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マイバイブルは『異世界召喚物語』  作者: ポモドーロ
第15章 踊る世界
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時を待つ日々(王様リターンズ)35

 温室を探したが温室にはいなかった。

 呼び戻すか考えていたら荷馬車が我が家の門扉を潜ってやって来た。

 御者の横にヘモジがちょこんと座っていた。荷台の幌の上ではオクタヴィアが欠伸をしながら左右に揺れていた。

「毎度どうも」

 八百屋だった。

「ナーナーナ」

「マンダリーノ買ってきた?」

 荷台全部か?

「ナーナ」

 マンダリーノが詰め込まれた籠が荷台いっぱいに並んでいた。

「在庫全部食べられたから買ってきた? 半分はジュースにする?」

「ナーナ」

 代金は払い済みだそうで、荷を勝手口に降ろして貰った。

 馬車が引き上げると、僕は大量の籠を一気に『楽園』に放り込んで、ヘモジ専用の地下の倉庫に向かった。

「人が増えるとなくなるのも早いな」

「ナーナ」

「お腹空いた」

 オクタヴィアが僕の肩の上で脱力して伸びた。

 途中で買い食いするなり、荷台の品に手を付ければいいのに。

 荷を降ろすとヘモジとオクタヴィアを食堂に運んだ。

 どうやら買い付けていた荷を待っていたらこの時間になってしまったらしい。

 店に任せてしまえばいいものを。

 ケバブサンドの中身をばらして、食べたい物をふたりで分け合って食べていた。

 オクタヴィアはなかなか減らない肉片をにちゃにちゃと一生懸命噛みしめていた。


 パスカル君たちは魔法訓練場で銃の練習をしていたが、しばらくして戻ってきた。広いとは言え、訓練場ではロングレンジの射撃をするには距離が足りなかったようだ。

 あまり町の側で発砲音はさせたくないので、やはり迷宮に潜るのがいいだろうということになった。

 問題は何を相手にするかだが、迷路型のマップは論外だ。野外フロアがいいだろう。いろいろ仕掛けのあるフロアも落ち着いて練習できないので却下だ。となると……

 地下十四階、食人鬼の砦か、四十九階のミノタウロスの空の城がいいだろう。

 後者は落ち着かないから、何度か攻略して勝手知りたる十四階にするそうだ。

 最深部のゼンキチ爺さんが罠に嵌まったお宝箱もそろそろ開け時だろう。

 こちらは新型弾頭の調整をこの機会にさせて貰うことにする。

 新しい銃を手に入れたリオナも参加して、いざ攻略と行きたいところではあるが、完全攻略してる時間はなさそうだ。

 攻略を明日に回すにしても、時間指定でケバブを取ってこないと行けない。全く以て忌々しい。

 昼時、一旦抜けさせて貰うとしよう。

 いや、こっちのルーティーンもあるから、それもこなしてからか。

 パスカル君たちは余った時間を利用して、先輩たちを講師に『魔法の矢製作』の講義を受けることにしたようだ。学院のカリキュラムにも含まれているらしい。弾頭のことを少しでも理解したいという要望からであった。弾を鏃と言って誤魔化しているように大本の原理は一緒だからな。要は人の手で撃ち出すか、魔法で撃ち出すかだけの違いだ。弾に込められてる術式はあくまで応用に過ぎない。



 その夜、リオナは土産を大事そうに抱えて領主館に向かった。親子水入らずがよいだろうと控えたのだが、すぐに僕も呼び出されてしまった。

 いつもより警戒厳重な領主館に向かうと、食堂で店屋物のケバブを頬張っている王様がいた。

 土産の容器そのままに封を切った物をリオナと一緒に食い散らかしていた。

「デラックスなのです」

 王様相手にデラックスって言ってもね。庶民レベルでのデラックスだから。

「よお、来たか」

 この間会ったばかりだろ?

 隣りの部屋からちょうど現われたヴァレンティーナ様と目が合った。

 いつにも増してはつらつとした顔をしていた。

「あら、いらっしゃい。ちょうどよかったわ。今から――」

 もう始まってますけど?

「ちょっと、ふたりとも!」

「おいしいのです!」

「このサンドはいいアイデアだな。手が汚れぬし、食い易い」

「丼もあるのです」

「丼じゃと? 米とコラボか? 米はヴィオネッティー産か? どれ、早速」

 ヴァレンティーナ様が遅まきながら僕に席に着くよう促した。

「元気そうで何よりです」

「事務処理のない日々は天国よね」

「顔色がよくなったのです」

「判を押すだけの人生など無駄にしか思えん」

 まったくこの親子は……

「エルネスト」

「はい?」

「見せよ」

「何を?」

「ミスリル弾なのです。ばれたです」

「お前な……」

「リオナが悪いわけではないぞ。武器を見せて貰ったら、たまたま見慣れぬ物が装填されておっただけだ」

 リオナ用に作ったミスリル弾の試作品か……

 相変わらず目敏いな。

「貫通弾の製法を簡略化した物で、まだ実験途中です。見ての通りミスリルを使用していますのでコストは高く、量産には向きません」

「それで、簡略化だけが目的ではあるまい?」

「貫通性能を上げる予定でいます。結界の枚数にかかわらず、ちょうどいい具合に突破させて本体に命中させたいと考えています」

「それは敵を選ばぬと言うことか?」

「状況もです。味方が枚数を削ってもうまく命中させるような仕組みを構築したいと」

 威力を増すのが最優先事項だけどね。威力が増せばその分、多くの枚数、結界を剥がせるわけだし。



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