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マイバイブルは『異世界召喚物語』  作者: ポモドーロ
第五章 開かない扉と迷宮の鍵
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ロメオ君育成計画8

 第五章のサブタイトルを軒並み変更しました。

 ご迷惑おかけして申し訳ありませんm(_ _)m

 本文に変更はありません。


 人物紹介を4章末に掲載しました。

 参考にして頂ければ幸いです。

 章立てしてると、独立して掲載できないみたいで、こんなところに割り込ませる結果に……

 

 エルーダ迷宮地下九階の魔物はレッドスライムと放火(ファイアセット)ゴブリンである。

 スライムとゴブリン、一見最弱ペアに見えるこの二つ、この階層にいるだけの実力は果たしてあるのか?

 フロアーは典型的な地下空間、石煉瓦の廊下と部屋の組み合わせだ。

 レッドスライムは可燃性のスライムだ。火を付けると表面が燃えるらしい。溶けてなくなりそうな気もするが、意外にしつこい奴らしい。最長はだらけた状態で二メルテほど。異世界で言う、当たるまで追いかけてくる『誘導ミサイル』のような奴である。

 おまけにスライムの特徴である物理攻撃に強いという特性も引き継いでいるので近接戦闘組は要注意である。結界の類いではないので『結界破り』も通用しないらしい。魔法武器か、魔法がないと倒すのは容易ではないらしい。

 スライムの魔石は基本的にクズ石だが、たまに身体のなかに鉱石を抱え込んでいることがある。レッドスライムの場合、当たりがルビーで、はずれが鉄鉱石だ。

 一方、放火ゴブリンはゴブリンがたいまつを持っただけのやつである。徒党を組んでいない分、たいまつ以外の武器を持っていない分、地下一階より弱い相手と言っていいだろう。ただし、たいまつに油を吹いて攻撃してくる攻撃だけは注意である。


 そんなことよりもだ。

「本気でそれ使うのか?」

 ロザリアが新調した武器の握りを確認していた。

「何か問題でも?」

「そんなでかい武器扱えるのか?」

「ランスは聖騎士の嗜みですからね」

「馬上じゃないぞ。しかも狭い迷宮で。大体騎士じゃないだろうが?」

「わかってますよ。魔法使いが使う道具じゃないってことぐらい。でも、そのリスクを負ってでも、これはわたしに必要な武器なのです。武器屋で見つけたときは驚きましたが、聖エントリオ謹製グングニルのレプリカ。この運命は神に感謝しないといけません」


『グングニル・レプリカ 両手、片手槍。魔法増幅、魔力回復量増加、障壁貫通(光の魔法使用者限定)』


「光の魔法が使えない奴にはただの槍ってわけだ。売れ残るわけだな」

「聖騎士御用達です。一般に出回るものではありません。戦場から流れてきたものでしょうけど、普通はお金では手に入らないものなのです」

「付与のためだけにそんなでかい物、持つというのがね……」

「わたしにとってこれは特別な武器なんです」

「ほんとかよ」

「その証拠をご覧に入れます」

 そういうと長いランスを構え、前を見据えた。

「今日の主役はわたしです。殿方は守ってくださればよろしいのですわ」

「呪いかかってんじゃねーか?」

「うるさいわね!」

「お客さん来たのです。スライム三匹と放火魔です」

「え? もう来たの?」

「千客万来です」

 本日のフォーメーションは自己申告によりロザリアが前衛に、リオナが援護に回ることになった。僕は相変わらず結界担当で、ロメオ君は不測の事態が起きたときの収拾担当である。


「おいでアムール」

 ロザリアは幻獣を召喚した。

「え?」

 僕たちは息を飲んだ。

「如何かしら?」

 彼女は「どうよ?」と言わんばかりにふんぞり返った。

 驚いたことに召喚された幻獣、名はアムールというらしいが、普段の倍の大きさになっていた。

『魔法増幅』というのはこういうことだったのか。普通は『魔力増加』とか『魔法攻撃力増加』だからおかしいと思っていたが。

「アムール、殲滅よ」

 ゴブリンに火を付けられ、燃え上がったスライムが続けざまに三匹、床を滑るようにやって来る。

 アムールは地を跳ねるようにスライムに駆け寄ると前脚で的確に踏みつぶして行く。燃える炎をものともしない。

 そして最後は燃やす物のなくなったゴブリンだ。振りかざすたいまつなど気にせず、猫パンチを軽く決めただけで昇天した。

「僕たちいらないみたいだね」

「魔力の消費はどうなんだ?」

「問題ないわよ。ランスのおかげでね。結界を持った敵ならもっと面白いものをお見せできたのですが」

 まさか、『障壁貫通』能力を幻獣が持つというのか?

 てことは僕の魔法結界すら通り抜ける可能性があるということか?

 さすが、執着するだけのことはあるんだな。

『グングニル・レプリカ』を持った彼女はもうこのパーティーの主戦力だ。

「早くしないと消えるのです!」

 倒したスライムの元にリオナが飛んでった。しゃがんでゼリーのような遺体を弄っていたと思ったら小さな石を拾い上げた。

「るびー?」

「当たりだな」

 真っ赤なルビーの原石が出てきた。

「やったのです」

「こっちにもあった!」

「こっちははずれ。多分鉄鉱石」

 ロザリアはぽいと捨てた。

 ルビーは今回の依頼アイテムである。

 売値は余り高くない宝石なのだが、ギルドポイントを稼ぐために引き受けた。


『依頼レベル、C。依頼品、ルビーの原石。数、十。期日、土前月末日まで。場所、エルーダ迷宮洞窟。報酬依頼料、金貨三枚から、全額後払い。依頼報告先、冒険者ギルドエルーダ出張所』


 僕たちはロザリアの活躍もあり、順調に狩りを進めた。

 ルビーは大体三体に一個の割合で回収できた。依頼達成まであと半分。

 ロザリアのおかげで緩い一日になりそうである。


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