もみくちゃにされました
「さて、闘技場に行くか・・・・・・」
カナタが立ち上がったとたん、
「ねえねえ、カナタ君!」
「んあ?」
大量の人(大半が女子)に囲まれた。
「カナタ君、どこから来たの?」
「その黒髪、きれいだね。染めたの?」
「どこに住んでたの?」
「多属性って珍しいね!」
などの質問攻めにあっていた。
「(なんだ、こいつら!抜け出せねえ!!)」
リルに助けを求めようとしたが、人でできた壁に阻まれてできなかった。
「(た~す~け~て~く~れ~!!)」
目線で壁の外にいる男子に助けを求めたが、全員に目線をそらされた。
「(裏切りものー!!)」
心の中で泣いていると、誰かに腕を引っ張られた。
「うおっ」
されるがままになっていたら、人でできた壁を抜けられた。
「みんなが気付いてないうちに逃げるぞ!」
また引っ張られて走りだす。
ついたところは闘技場。
「ハッ、ハッ、ハッ、ハア。ふう、追ってこないな」
「あんだけ走ったらな」
疲れている少し癖のある赤い髪に赤い目の少年とは逆に、カナタはまったく疲れていなかった。
「お前、なんで疲れてねぇんだよ」
「なぜでしょう」
「教えろよ~。せっかく助けてやったのに」
「頼んだ覚えはない」
「目で訴えてたのに?」
「う゛っ」
痛いところをつかれた。
「まあ、それは置いといて。俺、ガネル・ラナートってんだ。属性は火。よろしくな!」
「まあ、覚えといてやるよ」
「何、その上から目線!」
「(・・・・・・こいつの反応、おもしろいな)」
ガネルの反応を見たカナタは、こいつで遊んでやろうと思った。
「カナタく~ん!!」
リルと、もう1人女子が走ってきていた。
「おう、リル!あの人ごみからよく抜けられたな」
「はい。レナちゃんが助けてくれたので」
「レナ・・・・ってこいつか?」
カナタは輝く金髪の髪に橙色の目をした女子を見る。
「さっきリルが言ってたけど、レナ・カルラよ。属性は光。よろしく」
「よろしく(ん?光?こいつ、天使か?いや、人間だよな)」
「ところで、あなた、何ランク?」
「はい?」
「だから、何ランクって聞いてるの!」
「え~っと、確かCランクだった気が・・・・・」
「Cランク?・・・・・勝ったわ」
レナはフフフフフッと不気味に笑い出す。
「・・・・・・どうしたんだ、あいつ」
さすがに心配になってリルに聞く。
「あははははは、気にしないで下さい。レナちゃん、とっても負けず嫌いなんです」
苦笑いしながらリルが答える。
「・・・・・・・なるほどな」
それでカナタも納得したようだ。
しばらくするとノウ含めほかの生徒もやってきた。
「みんないますね?それでは魔武器を作ろうと思います」
「「「は~~~~~~い!!」」」
「そのまえに、魔武器について簡単に説明してもらいます」
「「「ブーーーーーーーーー!!」」」
「では、そこの人、お願いします」
「は~い」
ノウに指名された男子生徒が立ち上がり、説明を始める。
「魔鉱石に魔力を流すと自分にあった武器ができます。できた武器のことを魔武器といいます」
そこまで言うと男子生徒は座った。
「本当に簡単ですね・・・・・・・。付け足したい人はいますか?」
「はい!」
レナが待ってましたと言わんばかりに手を挙げる。
「では、カルラさんお願いします」
「はい、え~っと」
レナが立ち上がり説明を始める。
「魔武器にはそれぞれに能力があり、それのことを固有能力といいます。魔武器は主に亜空間といわれる空間にしまい、必要なときに呼び出します。そのため、魔武器に名前をつけないといけません」
「はい、よくできました。よく知っていますね」
ノウにほめられたレナは嬉しそうにしながら座った。
「では、魔鉱石を渡すのでここに並んでください」
生徒たちは魔鉱石をもらうため、どんどん並び始めた。
「あれ?カナタ行かねぇの?」
みんな並んでいるのに1人だけ動いていないカナタを見てガネルが寄ってくる。
「魔鉱石が逃げていくわけじゃないし、並ぶ必要なんてないだろ。並ぶの嫌いだし」
「最後の本音だろ」
「もち」
「・・・・・・・はあ」
カナタに呆れながらもそばにいるガネル。
「お前こそ行かないのかよ」
「カナタと同じ理由で」
「あっそ」
2人はしばらくそのままでいた。
しばらくすると、並んでいた人数が少なくなった。
「そろそろ行くか」
「ああ」
2人は列に加わり魔鉱石をもらった。
「みんなもらいましたか~?」
「「「は~~~~~~い」」」
「では、数人で集まって魔力を流してください」
生徒たちは仲がいいもの同士集まって、それぞれの魔鉱石に魔力を流し始めた。
「俺もやるか」
カナタが魔力を流そうとしたとき、
「カナタ~ぁ」
ガネルの声が響いた。
「・・・・・・なんだよ」
「おっ、いたいた・・・・・・って、なんで不機嫌なんだよ」
ガネルに邪魔をされたカナタは少し不機嫌だった。
「・・・・・・なんでもない」
「ならいいや。なあ、一緒にしないか?」
「・・・・・・いいけど・・・・・・」
「よっしゃ~!!」
「私たちも混ぜてくれませんか?」
ガネルの後ろにリルとレナが立っていた。
「いいぜっ!な、カナタ!!」
「ああ」
「では、誰からしますか?」
「あっ、俺からやらせて!」
ガネルが手を挙げて言う。
「どうぞ」
「ご自由に」
「して頂戴」
「わお!すごい連携プレー!!」
まるで打ち合わせでもしていたかのようなコンビネーション。
「いいから」
「とっとと」
「やってください」
・・・・本当に打ち合わせはしていないんだろうか。
「・・・・・・はい」