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第一話 上司であり、育て親であり、師匠でもある御方からのパワハラに抗うすべを誰か教えて下さい。

 そう遠くはない日、と言ってもわたしたち天使は限りなく不死であるため時間の定義など曖昧である。そのため育て親の輝かしい過去を盗み見てしまった日からすでに数百年は経過していた。 育て親の過去を勝手に知ってしまった罪悪感から今まで以上に修行に励んだわたしは更にメキメキと実力を伸ばし、いまや九つある階級のなかで上から五番目の階級、力天使ヴァーチャーにまで登りつめました。これでもたかが生まれて数百年の若造天使にしたら異例の早さでの出世なんですよ?

 力天使の仕事は人間に天からの恵みを与えることで、職務内容は天界の恵みとしていろんな精霊に頼んで雨雲を手配したり、芽吹かない種に薄い魔力を送り込み、発芽を促したり。

 肩書きのわりには地味な仕事だが、地上界の助けになれるこの仕事をわたしは気に入っていたのだ。前は最前線にたち堕天使や魔族たちと戦う能天使パワーだったこともあり、それなりに荒んだ生活を送っていたためにこの平穏な時間に癒された心と身体がひどく心地好く感じられた。

 以前の階級は最前線で戦うために血生臭くなる生活で、争いを好まない天使であるはずなのにと首を捻りながら空を飛び、七色の短剣を奮う毎日に空虚感を抱いていた。別に戦うことが嫌だったわけではなく、休む暇もないほど魔族たちと斬り合うことに虚しさを感じていただけなのだが、こんなことを続けるくらいなら林檎の木を栽培したほうが幸せになれると思う。

 そんな懐かしい過去を思い出しながらせっせと自分の仕事に精をだすわたしをミカエル様が無情にも拘束し、ご自分の執務室の座り心地の良さそうな椅子にもたれかかりながら固まるわたしを見つめて……


『少し地上界で怪しい動きが在るからリディエル、しばらく地上界に行ってきなさい。あぁ、ちなみに貴方に拒否権はありませんよ。任務は騒動の人物を特定と監視。確実に相手が黒なら捕縛しなさい。


とりあえず貴方一人での潜入となりますが私の自慢の弟子であるリディエルなら務まるだろうと、判断をくだしました』

『あの……ミカエル様。何故地上界の問題で我々天使が介入する必要があるのですか? それこそ大天使アークエンジェルのどなたかが人間に告げればいいだけでは』


 大天使が駄目なら権天使プリンシパリティでもいいじゃないか。そんなわたしの心の呟きを拾ったのかミカエル様は端正な顔を僅かにしかめて、ゆっくりと語りました。


『……貴方にはまだ告げてはいませんでしたが、どうもルシファーの力が最近増してきたようなのです。邪に染まった手下がいるのか人間に相手をさせるにはいささか荷が重いのです。


そこで単独でも邪に染まらない強靭な精神をもつ者と他を凌駕する戦闘能力をもち、かつ潜入ができそうな天使を探していたらそれが貴方、ということです。なので引き受けてくれますね? リディエル……』




 有無を言わさないミカエル様は腹黒い笑みを顔中にたたえながらわたしにとある仕事をよこしました。




それは……





 現在復活の兆しが見られるルシファーの手下?とも思われる人物の特定と監視で任期は無期限。人間に化けて、魔法を志す少年少女たちにまざりその怪しい人物を探り出すこと。その際に自分が天使であることは秘することと連絡は定期的に行い、近況報告をすること。




誰か助けてください。



 上司が無茶ぶりしてきて、育て親であり、師匠でもある場合はこのパワハラという圧力からどうやったら逃れられますか?



天界での天使階級。上にいくほど上位。

熾天使セラフ…全ての天使の統率

智天使ケルプ…エデンの園の門を護る

座天使ソロネ…人に知識を与え、正しい道に導く

主天使ドミニオン…天使の務めを統率

力天使ヴァーチャー…人に天からの恵みを与える

能天使パワー…対立するものを調和させ、均衡させる

権天使プリンシパリティ…国家、文明、歴史を守護する

大天使アークエンジェル…神の意志を人に伝える

天使エンジェル…人間個人を守護。人間が想像する一般的な天使。

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