表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マイバイブルは『異世界召喚物語』  作者: ポモドーロ
第15章 踊る世界
988/1072

時を待つ日々(闇の信徒・巨人騎士を複製しよう)9

遅くなりました。

 再びタイタンフロアに戻り、当初の予定を完了させた。

 ロメオ君はタイタンを手にして、名を無難に『タイタン一号』と名付けた。今後増えることを見越して、通し番号を振ることにしたようだ。

 明日、エテルノ様は古のゴーレムを、姉さんはタイタンか古のゴーレムかまだ迷っているが、どちらかを取りに行く予定である。

「その前にコアを増やしておいた方がいいだろう」

 姉さんが言った。

 量産ですか? 既に自重の域を超えてますけど、いいのかな?

 まあ、姉さんがいいと言うのなら、僕は構わないけど。

 ダンディ親父にも「目こぼししたのに」とか責められそうだからな。二、三体は献上しておきたいところである。

 鏡像物質に反応してくれれば、タイプXのくだりからまた始まって『コア複製』が始まるはずだ。

 命は惜しいので一度に二個までという制限が付いた。

「アイシャは欲しがるかの?」

「いらないんじゃないですか。リオナは欲しがりそうだけど」

「獣人は魔力がないから召喚できんじゃろ。気の毒じゃが」

「レオは?」

「あやつには早過ぎる。せめてエルーダを完全攻略ぐらいして貰わんとな」

「そのうち、ちっちゃなゴーレムとか、猫型とか自由に造れれば面白いんだけどな」

 ロメオ君が言った。

 猫型と聞いてオクタヴィアは耳がピンとなった。

「平和利用なら我も大歓迎じゃ」

「そうだ、これからは工房を使わせて貰わないと」

「いつでも構わんぞ。準備はしてある。セキュリティーも完璧だからな」

「しかし、研究するとなると、でか過ぎるゴーレムは置き場所に困るな」

「じゃあ、普通にコアゴーレム辺りを取得しておきますか?」

 あれだって充分でかいけど。

「それでは機能的に物足りん。タイタンが小さくなってくれればよいのじゃがな」

「無い物ねだりというものだぞ、長老」

「ゴーレムの詳細がもっと分かれば、そのうちロメオ君が造ってくれますよ」

 でもあの大きさだから、あれだけの魔力を内包できるとも言えるのではないだろうか?


「リオナも欲しかったのです! 小型化推奨なのです!」

「ナーナーナ! ナナナナナ!」

 僕たちがゴーレムを手に入れたと知るや、早速リオナたちが欲しがった。が、あいにく複製はそう簡単ではないと言いくるめて諦めさせた。

 ふたりはせっかくのブルードラゴンのシチューを悲しそうに見下ろした。

「召喚は無理でも命令はできるから、それで我慢するんだな。ヘモジは…… 念話が通じないかもしれないから……」

 ヘモジは愕然と立ち尽くす。

 そもそもなんでできると思うんだよ。

「明日、試してみればいい。タイタン同士の戦いなんて普段見られるものではないからな」

 姉さんが言った。

 そもそもタイタンがいないよ。

「俺たちも見たいです! 同行させてください!」

 アルベルトさんが姉さんに頼み込んだ。

「ならば『銀花の紋章団』に入って貰おうか? ギルドメンバーとして守秘義務を負う覚悟があるのなら、同行を許そう。さすがにこれ以上、秘密に付き合わせては、まずいことになるやもしれんからな」

 もう充分足を踏み込んでる気もするけどね。身の安全を考えるなら、その方がいい。

「でも、俺、来年――」

「就職先を気にしているなら問題ないぞ。『魔法の塔』に内定が決まっておるのだろう? あそこの内勤のほとんどは『紋章団』と掛け持ちだからな」

「そうなんですか?」

 ナタリーナさんも食い付いた。

「努力する奴ほど金が掛かるのが魔法使いの世界だ。常にジリ貧の連中が研究費をどうやって工面しているのか、お前たちはもう知っていよう?」

「僕たちの内職も『銀団』経由って言えるのかな?」

 ファイアーマンが言った。

「そう言えばあったな。『そこに隠れているのは分かっている! 生命探知君』だっけ。あれ、まだ売れてるの?」

「売れてますよ! 絶賛販売中です! 今じゃ、学院でも『魔法探知』取得の授業の必須アイテムになってるんですよ! 」

 ビアンカが声を荒げた。

「発明した本人がなんで知らないんですか?」

 ダンテ君にも突っ込まれた。

 いつの間にそんなことに…… ただのおもちゃだったはずなのに……

 姉さんを見たら、姉さんも知らなかったようだ。

「こやつの収入源はいろいろあるからな。気にならんのじゃろう」

 今日一日、パスカル君たちの教官をしていたアイシャさんが言った。

 ん? 前衛をしていたのか? 衣装が前衛よりだ。

「だからこんな大きな家に住めるのですね」

 シモーナさんが言った。

「辺境伯のご子息なんですから、これくらいは」

 ナタリーナさんが言い掛けたところで、フランチェスカが耳元で囁いた。

「え?」

 固まった。驚愕の瞳だけが僕を見た。


 明日の予定が固まるとロメオ君と姉さんは帰っていった。

 みんなはドラゴン肉のシチューをたらふく食べて、転がって、カード遊びを満喫した。

 僕は全員分の薬の予備を作り、盾のための魔石を用意した。

 タイタン同士を戦わせるより、ヘモジかリオナにやらせる方が早いんだけどな。

「そうだ!」

 ゴーレムが傷付いたら、どうなるんだ?

 回復能力があるから自分で回復してくれるのだろうか? 召喚獣と違って、倒されたら戻ってこられないんだよな。

「大戦前にやられ過ぎるのは問題だな。それに…… 欠損部位を埋めるためには膨大な魔力がいる…… かも」

 やばいな。リオナたちを遠ざけておくか、先手を打って、補充し続けないといけないか……

「その辺も明日の課題になるじゃろう」

 やはりヘモジに勝る者はないな。

「それより、いくら広いからって、あそこで二体戦わせるには狭いんじゃないの?」

 ナガレが言った。

「ナガレも欲しいか?」

「いらないわよ。面倒臭い」

 リオナのためにもそれがいい。

「まあ、無理なようなら、引っ込めればいいさ」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