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魔王  作者: 秋雨
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強引な女性に出会った

「なんとか撒いたか・・・・・」

カナタは魔界を出て人界に来ていた。

「うーん、このあとどうしようかな・・・・」

「そこの少年。ここらじゃ見かけない顔だね」

カナタがうなっていると紫色の髪、灰色の目の女性が話しかけてきた。

「・・・・・・・・誰?」

「私?私はルイ・クルースよ。よろしくね」

にっこりと笑って女性――ルイが自己紹介をする。

「クルースさん、俺になんか用?」

「ルイでいいわよ。君、ギルドに入ってる?」

「ギルド?・・・・なんだ、それ」

「ギルド知らないの?」

「ああ」

「めずらしいわね、ギルドを知らないなんて。どこからきたの?」

ギルドはここでは一般常識らしく、それを知らないカナタはかなりの田舎者、ということになる。

田舎者ではないが・・・・・。

「どこからって言われても・・・・・。(さすがに魔界から来たなんて言えないし)」

「ま、いっか。それで、ギルドってのはね」

「(いいのかよ!?あっさりしてるなー・・・・・・)」

「・・・・・・ねえ、聞いてる?」

「あ、ああ」

カナタが返事をすると、疑うような目をしながらルイが話し始めた。

「ギルドは、簡単に言うと依頼を受けるところかな」

「簡単すぎるだろ」

「えー?じゃあ、もうちょっと細かく言うね。受ける依頼にはランクがあって、下からD・C・B・A・S・SS・SSSって感じで分かれてるの。依頼のランクは自分のギルドランクより下を選んで受けるの。依頼が成功すれば報酬ももらえる。ここまでで質問はある?」

「ギルドランクって何?」

「ん~、ギルドランクは依頼と同じで、下からD・C・B・A・S・SS・SSSに分かれてて、依頼をこなしていったら上がるから。でも、Sランクより上は試験を受けないと上がらないよ。まあ、その人の実力を表すものかな。わかった?」

「・・・・・・なんとなく」

知らないことを一気に頭に詰めたせいで、カナタの頭は少しショートしていた。

「わかったんならオッケー!じゃ、早速行こうか」

言うが早いか、ルイはカナタの腕をつかむと歩き出した。

「え?ちょ、行くってどこに」

「私のギルド♪」

「は?『私のギルド』?」

「言ってなかったっけ。私、ギルドマスターなんだよ」

「ギルドマスター?って、偉い奴か?」

「そうよ。自分のギルドの責任者みたいなものなの」

「で、あんたがそのギルドマスター?」

「そう。今から行くギルド、『遥かな空』って名前なんだけどね、そこのギルドマスターが私」

「・・・・・マジで?」

「マジだよ」

「(こいつのギルドってどんなんだろ・・・・・・)」

人界にきて数時間しか経ってないのにカナタはすでに不安でいっぱいだった。

歩いて数分後、大きな建物が見えてきた。

「ほら、あれが私のギルド、『遥かな空』だよ」

ルイがなぜかうれしそうに目の前の建物を指差している。

「でかいな・・・・・・」

「そりゃそうだよ。地下は二階まで、地上は六階まであるもん」

「・・・・・・・なんでそんなにでかいんだよ」

「さあ、なんでだろうね」

「・・・・・・・(ギルドマスターのくせにわかんないのか)」

心の中でつっこんだ。

「まずはギルドカードを作んないとね」

「なんだそりゃ」

「このギルドに入ってるっていう証よ」

「へ~」

「ついてきて」

ルイに案内されてついたところはギルドマスターの部屋。

「ここでカードを作るからね。ちょっと待ってて」

そういうとルイはどこかに行ってしまった。

「・・・・・無責任なやつ」

カナタは近くのソファーに座り、ルイが戻ってくるのを待った。

数分後。

「おまたせ~」

カードと水晶を持ったルイが帰ってきた。

「そのカードはギルドカードだろ?その水晶は何だ?」

「この水晶は、属性を調べるためのものだよ」

「どうやって」

「この水晶に触れて魔力を流すだけ。この水晶は流れた魔力に反応して色が変わるの。たとえば、火属性だったら赤に変わる、とか」

「なるほどな」

意外と便利な水晶玉。

「じゃあ、やってみて」

「ああ(さて、どうしようか。普通に流したら色がぐっちゃぐちゃになるだろうな・・・・。俺がよく使う属性は水と雷だから、それでいいか)」

「何考え込んでるの?早くしてよ」

「はいはい」

適当に返事をするとカナタは水晶に手を当てる。

「・・・・・・・」

水晶に魔力を込め始める。すると、水晶が半分青、半分黄色に染まった。

「ふむふむ、これは水属性と雷属性だね」

「(そりゃ、俺がそうなるように仕組んだからな)」

あごに手を当てて探偵のまねをしているルイにカナタは心の中でつっこんだ。

「めずらしいわね、君」

「・・・・・・何が?」

カナタは何か変なことをしただろうかと内心焦りながら、表情は冷静さを装った。

「だって、多属性じゃない」

「多属性?」

「2つ以上の属性があること。結構めずらしいのよ?」

「へ~、そうなんだ。(やっべー、属性1つにしとけばよかった・・・・・・)」

悔やんでも仕方がない。カナタは話題を変えることにした。

「ルイの属性は何?」

「私?私は土と木だよ」

「ルイも多属性か」

「そう。だから仲間~♪」

そう言うルイは、本当にうれしそうだ。

「よし、ギルドカードを作ろう」

「(切り替え早っ!!)」

「えーっと、君の名前、聞いてなかったね。教えてくれる?」

「カナタ・ヴォルテス」

「カナタ・ヴォルテスっと。はい、できたよ」

出来たギルドカードをカナタに渡す。

「どうも」

渡されたギルドカードを見るとカードには『ギルドランクC』とかいてあった。


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