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マイバイブルは『異世界召喚物語』  作者: ポモドーロ
第15章 踊る世界
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時を待つ日々(ミスリル弾)32

 帰宅後、僕は道場の地下に潜った。

 ロメオ君とエテルノ様は工房に残り、アイシャさんは帰って早々、自室に籠もった。

 子供たちは一旦家に帰され、パスカル君たちは買い物に出かけた。

 ロザリアは今回の件を報告しに聖都に、ついでにファビオラに会って様子を見てくるそうだ。

 ナガレはチョビとイチゴに土産話をしに雪の積もった中庭に、レオとリオナはやることがなくて僕に付いてきた。


 僕は魔法訓練場に障壁を張った壁を一直線に並べ、貫通弾の実験を行なう準備をしていた。

 解禁のお墨付きを貰った以上、自重などする気はない。リオナのために最高の武器を作るのだ。ドラゴン相手になら僕たちにはスキルがあるから障壁貫通できる。でもミノタイプの障壁持ちやぶ厚い装甲持ちを相手にするとなれば、リオナには『疾風の剣』での接近戦しかなくなる。

 空の上ではお客さんになってしまう。

『アローライフル』のままでも構わないが、弾が特殊な分、敵を選んでしまうし、その弾も支給品扱いなので数を用意できない。

 しかも我が家の『アローライフル』一本と自家製の鏃は実験用ということでこっそり所有している違法な物だ。

 僕のライフルを貸してもいいが、それだとこっちが『魔弾』を撃てなくなってしまう。

 やはり専用の物を持たせるのがいいだろう。以前から自分だけのライフル銃を欲しがっていたし。

 でも、まずは双剣銃の最初の開発コンセプト通り、魔法の使えないリオナのために、足りないところを銃で補うことから始めよう。

 まず支給品の赤く染められた貫通弾を装填する。

「障壁を飛び越えるんですか? ほんとに?」

 レオに僕の短銃で通常弾を撃たせた。

 当然、最初の的に止められてしまった。

 次に貫通弾を装填したライフル銃をレオに手渡した。

 レオは貫通弾を的に打ち込んだ。が、最初の的を通り越して後ろの的に命中した。

 レオは目を丸くした。

「闇蠍討伐用の弾頭だから、障壁一枚分の幅に調整されてるんだ。これをもっと便利な物にしようかと思ってる」

「どうやって!」

 レオは身を乗り出した。

 僕は何も答えず、魔石を弄りだした。

「特殊弾頭は作るのが大変なんだよ。入れ子構造にして呪文を刻まないといけないし、魔力源も用意しなくちゃいけない。だったら魔石を使った方が早いわけだけど。普通に銃で使うとなると大きさがね。でも……」

 僕は即席で加工した魔石を一つレオに投げた。

「うわっ、何これ?」

「やってることは、入れ子構造にして術式を刻むスペースを確保しているのと同じことだよ。術式を刻み込んだ後に高純度に圧縮してその大きさにしたんだ」

 貫通弾は未熟な僕がないスキルを駆使して作った物だ。今の僕ならもう少し増しな物が作れるというわけだ。

「この石をミスリルの容器に収める」

 そして僕はミスリル弾を短銃に込めた。そして――


 ダーンと六枚目の壁が消し飛んだ!

「!」

 リオナとレオは驚きの余り言葉を失った。

「ミスリルにオーバーブーストを刻んだんだ」

「『ヘルメス』ですか!」

「そう言うこと。オーバーブーストには寿命があるけど、使い始めが壊れる日だから問題ない」

「でもミスリルを使うなんて高価過ぎませんか?」

「使うのは僕たちだけだ。それにミスリルじゃないのも用意した。普段はこれで充分だと思うけど」

 今度はリオナが僕のライフルで試射をした。

 バーンと六枚目の壁が前回程ではないが吹き飛んだ。

「取り敢えずミスリル弾はタロス戦専用だな。それでだ――」

 製法が簡単になったことで、魔法の矢のように属性の付いた弾を生産できるようになったと告げた。

 まずはリオナの双剣銃用に小型の弾頭で属性が付いた物を用意する約束をした。

 そして新たな貫通弾。ミスリル弾の小型バージョンである。

「レオの弓の鏃にも応用が利くぞ」

「ほんとですか!」

「でもこの際、船の上で使うのは銃にしたらどうだ?」

 狭い船内では取り回しが迷惑だからな。

 二人を連れて銃砲店に向かった。向かったそこにはパスカル君たちがいた。

 魔法が届かない距離を補う武器として彼らもまた銃を選んでいだ。



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