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マイバイブルは『異世界召喚物語』  作者: ポモドーロ
第八章 春まで待てない
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エルーダ迷宮暴走中(メルセゲル・ゴースト・オルトロス編)27

 午後は地下三十五階層攻略である。

 メルセゲル、ゴースト、オルトロスのフロアーである。クヌムとはここでお別れだ。

 オルトロスはケルベロスを既に相手している僕たちには脅威ではない。ただの双頭の駄犬だ。

 もっともオクタヴィア辺りは一飲みなので、注意が必要だ。

 クエスト中は地下空間だったフロアーも今回は上物のお城の攻略がメインになる。メルセゲルの城と言ったところか。

 城は町の大門から最も遠い丘の上にあった。鋭い絶壁に囲われた典型的な山城である。

 情報では城にはメルセゲルの兵隊が警備を堅め、中庭にはオルトロスが放し飼いになっているはずだ。王座のある大広間から抜け道を行き、城外に出た先が今回のゴールになる予定だ。

 今回移動エリアは狭いが、その分敵はひしめきあっているし、なかは結構な迷路になっているはずだ。

「予定通り?」

 ロメオ君が予定通り進めるのかと、城の現物を見て言った。見ると聞くとでは大違い。その堅剛さは僕たちの想定外だったのだ。

 振り子列車のなかで相談した正面突破案は廃案になった。

 できなくはないが、無数にある狭間から矢や岩や油が振ってくるかと思うと正直二の足を踏んでしまう。

 もしそんなことになったら城ごと吹き飛ばしてしまいそうだ。

 笑いごとじゃないぞ、ヘモジ。

 僕の冗談に笑い転げていた。

 一方、オクタヴィアは目薬の一件からまだ回復しきっていないようで、リュックのなかで大人しくしている。

 ヘモジを実体化すれば正門は容易く破れるだろうという案も出たが、「たまには普通がいい」と言う意見で一致した。

 となると方法は地図情報のお薦めルートということになるが、この方法、パーティーを分ける必要があるので、独自の修正を加えることになった。


 情報によると、壁の一角に手がかりがあるらしい。

 天然の岩と人工物との連結がうまくいっていない場所があり、そこが侵入ルートには最適だという話である。

 天然の岩の中腹に、下からは見ることができない、ちょっとした凹みがある。

 城を作った大工たちが足場を築いた名残らしいのだが、そこを足がかりにすると反対側の監視塔が狙えるらしいのだ。

 警備兵を黙らせた後、大工たちが作った裏ルート、絶壁の岩の亀裂に梯子が掛けてあるので、それを伝い城壁を登り切ることができるのである。

 恐らく壁の修復などに今も利用されているのだろうと、好意的に解釈しておこう。

 たかが冒険者パーティーに通常の城がそう簡単に落せるわけもないのだから、その辺はお情けと考えるのが妥当だろう。

 三十二層で会ったレイドパーティーは案外ここを目指していたのかも知れない。

 出る場所は厠の裏手で、そこは完全な死角になっているらしい。そのまま誰の目にも触れずに監視塔まで行って、そこから地上を目指すことになる。

 塔の内部が螺旋階段になっていて地上まで降りることができるのである。

 城壁内の点検通路を通り、門衛棟に辿り着けばゴールは間近だ。

 門番を倒し、門の閂を外せばお役御免である。

 潜入班の仕事は以上であるが、当然彼らから目をそらすための別働隊も通常組織される。城の周囲で騒ぎを起こす陽動部隊兼本隊だ。

 生憎、僕たちに陽動に割ける人員も増援もいないので、いろいろ予定を変更することにする。

 要するに、結局のところ、我流である。


 僕たちは天然の要害である裏手の岩場にやって来た。通常この絶壁を登る奴はいないので、警戒も手薄で、見張もいない。塔を建てることができないと言った方がいいだろうか。登り切った先に、おまけ程度の城壁と目標の監視塔が一つあるだけだ。

 まず深掘りしただけの堀に橋を架ける。

「うわー、高いのです」

 リオナが下を覗き込む。

「やめろ、お前たちが前傾姿勢になると僕が落ちる!」

 オクタヴィアとヘモジがあたかも僕を道連れに飛び込むかのように、僕の頭と襟首を掴んで下を覗き込む。

「障壁の干渉がないな?」

「結界はないんですかね?」

「裏手まで手が回らんのかも知れんな」

 アイシャさんとロメオ君が魔法防壁がないことを確認している。

 まあ、人族やエルフの城じゃないからな。ないのが普通なんだが、既成概念というのは、当人の与り知らないところで影響力を発揮しているわけである。

 見上げるとますます城が大きく見えた。

 さて、攻略情報なら岩と人工物の隙間の手がかりを使って身軽な連中による壁登りが始まるところだが、うちでそんなことができるのはリオナだけである。よって、お上品な女性陣と、非力な男性陣は緩やかな上り坂を行くことにする。

