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白黒神の勇者召喚陣  作者: 三価種
4章 獣人領域
101/306

92話 砂漠地下

 呟く二人をさっと確保。



「魔法の参考にするためにモフモフさせて」

「え、ちょ。待って。うわ、なにするやめ…」


 無視してモフる。進むための尊い犠牲。口では嫌がっているけど…、嬉しそうな顔をしているし、何より獣人にとってモフモフされることは悪いものではないことはわかってる。



「あ、あの…、わたくしは構いませんが、尻尾は魔法ですよ?」

「そうでしたね!でも、逆に都合がいいですね。リアルさを追求するうえで大いに参考にします。そのついでにモフらせて下さいな」

「あ。はい。どうぞ」


 というわけでしばらくモフモフ。遊んでいるようにしか見えないだろうけれど、耳の付け根や尻尾の付け根。それに毛並みやどんなときにどんな風に動くのかを事細かに観察。それを魔法に出来るようにイメージを固める。その上でこのよくわからない仕様を突破できるようにもしないといけないから難しいな…。



 ………とまぁ、言い繕ってみたところで、砂漠の地下? で子供二人アイリとカレンが敵を瞬殺している横で、ガロウとレイコと遊ぶ親にしか見えないのだが…。



 無駄な事考えてないでやるべきことをやろう。モフモフ…。ああ、この手触り癖になる…。ハッ!? 早速逸れた。



 モフモフすることしばし。脱線しそうになったけれども、なんとかイメージは固まった!



「四季もいい?」

「はい。ばっちりです!」


 よし。じゃあやろうか。と口にする前に、ふとレイコとガロウが目に入った。あ。大事なことを忘れていた。



「獣人の子供ってどんな風に親の特徴を受け継ぐものなんだ?」

「耳と尻尾はセットです。親の種族のどちらかのものを受け継ぎますよ」

「…はぁ、疲れた…。んあ?色と形は髪も含めて割と適当だぞ。しんどい…」

「ガロウ。大丈夫ですか?そうそう。髪色等、似ていなくても臭いが似るので家族判定は問題なく行えますよ」


 なにそれ。獣人の嗅覚がどれほどかはわからないけど、場合によっては地球のDNA鑑定並みの精度ありそうなんだけど。



「困りましたね…、こんなところで問題が出るとは」

「だね…」

「どこに問題が…?」


 ガロウとレイコは一緒にいる期間が長すぎて気づかないのかもしれないけど…。



「幼馴染でも二人とも臭いはかなり違うんだよ…」

「ある意味で当然と言えば当然なのですが」


 ざっくりいえばただの幼馴染なのだからね。



「家族で押し通したいからどうすりゃいいんだろ?」


 それを聞いたレイコの顔がパッと明るくなって、しきりに自分の臭いを嗅ぐ。それが一段落すればガロウを押し倒して臭いを嗅ぐ。「ちょ、止めて…」とか言っているけどモフられているときと同じく嫌ではないだろう。



