使い魔召喚 ~ガネル・リル編~
「・・・・・・どこだ、ここ」
ガネルは真っ赤な世界に立っていた。
「確か、使い魔召喚して、炎に包まれて・・・・・・。ってことは、ここ、炎の中?」
『正解』
「!?」
返事が返ってきたのでガネルは周りを見る。が、なにもない。
『ここだよ、ここ』
下から声がする。
見てみるとそこには両手に乗るくらいの小さな炎があった。
「・・・・・なんだ、これ?」
しゃがんでつんつんと突いてみる。
『いたっ!やめてよ!!』
「うおっ!しゃべった!!」
『しゃべっちゃ悪い?』
「いや、そんなわけでは・・・・・」
炎がしゃべったら誰だって驚くだろう。
『・・・・・・まあ、いいや』
なにかあきらめたようだ。
『君が僕を呼んだの?』
「ん?ああ、そうだと思うぜ」
自分が呼んだはずなのに、ガネルの返事は少々曖昧だった。
『・・・・・・・まあ、いいや』
炎がぴょんぴょんとガネルの周りを飛び跳ねる。
『ねぇ、僕と契約する?』
「いいのか!?」
『君とならいいよ。契約の方法は、僕の名前を呼んでくれればいい』
「それだけ?」
『うん。僕の名前はバース。君は?』
「俺はガネル・グランデス。よろしくな、バース」
『こちらこそよろしく、ガネル』
赤い世界がはじけた。
「終わったみたいだな」
カナタがつぶやくと、ガネルを包んでいた炎が消え、ガネルの姿が見える。
「戻ってきた・・・・・・」
ボケーっとしながら周りを見ているガネル。
「お疲れ、ガネル。どうだった?」
「え?・・・・・なんか、すごかった」
こう、ボワーッと・・・と、手を使いながら一生懸命説明しているが、伝わっていなかった。
「・・・・・参考になりません」
「召喚する奴らによってそれぞれ契約の仕方が違うし、参考にならないぜ」
「そうなの?」
「おう」
「なんでカナタ君がそんなこと知ってるんですか?」
「え?・・・・・・え~っと(やばい、どうしよう)」
魔界で習ったから、なんて流石に言えない。
言い訳を考えていると、ガネルが割り込んできた。
「本とかで読んだんだろ。な、カナタ!!」
「そっ、そうそう!」
「・・・・・・そうですか」
「(ナイス、ガネル)」
心の中で親指を立てた。
「ねえ、ガネル。使い魔はどこ?」
「そういえば、いませんね。・・・・・・まさか、失敗」
「は、してないぞ。ほれ、ここにいるだろ?」
ガネルが自分の頭を指差す。そこには――――――。
「かっ、かわいい!」
ガネルの髪の色と同化していてわからなかったが、そこには小さくて真っ赤な竜がいた。
「こいつ、火竜の子供。名前がバース」
『よろしく』
「上級か。結構いいな」
「だろ?」
カナタの言葉にガネルはうれしそうに笑う。
「しゃ、しゃべった・・・・・・」
リルがぷるぷると震えている。
『喋っちゃ悪い?』
「むしろ、いいです!!」
リルがバースを抱きしめる。
『く、苦しい・・・・・・』
バースはリルの腕の中でもがき苦しむ。
「リル、それくらいにしてやれ。バースが死ぬから」
「・・・・・・・・はい」
名残惜しそうにバースをガネルに返す。
『苦しかった~』
バースはすぐにガネルの頭の上に乗る。どうやらそこが気に入ったようだ。
「次は私ですね!」
リルのテンションがなぜか高い。
「―我と契約する者。汝、我と共に歩まん―《使い魔召喚》」
リルの体が風に包まれた。
「うー・・・・・。ここ、どこでしょう」
リルは、広い草原に1人立っていた。
『ここは、見てのとおり草原です』
目の前に、緑色の少しウェーブがかかった長い髪できれいなエメラルドグリーンの瞳の20代前半の女性が現れた。
「・・・・・・・だれですか?」
『私を呼んだのはあなたですか?』
リルの質問は無視された。
「・・・・・はい、そうです。たぶん」
無視されたリルは少し不機嫌そうに言い返した。
『そうですか・・・・。私と契約しますか?』
「してくれるんですか?」
『はい。ですが、ひとつ質問に答えてください』
「なんですか?」
『あなたは、どうして私と契約したいんですか?』
「どうしてでしょう・・・・・」
考えたことも無かった。授業の一環というだけで終わらせようとしていた。
でも、よく考えてみると一生を共にするパートナーなのだ。
女性を見る。
「たぶん、いいえ。あなただからいいんですよ」
微笑みながら言うと、女性は少し驚いたようだった。
『・・・・・・・いいでしょう。契約します』
「いいんですか?」
『はい。契約の方法は手をつなぎ魔力を流し合えばいいです』
「わかりました」
リルが手を差し出す。
女性が差し出された手をつかむ。
お互いの魔力が流れる。
『・・・・・・契約完了です。これからよろしくお願いします、えっと・・・・』
「自己紹介がまだでしたね。私はリル・ネイルです」
『私はエルといいます。種族は風竜です。よろしくお願いします、リル様』
「よろしく、エル」
周りが光った。
リルの周りから風が消える。
「リル~!」
レナがリルのところに走る。
「レナちゃん。どうしたんですか?」
リルに飛びつこうとしたレナが止まる。
「リル、隣の人、だれ?」
「私の使い魔で、風竜の」
『エルです。よろしくお願いします』
「いえ、こちらこそ」
エルが深々と頭を下げたので、レナもつられて頭を下げる。
「風竜か。うーん、たしか上級、だったかな」
カナタが思い出していると、
「なあ、風竜って竜じゃないっけ?」
ガネルがそんなことを言い出した。
「そうだ」
「何で人なの?」
「それはな、風竜は大きいから、人型のほうがこっちでは都合が良いんだ。わかったか?」
お馬鹿なガネルにわかるようにカナタが説明をする。
「なるほど。なら、バースも人型になれる?」
頭の上に乗っているバースに聞いてみる。
『僕はまだ無理。子供だもん』
「ちぇっ」
ガネルはバースの人型を見たかったようだ。
「つ、次はあたしね」
レナが魔法陣の上に立つ。
1回大きく息を吸って呪文を唱える。
「―我と契約する者。汝、我と共に歩まん―《使い魔召喚》」
レナの体が光に包まれる。




