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マイバイブルは『異世界召喚物語』  作者: ポモドーロ
第三章 ユニコーン・シティー
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閑話 リオナノウタナノデス

 短いですが、難解です。

「リオナの『リ』の字は立派なしっぽの『リ』~♪ リオナの『オ』の字はお肉大好きの『オ』~♪ リオナの『ナ』の字はなんでも食べるの『ナ』~♪ エルリンの『エ』の字はえらいの『エ』~♪ エルリンの『ル』の字は留守なのです、の『ル』~♪ エルリンの『リ』の字はリオナ大好きの『リ』~♪ エルリンの『ン』の字は「んー」なのです、の『ン』~♪」

 リオナは歌うのです。

 雷鳴ってるから歌うのです。

 みんなお家に帰ったです。

 お祭りは終ったのです。エルリンは来なかったのです。

 だから歌うのです。

 雨が降ってるのです。雷ゴロゴロなのです。

 ユニコーンはお泊まりなのです。おねむなのです。

 だから歌うのです。小さな声で歌うのです。

 寂しいから歌うのです。お迎え来ないから歌うのです。


「リオナの『リ』の字は利口の『リ』~♪ リオナの『オ』の字はお菓子大好きの『オ』~♪ リオナの『ナ』の字はなんでも食べるの『ナ』~♪ エルリンの『エ』の字はえばりん坊の『エ』~♪ エルリンの『ル』の字は留守番は嫌なのです、の『ル』~♪ エルリンの『リ』の字はリオナ大好きの『リ』~♪ エルリンの『ン』の字は「んー」なのですの『ン』~♪」


 足音が聞こえるのです。吐く息が聞こえるのです。

 お迎えなのです。

 遅いのです。

 まだ通りの向こうなのです。

 だから歌うのです。

 お仕置きなのです。

 森に入ったのです。つまずいたのです。

 転んだですか?

 立ち止まってはいけないのです。

 リオナはここなのです。お家じゃないのです。

 そっちじゃないのです。

 リオナはこっちなのです。

 歌ってる場合じゃないのです!

『草風』にお別れ言ったです。妹ちゃんは寝てるです。

 だから手だけ振るのです。

 外は雨なのです。

 雷が鳴っているのです。

 リオナは走ったのです。

 エルリンを追いかけるのです。

 転んだです。

 滑ったです。不覚なのです。

 うずくまったです。

 エルリンの音しなくなったです。

 雨は嫌いなのです。雷も嫌いなのです。

 とぼとぼ歩くのです。


「リオナ!」

 エルリンがいたのです。

「帰ってきちゃったのか。今、雨具、取りに家に寄ってたんだよ」

 外套着せてくれたです。長靴も履かせてくれたです。

 魔法かけてくれたです。

「ごめんな、遅くなって」

 暖かです。服が乾いていくのです。

 泥んこもきれいになったです。

 もう寂しくないのです。

 雨も嫌いじゃないのです。雷も嫌いじゃないのです。

 手をつなげるのです。くっついていられるのです。

 だから歌うです。元気な声で歌うです。


「リオナの『リ』の字は理屈じゃないのよ、愛なのです、の『リ』~♪ リオナの『オ』の字はおいしいものはみんな大好きの『オ』~♪ リオナの『ナ』の字はなんでも食べるの『ナ』~♪ エルリンの『エ』の字は笑顔の『エ』~♪ エルリンの『ル』の字はルール無用の魔弾なのです、の『ル』~♪ エルリンの『リ』の字はリオナ大好きの『リ』~♪ エルリンの『ン』の字は「んー」なのです、の『ン』~♪」


 笑われたです。


 家に着いたです。

 外套脱いだら、ボサボサです。

 タオルが降ってきたのです。

 アンジェラおばちゃんなのです。おばちゃん言うと怒るのです。

 ゴシゴシなのです。

 暖かい魔法の風がくすぐったいのです。

 頭をポンと叩くのです。

 ご飯なのです。

 湯気がおいしそうなのです。

 みんなおそろいなのです。

 お肉なのです。

「お祭りでたらふく食ったんじゃないのかい?」

 リオナの心はフル回転なのです。お腹がグーッと鳴るのです。

 だから今日も大盛りで。

 食べたら眠くなったです。

 今日はもうすぐ終わりです。

 今日は特別にソファーでエルリンに寄りかかって、お休みです。

 幸せなのです。



 朝起きると自分のベッドで寝てたです。

 はて?

「んー」

 エルリンが居間で背伸びしてたです。

 リオナも背伸びしたくなったです。

 しっぽの先まで伸ばすのです。

「んー」なのです。


「おはよう」

「おはようなのです」


「リオナの『リ』の字は立派なしっぽの『リ』~♪ リオナの『オ』の字はお肉大好きの『オ』~♪ リオナの『ナ』の字はなんでも食べるの――」


 朝ごはんの匂いです。自家製ジャムの甘い匂いがするのです。


 すっかり気が抜けたところで、次回から四章に入ります。

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