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カードゲーマー百合  作者: 橋比呂コー
第2章 各務敦美
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敦美VS豪 激突!ミラクルフュージョン


 うおー! めっちゃワクワクするぜ! まさか、敦美さんがここまで強いなんて思ってもみなかった!

 彼女とはカードを交換するだけの仲だったんだぜ! 女子でデュエバが好きって、最初は変わってるなって思ったんだ! でも、話している内に分かったぜ! 彼女のデュエバへの想いは本物だってな!


 だから、いつかは彼女と本気でバトルしてぇって思ってたんだ! でも、彼女は頑なにバトルを拒否してしまう。うーん、何でだろ? 考えても分かんねぇ! だから、当たって砕けろだ!


 なーんか、迷惑そうにしてたけど、学校でも隙あれば話しかけてたんだぜ! ちょうど、後輩のバスケ部員でもあるからな! バスケの方は。正直、そんなに強い印象は無かったな。

 うちの中学は、部活動に入るのは強制だ! 多分、仕方なしに入部したとかじゃないかな! 俺がバスケを教えてあげてもよかったんだぜ!


 あー、でも、そうすると、余計に厄介なことになるか! 俺が彼女と話すようになってからしばらくして、同じクラスの山田って女子が、ちょっかいを出すようになったんだぜ! いや、あれはちょっかいと言えるのか? どうにも嫌な感じだった。


 ガツンと言ってやろうとも思った。でも、チームメイトは、

「女子の問題は首を突っ込むと怖いから、中途半端に関わらない方がいいぜ」

 なんて、言うんだぜ! だから、学校じゃ表立って話しかけることはできなかった。


 彼女と会話できる手段。それは、デュエバしか思い浮かばない! こうやって本気でバトルすることで見えてくるものもある! 俺はそう信じている!

 だから、本気で行かせてもらう! さあ、目に焼き付けろ! これが俺の切り札だ!

「灼熱を纏いて顕現せよ! 天翔ける双牙! 極炎龍アルティブレイズ!」

「迎合。ようやく来たか。受けて立つ」

 恐れ慄くかと思ったけど、迎え撃つとは! はは、面白い! 面白いぜ、各務敦美! やっぱり、君とは本気でぶつかり合えば楽しめると思ったんだ!


「俺のPPはまだ8も残っているぜ! ミラクル・フュージョンを発動! 墓地より極氷龍グレイメシアを召喚! そして、双龍が混じり合い、すべてを滅する帝龍へと至る! 来い、極炎氷龍アルティメシア!」

 俺の切り札、アルティメシア! こいつをどう攻略するか。とくと拝ませてもらおう!



「迎合。ようやく来たか。受けて立つ」

 勢い任せでそんなことを言い放ったけど、正直膝が笑っていた。エマージェンシーカードの「フュージョニック・サイン」を使うまでもなく召喚できるとは覚悟していた。でも、本当に出して来ると、その圧はけた違いだ。


「行くぜ! アルティメシアで相手プレイヤーを直接攻撃! そして能力発動! 体力500以下のサーバントはすべて破壊だ!」

 わたしの体力が半分の1000にまで削られる。おまけに、場のサーバントは全滅だ。次のターンにアルティメシアを除去しないと、そのまま押し切られる。


 でも、能力では選択できない耐性を持っている。手札の死刑宣告が通じない。この状況を逆転できるとしたら。


 ずっと、手札で眠っているカード。これを使えば延命はできるかもしれない。その先に進むためには山札に未だ眠る、あのカードを引くしかない。ただ、それより前に勝負を決められる可能性が高い。


 あと少し。あと少しで栄冠に手が届くのに、わたしにはその資格は無いのか。臆病風に吹かれたわけではないだろうが、指先がかじかむ錯覚に襲われる。


 思わず目を閉じる。すると、瞼の裏に映る影があった。友美に唯。わたしを支え、ここまで送り出してきた仲間だ。この場に居ないはずなのに、すぐ近くで無邪気な騒々しい声と、澄ましたような声が聞こえる気がする。


 そうだ。ここで躊躇するわけにはいかない。切り札を引けるかは運任せだって? 笑わせるな! 博打ならわたしの専売特許ではないか。わたしは開眼するや、勢いよく一枚のカードを場に出した。


「召喚! 巻き起こす風は破壊! 天真爛漫な荒巫女、ここに見参! 輪廻を司りし巫女右京!」

「おお、遂に右京が降臨か!」

 芽衣姉ちゃんが歓声をあげる。審判として、その発言はどうかと思うが、ギャラリーも似たような反応だった。それもそうだろう。優勝賞品は、これの特別イラストのプロモカードなのだから。


「右京か! いいカードだが、そいつの能力はアルティメシアには通じないぜ!」

「承知! わたしの狙いは別にある。右京の能力発動! 山札の上から3枚を墓地に送る」

 申し合わせたかのように、すべて偶数コストのカードだ。


 右京は公開した3枚のカードの内、偶数コストのカードの分だけ場のサーバントを破壊できる。ちなみに、奇数コストならば、相手の手札を捨てさせる。今回は3体まで破壊できるが、アルティメシアは選択対象にできない。もちろん、右京自身を自害させる間抜けを犯すわけもない。


 正直、右京のサーバント除去効果はおまけだった。本当の狙いは、次に繰り出すサーバントにある。


 これで準備完了。口角を上げると、矢継ぎ早にカードを繰り出す。

「発動。エマージェンシーカード、フュージョニック・サイン」

「やっぱり、君のデッキにも入っていたか!」

 その反応から熟練者だと分かる。右京のコストは6。そして、これから召喚するサーバントのコストも6。フュージョニック・サインで軽減できる条件は満たしている。


「行使。コスト6以上を支払ってミラクル・フュージョンを発動する際、支払うコストを3軽減する。よって、PPを3消費して、このカードを召喚」

 墓地より舞い戻ったカード。それは。

「召喚! 巻き起こす風は再生! 百花繚乱の巫女、華麗に見参! 輪廻を司りし巫女左京!」

 右京とうり二つの姿の巫女、左京。輪廻転生を司る運命の巫女姉妹が揃った。


 まずは、左京が場に出た時に発動する効果を解決する。

「発動! 左京の能力により、墓地のカードを5枚まで好きな順番で山札の上に戻す。そして、戻した枚数分、わたしの体力を回復する」

「体力を1500まで回復したか! でも、それだけじゃ時間稼ぎにしかならないぜ!」

 それは重々承知だ。レジェンダリーが相手なら、一気に2000ダメージを受けることも不思議では無い。それでも、一発でもアルティメシアの攻撃を耐えられれば勝機はある。


 そして、満を持して真打を繰り出す。ミラクル・フュージョン発動だ!

カード紹介

龍の宣教師ラァグ

クラス:フォーチュラー ランク1 コスト6

攻撃力300 体力300

超託宣3(このカードが場に出た時、山札の上から3枚を墓地に送る。その中にあるコスト偶数のカードの枚数分、次の能力を発動する)自分のPPの最大値を+1する。

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