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マイバイブルは『異世界召喚物語』  作者: ポモドーロ
第七章 銀色世界と籠る人たち
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エルーダ迷宮迷走中(アガタが来た!)16

「うーむ」

 ロメオ君ちのギルドで『認識計』借りて、自分を覗いている。

 レベルは前回と余り変わっていなかった。


 アクティブスキル…… 『兜割(五)』『鬼斬り(一)』『スラッシュ(三)』『連撃(五)』『ステップ(十)』『シールドバッシュ(三)』『シールドアタック(一)』『認識(七)』『一撃必殺』『火魔法(四)』『水魔法(四)』『風魔法(五)』『土魔法(九)』『氷魔法(十)』『雷魔法(三)』『光の魔法(一)』『無属性魔法(一)』『召喚魔法(三)』『空間転移魔法(十)』『強化魔法(一)』『竜の目(三)』

 パッシブスキル…… 『腕力上昇(五)』『体力強化(五)』『片手剣(七)』『両手剣(四)』『弓術(四)』『盾術(四)』『スタミナ回復(三)』『二刀流(一)』『隠密(五)』『アイテム効果上昇(五)』『採集(五)』『調合(七)』『毒学(四)』『革細工(三)』『鍛冶(二)』『紋章学(十五)』『覚醒(十)』『料理(一)』

 ユニークスキル…… 『魔弾(七)』『楽園(五)』『完全なる断絶(十一)』『千変万化(二)』

 称号…… 『蟹を狩るもの』『探索者』『探求者の弟子』『壁を砕きし者』『ユニコーンの盟友』『覚醒者』


『千変万化』と『竜の目』と『召喚魔法』と『料理』が新規に増えていた。

 説明はいらないだろう。『千変万化』は王様の無茶振りのせいだし、『竜の目』はここ最近の修行の成果だし、『召喚魔法』はヘモジのことだし、『料理』は…… 料理? もしかして餅をついたせいかもしれない。

『紋章学』が一気に伸びたのは、ハイエルフ流の禁断の術式を、猫が僕にばらしたせいだろう。

 実践がどうというより、理解が急激に進んだことが大きい。今後、紋章を書くときは注意が必要だ。無意識に重要な情報を垂れ流す可能性がある。標準との乖離を常に気を付ける必要が出てきた。

 今回の事件で、何か得られるかと思ったのだが、何もなかった。

 適正が合わなかったのか、そもそもユニークスキルなど持っていなかったのか?

 ピア・カルーゾが転移系のユニークスキルを持っていた可能性は大きかったが、僕も何種類か関係しそうなスキルを持っていたので、かぶった可能性がある。どちらにしても、僕のスキル欄には一連の事件に見合った報酬はなかった。

 

「何か変わった気がしたんだけど、気のせいだったか……」


 ついでにスプレコーンの冒険者ギルドの掲示板を覗いていく。

 さすが冬だ。討伐の依頼はない。雪掻きの依頼は山ほどあったが、狩猟は数件残ってるだけだ。

 物足りないな。

 僕はギルドを出ると帰路に就いた。そしてよせばいいのについつい見に行ってしまったのだ、大雪のせいで作り直すことになった新たなソリのコースを。

 なんだこりゃ?

 前回も相当来ていたが、今回はさらに高度なアクロバティックなコースに変わっていた。あちこちでコースが途切れている。

 そこを子供たちが空中一回転して、飛び越え、次の障害に向かって飛んで行く。

「これのどこがソリのコースなんだ……」

 完全にフライングボードの影響を受けていた。

 獣人は兎も角、人族の子供たちは危ないんじゃないのか? と思いきや、安全な旧来のようなコースも併設してあった。あれも大概だったが。

 どうやら、ジャンプの多いコースは上級者コースになっているようだった。

 その割りに幼児がビュンビュン飛んでいるが。親は何とも思わないのか?

 兎に角、見つからないうちにおさらばしないと、今度こそ殺される。

 僕はすり足で逃げを打つ。

 が、時既に遅し。

 子供たちの無邪気で残酷な視線が僕を見つめていた。

 ソリを借りて、旧来のコースを行こうと思ったら、そっちじゃないよと修正された。

「若様なら大丈夫だよ。フライングボード上手なんでしょ」

 自身で制御できるかどうかは大きなファクターだ。慣性に任せた偶然に命を預けるなんて怖すぎる。


 地獄の数分間が過ぎた。

 くたくたになった僕は出迎えた子供たちにソリを返すと、中央広場に隣接する憩いの森のベンチに転がった。

「家が遠のいてしまった」

 遠くで槌の音がした。

 ん? 

