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マイバイブルは『異世界召喚物語』  作者: ポモドーロ
第八章 春まで待てない

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エルーダ迷宮暴走中(オーガ・無翼竜・クヌム編)5

 魔法使いにはより遠距離からの狙撃攻撃。

 ライフルの出番である。

 通路は広く、多層構造で見晴らしもいい。敵にとってもだが、狙撃ポイントになりそうな場所がそこかしこにある。ただその分入り組んでいてゴールまで先が見えない。

「見つけたのです」

 そう言うとリオナは双剣を構える。片手撃ちである。

 見事に命中。敵に何もさせないまま息の根を止めた。

 買ったはいいが、今まで銃を実戦に持ち込むことをしなかったロメオ君が僕のライフルを構えている。ロザリアが手を取り、細かいアドバイスをしている。

 ロザリアのがんばりに触発されたかな?

 僕は万が一に備えて弾倉が空の短銃を懐に忍ばせておく。

「これ面白い」

 ロメオ君が十字の照準線のあるスコープ越しの世界を楽しんでいる。

「見つけた! あれ? なんで見えるんだ?」

「敵だって四六時中警戒しておるわけなかろう?」

 アイシャさんに突っ込まれた。

「やっていいかな?」

「はずしてもいいわよ。迎撃はまかせなさい」

 ナガレがブリューナクを敵陣に向ける。

 ロメオ君は真剣な面持ちでライフルを構えて、無防備なクヌムを一体貫いた。

 狙いからはずれたらしいが見事に命中し、息の根を止めた。

 仲間が倒れたことに気付いた他の仲間が近づいてくる。

 リオナが立て続けに仕留める。

 僕たちは周囲を警戒しながら一気に距離を縮める。

 煉瓦で囲まれた中庭に出た。手入れの行届いた中庭だった。突き当たりである。

 左右に上へと続く外階段がある。倒した獲物はその先の通路に転がっているはずだ。

 発見される前に、中庭を抜けなければ。上から集中攻撃を受けることになる。

 敵の別働隊が、こちらの動揺を察したかのように動き出した。

 どうやらこちらを見つけたようだ。

 狙撃できる場所ではないので急いで場所を移動しなければ。

 上階に上がる途中、右の外階段の折り返しに敵が潜んでいた。

 別の一体が上から陽動を仕掛けてくる。

 大量の水が渦を巻きながらこちらに襲い掛かってくる。

 僕は水流を巻き取り、お返しに隠れている先の階段に向かって流し込んでやった。

 水圧に押し出された敵が姿を現わす。

 稲妻が頭上に降り注いだ。

「あんたいろんな芸持ってんのね」

 ナガレに褒められた。

「雷は止めろよ! 足元水浸しなんだぞ」

「大丈夫よ。加減してるから。第一、あんた結界張ってるじゃないの」

 確かに結界張ってるし、全員の装備には耐魔性もあるから仮に命中しても被害は軽微なのだが、それでも雷に身をさらすのは嫌だ。それに……

 目立つから敵がどんどん集まってくる。

「回収を済ませておいた方がいい」

 取りあえず、この場所にいては不味い。

 アイシャさんの言葉に頷き、僕たちは階段を駆け上った。

 通路に残してきた獲物は既に石になっていた。水の魔石(大)をいくつか回収して、装備も押収した。

 それから接敵まで装備の鑑定だ。宝飾品何点かと杖をすべて押収した。こいつらの持つ杖の先の宝石はいい物だった。役に立たない付与術式でも、術式を消して磨き直せば、まだ充分使える大きさがあった。

 通路の両側からクヌムの大群が押し寄せてくる。

 片側を氷の壁でふさぎ、片側の敵に集中する。因みに塞いだのはロザリアだ。通路の奥もこちら側にも串刺しになった被害者で一杯だ。

 反対側の敵に狙いを定めるもリオナとナガレ、ヘモジが全部持っていった。

 やがて回り込んできた増援が下から現れた。

 着ているローブの裏地の色が緑色だ。これまでとはひと味違うのか?

 羊頭はどれも同じ顔に見えるのだが。

 大量の水球が放たれた。

「なんだ?」

 獲物を射貫く力もない。払えば消えてしてしまいそうな水玉が周囲を覆った。

 突然怠くなった。

 なんだ?

 周囲を観察するも変わった様子はない。だが、妙に力が抜けていく。

 そんなときリオナたちが押さえていた通路の一角が押し込まれた。

 まさか!

『認識』スキルが足元に反応した。


『毒水、解除レベル中――』


「この水…… しまった」

 僕は足元を凍らせた。

 全員が僕のしていることを訝しんだ。

「ロザリア、ちょっと」

 僕はロザリアを呼んだ。

「しくじった。結界で防いでいたつもりが、差し込まれた」

 僕は足元を指差した。

「毒を撒かれた」

 濡れた水浸しの床に高濃度の毒がいつの間にか混入していたのだ。僕たちは知らずにその上を歩いていたのだ。いくら結界でも、すでにある毒を排除までしてくれるわけではない。それはまた別の魔法だ。

 気化したか、跳ねた毒を吸い込んで徐々に身体に回ってきたのだ。みんなの動きが鈍くなってきたのはそのせいだ。

 ロザリアは頷くと解毒の魔法を全員に掛けた。

 急に楽になった。やはり毒に当てられていたか。

 だが、全員が状況を理解した。

 ナガレが水流で足元の毒水をきれいに下階に押し流した。みんなで水の侵入を防ぐために結界内に段差を作った。

「まず、この厄介な雨を降らせている奴を始末しないと」

 恐らくあの水球を大量に撒いている奴らだろう。

 まさかこんな搦め手を仕掛けてくる奴らだったとは……

 注意喚起ぐらいあってもよかったのではないか?

 嗚呼、そう言えば看板が立っていたんだった……


 氷の槍を作り出して奴らに向けて放つ。障壁があってダメージが通らなかった。

 対魔結界か。

「だったら」

 僕は懐の短銃を取り出した。

「ゴリアテ工房謹製。金貨千枚。実力を見せて貰おうかな」

 僕は十発装填用の弾倉を装備して銃を連射した。

『一撃必殺』で討ち漏らすことなく仕留めた。

 十人程いた階下の連中をロメオ君とふたりで一掃した。

 ロザリアが念のために解毒の魔法をもう一度入れる。

 急いでここから離れないと。でも敵は次々沸いてくる。

 それに階下の押収品も回収しておきたい。

 僕は動けないからアイテムの回収はアイシャさんとロザリアに任せる。

 そんなとき封じ込めていたもう一方の通路が突破された。


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