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マイバイブルは『異世界召喚物語』  作者: ポモドーロ
第15章 踊る世界
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時を待つ日々(忘れた頃にやってくる)15

ここ数日、帰宅が遅くなってしまって休んでしまいました。

おまけに攻略フロアを間違えて、書き上げていた原稿も書き直すはめに。

前話の最後の数行を削除して、本日分に追記しました(11/11)

ミノタウロスではなくソウル狩りでした。m(_ _)m

「いたです!」

 せっかく手に入れた新剣『疾風の剣』だったが、切れ味がよ過ぎて四十八層のソウル相手には使うことができなかった。装備が傷付くだけなら兎も角、真っ二つにされては困るからだ。 今は双剣を握っているが、それでも出番はない。

「右腕なのです!」

 リオナはソウルが宿ったパーツをなぜか見分けられるので、索敵で頑張って貰っている。

 僕が先制の衝撃波を当てる。

 鎧はたちまち結束を失って床にばらけた。

 前回と違って助走なしの一撃はよく決まった。エテルノ式発動術のおかげで敵は避けるタイミングを見いだせないでいた。

 ナガレも雷撃を当てて即行で一体を葬った。

 端から見ているだけだと、訳も分からず勝手に四散していっているようにしか見えなかった。

 通路を折れた先に数体現われた。

「ナーナ」

「『ヘモジがやる』って」

 ヘモジが手をクロスした。

「ナナナナ、ナーナンナーッ!」

 ああ、あれね。

「でた。ハイパーモード!」

 オクタヴィアが僕の頭を叩いて喜んだ。

 ヘモジは光の筋となって消えた。

 

