表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王  作者: 秋雨
30/38

ジルの怒り

「・・・・誰だ、お前は」

体制を整えたカナタが男性に聞く。

「俺か?俺の名はマーデル。マルク様に仕えるものだ」

「マルクぅ?誰、そいつ」

カナタがそういうと、マーデルは眉間にしわを寄せた。

「マルク様は前魔王ですよ」

マルクが誰かわかっていないカナタにジルが誰だか教える。

「ああ、前魔王か。で、その前魔王の手下が俺になんか用か?」

「お前を抹殺しに来た」

沈黙が流れる。

「えーっと・・・・・俺、何か悪いことしたか?」

心配になったカナタがジルに聞く。

「いいえ、思い当たる節はありません。仕事のこと以外は」

「ならなんでだ?」

ジルの嫌味はスルーして考える。

しかしさっぱり意味が分からない。

「理由は簡単。貴様が邪魔なだけだ」

「(そんだけかよ・・・・・)」

ちょっと呆れた。

「邪魔なものを消す。それが俺の仕事だ」

「仕事をするのはいいことだと思いますが、カナタ様を消されたら困ります」

カナタの前にジルが出て、後ろに隠すようにした。

「(ジル・・・・・・)」

ジルをちょっと見直したカナタ。しかし。

「俺の仕事が増えるじゃないですか」

「(・・・・ジルに期待した俺が馬鹿だったよ)」

心の中でホロリと涙をこぼす。

「邪魔をするな」

「そうもいかないんです」

「そうか。ならば貴様も消す!」

言い終わった瞬間、マーデルは剣を抜いてジルに斬りかかった。

「物騒なものを持っていますねぇ」

ジルはそれをかわしてマーデルに蹴りを入れる。

しかし、それはマーデルに届く前に簡単に避けられてしまった。

「一筋縄ではいきませんか」

ジルはため息をついた。

面倒と思っているのが一目でわかる。

「おい、本気で来い」

「嫌ですよ」

「・・・・・なんだと?」

マーデルの声が低くなる。

「本気でかかってこない相手にこちらが本気を出す義理はない」

「・・・・・ふっ、そうか。では、こちらも本気を出すとしよう」

マーデルが持っていた剣を捨てる。

「来い、【雷電(らいでん)】」

そして新たに雷を纏った剣が握られた。

「ではこちらも。【蒼姫(そうき)】」

ジルの手にも淡い水色の光を放つ剣が握られた。

「それが貴様の魔武器か」

「そうですよ。なかなかいいでしょう?」

【蒼姫】を一振りして、切先をマーデルに向ける。

「ふん。どうだかな」

武器の自慢をするジルをマーデルは鼻で笑う。

その瞬間、ジルのまとう雰囲気が変わった。

「・・・・・今、笑ったか?」

「だったらどうした」

マーデルはジルの口調が変わったことに気づいていない。

「(あ~あ、ジルがキレた)」

カナタは頭をかきながらその様子を眺める。

「(あいつ、バカだよなぁ。ジル怒らすと怖いのに)」

「クククッ・・・・・。笑ったこと、後悔させてやる」

にいっと笑ったのを見た直後、ジルの姿が消えた。

「なっ・・・!どこ行った!?」

「ここだよ」

あたりを見回すマーデルの後ろにジルがいた。

「いつの間に・・・・!」

「は?見えなかったのか?大した実力もないくせに口だけは達者なのか?」

「なんだと!?」

侮辱されたマーデルの魔力が一気に膨らむ。

「いいだろう、そこまでいうのなら本気を出してやる」

「(え~。“本気を出そう”ってさっき言ってたのに嘘ついてたんだ~。こういうやつほど弱かったりするんだよな~)」

狙われているのは自分だというのに、カナタはのんきに観戦していた。

「【暗黒(アンコク)】」

マーデルが禍々しいオーラを放つ黒い剣を出した。

「へぇ、お前も双剣か」

「貴様もか?」

「ああ、そうだ」

「そうか、なら貴様も出せ」

「テメェに指図される覚えはねぇな」

ジルが一気に間合いを詰めてマーデルに斬りかかる。

「チッ」

マーデルは剣を交差させて受け止めた。

「テメェには【蒼姫】1本で十分だ」

挑発するように剣に力を加えて抑えつける。

「・・・・・・そうか。ならば双剣を出させてやる」

マーデルがジルの剣をはじき、ジルの体制が崩れたところに斬りかかる。

ジルはバックステップでそれをかわし、体制を立て直す。

「(今んところマーデルの方がちょい上か。ジルがもう1本出したら変わるだろうけど)」

カナタは遠く離れたところで冷静に戦況を見ていた。

「まだまだ。《サンダーボルト》」

マーデルはジルに向かって雷球を投げる。

「《ウォーターボール》」

ジルは雷球を水球で相殺させようとする。しかし、雷球は水球を飲み込んだ。

威力が上がった雷球はジルに襲いかかった。

「チッ」

舌打ちをして雷球を真っ二つに切り裂いた。

ジルの後ろで雷球が爆発する。

「魔法は俺の方が有利、か」

マーデルがくすり、と笑う。

「“魔王の側近は魔界で2番目に強い”と聞いて楽しみにしていたのに期待はずれか。これでは魔王にも期待できそうにないな」

「・・・・・なんだって?もう一回言ってみろや」

「何度でも言ってやる。期待はずれだ」

ジルのこめかみに青筋が立つ。

「しかし、現魔王も堕ちたものだな。魔族と人間は決して和解できないと知っていながら人間と仲良くするなど」

やれやれ、と肩をすくめるマーデルを睨みつける。

その視線の鋭さは人ひとり殺せるんじゃないかと思えるほどだった。

「そうか、そんなに俺を怒らせたいか」

「(もう怒ってるじゃん)」

声に出さず、カナタは心の中で突っ込んだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