プロローグ
俺は潮田中学3年で陸上部に所属しているイケメンだ。
今日は中学校生活最後の試合に来ている。種目は100メートル。なんと今から決勝に出るのだ。
「230番、潮田中学の木下さん」
「ひゃっ、ひゃっい!」
しまった、緊張しすぎて返事が変になってしまった。「仕方ない、決勝に出るのは今日が初めてだから緊張して当たり前だ」と自分に言い聞かせる。
「宏哉〜お前緊張しすぎだろ。」
ぎくっとして振り返ると、そこには同じ中学の悠介が立っていた。
「悠介!お前も決勝に出るのか?!!」
「ああ、しかもお前と同じ組だぜ!俺は2レーンで、宏哉は8レーンだ。」
「まじで!!!」
嬉しかった。知ってる奴が同じ組にいる事ほど心強いものはない。
試合会場に到着し、スタブロをセットする。1度スタートダッシュの練習をしてから緊張を和ますように大きく深呼吸をした。
「お互い表彰されるように頑張ろうぜ!」
「おぉー!」
それを言い終わると同時にコールがなった。
〜オンユアマークス セット パァンッ!!〜
ピストルの音が競技場に響きわたると同時に、一斉に足がゴールに向かって動き出した。
結果、俺は6位で悠介は7位だった。
「あーあ、あんなに練習してきたのになー」
と悔しそうに悠介と学校のベンチに戻っていった。
しかし、正直なところ俺は決勝に出れただけでも満足だったので、別に悔しくはなかった。
悠介は「最後まで宏哉にはかなわなかったな〜」
と笑っていた。しかし、その笑顔はなんだかぎこちないような、悲しいような感じだった。
俺の部活動生活は大きな違和感を残して幕を閉じた。
帰り道、ずっと悠介のあの笑顔が気になっていた。
なんであんな笑顔をしていたのか?
悠介は努力家だから悔しかったのだろうか?
いや、あいつは悔しい時は必ず泣いていた。
前の試合も、その前の試合も、記録が伸びずに泣いていたはずだ。
じゃあ、あの笑顔はなんだ?
胸がモヤモヤして気持ち悪かった。まあ、次の月曜日に直接本人に聞いてスッキリさせよう。
そう思った時だった、、、、、、、
ブゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーー!!!!
大きなクラクションの音が響きわたってきた。音の方に振り返ると、赤い車がこっちに向かって来ていた。どうやら、信号無視をしてしまっていたようだ。
どうする、体を横に倒して避けるか?!
そう思ったが、突然のことで体が動かなかった、、、
ドンッッッッッッ!!!!!
と鈍い音と痛さが伝わってきた。
「ちょっと!!大丈夫!!!??」
「誰か早く救急車を呼べ!!!早く!!!!」
そんな会話が耳に流れ込んでくるが、もうどうでもよかった。
ああ、まだ彼女いないのにな。と心の中で笑ってみる。もう、この世界ともお別れなのかな、、、、、
そこで、俺の意識は途切れた。
7月24日午後6時33分51秒、俺の人生の歯車は狂いだした。