闘技場の幽霊
間隔開けすぎですね、はい。
武闘祭が終わって1週間が過ぎた。
「なあなあ、こんな噂知ってるか?闘技場で幽霊を見たって生徒がいるんだって」
「それ、聞いたことある。その人、『違う、こいつじゃない』ってその幽霊に言われたんでしょ?」
「そうそう」
「幽霊、ねえ」
教室中を埋め尽くしている幽霊の噂を聞きながら、カナタは欠伸をした。
「(そんなの、いるわけねぇじゃん)」
基本、自分の目で見ないと信じないカナタ。
「おはよう、カナタ」
「おはようございます、カナタ君」
「お~、おはよ」
教室にリルとレナが入ってきた。
「ねえ、カナタ。教室がうるさいんだけど、なにかあったの?」
レナは少し顔をしかめてカナタに聞く。
「ん~、闘技場に幽霊が出たんだってさ」
「幽霊?」
「それは見てみたいですね」
リルの表情が輝いた。
「おっはよ~!なあ、なんの話してんの?」
元気いっぱいのガネルが教室に入ってくる。
「噂話」
ガネルに短く返したカナタは、机に突っ伏した。
「なんの噂話?」
「闘技場の幽霊話」
「あ~、アレか」
ぽんっと手を打つ。
「ガネル君、知ってるんですか?」
「みんな言ってんだから、聞きたくなくても耳に入ってくるって」
「あ~、なるほど」
教室を見回し、苦笑気味のレナ。
「でもさ、気にならねぇか?その幽霊の話」
「確かに気になりますね」
「そうね。何かの魔法とかだったりするかもしれないし」
「だろ?だからさ、今日の夜行ってみねぇ?」
「闘技場にですか?」
「他にどこに行くんだよ」
「まあ、気になるし、行ってみましょうか」
「じゃ、今日の午後8時にカナタの部屋に集合な」
というわけで、幽霊捜索大作戦(ガネル命名)が決まった。
そして午後8時。
朝の話通り、カナタの部屋に集合していた。
ただし、家主は只今爆睡中。
「カナタ君、起きてください」
「早く行くわよ」
2人がかりで揺すって、ようやくカナタは目を覚ました。
「ん~・・・・・。なんで俺の部屋にいんの?」
「おいおい、寝ぼけてんのか?幽霊見に行くって今日の朝いっただろ」
「あ~(そんなこと言ってたような気がしなくもない)」
曖昧すぎる記憶は、全く頼りにならない。
「とにかく行くぞ」
カナタを引っ張りながら4人は闘技場に行った。
――――闘技場。
ベンチの陰に隠れて、闘技場の様子をうかがう。
「・・・・・・いないですね」
「そうね」
「そりゃあ、そんなに都合よく現れないだろ」
欠伸を噛み殺しながら正論を言うカナタ。
「ちょっと待ってみるか」
幽霊がいなかったのでベンチに座って待つことになった。
しかし―――――
「・・・・・暇だな」
「そうね」
「なにか持ってくればよかったですね」
そうだな、とガネルが頷く。
「・・・・・・ぐう」
座って1分足らずでカナタは寝てしまった。
「相変わらずよく寝るわね」
「ここまでよく寝る奴、初めて見る気がする」
「私もです」
寝ているカナタの頬をつついたりして時間をつぶす。
何をしても起きる気配のないカナタに飽き、次は何をしようかと考え始めた時、目の前に銀髪の男が現れた。
「「「!!」」」
いきなりのことに3人は戦闘態勢をとるが、カナタは寝たまま。
「おい、カナタ。起きろ」
「んー……」
ガネルが蹴ってようやく起きた。が、まだ寝ぼけ気味。
「・・・・・・見つけたぞ」
男は早足で4人に近づいてくる。
正確にカナタに。
「カナタ君狙いみたいですね」
「お前、幽霊の恨みなんてかったのか?」
「そんなわけねぇだろ。生きてる奴のならかったけど」
「どうせ知らないうちにかってたんでしょ。程々にしてよね」
「だからかってねぇって」
かったことが前提になってしまった。
日ごろの行いが悪いんだろうか。
「ふふふ・・・・・。ようやく見つけた。覚悟しろよ、カナタ」
「カナタ君、知り合いですか?」
「う~ん、知ってる気がしないこともない。つか、暗くてよく見えん」
「どっちだよ」
「知ってるんじゃないの?」
突然男が剣を持ってカナタに斬りかかった。
「うぉい!」
間一髪で避けたカナタは間合いをとり、【漆黒】を出す。
「?おい、カナタ。それはなんだ」
「魔武器だよ」
男の質問に親切に答えるカナタ。
「・・・・・・なら、その頭のはなんだ」
「こいつ?」
カナタが頭に乗っておとなしくしているギオウを指差すと男が頷いた。
「俺の使い魔」
「使い魔だと?・・・・・勝手なことをするんじゃねぇよ」
「なにしようと俺の自由だろ」
「自分の立場を考えろっつってんだよ」
「?(俺が魔王ってこと知ってるのか?)」
「まあ、それは後にしといて、だ」
「!!」
男が剣を振り上げる。
すると剣から水がでて、カナタに迫ってくる。
「フンッ」
カナタは【漆黒】を羽ばたかせ、水を打ち払った。
「甘いな」
男はカナタの目の前に立っていた。




