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インターバル3

『付与魔法』には『強化魔法』と『弱体化魔法』がある。

『強化魔法』のスキルは持っていた気がする。レベルを上げた記憶はないけど。

『強化魔法』にもいろいろあって、主に『身体強化』系と『エンチャント』系に別れている。

 本の解説によると『身体強化』系魔法はスキルと対なっているそうだ。

『腕力強化』の魔法は『腕力上昇』のスキルに、『魔力強化』の魔法は『魔力上昇』スキルに、『スタミナ回復』は『スタミナ回復』に、『体力強化』は『体力上昇』に。

 因みに『体力強化』という魔法と同名のスキルも存在する。が、これは『体力上昇』と『体力回復』を足して二で割ったようなスキルだ。自分も持っているが、上位スキルと言うわけではなさそうだ。三つ同時に覚えられるかは不明。ちょっと分かりづらい。

 他には属性強化や耐性強化などがある。

『魔力強化』ができればこの辺を強化する人は余りいない。

 理由は簡単だ。一度に掛けられる魔法には限度があるからだ。優先順位を考えるとピンポイントで強化するものは敬遠されがちになる。

 さらに分からないのは『エンチャント』系である。

 武器ごとの強化魔法や、装備に掛けるもの、鍛冶や錬金の完成度を上げるものなど、眉唾系のものまで様々だ。

 僕が気にするところはスキルにしろ、魔法にしろ『身体強化』系のみである。

『片手剣』や『鎚』よりも『片手武器』強化が先であり、『片手武器』強化よりも『腕力強化』が先である。

 さて、術式を確認する。

「やっぱり一世代前の術式だ」

 あー、面倒臭い。

 取り敢えず必要なものだけ、修正を加える。欲しいのは『魔力強化』『腕力強化』『脚力強化』『体力強化』だ。取り敢えずそれだけ試してみる。

「魔力アーップ。腕力アーップ。脚力、体力アーップ」

 魔法を四回唱えた。反応はあったが、レベルが低いせいか感覚はなかった。火を起こしても特に何も感じない。

 でも何度か唱えていれば、低レベル帯ならすぐ上がるだろう。

「ピザ焼こう、ピザ」

『魔法強化』を唱えては、窯に炎を注ぎ、『魔法強化』を入れては炎をかき混ぜた。重ね掛けは有効ではないようだ。上書きする形にしかならないようだ。普段の装備付与の足下にも及ばない。

 ピザばかり焼いてもいられないので、続きは後にして、食事を済ませた。

 リオナたちはこれから勉強会を始めるそうなので、僕は迷宮に向かうことにした。


 お手軽な敵はこの時間行っても狩り尽くされている。スケルトン先生辺りが無難なのだが、恐らくもういないだろう。

 そこで地下二十六階層の巨大スケルトンことスケルトンプルートとパワーアップしたスケルトン群を狩りに向かった。『疫病』持ちのワーグは速攻で焼き尽くことにする。

 索敵係がいないので、普通に肉眼に頼ってカタコンベのなかを歩き回る。

 接近戦主体なので接近は織り込み済みで向かう。

 こちらが接近すると崩れていた骸骨が操り人形のようにカタカタと音を立てながら起き上がった。不似合いな剣を構えた。

「腕力強化! 脚力強化!」

『ステップ』を踏んで、接近、一撃で仕留めた。スケルトンでは相手にならないか。

 ワーグが吠えながら通路の先から迫ってくる。

「魔法強化!」

 そして火の玉攻撃。普段と何も変わらない。

 そしていよいよ、スケルトンプルートの登場だ。長い柄はハルバートだ。巨人族のパワーと俊敏性で攻めてくる。

「腕力強化! 脚力強化!」

 一気に間合いを詰めて斬りかかる。

 スケルトンプルートはバックステップを踏んで攻撃をかわすと、前方を薙ぎ払った。

 僕は剣で受け止める。

 ほお…… 受け止められるもんだ。ほとんど装備付与の影響だけど。昔来たときとは装備が段違いだからな。

「体力強化! 腕力強化!」

 闇雲に詠唱を繰り返す。

「脚力!」

 半身を反らせて攻撃を避けると、腰に一撃を加えた。バラバラと腰が砕けた。膝を突いたところで頭蓋骨を一撃だ。

 面倒なのでアイテム回収はしない。ひたすら戦闘である。

 ただ相手の武器は再利用させて貰う。プルートの装備はサイズ違いだが。

「腕力強化!」

 拾った錆びた長剣をスケルトンに投げ付ける。

 骨とは思えない俊敏さでスケルトンは剣で剣を弾いた。

 できた隙を突いて、首を刎ねた。

 さすがにプルート相手には拾った武器では危ないので、投げ捨てて、我が愛剣で応戦する。

 剣のステータスだけでもオーバーキルだ。


『付与魔法』をひたすら繰り返した。

 半分程順路を進んだとき、なんとなく、違いが出てきた気がした。

「脚力強化!」

『ステップ』なしでスケルトンの懐に飛び込めるようになった。

 剣を振り抜き、バラバラに砕いた。

「動きは見切った」

 プルートに同じことをしたら、カウンターをもろに食らった。

「なろぉ」

 結界でダメージは防いだが、弾き跳ばされた。

「脚力! 腕力!」

 足を一本貰った。

「あ」

 軽い目眩が……

 プルートが倒れ込んだ。

 頭蓋に一撃を加えて止めを刺した。

 魔力は結界以外、『付与魔法』にしか使っていない。なのに、なぜ? これはもう『強化魔法』のレベルが上がって、消費量が上がっているとしか思えない。

 でもそれだけで? 今の僕の装備付与でこの程度で目眩を起こすとは考えられない。

 まさか、プルート? カウンター攻撃で何かしたか?

 装備を漁った。

 あった!

『マジックドレインの指輪』

 人にはでか過ぎて装備できない代物だが、『認識』には引っ掛かっていた。

 紛れもなく、魔力吸収の付与効果のある指輪だった。なんと吸収率三割! 相手の魔力量関係なしに割合で持っていきやがる。魔力を使わないアンデットだからよかったものの。

 気を付けないと…… たまにこういう落とし穴もある。

 指輪は破壊しておこう。

 続けようと思ったのだが、やはりどこかおかしい。三割程度では目眩はないわけで、残り数割の減り方が気に掛かる。

 地上に出てギルド事務所に向かった。

 

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