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冷笑と共に生きる男

作者: ちくばい
掲載日:2026/03/24

俺は寒川 将太 成人済みの男である。趣味は冷笑で、生まれたころから騒がないどころか一度も泣くことなく、同年代の子が泣いたり笑ったり、走ったりするたびに嘲笑ってきた冷笑の達人だ。

俺は怠惰に流れてくる仕事を行うだけのライン工だ。いつも暇だと思いながら与えられた仕事を淡々とこなしている。だから怠惰ながらも、多少プライドがあり社会の役に立っているということに自信を持っている。しかしそんな俺にも一つの趣味がある。それは、SNS上で仲間と共に冷ややかなリプライを相手に飛ばす、つまり「冷笑」を空いてる時間すべてを費やして行う事だ。その「冷笑」の中でも俺たちは調子に乗っている人に冷ややかな視線を飛ばし気持ちよくなるためのものをおこなっている。

そもそも俺が「冷笑」を始めたきっかけは、昔のことであまり覚えていないが、小学校の頃から自分は努力をしているのにも関わらず周りの人に何一つ勝てないという劣等感を抱いてき、それがだんだんとすべての行動に意味がないと無気力状態になってしまったからだろう。その中で運動会や卒業式を全力でやる人を見ていると、できることには限界があるのにそこに力を割くのはもったいないと「冷笑」する癖がついてきてしまった。思うだけでとどめておけばよかったものを昔の俺は中二病のように、皆と違う考え方を持っている自分がかっこいいと思っていて中学2年生の頃「なんでお前らそんながんばっちゃってんのwどんなに頑張っても俺らみたいな子供にできることは限られてるんだよwカッコイイっすねww」とついに口に出してしまった。その時の時が止まったかのような静寂は鳥肌が立つし今でも思い出すと恐ろしかった。この話は学年全体にも広がり俺の居場所はなくなってゆき、孤独を埋めるためにSNSで「冷笑」活動をそれ以来続けている。

そんな俺でも今ではSNSでの「冷笑」を通じて仲間を見つけ自分の「冷笑」コメントのスクショを撮り送りあうなど楽しい「冷笑」ライフを送っていた。だがある日俺たちの「冷笑」コミュニティーに一つのメッセージが送られた。仲間の一人が「開示請求食らって裁判が始まるわw」と。そいつはずっと舐めているような口ぶりだったが連絡がつかなくなった。その翌日朝ご飯を食べながらテレビを見ていると名誉棄損で執行猶予付きの判決になった人がいると、無残にも実名と共にSNSのアカウント名まで晒されていた。報道された彼から「色々すんだからまた「冷笑」始めるわw逆に無敵の人になったからもっとできるw」「てか」とメッセージがみんなに向けて送られてきた。俺以外の仲間はみんな賛同したり「俺も無敵だからw」と共感していたが、俺はこいつらの発言について妙に納得できないでいた。なぜなら俺には仕事があり失う事もあるし、今唐突に自分が実害を受ける可能性すらあるのに俺らが「冷笑」をしている理由は何だろうかと考え始めたからである。そもそも「冷笑」を始めたきっかけは今までの生活からや、相手を笑って気持ちよくなるという事だと自己分析している。昔の俺を肯定するため、気持ちよくなるためだけに俺は今も「冷笑」を続けてきた。それは何故か。本当は羨ましかったのではないだろうか、相手からの反応を恐れずに自分の趣味や考えたこと、自分に自信をもって行ってきたと表明できる人に。しかし俺はどうだろうか、そもそも相手に趣味すらいう勇気がなく意思がないようなコメントしかせず怠惰に生きてきた。こんな奴が醜く俺であると認めたくもない。だからこそここで現実世界で行動を起こして自分があこがれた「冷笑」される側の人間になりたい、そう強く思った。でも今までの自分を否定したくないと考えが回りながら明日の仕事に向けて眠りについた。

翌日いつも通りに5:30に鳴るスマホのアラームを止めベッドから上体を起こす。今日は普段と異なり職場に向かう道にあるボランティア活動勧誘のポスターも、地域のスポーツ大会の告知を見ても「自分にはまだ早く関係ない」と思いつつも腹が立たずなんだか清々しい気持ちで、出たばっかりの真っ赤な日光を浴びながら歩く。結局変わらない始業の挨拶を行い俺の仕事は単調な作業ばかり続くライン工のままだ。ただ今日いつもと違ったのは、どもったりお互いに沈黙が多かったものの、3つめの曲がり角まで同じ道を通り帰宅する女の職員に声をかけてみたこと。話かけてみると同じような仕事をしているのもあって、単純な仕事への飽きや意外とそんな仕事が自分の性格に合っているなど他愛のない仕事の話をすることができた。しかし相手は大学の学生で経験のために色々な業種を試しているようだった。ましてや同大学にいる彼氏との遊びや同棲の様子をSNSに投稿する、まるで自分が笑ってきた相手だったのだ。この一件で俺はどれほどつまらない人生を送ってきたのかと、まあまあ心を病んだが折れずに職場の休憩時間で計3人と会話をしたがそれぞれアニメだのサッカー、家族と過ごす時間の様にそれぞれが充実した趣味や時間を持っていた。俺は惨めな存在だと思っていたが初めて突き付けられた。やはり俺にはSNSにしか居場所はないのだと。俺はボランティア勧誘のポスターを脇目に入れつつ、冷たくなったアスファルトの上をスマホを両手に持って目には見えない仲間と歩いている。

読みずらいところや稚拙な文章が多いと思いますが興味を持った方は読んでくださるとうれしいです。

また、よければ酷評や改善点の指摘も大歓迎です。

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