、だよー!」


 何故か言葉を切って俺から離れハールラインへ駆け寄る。



 首を傾げていると、少し遅れて俺の顔前をハールラインが先ほど放った矢のようなものが俺の前を通過した。



 そして、カレン姉ちゃんは、なぜか刮目したまま動かないハールラインに背中側から駆け寄り…、飛び越えた。



「よいしょっとー!」


 可愛らしい声をあげてハールラインの目の前に着地。くるっと振り返って大きめの矢を取り出し、一射。



「なッ!?」


 カレン姉ちゃんに驚いたのか声をあげた瞬間、前後から迫る姉ちゃんの矢と、ハールラインが自分で撃った『グリ=リルラ』が直撃した。



「ボクの力を奪ったところで使いこなせないんじゃ意味ないよーだ」


 うずくまるハールラインを無視して、俺の方へ。そして…、



「よっと」

「え?何?何で担ぐの?」

「いいからいいからー」


 そのまま俺をレイコの横に。



「ガロウー。レイコに一緒に話しかけるよー」

「え?あ。うん」

「「レイコ!」」

「…カレン姉様?」

「そうだよー。ガロウもいるよー」


 一瞬で起きた。…カレン姉ちゃんへの信頼の差か? レイコがこっちを見る。頷くと泣きそうな顔になった。



「うーん、とりあえずボクの所見を話すよ?間違ってるかもしんないし…、ハールラインがいつまでああやって悶えてくれているかわかんないしねー」


 カレン姉ちゃんはいつもの喋り方であるのだけれど、緊張感というものをまるで感じさせない間延びした言い方で、でもいつもより少しだけ早口で話し始めた。

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