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マイバイブルは『異世界召喚物語』  作者: ポモドーロ
第15章 踊る世界
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時を待つ日々(ケバブ!)26

 ヘモジが拗ねる前にご機嫌を取っておく。実際凄いのはヘモジだけどな。それでもロマンなんだよ。

「ヘモジも命令できたらいいんだけどな」

「ナーナ」

 深く頷くヘモジ。

 要塞にもう少しいられると思ったのだけれど、追い出されてしまっては仕方がない。

 建設の邪魔をするわけにもいかないし。

 急にできた暇な時間をどう過ごすか考えた結果、結局自由時間にした。


 湖畔側の施設は平常通り営業しているので、ショッピングでも楽しめばいいだろうと思ったのだが、全員工房に押しかけていた。

 みんなの注目は当然タイタンである。

「タイタン同士の戦い、姉さんたちと一緒に行って来たんじゃないのか?」

 ビアンカに尋ねた。

「それとこれとは違います! 実物ですよ、実物!」

 どっちも同じ迷宮産なんだけどな。

 おだてられたエテルノ様が解説役を引き受けたようだから、説明を受けてくれ。

 機密だらけで大した内容は話せないだろうが。

 僕のゴーレムも見たいと言われたが、明日のお楽しみにしておいた。



「ケバブーッ!」

「ケバブー」

 夕飯はケバブ屋で外食だ。

 子供たちが店に雪崩れ込んだ。

 店内は観光客でいっぱいだった。

「ビーフドネルサンド、チキンドネルサンド、ミックスプレート大盛りで!」

「俺も!」

「僕も!」

 ピノ、ピオト、テトがメニューを適当に選んだかのような勢いで注文した。

「チコとわたしはサラダサンドとポテト、チキンプレートで!」

「へんてこアイス! 伸びるやつも!」

 へんてこアイス?

「スペシャルプレート…… 普通のサラダ! アイスも頼んじゃう?」

「わたしもそれで」

「じゃ、わたしたちも」

 ビアンカたち女性陣も注文した。

「ミックスドネル。後アイスで」

「サラダサンド! スペシャルビック丼だ!」

 丼?

「ダブルプレートとポテト、後アイスで」

 ナタリーナさんとシモーナさんも選んだ。

「ナーナ、ナナーナ、ナナナ」

「『サラダサンドと普通のサラダ、ポテト』だって。オクタヴィアはビーフドネルサンドで」

「僕は――」

 以下パスカル君、ダンテ君、ロメオ君、ロザリア、レオ、リオナ、エテルノ様が注文を終えた。

「なんでもいいから持って来いやーッ!」

 ファイアーマンが発狂した。

 よく分からないが全員の夕飯を奢ることになったらしい。

「エルネストさんは?」

「僕もいいの?」

「遠慮は無用じゃぞ」

 エテルノ様が容赦するなと言う。ファイアーマン、一体何をした?

「じゃあ、ミックスドルネのプレートとサラダで」 

「後全員スープと食後のお茶だな」

「ファイアーマンがまだ頼んでないよ?」

「お前らなぁああああ!」

「ゴーレム一体分に比べたら安いもんじゃろ?」

 え? まさかファイアーマンにタイタンを? どこに置く気だ?

「普通のロックゴーレムなのです。召還術式が使えるかも分からないのに、チャレンジするです」

「なるほどバーターか。だったら三人分、アイシャさんとアンジェラさんとエミリーの分も土産に頼もうか?」

「タンポポたちの分もよろしくなのです」

「ロックゴーレムならストーンゴーレムの上位版だしな。サンドゴーレムのついでに取ってくるか。まさかサンドロックトードの方じゃないよな?」

 ぐうの音も出ないか?

「破格の安さだな。召喚するだけの魔力がなければ大損だけど」

 アルベルトさんにとどめを刺された。


 正直な話、魔法使いにゴーレムは相性がいいと思っている。さすがにタイタンクラスは論外だが。近接防御が手薄な魔法使いの盾役としては、仮に範囲魔法に巻き込んでもすぐには沈まないタフさがあるゴーレムはいい相棒になると思う。



「ナーナンナーッ!」

「ナーナッ!」

「ナナナッ! ナナナナッ!」

「ナッ!」

「ナッナーナッ!」

「なんか叫んでるぞ」

 ヘモジが『タイタン一号』の肩の上で身振り手振りしながら叫んでいた。

「指示を出してる気分になってる」

 オクタヴィアが教えてくれた。

『タイタン一号』は直立不動のまま待機している。

「ナナーナッ!」

「『もっと速く!』」

「ナナナナッ!」

「『ぶちかませ!』」

「ナーナッ!」

「『踏みつけろ!』」

 言いたい放題だな。

 ロメオ君が最後に出した命令は『待機』だけだ。

 ヘモジにも命令させてやれないものか……

「『音声登録』…… 『命令』……」

 タイタン本体が指示するガイドを見ながら、解決策を模索する。

「ナーナンナーッ」

 うるさい!

「仕草だけで動くとかないのかな。身振り手振りで」

「これなんてどうかな?」

 ロメオ君が宙に浮かんだ文字列をポンポンと押していくと『コマンド設定』という画面が出てきた。そのなかに命令を変更する設定があった。

「なんだろうね?」

「この『音声認識』を別のコマンドに……」

『音声入力しますか?』

「!」

「何?」

「ちょっと、この文章なんて? エテルノ様は?」

「もう寝たんじゃない?」

「辞書は?」

「そこのテーブル」

 テーブルの上に並んでいる本のなかから取り出して、解読を始める。

 好きな命令…… 文…… 登録? 

「押してみる?」

「大丈夫かな」

「……」

「明日、エテルノ様がいるときにしよっか?」

「そうしよう」

「ナーナンナーナ! ナナナナン!」

「『前転からの…… 正拳突き!』だって」

「そんな細かい命令はできないって言ってるのに!」

「もう寝よう。明日、早いし」

「ナナナナ! ナーナンナーッ!」



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