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マイバイブルは『異世界召喚物語』  作者: ポモドーロ
第十三章 扉

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エルーダ迷宮追撃中(四十七層攻略)59

 ミノタウロスが次々屋根伝いに下りて来るが、悉くこちらの遠距離攻撃の餌食になっていった。

 自分で塞いだ壁を取り払って建物のなかも一通り散策して、屋根伝いに外に出た。

 外に出た途端にバーサーカーに出会ってしまったが、ただのゴリ押しだったので簡単に仕留めることができた。

『狂気の炎』で相変わらず呪われていたので火の魔石(中)を落とした。

 橋の対岸まで来たので一旦水色まで戻ることにした。

 橋のすぐ側だったので、追撃部隊が回り込めたのも納得だ。

 随分と遠回りしたものだと橋の下を覗き込みながら全員で呆れた。

「何もかも見てたら終わらなさそうだな」

 麓の村からここまで一日掛かりとは……


 巡回は執拗だし、入り組んだ道は素直にこちらを進ませてはくれなかった。その内日が暮れて夜が来た。ミノタウロスの大半も巣に戻ったようだが、巡回は相変わらず闊歩していた。

 街道に沿っての攻略は街灯もあるせいか比較的順調だったが、裏通りには着手できないエリアができ始めた。辿り着く方法が見つからないケースが増えてきたのだ。あからさまに光を灯すこともできずに暗闇に目を凝らすことが多くなった。

 地図作成には向かない時間帯だが、入場時間が決まって夕刻なら、このパターンは今後も続くだろう。

 敵は相変わらず緩慢で、それだけは正直助かっていた。が、如何せん数が多い。いくら倒しても次の通りでは次が来る。

「地図が欲しいところだね」

 さすがにロメオ君も嫌気が差していた。

 四十階層には地図があったが、ここにはないのだろうか?

 宝箱を開ける度に期待するのだが。


 この日攻略できたエリアは城下町の西北部を扇状に半分にした地域の一番外側の外縁部と麓の村のエリア一つ分である。

「内側に行くほど面積は狭くなるから大丈夫じゃないかな?」

「慣れれば早くなるわよ」

 ロメオ君もロザリアも疲れているだろうに前向きだ。

 それもこれも糸玉を設置できる場所を探すのに手間取ったせいでリオナが限界に来ていたからである。

 本人は元気なつもりだが明らかに気力が萎えていた。

 ずっと入り組んだ地形で弓矢や魔法攻撃を警戒しながら夜通し前衛を務めていたのだから当然だ。おまけにいつ空から大岩が降ってくるか知れないのだから緊張するなと言うのが無理な話だ。

「朝から全開だったからな」


 僕たちが黄色の糸玉をセットできる場所を見つけたのはそれからしばらく裏道を彷徨った後だった。

 そこは周囲を完全に建物の壁に覆われた空き地だった。

 オルトロスが上から降ってくる可能性は否定できないが、ミノタウロスが押し寄せてくるまでの時間は稼げそうな場所だった。

 明日の入場は慎重に行なわないとな。

 夜明けの太陽が城下町を照らした。

 眩しい空のなかに高い尖塔を見つけた。

 同時に嫌な物が目に付いた。空から岩を降らせる代物だ。

 次回はここから転移してあれをまず破壊してから一帯の攻略をする予定だ。

 僕たちが帰還しようとゲートを開いたときだった。

 その塔の鐘がけたたましく鳴った。

「塔が!」

 投石機のある塔が傾いたかと思ったら煙が舞い上がった。

「何かが塔を襲っていた」

 強大な蛇のような尻尾が空に舞った。

「大きい……」

 僕たちはボードを使って近くの屋根の上に降り立った。

「町を蹂躙してるのです」

 よく分からない強大なものが町中で暴れているようだった。周囲にいたミノタウロスが一斉に駆け出し迎撃に向かった。

「味方?」

 オクタヴィアが言った。

「違うだろ」

 首をもたげたところで分かった。

 巨大キメラだ!


『キングキメラ レベル六十七』


「順当なレベルだが…… 撤収だ。撤収しよう」

「やらないですか?」

「どうせまた来るんだ。今日のところはもう引き上げよう」

「そうだね、もう予定より大分遅いし」

 下に降りて脱出用のゲートを開いた。全員が急いで外に出た。


 折角夜明けが来たのに、外に出たら星が瞬いていた。

「参ったな、こりゃ」

 完全に時差惚けだ。身体はすっかり徹夜明けの感覚になっていたのに、目から入ってくる情報はこれから夜を迎えるのだ。

 回収品の換金は後にして、今日のところは帰ることにした。

 家のゲート部屋に出てくると、皆、大きな欠伸をした。

 ロメオ君は玄関を通って帰宅した。

 僕たちは地下に降りて装備を置くと居間に上がって、食堂に雪崩れ込んだ。

 なんというか、サッサと食べるだけ食べて眠りたい気分だ。

 食事の準備はもうできていた。いつでも席に着けば食べられる。

「なんだい、随分くたびれてるじゃないか?」

「夜のステージだったもので、ちょっとした時差惚けです」

「アイシャさんは?」

「もう帰って、食事も済ませて自室にいるよ」

 僕は置き時計を見た。夜の八時を回っていた。

 道理で疲れるわけだ。十二時間もあのなかで彷徨っていたのだ。

 リオナは席に着くと目を閉じ動かなくなった。

「大丈夫かい? 食べられるかい?」

 アンジェラさんもさすがに心配して声を掛けた。

 何かがテーブルから落っこちた。

 テーブルの縁を踏み外したオクタヴィアだった。

 リュックのなかで一番寝ていたくせに、椅子の途中に引っ掛かっていた。ヘモジが必死に引き上げようとしていたので、僕が摘まみ上げて専用の子供椅子に座らせた。

 料理はすぐに出てきた。

 寝ぼけながらも全員、自分の分の皿は食べきった。

 早々に皆個室に引き上げる。

 オクタヴィアも僕が卵の寝床まで運んでやった。

「こりゃ、明日は休みかな」

 何故四十七階層はあのような時間設定になっていたのか?

 呆けた頭で考えるに城壁を越える際、闇夜の方が都合がよいからだろうと察する。

 僕もベッドに倒れ込むとそのまま眠った。

 明日の予定は決めてない。が、ロメオ君は来るだろう。日暮れまでの短時間だけなかに籠もろうか? 

 きょうはもう寝よう。考えるのは明日にしよう。


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