表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
944/1072

エルーダ迷宮ばく進中(五十階層攻略中・レッドドラゴン)70

書いた原稿を寝ぼけて半分消してしまったw

 全員が来るまでに朝食を済ませ、余った時間でリオナとヘモジが使う鏃を製作する。レッドドラゴン対策に攻撃力二割増しである。幸い大きな石が幾つもあるので、いくつか流用させて貰うことにした。

 昨日の戦闘の反省として、鏃では最後攻めきれなかった経緯がある。ふたりは口には出さないが、性格からして不満が鬱積していたはずだ。

 フラストレーションが溜まった分、次の戦闘で弾けてくれるので、それはそれでありがたいのだが……

 今日は気持ちよく戦って貰うことができるだろう。

 ふたりもそれを期待して、僕の作業を食い入るように見詰めている。

 ロメオ君は地図を開いて、これから起こるであろうことを想像していた。

 今日も発見エリアの外縁を一周する。今日辺りエリアの縁が見えてこないかと思っているのだが、残念ながらそうならないことは既にマリアさんから貰った地図が表わしている。

 ショートカットルートの扉が今日見付かったとしても、マリアさんたちが通過したルートを見る限り、外側に後二周ある公算が高いのだ。しかもその縁が外縁とは限らない。

 ロメオ君は二つの地図を見比べ、溜め息をつく。

 どう考えてもただ遠回りしているようにしか思えなかったのだろう。

 僕自身、はなからショートカットルートを行けばよかったと思わないでもなかった。

 最後の扉の先にも先はある。でもけりはここで付けなければいけない。何かがあるはずなのだが、気付けないでいる。

 マップが完成すれば見えてくるものがあるのだろうか?

 こうなってくるとレッドドラゴンの存在が邪魔でならない。


 みんなが到着すると作戦会議を始めた。やることは同じ、目指すところも同じだが、変更点があった。

 それは飽和攻撃を奨励したことだった。ここまで来る段階でそれが一番、魔力の節約になることが分かってきたからである。

 時間を掛けるだけ回復されてしまうのだから、当然の帰結ではあるが、きれいに急所に決めようなどとはもはや思わないということだ。肉の回収も魔石の回収もこの際、考慮しないという決定である。

 リオナもこれ以上は肉の置き場がないことを理解しているので反対することはなかった。

「殲滅あるのみじゃ!」

 火竜に草竜は問題ないだろう。一撃で葬れる。

 ホーンドラゴンも外皮は固いが、集中攻撃でチキンレースになる前に葬ることができるだろう。鏃の強化が有利に働くに違いない。

 そして余った時間と労力をレッドドラゴンに投入するのである。

 アイシャさんたちも地図を見比べて、これ以上の遅延は問題があると考えたのだろう。

 そういうことであるから、僕たちはさっさと休憩所を引き払って、先に進むことにした。

 始まってから、十部屋攻略するまでアイシャさんの独壇場になった。

 僕の杖を使って鬼神の如く勢いで突き進んだ。

 おかげでレッドドラゴンには全員の力を遺憾なく発揮することができた。

「こうやって雑魚化していくのです」

 リオナも活躍の場を得られて上機嫌である。

 勿論、単独でどうこうとはいかないのでこれまでの雑魚とはやはり違うのだが。

 アイシャさんが納得したところで、僕の杖は返却された。

 成果を一度だけ見せられた。

 レッドドラゴンに対して、なんと口を開けたところに衝撃波をぶち込んで、脳を破壊してしまったのだ。

 利益度外視の飽和攻撃のはずが、これ以上ない程スマートにけりが付いてしまった。

 ロメオ君が僕の杖を使う番になったが、さすがに簡単にはいかなかった。

 その分エテルノ様がロメオ君の杖に癖を付けるために奮戦した。さすがにロザリアの杖よりは使い勝手がよさそうだった。

 リオナもヘモジも大いに活躍できて満足そうにしている。

 昼食を取る頃には今日のノルマを達成してしまったので、午後はもう一周折り返すことになった。


 休憩所で全員揃って昼食を取る。

 食後、ロメオ君は空間把握のコツをエテルノ様に教わっていた。どうやら理屈から入った方がロメオ君には分かり易いようで、基点の設定の仕方から教わるらしい。

 今日中に習得は無理のようだ。


 午後再開してすぐに出鼻が挫かれた。二部屋目を攻略したとき、ようやく探していた物が見付かったのである。ショートカットルートの階段である。

 上ったところの扉はやはり固く閉ざされていた。当然この段階では確認できないので、外に出ることになる。

 僕はひとりで脱出し、四十九階層入口に飛んだ。ショートカットルートの浮島に転移して、階段を降りた。

 見事に合流を果たした。

 方角を確認して、マリアさんから貰った地図と照らし合わせる。

「先が見えてきたわね」

 ナガレが言った。

「大分まだ先があるということが分かったのです」

 オクタヴィアとヘモジが頷いた。

「後もう一日は掛かりそうだな」

「ほらほら、愚痴ってないで、大いなる前進を喜びましょう」

「そうじゃ、明日には帰れると思えば気が楽じゃろ」

「そのためには前に進まんとな」


 幸いレッドドラゴンの出現が少なかったせいもあって、遅れを取り戻し、予定通り外周を一周したところで本日の攻略を終了した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