 でも、どことなく複雑そうな顔なのは、庇護対象の女の子に、油断していたとはいえ押し倒されたからだと思う。



「確かに、違いますね…。どうしましょう」

「…お父さんとお母さんの臭いを二人の臭い混ぜたものっぽくすれば?」

「ついでにボクらの臭いもいじってもらう必要あるけどねー!」

「その手があったか!……でも、人間の嗅覚で誤魔化せる?」

「…たぶん大丈夫」

「なんとかなるよー!」


 相変わらずの妄信。



「…頑張ってもバレるときはバレる」

「それもそうだけど…、そんな中途半端でいいの?」


 確認で言ってみたところ全員から肯定の返事が。じゃあやってみよう。アイリの言うことには一理あるし。



「臭いは大丈夫なのですか?」

「「大丈夫。さっき覚え(ました)」」


よく考えると頭おかしいセリフな気がする。でも、レイコは目を輝かせただけ。引きそうなガロウは俺とレイコの2連攻撃でへばっていて聞いていない。



「じゃあ、作ろうか。順番は…」

「わたし達からでいい」


 さすがに魔法の人柱にするのは…、でも目がキラキラしている。困った…。



 視線を戻すと相変わらず同じ目でこちらを見つめるアイリ。その背後で見えていないはずなのに鎌が幽霊モドキを切り捨てているのが非常にシュールだ。



 …やらせてあげるか。この目には勝てる気がしない。四季もおんなじ考えに到達したみたいで、苦笑い。



「アイリちゃんからやりましょう。一応、現地語で書いてください」

「はいよ」


 単語は…、『獣人化』でいいかな。発動させる原理もガロウやレイコに渡した『身体強化』と同じで。



 あ、でも、ずっと手で持っていないといけないのは面倒極まりない上にぼろが出る事間違いなし。だから、ポケットに突っ込んでおいてもいいようにしよう。



 かなり雑だけど、他の方法はまた別の機会に。



「出来たよ。やってみて」

「…ん」


 アイリが目を輝かせ、紙を握りこんで魔力を流す。アイリが一瞬発光。それが終わるとそこにはちゃんと狐の耳と尻尾を生やしたアイリがいる。成功だね。



「うまくいきましたね」

「だな」

「やはり狐さんは似合いますね…」


 誰がどっちの種族になるかは相談してなかったけれど、言葉から判断するに俺と同じ考えだったみたい。おそらく残りも相談は要らないな。



「…お父さん。似合う?」

「ああ。似合ってるよ」


 期待に満ちた目を向けてくるアイリに返事を返すと、満面の笑みを浮かべた。耳も尻尾もその感情を外に示すようにパタパタとせわしなくかわいらしく動く。



「…あ、ちゃんと二人が言ってた道が見えるよ。…それに鬱陶しい幽霊の数が減った」

「あ…、そ、そうなんだ」

「それは、良かったです?」

「…何でぎこちないの?」


 そりゃね。アイリが幽霊を視認できなくなったから、彼らを処理できなくったせいで俺らにも普通に見えるようになったからだよ。



 こいつら、見た目はグロイんだけど…ね。この顔が血まみれの幽霊とか、涙でぐちゃぐちゃになったような首とか…、子供が見たら絶対泣く。うちの子らは異世界の子なので別だけど。



 でも、俺らにはなぜかその幽霊たちは「無慈悲に処理された悲しみ」もしくは、「子供の躾をちゃんとしろというお叱り」を言われているようにしか感じない。



「…憐憫の情が…、何故?」


 首を傾げるアイリ。あ。光った。元の姿に戻った。



「…むぅ。日本語でやろう」


 言いながら幽霊を処分。カレンが処分できていない分も処分。さっきの幽霊がひどく悲しそうな顔でこちらを見ている。…俺らに出来る事なんてないぞ。せめて無害っぽくなって来い。



「…書かないの?」

「ん?書くよ。四季」

「はい。もうやっていますが…、ちょっと…、お待ちを…」

「大丈夫?」


 既にやっていてくれたみたいだけど、肩で息をしていて見るからに辛そう。かなり魔力を消費したみたいだ。



「大丈夫ですよ。しばらくすれば回復します。ふぅ…。はい。どうぞ」

「ああ、ありがとう」


 まだ完全には落ち着いていないだろうに紙を渡してくれた。となると…、心配しているよりも書く方がいい。四季もそう言う意図で渡してくれたんだろう。



 四季がかなり魔力をこめてくれた以上、俺もそれ相応に使わねば。辛い仕事になる。そんな予感を持って書く。



 最初の一枚はさらさらっと。2枚目は時々突っかかりながらも、3枚目は疲れてきてペンが「ガッ!」と動きそうになるのを抑えながら。4枚目はもはや片手では抑えられないので両手を使って無理やり。



 うん。予想以上に辛い。けど、全部読むのに耐える字で書けたはずだ。



「疲れた…」

「お疲れ様です。タオルです」


 四季の手から冷えたタオルを受け取る。



「もういいの?」

「…そうでもないですけど…、やりたいじゃないですか」


 四季は恥ずかしがって顔を伏せてしまった。上手く言葉に出来ないけど素敵な顔だ。



「…二人は休んでて」

「夕食の時間だよー」


 え゛?



