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エルーダ迷宮追撃中3

「ああ…… 魔石が!」

 リオナが狙撃した。

 霧の先でフェンリルが倒れた。

 リオナの銃口はまだフェンリルを追い続けている。

 そしてとどめの一撃を加えた。

 なるほど、血の臭いが却って居場所を晒したか。

 リオナは追撃をやめた。

 僕は結界を倒したフェンリルを内包するように囲い込んだ。

 ドラゴンフライが動いた!

「まだ生きている!」

 ロメオ君が氷の槍を放ったが、対魔結界に弾かれた。破壊しないように加減したことが仇になったようだ。

 強化した二射目で葬った。

 ドラゴンフライの身体はフェンリルがくわえた腹から真っ二つになった。

 残った二体のドラゴンフライは逃げていく。

 また霧が少し晴れてきた。

 傷付いたドラゴンフライの一体が忽然と姿を消した。代わりに巨大な鳥が。

「肉!」

「いりません!」

 ロザリアが間髪入れずに言った。

「なんで!」

 リオナが拗ねた。

「ドラゴンフライ食べてるじゃないの!」

「確かに食欲なくすな……」

「仕方ないのです。今度は食べる前の奴をたおすです」

 稲妻が落ちた。

 でかい図体が災いしてかなりの数の直撃を受けた。

 麻痺を食らって動けなくなった。

 僕は接近すると『魔弾』で仕留める。

 もう一体、いるはずだ。

 振り向くとロメオ君の氷の槍で串刺しになったドラゴンフライが事切れていた。

 

 魔石を回収する間、前回同様その場に待機する。

 歩みは遅いが、この方法が確実か?

 魔石の大が三つと特大が一つ。中サイズになってしまったのが一つ。

 ロック鳥美味しいな。特大がこんなに出たのってセンティコア以来だな。

 魔力がありそうに見えないんだが、まさか魔法能力で飛んでるんじゃあるまいな? この巨体を飛ばすとなればもしかすると…… 今度遭遇したら少し観察するか。

 霧がまた晴れた。

 僕たちは急いで周囲を確認した。

 進むべきルート検索、灯台の在処を見つけ出す。

 ロメオ君が地図に書き入れたものをリオナが確認して頷く。

「このまま下って中腹まで行ったら昼だな。そこから上りに転じて灯台までか」

「遅くなりそうじゃな」

「あの谷間、ワイバーンがうようよいそうだね」

 中腹を見てロメオ君が言った。

「あそこはドラゴンフライの巣じゃなくて?」

 同じ場所を見てロザリアが別の意見を述べた。余程ドラゴンフライが嫌いらしい。

「共食いしてそうだから数はいないでしょ? どうせ」

 ナガレが言った。

「昼食は少し手前で取ろう。その分、上った先の中腹でおやつ休憩を長く取ればいいだろう」

「じゃ、もう少しの辛抱なのです」

 晴れている間は襲われることはなかった。索敵にも反応はなかった。

 晴れてる間に通り抜けろと言うことか?

 僕たちは警戒しながら緩やかな勾配を急いで下りた。


「また風が強くなってきたです」

 強風が吹き荒れ、深い霧が視界を覆った。

 周囲の地形はさっきまで見えていたのでまだ立ち位置が分かる。

 最初より状況が見える分、気は楽だ。

「ワイバーンの群れだ!」

 こちらではない方向に飛んで行った。

 追い掛けると地上にはフェンリルの団体が暴れていた。

 互いに爪と牙を戦わせている。

 一対一ならフェンリルに分があった。だが数に勝るワイバーンの攻撃は執拗でフェンリルのきれいな毛皮は真っ赤に染まっていた。

 僕たちは数が減るまで傍観を決め込んだ。

 フェンリル側が惜敗した。残ったワイバーンも青息吐息である。

「これって魔石取り放題?」

 そうだな。残りを狙撃しようとスコープを覗き込んだ。

 頭上からプレッシャー!

 三度目の正直!

 僕は地面に転がると銃口を上に向けた。

 降下してくる巨大な影!

「転移?」

 ロック鳥の後方に空間の揺らぎが見えた。

 えええええええ?

 こいつが捕らえきれなかったのはショートカットしていたからなのか!

 ただ加速が尋常ではないので、地上に激突しないため、獲物への軌道修正のため、出現ポイントを長めに設定していただけだったのだ。

 僕は『魔弾』を放り込んだ。

 眉間を撃ち抜いた。が、勢いのまま真っ直ぐこちらに落ちてくる。

 結界で捌きながら距離を置いた。

 僕たちとワイバーンの間に土砂を巻き上げて落下した。

 衝撃で斜面にあった遺体の多くが坂の下に転がり落ちた。

「あああああ!」

 報酬が目減りした。

 特大一個の方が価値があるのは分かるが、凄く損した気分だ。

 生き残ったワイバーンを始末した。

 魔石の回収をして、しばし小競り合いをした後、再び晴れてきたので安全なルートを探した。

「あそこに横穴があるのです」

「ええ? 何かいそうじゃありません?」

 ロザリアの言うとおり横穴にはいそうな予感がした。

 また嵐になる前に、少し行った先の岩場に休憩所を作った。

 

「転移してたですか?」

「間違いないよ」

「急に速くなってたわけじゃなかったですか?」

「まさか転移とはの」

「それって『魔獣図鑑』にも載ってない情報だよ」

「てことは金一封かな?」

「検証できるかだよね」

「取り敢えず報告だけしておくよ」

「あの唐突さの説明が付いただけでも大手柄じゃ」

「でもそうなると結界のなかに入ってくることもあるんじゃないかしら?」

 ロザリアがベーコンをパンに挟んだ。多過ぎたのか一枚をよけた。

「城壁じゃないんだから転移なんて防げないわよ」

 ナガレがその一枚を自分のパンに加えた。

「問題は加速ゼロでも結界を越えてくるかだよ。降下中の転移なら、地面に激突するだろうから、距離を取ってくるだろうけど。地上に降りてから飛び越されると厄介だぞ」

「それは問題なかろう。行動前に前兆があるはずじゃ」

「入って来られないように結界の範囲をなるべく狭めるか、内側にもう一つ――」

 ナガレが手で示した。

「ナーナーナ」

 内側に入ってきたら自分が殴り倒すとヘモジが息巻いた。

「伊達に魔石が特大なわけじゃなかったのね」

 ロザリアが言った。

 外の風がまた強くなった。

 一体どういう天気なんだ?

「変わり過ぎよね。この天気」

「視界がいいときは攻めてこないのよね。普通逆じゃない?」

 ロザリアとナガレが外を眺めながら言った。

 僕はハンバーグを挟んだパンを頬張った。

「たくさん倒したら霧が晴れた」

 オクタヴィアが言った。

「魔物が出てきたから霧が深くなったとも言えるの」

 恐らくトリガーはどっちかだ。どっちとは言えないだろうけど。

「そろそろ出てくるな」

 外の風が荒れ始めた。

 予想通りなら、時間は解決してくれないことになる。

 前に進むためには討伐あるのみ。


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