2人の思い
翌日
早速、婚約者の死はニュースになっていた。
「悠!!ニュース見たか!?」
朝のニュースで見たのか、明は登校するなり悠に話しかけた。
「見たよ。先生の婚約者だったよな」
うん、と明は頷く。
「先生の後追い自殺・・って見解だよな」
事件は自殺で処理されようとしていた。
「ああ、でも・・あの人そんなに弱い人じゃなかったと思うんだよ・・」
「俺会ったことないからわからないけど・・やっぱり先生いなくなって生きる気力なくしたんじゃないかな」
「・・・」
明はどこか納得できないという顔をしていた。
「悠、もしもさ・・婚約者さんが深雪先生の犯人知ってたらどうなるのかな」
「え?」
悠は明を見た。
「口封じ・・」
「!」
「なんてことあるのかな」
「・・・さあ・・」
悠は平静を装って言った。
「あるかもしれないな。でも、婚約者さんが犯人を知ってるとは考えにくくないか?学校で先生亡くなったんだし」
「じゃあ、見当がついていた、とか」
「なるほどな」
「それを犯人に知られて自殺に見せかけて殺されたっていうのはどうだ?」
「確かに、あり得なくはないけど、日本の警察だって馬鹿じゃないぜ。首つりだろ?自殺か他殺くらいの見分けくらいつくんじゃないのか?」
悠は少し話題を変えるように言うが、明は他殺の線を重視しているようだった。
「すっごいうまく作ればできるんじゃないのか?ほら、サスペンスとかでやってるじゃん」
「・・・お前、好きだよな。サスペンスとかミステリー・・」
「おう」
そう話がそれたところでチャイムがなり、ホームルームが始まった。
授業中2人は別々のことを考えていた。
明はどうやって犯人を見つけ出すか。
悠はどうやって明をあきらめさせるか、もしくは学校以外に目を向けさせるか。
しかし、どうしても明は校内に犯人がいると思っていた。
根拠はなく、ただの直感で。
悠としては、確かに内部犯の確率は高くなるとは思っているが決して外部犯でも不可能とは言えないと思っていた。
何しろ今まで他の学校で似たような事件を起こしたこともあるくらいだからだ。
明の絶対に内部犯という意識を変えさせる、あきらめさせるというのは本当に困難なことだろうと思いつつも悠はふっと口を歪ませた。
自殺に見せかけて、自殺で処理されたのにもかかわらず自分を探そうとしている人はこれまでいなかったからだ。
でも、きっと明はあきらめるだろうと楽観的に考えていた。
今までも何人も、何十人も殺してきた彼は一度として捕まったことも見つかったこともないのだから。
ところが明はそれ以上に犯人探しに燃えていることをまだ悠は気づいていなかった。