「…色々あったから」

「本当に?」

「そうだよー」


 うわぁ…。急いだ意味が…。



「そんなに気に病まないで」

「そうです。お父様とお母様に何かあるほうが嫌です」

「…甘えてくれていい」

「おねーちゃんの言うとーり!」


 真剣な目でぐてっとしている俺らを見つめるレイコとガロウ、作業しながらこちらを見るアイリとカレン。……なら、そうさせてもらおうか。



「ごめん。皆、お願い」

「お願いします」


 2人して座りなおして頭を下げると、アイリはクスッと笑うと皆に指示を出す。



「センも休んでいてね」

「ブルルッ!ブルルルッ!ブルルン!」


 「疲れてないし、大丈夫!任せて!」…かな?じゃあ、センにも甘えてしまおう。



「じゃあ、お願いしますね」

「ブルル。ブルルゥ!」


 「あ、でも魔力は頂戴!」かな?俺も四季も苦笑いしながら頷く。



 するとセンはアベスの時によく見たあのバリアを展開した。サイズは馬車とセンが完全に覆えるほど……具体的には前後1 mほど余裕がある。形は球。こんなことまでできるようになってたのね……。



「甘えることにしたのはいいのですが……、子供たちが動いてくれているのに、私達が動いていないというのはもどかしいですね」

「だね…。あ。そうだ。四季。レイコってどれくらい字を覚えた?」

「字ですか?おそらく私達がよく使う『ファイヤーボール』であれば、もう行けると思いますよ?」

「じゃあ、何枚か渡しておこうか?」

「そうしておきましょう。万が一の自衛手段にもなりますし。ガロウ君にも渡しておきましょうか。あの子も戦えるみたいですけど、アイリちゃんとカレンちゃんよりは落ちるでしょう」

「シャイツァー持ちと比べられても困るんだが…」


 げんなりした顔でこっちを見るガロウ。対照的にアイリとカレンは褒められて嬉しいのか、俺達の視界に入るようにわざとエヘンと小さく胸を張って、すぐに作業に戻る。



「ごめんよ。とりあえず二人に紙を渡しておくね」

「詠唱は不要ですよ。どの魔法を使うかぐらいは連携に支障が出るので言ってますけれど」

「魔力を流して念じてくれればそれで使えるから」

「わかりました」

「ありがとう」

「「どういたしまして」」


 溜めていた紙を出すだけだから、そこまで手間ではないけどね。



 まぁ、二人の分も補充しないといけない分に入れないといけなくなると、手間になるけど……。打てる手があるのに打たずに守りたいものを守れなければ意味がない。



 休んでいていてと言われたのに、結局は子供達(ガロウとレイコ)のために動く俺と四季を見て、アイリとカレンは仕方がないなぁ、と笑っていた。それからほんの少し待つと…、



「出来たよー!」


 とカレン。お礼を言うと四季が音頭を取る。



「じゃあ、いただきましょう」


 手を合わせて、いただきます。味は絶品とは言えないけれども美味しかった。そしていつものルーチンワークを済ませ、子供たちを寝かせて…、



「ねぇ、本当にいいの?」

「ブルル!」


 「いいよ!」と鳴いてくれた。



「そっか、ありがとう。おやすみ」

「おやすみなさい」


 軽く撫でて寝る。「これくらいなら任せて!」と言っていたけど、一応最終確認を取ってみた。実際、害があるのかわからない幽霊しか出ていないのだから、任せきっていいよね。







