幕開け
未だ離れる様子のないギオウとやる気が全くないカナタを連れて、ガネルは湖の近くに来ていた。
「大量の水の近くに植物はたくさん生える!」
得意げに言うガネル。
残念ながら、ここにガネルの勘違いを訂正する人はいない。
「よっし、探すぞー!」
カナタを地面に寝ころがし、ガネルはひだまり草を探し始めた。
しばらく水辺を探し回るが、目的のものはなかなか見つからない。
「おっかしいなぁ・・・・。ギオウ、お前ひだまり草のある場所わかったりしねーの?」
『わふぁるお』
「まじで!?それを先に言えよー。で、どこ?」
『あっひら』
ぶらん、と左に揺れたほうを見ると、森が広がっていた。
ガネルの手から離れて案内したほうが早いのに、離す気配は全くない。
ここまで来たらもう意地なのかもしれない。
「おっし。ほらカナタ、起立!」
ずっと引きずっていたカナタの腕を引いて立たせる。
「お前ここで待ってろよ。俺らで探してくるからさ」
「おう、行って来い」
ガネルの肩を叩き、カナタは湖の近くまで移動すると寝転がった。
すぐに寝息が聞こえてきたところをみると、相当疲れがたまっていたらしい。
「さて、さっさと見つけますか!」
『そうらな』
ガネルとギオウは、さっさと森の中に入って行った。
「―――――行ったか」
ガネルとギオウの気配が遠くに行ったことを確認し、ゆっくりと起き上った。
「あーあ、ゆっくり寝れると思ったのにな」
くあっと欠伸を一つこぼす。
「お前のせいで寝れもしない」
カナタの視線は一点を見つめる。
「なぁ、前魔王様よぉ」
「ふっ、それは失礼した」
何もなかった場所から男が一人現れた。
「やっとご本人の登場か?」
「今まで部下が世話になったな」
「全くだ」
カナタがだるそうに立ち上がった。
「で、ここに来たってことは俺に殺される準備が出来たってことか?」
「そんなわけなかろう。貴様を叩き落とす準備が出来たのだ」
「へえ・・・・・。やってみろよ」
人差し指を数回まげて挑発する。
「その余裕、いつまで持つか見物だな」
にいっ、とマルクが笑った瞬間、大きな爆発音が耳に入った。
発信源はおそらく―――――そよぎの丘。
リルとレナがいる方角だ。
「お前、まさか・・・・!」
「そのまさかだ」
また、爆発音が聞こえた。
今度はガネルが向かった森の中。
「くっそ・・・・!!」
ぎり、と歯を食いしばる。
「どうした、魔王よ。早くしないと両方失うぞ?」
「言われなくても!」
地面を右足で踏みつける。
すると、マルクを覆うように土のドームが出来た。
「小賢しい」
ドームはすぐに壊されたが、すでにカナタは立ち去った後だった。
「ふっ」
――――足掻け、魔王。俺を楽しませてみろ。




