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今夜星を見に行く馬鹿共とホイホイ着いていく悪いツンデレ大人達

--------日本国内某学園都、市あるマンションの一室、別名“黄昏の鍵”にて--------

「こーんーや」

「「「ほーしーを〜、み〜に〜〜いこお~~~!!」」」

「私デネブ、ちょっと郊外の農村地まで行って星を見に行きたいの♡」

「私アルタイル、そしたらついでにみんなでお酒飲みたいなーって思う♪」

「私ベガ、ちょっとそこで車レンタルして、帰宅途中のみんなをハイエースするの///」

「「「というわけで実行」」」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 1週間、仕事終わりの金曜日、会社前にて、馬鹿が待ち伏せ(5/7/5/7/7)

 金曜日の17時30分、定時と同時に私は自分のデスクを離れた。比較的忙しい時期ではあるが、それが事前にわかっているのであればいくらでも閑散期に対策は練れた。その結果がこの定時上り、というわけだ。昨年の私の動きを学んだ同僚達も、同様に予め仕事の仕方やそれ以前の過ごし方に気を配るようになっていた。その結果多少の残業はあれども私の手助けが必要ない程度の量にまで仕事を効率化できているみたいで、

『いつも助けてもらってるんだ、これくらい自分でやるさ!』

『そうそう、君のおかげでこの時期でもほとんど残業しないで済んでるんだ。これ以上はバチが当たるよ』

『というわけで仕事が終わったモノは帰った帰った! 高い給料使う暇を享受したまえ!』

 とのことだった。

 その言葉に背中を押された私は軽い運動がてら階段を使いゆっくりと自分のオフィスから退社しつつ、余った時間をどう使うか頭を巡らせていた。今夜は頑張った自分をねぎらう意味も込めて、半分ほど残っている小説を帰り道のバーでのんびり読もうか。階段を下り切り出口の自動ドアをくぐって考えがそこまで及びかけた矢先、週の終わりで気が抜けていたのだろう、私は不意を突かれハイエースされた。ご丁寧に用意されたトヨタのハイエースに担ぎ込まれた私に、

「ζ(ゼータ)さん!」

「今夜は星を!!」

「見に行くからね!!!」

とお馴染みになってしまった馬鹿共がその一方的な要求を投げつけてくる。

 不意に鞄に入れている黄昏色の鍵でこいつら馬鹿共の頭を片っ端からどつき回したくなる欲求に襲われつつも私は投げ返す。

「……今夜はバーでのんびりとした時間を過ごそうと考えていたのだが」

「え、次はν(ニュー)さんを誘いに行こうって!!?」

「さっすがζさん! 新入りの後輩を積極的に遊ぶに誘うことで打ち解けられるように気を配るなんて!!」

「先輩の鏡や!! きゃ~かっこいいわ~、今すぐ抱いてほしいくらいだわ~~~」

「…………私としたことがすっかり失念していたよ、君達には会話が通用しないんだった」

 私はそう呟き、改めて呆れかえった。彼らから絡まれるようになって1年間、多分呆れなかった時は無いだろう。……しかし、逆に彼らから絡まれて退屈した記憶もまた無かった。

……であれば、今夜くらい付き合ってやるのも悪くはない、か。

 そう考えた私は早速捕まえられ後部の荷物置き場に放り込まれる可哀想なνを尻目に、本格的な祭りが始まるまで暫し仮眠をとるのだった。


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