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エルーダ迷宮ばく進中(五十階層攻略中)60

「落差が酷いな」

「竜も二種類ですか?」

「いや、聞いてないけど」

 前回後戻りしたら敵が湧いたわけだが、リカルドさんの説明では本体を残せば、再度湧くことはないと言われた。

 ひとりでも残っていればいいのか? 何人なら戻って大丈夫なのか、弱いワイバーンで検証してみたら、僕がひとりで扉を開けた段階で敵が再湧きした。

「ワイバーン湧いたのです! 言ってることと違うのです」

「そうとは限らんぞ。戻る方法は一つではなかろう?」

「そうか、転移か!」

 転移結晶で戻る方法があった。歩いて引き返すより建設的だ。

「ナーナ」

「ちょっと、早くやんなさいよ」

 扉の前でヘモジたちが何かしている。

「ナーナ!」

「わたしはいいのよ! ドラゴン担当なんだから」

「ナナナナナ!」

「ずるくないわよ! 殴れるドラゴンが出たら代わってあげるから早くしなさいよ」

「ナー……」

「倒すならさっさと倒せ」

 話が進まないので、アイシャさんがせかした。

「ナーナ」

 呪文をごにょごにょ唱え始めた。

 脚力アップ?

 腰のミョルニルの柄に手を添えた。

 じっと前を見据えて…… 隙間に飛び込んだッ!

 三度大きく飛び跳ね敵に迫ると、その横っ面をぶっ叩いた。

 ワイバーンは予想だにしない一撃を受けて首を大きく反らせた。

 そしてそのまま床に倒れ込んで動かなくなった。

「ナーナ」

 ミョルニルを腰のホルスターに戻した。

「一撃! ヘモジ偉い」

 オクタヴィアが褒めちぎった。

 なんで自分が、と嫌々だったはずのヘモジがほだされ笑顔になった。

 

 話を戻す。

 ここにきて僕はある失敗に気付いた。

 今日のところは二つある四十九階層の出口、五十階層の入口に当たる転移ゲートがどう作用するか分からなかったので、四十九階層の入口から入ったが、まず一戦交える前にそこをチェックすべきだったと思い至った。

 どちらのゲートから入場することになるのか、ショートカットルートにある転移ゲートか、祠の先の転移ゲートか。

 外に出る分には出口は一つしかないわけで、戻れさえすればどちらでも構わなかった。途中入場のことまで考えが及んでいなかったのだ。

 マリアさんたちにとって五十層の入口は一つだけだったが、僕たちには二つあるのだ。

 何か決まりごとがあるのか、足を止めてチェックをしなければいけなかった。

 でなければ途中退場はできても、入場は迂闊にできないということに気付くべきだった。

 入り直したら別ルートで合流できないということにでもなったら大問題だ。恐らく最後に利用した出口に飛べると思うのだが…… 確証はない。

 頭を抱えた。

「やり直しですか?」

 この場に人を残しておいて、残りが地上に脱出。ゲートを使って五十階層に入り直す。そして再会できるかをチェックすることに。

 残るのはリオナとヘモジとエテルノ様だ。

 残りはブルードラゴンとの再戦の可能性があるので、一緒に行動する。


 脱出組は全員、外に出た。そして入場ゲートから五十階層に飛び込んだ。

 ゲートの行き先リストに五十階層への出口は一つだけだった。念入りに見たが他にはない。

 僕たちは転移部屋に出現した。

「さあ、どっちの入口だ?」

 逆走して階段を上る。

 上った先には――

「祠だ!」

 何度も移動を試みたが、出た場所はどれも祠側だった。

「決まりみたいね」

 予想した通りということで、納得して下に降りることにした。

 そして、緊張の瞬間である。

「ドラゴン湧いてませんように……」

 扉が僕たちが侵入したときのまま半開き状態だった。

希望が湧いた。

 なかにドラゴンはいなかった。

「情報通りだ」

 僕たちはほっと胸を撫で下ろした。

 凍りついた部屋を横断して、向かい側の扉に辿り着いた。そして扉を開けると、通路の先の扉が開いていた。さらにその向こう側の開いた扉からヘモジが覗いていた。リオナとエテルノ様も気付いてこちらに手を振った。


「うまく行ったみたいじゃの」

 僕たちは合流を果たした。

 ヘモジはワイバーンの魔石を僕に手渡した。

「お、ワイバーンにしては生意気な」

 風の魔石(大)だった。

 

 次の部屋の敵を倒して、休憩にすることにした。

 扉を開けてなかを確認する。

「部屋の大きさからするとドラゴンではないな」

 どこにいる?

 姿が見当たらない。探知スキルを使うとドラゴンだった場合ばれることになるが。

「任せる」

 オクタヴィアが隙間からなかを覗き込んだ。

 リオナも覗き込んだ。

「あ、お得意様なのです」

「竜にお得意様なんていたか?」

「コモドなのです」

「はずれだな」

「いや、この場合当たりじゃろ?」

「やる気なくなったのです。お肉は売り切れたのです」

 それは新規のドラゴンから新しい肉が入手できなくなったという意味か?

 正直、僕も別のドラゴンを期待していたのだけれど。残念だ。

 新たな新種の肉が二種類ともなれば肉祭りも盛り上がったものを。コモドの肉も柔らかくて美味しいのだが、正直供給過多である。

 コモドの力量は既に分かっている。ドレイク以下である。


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