______



 翌朝。パチッと目が覚めて体を起こすと、四季も起きた。子供たちはまだぐっすり。センのために馬車際で寝ていたから、すぐに外に出れる。



 起こさないように外に出よう。急ぐと言っても子供たちに悪影響は出て欲しくない。四季と目でそんな内容の会話をして、二人そろって外に出て、二人仲良く絶句。



 何でこんなたくさんの幽霊がセンのバリアに触れて項垂れているんだ? 何で、センはセンでやり切った感を出してバリアを張りながら横たわっているの?



「ブルルッ!」


 嬉しそうに立ち上がったセン。その目は青く澄んでいて綺麗だ。



「何かあったの?」

「ブルルゥ」


 何もなかったよ。と首を振るセン。そして馬車からもぞもぞという音がしてアイリが這い出してきた。



「…おはよ」

「「「……」」」

「…おはよう」

「「おはよう」」

「ブルルッ」


 俺らとセンから返事がなかったからか、目をこすりながら2回挨拶するアイリ。…慣れたと思ったけどまだまだだ。



 だって、アイリは起きて外に這い出してきて俺達を見て嬉しそうな顔をすると、全く表情を変えることなく挨拶しながら無慈悲に幽霊を殺戮したもの。



 もはや幽霊もアイリを驚かすことは諦めたみたいで、見た瞬間に逃げ出していた個体? もいたけど皆等しく。



 そのギャップが凄すぎた。というか、幽霊も幽霊で、なんでアイリの前に姿を見せるんだ? そんなことしなければいいのに…。



 幽霊を全滅させるとアイリはふぅ。と息を吐いて握っていた手を解いた。あれ? あの『身体強化』の紙…、いつアイリに渡したっけ? 渡そうとは思っていたけど…。



「…あいつらが寄ってくると面倒だからもう、魔法使っちゃおう?」

「ああ。だね」

「そうしましょうか」

「…じゃあ、カレンも起こす。一緒にやろう」

「了解。任せた」


 アイリはさっと馬車の中に戻る。



「寝かせてあげたかったですけど…」

「まぁ、仕方ない。カレンだけ置いておくと絶対拗ねる」

「ですねぇ…」


 しょうがないというように四季は顔をかいた。そんなことをしていると馬車の中が俄かに騒がしくなる。



「結局、皆起きちゃいましたね」

「みたいだね」

「おはよー!」

「おはようございます」

「おはよう」


 ぞろぞろとそろって馬車から降りてくる。折角起こさないようにしたのに。



「ああ、おはよう」

「おはようございます」


 挨拶にそんな気持ちは出さない。



 さて、気分を切り替えて魔法を使おう。紙をズボンのポケットに突っ込んで落ちないようにポケットをボタンで留め、魔力を流して…。



 一瞬目の前が光る。……頭と尻尾のあたりに違和感がある。耳と尻尾の手触りがあるし、感覚もある。



 元の耳は……ない。骨格から変わってる。まぁ、そんな風にイメージしたんだけど。こんな効果であるなら魔力をつぎ込んだ甲斐があるというもの。とりあえず成功。



 落ち着いたし、周りを見渡してみる。うん。見事に獣人しかいない。四季、アイリそれにレイコが狐で、俺とカレンにガロウが狼。



 一応、自分の姿を確認してみよう。…まぁ、悪くはない…か? わからん。致命的に似合っていないわけではないけど…、周囲を見渡すと、見事に似合っている人しかいない。だからか、自然と言葉がこぼれた。



「なぁ、四季。俺さ…、この姿似合ってなくないか?」

「そんなことないですよ。素敵です」


 ほほ笑む四季の頭には金の狐耳がある。それは彼女の艶やかな黒髪と色合いが違うからか、相互に魅力を引き出しあっていて幽玄な美しさがある。



 ふと視線を落とせば大人しめの金色の尻尾。お狐様と聴けばイメージされるような風合いで、大和撫子的な雰囲気のある四季にピッタリ。間違いなく着物を着て佇んでいれば絵になるだろう。