 中央広場を西に下り、南北の街道に接する辺りで、人混みができていた。

「なんだ?」

 鍋や釜、包丁などを持った主婦が列を作っていた。

「いらっしゃいませ」

 店員らしい女性がお客を迎える。

「鍋に穴開いちゃったのよ。これ直るかしら?」

「少々お時間頂きます」

「『出張修理』?」

 へー、面白いことしてるな。て、営業許可取ってるんだろうな?

「できたよー」

 ドワーフだ。奥にいた鍛冶屋はドワーフだった。それも……

「……」

 見なかったことにしよう。

「おお、坊ちゃん! 久しぶりー。俺のこと覚えてるか?」

 しまった。捕まった。

 忘れいでか! チビ姉ちゃんこと、ドワーフ鍛冶馬鹿娘、アガタ・コンティーニ。十七歳。今十八か? 『リーダーの証』事件を引き起こして、執行猶予を受けてゴリアテ預かりになっていたはずだが、なぜここにいる?

「覚えてますよ。随分酷い目にあいましたからね」

「いやー、その節は迷惑掛けた。今度、坊ちゃんの姉上の勧めでこちらに鍛冶屋を開くことになったんだ。よろしく頼む。ここ数日、ここでデモンストレーションさせて貰ってる」

「許可とりました?」

「…… いるの?」

「私有地だよ、ここ」

 汗だくのチビ姉ちゃんが別の汗をかき始めた。

 せっかく保護観察が外れたのに、また出戻りじゃ可愛そうだしな。

「いいよ。僕の家の庭だから、その代わりしっかりやってね」

「そ、そうか! わかった。さすが坊ちゃんだ、話が分かる」

「客待たせるのもなんだから、またな」

「おまかせください。坊ちゃん。後で窺わせて頂きます」

 また、トラブルの予感が……


「なんだ、もう会ったのか? 驚かせてやろうと思ったのに」

「充分驚きました」

「デカ乳姉ちゃんなのです!」

 その夜、姉さんがアガタを連れてきた。

「誰?」

「以前、迷宮で知り合った鍛冶師なのです」

「うわー、でかい家だな。ここが坊ちゃんの家なのか? どんな悪さしたんだ?」

「こういう奴だ」

 なんとなくみんな理解した。

「今日から、この町で暮らすことになったアガタ・コンティーニだ。見ての通りドワーフだ。性格はこの通りだが腕はいいので、贔屓にしてやってくれ。家は店と兼用で南の街道にある。ドワーフ公認の看板が目印だからすぐ分かるだろう」

 へえ、公認貰えたんだな。

「うっわー、これ、棟梁が鍛えた剣だよな。ほえー、すげーなー」

 いきなり僕の剣を取って、なめ回すように観察し始めた。

「なんだ、全然使ってねぇじゃねーか。これじゃ宝の持ち腐れだぜ。坊ちゃん」

 いきなり駄目出しである。

「こっちは工房製、グリエルモ様の手によるものだな。うむ。こっちはなかなか使い込んでるな。少しガタが来てる。明日うちの店に持ってこい。直してやる。それと本業は細工師だからな」

 そういやそう言ってたな。

「ドワーフ製の武器以外も修理するからよろしくな」

 何をやっても一直線。猪突猛進、好感は持てるが、トラブルだけは勘弁な。

 姉さんと一緒に夕飯を取り、大いに盛り上がって帰っていった。

 酒樽が丸々一つ空になった。


 翌日、僕たちは集団で店に押しかけたら、本人は二日酔いでダウンしていた。

 心を許せる相手とはしゃいだのは久しぶりだと言って申し訳なさそうにしていた。

「これ飲んで頑張るです」

 リオナが万能薬を差し出した。

「凄い、これなら毎日深酒できるな」

 分けてくれるようにリオナと交渉していたが、万能薬だと知って飛び上がった。

 取りあえず、全員の武器を調整させて、僕たちは本日の狩りに出かけるのであった。


 『ステップ(七)』→『ステップ(十)』、『認識(四)』→『認識(七)』、『火魔法(三)』→『火魔法(四)』、『土魔法(七)』→『土魔法(九)』、『空間転移魔法(三)』→『空間転移魔法(十)』、『魔力探知(十)』+『生命探知(?)』→『竜の目(三)』。

 『腕力上昇(四)』→『腕力上昇(五)』、『片手剣(五)』→『片手剣(七)』、『両手剣(二)』→『両手剣(四)』、『盾術(三)』→『盾術(四)』、『スタミナ回復(二)』→『スタミナ回復(三)』、『隠密(二)』→『隠密(五)』、『アイテム効果上昇(四)』→『アイテム効果上昇(五)』

『紋章学(五)』→『紋章学(十五)』。

 『魔弾(五)』→『魔弾(七)』、『楽園(二)』→『楽園(五)』、『完全なる断絶(八)』→『完全なる断絶(十一)』。


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