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魔王  作者: 秋雨
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勘違いフィーバー!

「そうはいくか!」

リル達の方に歩き始めたジルを、カナタが遮る。

「そこをどけ」

「それは無理だな」

2人の睨み合い。

一触即発に思えたそれは、ジルの溜息で霧散した。

「・・・・・・まったく、俺が本当にあの3人を消すとでも?」

「は?」

やれやれ、と首を振るジルに呆気にとられる。

「あの3人はカナタ様の親友でしょう?そんな方々を傷つけたりなんかしませんよ」

「・・・・・んだよ、それ」

おもしろそうに笑うジルとそれを見てふてるカナタ。

「・・・・・・ねえ、カナタ。この状況、説明してもらってもいい?」

状況を把握しきれないレナがカナタに話しかける。

「さっきからいきなり殺気を向けられたり険悪な雰囲気になったりで訳がわからないんです」

レナのあとからリルも抗議する。

「ん、ワリィ。説明すっからそいつ起こして」

カナタが指さした先にはボーッとしているガネルがいた。

「ガネル?」

レナがつついてみると、ガネルは立ったままの姿勢で地面に倒れた。

「・・・・・気絶してるわよ、こいつ」

「情けないですね」

地面に倒れたガネルを呆れた目で見るリルとレナ。

「(・・・・・まあ、ジルの殺気を向けられたわけだし、普通はこうなるよな。リルとレナがおかしいんだよ)」

「どうやって起こそうかしら」

「バース君の火球はどうですか?」

「それなら、エルの風で吹き飛ばすとか」

「いっそのこと、両方にしますか?」

普通に起こすという選択肢はないらしい。

「(危険!!危ないよ、こいつら!!)」

リルとレナに頼むとガネルがお空に昇ってしまいそうだったので、カナタが起こすことにした。が。

「おい、ガネル。起きろ」

「むにゃ・・・・。あと10秒39・・・・」

「(・・・・・あはっ)《ウォーターボール》」

微妙な数字と寝ぼけたガネルにイラついたカナタはついつい、つ・い・つ・い《ウォーターボール》を当ててしまった。

「冷たっ!?あれ!?なんでびしょびしょ!?」

跳ね起きたガネルはお馬鹿だから今の状況に頭がついていかず、混乱していた。

「うっさいバカ。俺の話聞け」

わーわーうるさいガネルを一睨み。

「・・・・はい(俺なんかした!?)」

カナタが怖い今日この頃。

「・・・・で、なんの話をするんだっけ」

はて、と首を傾げたカナタにその場にいた全員がこけた。

「ええ!?ボケちゃったの!?」

「うそうそ。ジルのことだろ?」

皆の反応を面白がりつつ、話を戻す。

「そうですよ」

「ジルはな、う~ん、なんて言えばいいの?え~っと・・・」

「従者ですよ」

「「「はいぃ?」」」

カナタが言葉を選んでいる最中に、ジルが横槍を入れる。

しかもそれはちょっとした爆弾発言だった。

「ジル、ちょっとこっちに来ようか」

混乱しているリルたちをほっといて、カナタはジルを連れて行く。

「なあ、なんでお前は混乱させるようなことを言うんだよ」

「事実を言っただけです」

「そりゃそうだけど」

正論過ぎて言い返せない。

「どうせいつかはバレてしまうんですし、秘密は少ないほうがいいでしょう」

「・・・・・・まあ、そうだな」

丸め込まれてしまったカナタ。

「バレないようにはしますから、ご心配なく」

そう言うと、ジルはリルたちの方に戻っていった。

しばらく考えたカナタは、

「(・・・・・なるようになるか)」

時の流れに任せることにして、カナタもリルたちのところに戻った。

「おい、カナタ!お前、すっげーヤツだったんだな!」

「・・・・・・・・・・・は?」

戻ってきて始めの言葉がガネルのこの一言。

さっぱり意味が分からない。

「なんで言ってくれなかったんだよ~」

「いや、だから、何が?」

肩を組んでくるガネルを鬱陶しそうに振り払いつつ聞く。

「カナタ君、貴族だったんですね」

「鬼族?」

「バカ。貴族よ、貴族」

カナタの脳みそが追い付かないので、今の状況を整理してみよう。

ジルを連れて行って、話をした。で、ジルが先に戻ってカナタがしばらくして戻った。戻ったときにはすでにこの状況。

ということは。

「ジィィィルゥゥゥゥゥ?」

原因はジルで間違いないだろう。

「はい、なんでしょう」

「ちょぉっとこっちに来てもらえるかなぁ?」

返事も待たずにカナタはジルを引っ張っていった。

「ジル、なぁにを吹き込んだのかなぁ?」

「何を、と言われましても。私はただ、『カナタ様はとても偉いお方なのですよ』と申しただけです」

「それがどうして『貴族』になってんのかなぁ?」

「ああ、そのことですか、あの方々が『それって貴族のこと?』とおっしゃられたので、『ざっくり言えばそうなりますね』と答えたんです」

「(原因それだあああぁぁぁぁぁ!!!)」

心の中で叫び、頭をかかえるカナタ。

「どうかしましたか?」

それを心配そうに見ているジル。・・・・自分のせいとは思ってもいない。

「くっそぉ、これからどうすんだよ」

「まあまあ、落ち着いてください。ここは私におまかせを」

「(原因作ったのお前だけどな・・・・)」

不安を感じるカナタだが、

「・・・・じゃあ、頼む」

ジルに頼むしかなかった。

「はい」

ニコニコしながら戻っていくジル。

その後に続くカナタ。

「(こいつは何言うかわかんねーし、フォローしたほうがいいか)」


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