 個人的には日本三大美人と名高い小野小町とかにも勝てるんじゃないかと思う。そして、たまに動く四季の耳や尻尾が愛嬌を加えている。……元から愛嬌はあるけど。特に笑った時とか。それが強くなっている。



「…ん。そうだよ。自信持つべき」


 そう言うアイリには昨日と同じ狐耳と尻尾。四季と同じ金色だったのが嬉しいのか、ご機嫌なのが一目でわかる。おそらく今なら誰でも、この子がご機嫌なのはわかるだろう。



 普段ならこの子は割と無表情で顔の変化がわかりにくい。もちろん俺らはわかるけれど、確実に初見の人は絶対にわからない。そこそこ一緒にいなければ絶対にわからないといってもよいくらいに。



 でも、今は違う。尻尾はアイリの気持ちに連動して揺れる。それを見れば誰でもわかる。今はグルグル回っているけど…、少し慣れた人でもわからない程度の喜びでも、はっきり揺れる。



 だけど無表情に見える。尻尾と顔の差が好きな人は、狂おしいほど好きだと思う。まぁ、そんなの関係なしに似合っているんだけど。



「そーだよー!」


 励ましてくれるカレン。その狼耳の色合いは俺とも、ガロウとも髪色との兼ね合いで違う。そのせいか、狼というよりも犬っぽい。でも、そのイメージはいつも元気いっぱいで俺たちの周りにいる事の多いカレンにぴったりだ。特に冬でも雪の上を走り回りそうなところとか。



 当然悪い意味ではない。元気さを耳と尻尾が強調してくれていて、文句なしに似合っているのだ。



「そうですよ。お似合いですよ。お父様」


 言ってくれるのはレイコ。この子に関しては、狐要素が似合うのは言うまでもないのではなかろうか。だって元から獣人なのだもの。この子に関して言えば、和のイメージのある狐だけど、着物を着ても四季には負ける。この子にはおそらく神事に関する服の方が似合いそう。巫女服とか。



 兎も角、狐の耳と尻尾。それは本人が醸し出す神聖さ? とでも言うべき雰囲気を強めているけれど、ぴょこぴょこ動く耳がそんな神聖さによる近寄りがたさを欠点にするのではなく魅力へと昇華する。



 ガロウは何も言わないけど、頷いてくれている。彼は彼でレイコを守ろうとする一途な姿勢が狼の雄々しい姿勢とぴったりで、抜群に似合っていてカッコいい。



 うん。あれだね。


 美しさと愛嬌。一見両立しないものを兼ね備えている四季。



 不愛想さが排除されて、あどけなさが前面に押し出されているアイリ。



 持ち前の元気さが輪をかけて強調されて見ているだけで元気になれるカレン。



 どことなく神聖さを感じさせるがそれをうまく落とし込んでいるレイコ。



 力強い狼の印象と本人の姿勢が噛みあい余計にかっこよく見えるガロウ。



 間違いない。俺、明らかに劣ってる。というか、俺の知り合いの中でも競れる奴の方が少ないぞ…。タクは確実に競れるけど! あの美形め…。



「なあ、いい加減色々済ませて進まねぇ?準備はできたぞ」

「あ、ごめんよ。そうしよう。いただきます」

「「「いただきます」」」


 褒めてくれていたけど、この劣等感? はぬぐえない。皆を眺めて癒されよう…。…ん? 何? 四季? どうして服を引っ張るの?



「…習君もちゃんと似合っていてカッコいいですから」


 顔を真っ赤にして耳元でささやいてくれた。



 自己否定はやめよう。今の顔は、一瞬でそれを決意できるぐらいに破壊力があった。

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