 天然の岩をくりぬいて作った坂道を登るのだ。

 破壊可能判定がなければ掘ることはできないが、攻城戦が主題のエリアならある程度の破壊は可能なはずだ。駄目なら外側に作るだけだが。

 破壊は城の人工部の足元までは可能なようだった。どうやら山ごと城は落せないようだった。

 あくまで破壊は外壁部までということだろう。

 そんなわけで誰の目も憚ることなく穴掘りである。

 ひたすら斜め上に真っ直ぐ掘って外までくり抜いたら折り返す。

 外の景色を見ながら、掘り進める方向を調節し、折り返してまた掘り進める。

 そして僕たちは中腹の足がかりに到着する。

「敵はふたりだな」

 今回は消音装置付きの僕のライフルを使って、名手のリオナに任せることにした。

 バシュ、バシュ。

「命中したのです」

 絶命を確認。

 僕たちは先を進んだ。

 クレバスに案の定梯子が掛かっていた。

 だが、これも余りに長い梯子過ぎたし、足元は既に見たら気絶しそうな高さである。

 ロザリアもロメオ君も正直僕も足がすくんだ。

 いつ折れるか分からない梯子を登るのは……

 あ、その手があった。

 僕は転移した。転移先は監視塔だ。

 うまく出られた。

 僕は全員を呼び寄せた。

 

 さてここからが本番である。

 まず城壁の上や塔にいる敵を倒しつつ、塔を一つ占拠する。

 そこで籠城して、城内にいる敵を一掃するのである。

 今いる監視塔では小さすぎて役に立ちそうにない。

 最寄りの角塔がいい。

 改めて角塔の位置を確認し、倒すべき敵を視認する。オルトロスがこちらに気付いたようだ。

「行くぞ!」

 僕たちは最初の一撃を放った。オルトロスを黙らせ、射程に捕らえた兵士を駆逐する。

 ナガレとロメオ君を残して監視塔を降りる。

 ナガレとロメオ君が中庭に現れた兵士とオルトロスに落雷攻撃を仕掛ける。

 アイシャさんは僕たちを援護しつつ塔の反対側から迫る兵士を仕留めていく。

 僕とリオナとロザリアとヘモジは前方の大きな塔を奪取する担当だ。

 ロメオ君たちが降りてくると合流して、全員で監視塔を破壊する。

 これで、後方と螺旋階段を使って上がってくる敵を押さえられる。

 戦闘中に修復されない程度まで破壊しておいたので、こちらから来る敵はもういない。

 正面の敵を落とすのみだ。

 角塔は占領するので破壊はできない。でも敵が集まる前に終らせなければいけないので時間も掛けられない。

 そこで僕たちは一気に接近、塔に攻め込む。

 無数の弓矢が放たれる。

 アイシャさんが風魔法で矢を払い、僕は『無刃剣』を撃ち返して駆け寄ってくる兵士を倒していく。

 リオナとヘモジが間隙を縫って塔の下に辿り着く。

 リオナがヘモジを塔の上に投げ込むと自分も階段を一気に駆け上がった。

 僕とロザリアが塔の上の兵士を牽制しながら後に続く。

 アイシャさんとロメオ君とナガレが壁に貼り付くと射程内にいる敵の殲滅を始める。

 上からの攻撃が収まると、僕は塔の反対側に出る。そして接近する敵を一蹴し、侵入に備えて土の壁で通路を塞いだ。

 塔の上の敵を一蹴したリオナが顔を出す。銃撃戦の始まりである。

 リオナの守りにロザリアが階段を駆け上がると、ヘモジが代わりに降りてくる。

 ロメオ君とナガレもやって来て上に登って行った。

 最後にアイシャさんがやって来て僕と合流する。

 城壁の通路と中庭からの上り階段から次々押し寄せる軍勢は壁に阻まれ、大渋滞を起こし始めた。

 そこへ、リオナとロザリアの狙撃とロメオ君とナガレの魔法攻撃が炸裂する。

 兵士が城壁から次々石ころのように落ちて、下にいる味方を押しつぶしていく。上り階段にいる行列に突っ込んで、巻き込んで更なる転落者を生み、庭に整列して出番を待つ一団の上に降り注ぐ。

 それでも敵は次々沸いて出る。

 僕とアイシャさんは塔の下に溜まっている中庭の敵の数を減らしていく。

 魔法や矢を仕掛けてくる敵は、更なる射程を持つリオナたちが仕留めていく。

 敵側に打つ手はない。

 敵の抵抗はしばらく続いたが、情報に違わぬ大量の軍勢をほぼ一掃することができた。

「本気で攻城戦をすることになるとは思わなかったな」

 リオナたちに警戒を任せて僕たちは膨大なアイテムの回収である。この人数では解体もままならないのでドロップ品の回収だけだが、それでも武器や装備やらも含めると半端ではない。

 装備品は質より量なので余りいい物はなかったので放置した。

 それでも持てないほどの魔石が手に入った。

 回収を終えると、僕たちは中庭を抜け居館を目指した。



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