「ナーナーナー!」

 ヘモジはハイパーモードを解いた。側にはバラバラになった武具が散乱している。

 オクタヴィアは僕の肩の上で仁王立ち。肉球にも力が籠もる。

「ナー」

 深い溜め息をついて仕事帰りの中年のように肩を落として戻ってくる。

 僕は万能薬を飲み干した。


「この階の敵はこれで最後なのです」

 最後ぐらいは多少の損害には目を瞑ってリオナの好きにさせてやることにした。

 残るは二体、午前中のノルマはこれで終了だ。

 リオナが忽然と消えた。

 結界を張る身にもなって欲しい。

 ナガレが遠くから察知して接近してくる敵に雷を落とした。瞬間、敵の頭と胴体は切り離された。

 リオナの中距離スキルの『風斬り』が一体を仕留めた。

 午前中最後の敵は重装歩兵の戦斧持ちだ。一足遅く接近してくる。が、リオナはもういない。

 忽然と敵の前に姿を現わしたリオナは盾に蹴りを入れた。

 重装歩兵は吹き飛んだ。

 そして動かなくなった。

「盾が本体だったです」

「えー」

 蹴りで倒したのか? いくら衝撃に弱い敵だと言ってもここは……

 使えそうな武器の収獲は六本。防具は二セット手に入った。ソウル品の武器はなく、防具はワンセットに胴だけが足りなかった。

 最後に手に入れた盾は紛れもなくソウル品だった。重過ぎてうちの連中は誰も使えないが、使える奴がいたら勇者になれるだろう。

 午前の部は終了。転移で脱出する。


 パスカル君たちがいた。

「お疲れ様」

「お疲れ様でーす」

 今日は地下六階の火鼠狩りだそうだ。

「数が多過ぎて次から次に出てきて切りがないんですよね」

 早速、問題にぶち当たったか。

 壁にも床にも天井にも、崩落跡や亀裂に鼠の巣穴がびっしりあるフロアだ。

「どうやって攻略したんですか?」

「どうしたんだっけな?」

「爆発させたです」

「『爆発』か! 思い出した。壁のなかに放り込んだんだ」

「水浸しにもしてたです。ポコポコ獲れたです」

「『爆発』を壁のなかに撃ち込んだんですか?」

「壁壊れなかったですか?」

「自分たちに合うやり方をすればいいのです」

「三十匹分の皮がいい金になるんだけどな。解体屋に凄く嫌がられるぞ」

「そうなんですか?」

「僕たち送っちゃいましたよ!」

「次からは魔石にするんだな。少額だけど大量に手に入るから。半分は屑石だけど。黒い屑石は持ち帰るといい。アガタが買い取ってくれる」

「ええ? 捨てちゃいましたよ」

「鉛筆の芯に使えるからな」

「そうなんですか?」

「そうなのです」

「ナーナ」

 オクタヴィアも頷く。

「次からそうします」

 本当に大変なのは次の階の火蟻だけど。どうやって攻略するのか見物である。


 後半戦もやることは同じだ。

 装備をひたすら引き剥がしていく。

 そして防具が五セット集まったところで、本日の狩りは終了した。

 ソウル品の武器が三つ連続で出た。ソウル品の防具も一セットと余り数点が手に入った。

「喜んでいいのか、地味な成果だな」

 クヌムの武具屋に行って、ソウル品を加工して貰う。

 よくよく考えたら相応の対価が必要だということに今更気が付いた。このまま狩り続けたらジリ貧である。魔石も一緒に集めなければいけない。

「タイタン狩りの報酬をたまには魔石にすべきだな」

 たまには精霊石にしておいた方がいいだろう。

「タイタンから取れれば、なのです」

「あ!」

 他に都合のいい敵から集めるしかないか。イフリート、クラーケン、ガルーダ、どれも取りに行くのが大変なんだよな。五十層のカラードが一番てっとり早いか。でも肉との葛藤が……

 問題は他にもある。精霊石を両替できるかだが、両替屋に顔を出して話を聞いたら、前もって言ってくれれば両替は可能だという答えだった。分割なら魔石(大)を二十個ぐらいまでなら即日出せるそうだ。

 一度払っておけば当分、困ることはなさそうだ。


 ついでに四十七層の宝物庫漁りをして帰ることにした。

 コモドと死闘を繰り広げるミノタウロスから積極的に魔石を回収することで当面の分を確保する。中型艇増産のためにもコモド狩りは定期的にやらなければいけないからちょうどいい。今日の魔石の損失分は補えるだろう。

 少し遅くなったが、帰宅するとパスカル君たちはもう家に戻ってきていた。

 なんだか様子がおかしい。

「この匂いは!」

 リオナが後退った。

 え?

「やっと帰ってきたわね。もうみんな待ちぼうけよ。早く着替えて、手を洗ってらっしゃい」

 この声は……

「お母様なのです!」

「リオナちゃんも元気そうで何よりだわ。ターキーたくさん作ったからいっぱい食べてね。早くしないと冷めちゃうわよ」

 おい、幾つある? とオクタヴィアに囁く。

 オクタヴィアは耳をピクリとさせると食堂のなかを覗き込む。

「あれ、鳥? あんなおっきいの鳥!」

 幾つだよ! でかい鳥ならもっとでかいの見たことあるだろ!

「丸焼け五個、お皿に載ってる」

 五羽! マジか?

「小振りだとか……」

「いつものサイズなのです」

「食堂にいるのはパスカル君たちだけか?」

 アイシャさんもエテルノ様もロメオ君もロザリアもいる……

 ロメオ君、捕まったのか?

「どう考えても無理だ。応援を呼べ」

「ピノたちを呼ぶのです。タンポポたちも呼んでやるのです」

「呼べ、呼べ。応援大至急だ」


「今日はなんの用?」

 着替えて席に着いた。

「お餅と『壺あんこ』が大反響らしいから、皆さんにお礼がてら、新年の挨拶にね」

 子供たちが飛び込んできた。

 テトたちだけでなくピノのパーティメンバーも招集した。

「誰?」

「若様のお母さん」

「お母さん!」

「レジーナ姉ちゃんより若くない?」

「ピノ、あんた殺されるわよ」

「同じぐらい若い」

「レジーナ姉ちゃんより凄い大魔法使いなんだってさ」

「ほんとに?」

「見えないよ」

 黙って席に着いてくれ。

 なんだか噂が一人歩きしてるな。

「まあまあまあまあ」

 母さんは可愛い子供たちが大勢登場して嬉しくて舞い上がった。

「こんなにお客さんが来てくれるなら、もっと作るんだったわね」

「もういいから!」

 大合唱が起きた。

「そうそう、新しい商品を作ったのよ。それはなんと!」

 誰も聞いちゃいないよ。

「う・ど・ん、よ」

「へ?」

 全員が首を傾げた。


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